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『ジャージー・ボーイズ』(2)

2016.7.31(Sun.) 13:00~16:45
シアタークリエ 9列20番台(センターブロック上手側)

WHITEチーム千穐楽、そして大楽です。
今回の公演はREDが2回、WHITEが1回の都合3回しか見れませんでしたが、久しぶりに見るジャージー・ボーイズ、そして初めて見るWHITEはいろいろ新鮮でした。
大楽を迎えましたので、ネタバレなしで参ります。お気になさる方は回れ右で。



今作の主役、フランキ・ヴァリ役を演じた中川晃教さん(あっきー)。

ジャージー話をする前にちょっと昔話を。

あっきーを始めて見たのは、多くの方と同じように2002年の『モーツァルト!』ヴォルフガング・モーツァルト役でした(井上芳雄さんとダブルキャスト)。姉のナンネール役が高橋由美子さんだったことで見に行ったわけですが、あっきーの突破力の凄さに圧倒されたのを今でも覚えています。

そして次が2004年の東宝×新感線『SHIROH』。このときあっきーは”歌で人の心を操る”天草のシロー役。

両作に共通していたのは、並外れた才能を持つ天才が、その才能ゆえに平常心を失くし、破滅へ向かっていくところ。

それから彼を見る経験はずっとなくて、その次が2014年『ファースト・デート』。新妻聖子さんが相手役でした。あっきーと聖子さんは突っ走り型という点で共通したところがありましたが、この時共演していたのを見ると、以前よりも両者とも尖っていても周囲と調和しているように感じて。共演者との壁みたいなものがとても薄くなったのが印象的でした。

そして今回の『ジャージー・ボーイズ』。

あっきーの突破力はありながらも、歌い方としては抑える歌い方をせざるを得なかったのは、なるほどと思いながらも、印象的だったのは彼の立ち位置。

あっきーが演じる役は、以前は「才能がある、だから自由に生きる(自分にはその権利がある)」ことが多かったと思うんです。

それからすると今回の作品では「自分がセンターで当然」になっても不思議じゃない。なのにそうはなっていない。自分がトミーに才能を見出されたという前提があるとはいえ、ボブの才能に一目置き、ニックを認めてもいる(某シーンでは存在を完全に忘れているけれど)。トミーを含めた4人でこそ自分が一番輝ける、だからこそ自分は調和を求める…それをあっきーが演じているのがとても新鮮でした。大人になったんだなと(爆)。

今回、あっきー演じるフランキーの最初の奥様、メアリーを演じたのが綿引さやかさん(びびちゃん)だったのもあって、2幕中盤まで続く、夫婦のすれ違い様にどっぷり漬かれて。

この作品の芝居色が強い印象って、あっきー&びびちゃんのペアだからこそと思うんです。後半で愛人役だった(小此木)まりちゃんだと健康的な印象があるし、遠藤さんだと派手な印象(長く続かない)になりそうだし。まりゑちゃんとだとそもそも物語が成立しなさそうな気が(爆)。

すれ違って、最後は別れることになったけれども、『My Eyes Adored You』で、唯一2人が歌声を重ねる「瞳で魅せられて、憧れて」は感動的。別れるけど出会ったことは間違いじゃない、それが痛いほど伝わってくるのはこの2人だったからこそと思います。

2幕で、2人の娘のフランシーヌが亡くなり、フランキーが切々と娘に歌いかけるシーンがありますが、まりゑちゃん演じるフランシーヌは、その歌を聞いて微笑むんですね。
「やっと、私のことを見てくれた。やっと、パパになってくれた」と言うかのように、満足そうに闇に消えていくんですね。

それを見たときに、娘がパパを認めたことで、一人苦しんできたメアリーはやっと救われたんじゃないか、ってそう思えて。

自分の名前の”ヴァリ”の末尾を「Y」から「I」から変えたのはメアリーに言われたから。それを離婚後もずっと「I」のままにしておいたフランキーにもじわり。フランキーにとってはメアリーとの、断ち切りたくない絆だったんだろうなと。

絆と言えば、この作品の一つの軸に『family』があって。

フランキーはメアリーとの家族を作れなかったけれども、いやむしろ、だからこそ、フォー・シーズンズの4人としては”家族”としていたかった。だからこそ、他人からはあり得ないと断じられるほどのトミーの尻拭いもした。
それは自分を軸にした4人が発する音楽が、聞き手に「音楽を通した”『family』の絆”」を届けたいという思いゆえもあったのかなと。(劇中、「離れ離れになる2人にとっての音楽」といったト書きがありますね)

あとやっぱり感動ポイントは『Can't Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる)』。音楽の専門家がことごとく相手にしない曲を、誰に何と言われようとレコードにしようと、クールさ脱ぎ捨てて走り回るボブ・ゴーディオは矢崎氏も海宝氏も甲乙つけがたい素敵さ。フランキーとの絆を感じられる大好きなシーンです。

