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2016年9月

『親の顔が見てみたい』

2016.9.25(Sun.) 17:00~18:55
銀座・シャンソンバー・ボンボン

1人の作曲家をテーマに掘り下げる定期ライブ『親の顔が見てみたい』。
今回は26回目。テーマは「ポール・ゴードン」。
出演は岡村さやかさん、上野聖太さん。演奏は酒井和子さんです。

実は私、「親の顔」参加は初めて。
今まで機会がなかったわけではないのですが、何しろキャパの都合上早く埋まることが多くて、気づいたら完売…ということを何度かしての、さやかさん出演(3回目だそうです)を機に伺うことにしました。

野暮用を済ませていたら到着がギリギリになり、入口側のカウンター席にしたのですが、全く予想していなかったのですが、色々まさかなことがあり、ど緊張しました(爆)。

MCも(特にさやかさんが)面白かったのですが、ほぼほぼ表に出せない話なので自粛します(爆)。

1部は『あしながおじさん』(日本上演時は『ダディ・ロング・レッグス』)
2部は『ジェーン・エア』
での構成です。

ではセットリストから。特記なき限り、さやかさん&聖太さんデュエットです。

1部:featuring『あしながおじさん』
 1.ミスター女の子嫌い(岡村)
 2.年寄り(上野)
 3.知らなかったこと
 4.いつ会おう?(上野)
 5.あなたの目の色
 6.ショーウインドの女の子
 7.卒業式
 8.ヤな奴
 9.幸せの秘密

2部:導入部
 10.途中下車
 11.真夜中の居酒屋

2部:featuring『ジェーン・エア』
 12.秘めた思い
 13.SIRENS
 14.どうしよう
 15.愛する勇気を

アンコール
 16.幸せの秘密/あしながおじさん

1部の『あしながおじさん』の曲は、さやかさんご本人も言及されていましたが、ライブで2度ほど歌ったことがあり、その時もとっても合っていて素敵でしたが、今回もぴったりです。

さやかさん曰く『物語の中で(ストーリーの上で)歌われる曲なので、なかなか1曲きり出して歌うのが難しい』のでライブなどにはなかなか組み入れられないとのこと。その分、今回の『親の顔ライブ』の話があって、”この機会なら歌える”ということで提案されたのだそうです。

本役の(坂本)真綾さんと(岡村)さやかさんのこの役での共通点と言えば、『いじらしさ』。
いくらでもいじいじできる役柄なのに、ひたすらからっとしている。
でも自分をアピールするのには不得手というところが妙にシンクロして(笑)。

ちなみに今回「卒業式」がショートバージョン(酒井さん編曲版)になっているのは、さやかさん曰く「あまりに耳に残る曲なので、意識して縮めた」とのこと(「卒業式~」からスタート)。

さやかさんの歌声で聞いていてふと気になったのが、ジルーシャが言う「ペンを持つのにどれだけ強くなる必要があるの」という言葉。

これ、つまるところジルーシャにとって「ペンを持つ」ことは、普通なことなわけですよね。勇気もいらない、思いもいらない。その実、ジルーシャは書きたいことを書いているに過ぎないようにも見える。

ジルーシャにとっては、自分の気持ちをそのままぶつけている、「書くこと」が簡単にできるのに、目の前のダディは、本当のことを話すのにこれだけの時間をかけている。”何度も書きかけたのにやめた”というダディの行為が、ジルーシャにとっては信じられないことなのですね。

でもジルーシャはダディ(ジャービス)を許す。そこには、「自分が自分の意のままにだけ書いてきた」ことへの、ちょっとした後ろめたさがあったんじゃないか、そう、感じられて。

この作品で私が好きなのは、ジルーシャもダディ(ジャービス)も、自分を曲げるところ。
自分の価値観の世界だけで生きてきた2人が、お互いの価値観を認めることでより世界が広がる。
それを音楽の力で見せていることが素敵だなって思うのです。

ジルーシャのさやかさんは、これほどないほどチャーミングで、ダディ(ジャービス)の聖太さんは、これほどないほどダンディーで、背丈の差もちょうど良くて、この日だけでは勿体ない組み合わせでした。

1部と2部の間の休憩、BA(Before After)のCDが流れていたのですが、さやかさん、聖太さんともBAのCDを聞くと「違う違う、今日はBAじゃない(笑)」って話になり、音楽が聞こえない店外でアップされていました(爆)。

2部の導入部はバーのマスター氏(福浦光洋氏)のオリジナル曲の「途中下車」。さやかさんのお父様がお気に入りで、カラオケのレパートリーにしたいのだとか。続いてママさん(珠木美甫さん)でシャンソンの曲から「真夜中の居酒屋」。パリを舞台にしていて、歌い終わられた後「銀座は安全です(笑)」と添えられていました。どちらの曲もとても素敵でした。

2部、作品が変わって『ジェーン・エア』。

この企画が発表されて何がびっくりしたって、『あしながおじさん』と『ジェーン・エア』が同じ作曲家さんってこと。
そしてこの2作品はいずれもジョン・ケアード氏が日本版を演出しているという共通点があります。
(さやかさん、聖太さんの共通点として、2007年~の『レ・ミゼラブル』ジョン・ケアード版で共演している点があります。さやかさんはこの時が舞台デビュー。)

この2作品の共通点といえばもう一つ、ヒロインが孤児院育ちというところですね。
自分で自分の未来を切り開いていくアグレッシブな女性でありつつも(というか、あったからこそ)自分の将来に大きく関わる、全く階級の違う男性と出会う、という点は共通しています。

ジェーンの本役、(松)たか子さんとは芯の強さは通じるものがあって、前へ前へと突き進むさやかさんの歌は、最近増えてきている強い歌唱で、その前向きさが映えます。

主役のロチェスターは本役は橋本さとしさん。本編でロチェスターの洋館が燃え上がったところ、ジェーンが気づき、ロチェスターに水をぶっかけて救う、というシーンの話で、さとしさん『洪水かっ!』と跳び起きたと。
さとしさんは「笑いを出せるシーンがないから、そのシーンが唯一遊べるシーンなんだよ(笑)」と言われてたそうです(爆)。

曲調としては『あしながおじさん』は包み込むように内に向かう感じが強いのに対して、『ジェーン・エア』はエネルギーを発するように外に向かう感じが強いので、実際聞いていても同じ作曲家さんというイメージは沸かないところがあります。

『ジェーン・エア』といえば、この日のラスト曲で浮かぶシーンがとても印象的で。
家政婦としてロチェスター家に仕えていたジェーンは、既に家を出ていましたが、ロチェスターが全てを失ったとき、ジェーンはロチェスターの元に戻ってきていた。そしてジェーンは目が見えなくなったロチェスターの目となると。ジェーンはロチェスターに寄り添うと。

『あしながおじさん(ダディ・ロング・レッグス)』、
「しあわせの秘密(リプライズ)」にはこんなフレーズがあります。

 -幸せの秘密、自分より相手の幸せを強く願うこと-

『ジェーン・エア』のラストシーンが目の前に展開したとき、ふと、2つの作品を繋いだものに触れた気がして、それをさやかさん、聖太さんのペアで感じられたことがとても幸せでした。

この2人は私にとってのさやかさんの原点なので。
(『しあわせの詩』が初めてのさやかさん作品観劇でした。その時の主演ペアです)

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