エンディングの疾走感はすさまじいほどで、”狂喜乱舞のご熱狂”(←著作権は東宝株式会社が保持しています)の言葉はまさにそのもの。そこから始まった総延長45分の急遽のアフタートークは、アンサンブルさん含めた全員のご挨拶。(前日ソワレはREDチームの楽でしたが、そちらはフォー・シーズンズのみ。ただアンサンブルさんは1組なので、この日全員が挨拶されてカンパニー全員の挨拶になったのですね)

上手、下手の順で順々にご挨拶。フォー・シーズンズ4人の前に下手側が1人余ってしまって、ボブ・クルー役の太田さんが先に挨拶してからフォー・シーズンズの3人(中川さん除く)→演出の藤田さん→中川さんの順でした。

それにしても、あっきーとがうち氏がちょいちょいツッコむもんだから話が進まない進まない(笑)

遠藤さん「個人的にもいろいろあったんですけど」
あっきー「何それ聞きたい」

とか。

がうち氏「今日はWHITEということで皆さん白で」
あっきー「赤もいらっしゃいますね」
がうち氏「敵ですね(笑)」
あっきー「向こう(赤)はそんなこと言ってなかったですけどね(笑)」

とか。

福井さん「ありがとうございました!以上!」
あっきー「早すぎませんか」
福井さん「だって長くなりすぎてますし。そこの子供さんなんか飽きてきてますよ」
あっきー「あ、あれ僕の甥っ子なんで大丈夫です。ああ見えて聞いてます(笑)

とか。

全般的に本当に稽古で一から作ったということで、「良く間に合ったなぁ」が皆さん共通の感想みたいで。

まりゑちゃん「最初の稽古で最初のシーンの『このシーンどの役やりたい?』って(演出の)藤田さんに言われたんですけど、そんなの台本に何も書いてないんですよ(笑)」
あっきー「そうそう」

とか(苦労がしのばれます)。

それもあって不安もあった初日。

びびちゃん「観客『役』の皆さんのたくさんの応援、笑顔に力をもらいました。ありがとうございました」

と。

この”観客『役』”という言葉は直後に話した阿部にぃからもお褒めの言葉と共感の思いを仰っていただいていましたが、素敵な言葉でびびちゃんらしい。

舞台を盛り上げるのは客席一人一人からの思いだし、それを引きだすのは舞台上の熱量だし。シアタークリエの空間を循環する、とても気持ちいい”熱さ”がこの作品にぴったりだったように思います。チケット難はともかく、作品と劇場がぴったり合うのはこんなに必要なものなのかと実感しました。

そういえばびびちゃんの挨拶の導入部は
びびちゃん「酒浸り役のメアリーを演じました綿引さやかです」
でした(笑)

終盤、あっきーからのご挨拶。

「みなさん、これからも舞台を見に来てください。
 舞台を見ることで皆さんの生活に少しでも助けになれればと思います。
 そんな皆さまを拝見できることで、私たちは自分の仕事に喜びを感じられるのです」

そう挨拶を締められたあっきーの姿はまさに座長の風格で。
誰よりも大変なあっきーが、努力をし続ける姿が、カンパニーのみんなの士気を高めて、キャストスタッフみんながmaxを目指せたからこその成功だったんだろうなと思います。
その上、演出は熱血の藤田さんだし、カンパニーの中に自然に上を目指す空気ができていたことを、実感できるカーテンコールでした。

そして、再びあっきー。

「この作品、また見られます」

 …何が起こったか、半信半疑で静まり返る客席。

「見られるんです」

 …すべてを一瞬にして理解し、熱狂する客席。
  この日最大の拍手が巻き起こる、これぞまさに”狂喜乱舞のご熱狂”。

あっきーを長く見てきていると基本がいたずらっこだから、一回じゃ信じられなくて(大爆)。
…って感じはある程度共有されていたような気がします、この日の客席(笑)

再演も発表されるサプライズだけでなく、本編も大楽に相応しい熱さ。
拝見できて嬉しかったです。

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コメント

初めまして。突然失礼いたします。
中川晃教さんのファンでブログを公開しています。日本版ジャージーボーイズ、素晴らしかったですね。
公演情報をまとめているのですが、ひろきさんのブログ記事をわたしのブログでもリンクしてご紹介させていただけないでしょうか?
ご検討よろしくお願いいたします。

投稿: hilda | 2016/08/07 13:25

hildaさま>
ご連絡ありがとうございます。
ご覧いただき嬉しく存じます。
リンクの件、喜んでお受けいたします。
よろしくお願いいたします。

投稿: ひろき | 2016/08/08 00:55

ご快諾ありがとうございます!
なるべく早くまとめをアップするつもりです。

投稿: hilda | 2016/08/08 11:16

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