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『王家の紋章』(1)

2016.8.11(Thu.) 12:30~15:45
帝国劇場 2階J列20番台(センターブロック)

3日にプレビュー初日を迎えて早8日。ようやくmy初日です。

今作、予想以上のチケット難で、プレビューはおろか最初の週末さえチケット取りに失敗という失態。
ただ、仕事的にいまだかつてないピークに差し掛かっているので、結果からするとこの日が初日というのは、自分的にはちょうどいいという状態でもありました。

既にご覧になった観劇友の皆さまからの声や空気からだいたい想像はしていたのですが、初見の感想は「なるほど」というものでした。

出演者の皆さんが「歌で物語を繋いでいく」という感じで、このペア(キャロルは新妻さん、イズミルは宮野さん)ですから、シングルキャストを含めて期待通りではあれど、「音楽で物語を繋いでいく」ように聞こえないのは残念。

ヒロインのキャロルが考古学に魅せられ、エジプトへの熱い思いを露わにするのは原作愛に溢れた新妻さんのキャロルだけに、伝わっては来るのですが、舞台全体を見ると、肝心のエジプトの熱さ(空気)が伝わってこないように思いました。舞台上手下手に古代文字が描かれていて、カーテンコール時だけ光るのですが、むしろ本編でも時々光らせて「エジプト!」ってことを表現しても良かったような。

「ザ・エジプト」という空気が、ビジュアルでも音楽でも、もっと伝わってきてほしかった感。もっと音楽で気持ち的にぐわっと持っていかれることを期待していたので、なんだかカタルシスが足りないかな、というのが初見の感想です。

さて、まだ1週間なので原作内容含めて多少のネタバレ含めて進めます。気になる方は回れ右で。




まずは何といってもヒロイン・キャロル。今回はWキャストですが、私なので選ぶのは新妻さんの回。

今回、意外だったのは聖子さんが「王族(王家の紋章のファンの方のこと)だったこと。FCお茶会とかも含めて、この作品のガチファンだったことは聞いた覚えがなくて、今回の製作発表、インタビュー、諸々であふれ出てくる聖子さんのキャロル愛、原作愛が半端なくてびっくり。

何しろ
「壁ドンは片手じゃなくて両手じゃなきゃ」とか
「金色の髪は最初はそんなに優しく扱っちゃダメ!最初は(キャロルを)物扱いしてたメンフィスが、他の誰でもない女性としてキャロルを求めることに意味があるんだから」とか、
浦井氏はじめキャスト陣をたじろがせる本気ワードの数々(笑)

一番興味深かったのは、聖子さん曰くの「自分の色々はキャロルからできている」という言葉で、それはこの日見た限りでもずいぶん感じました。

必要以上の正義感を発揮してみたり
必要以上の好奇心を発揮してみたり
必要以上のおせっかいを発揮してみたり
必要以上の感情移入を発揮してみたり
必要以上のうっかりを発揮してみたり

思い当たる共通点がありすぎて(爆)、キャロルなのか聖子さんなのか、境目が分からなくなる瞬間もちらほら。それでも聖子さんが流石なのは、やっぱりベテラン女優の域に入ってきていることもあって、役が好きだからこそ、役に対しては誰よりも真摯に向き合っていることが伝わってきて、その真剣さは後ずさるほどに凄くて。
しかも今までの経験があって、技術コントロールがしっかりしているから、キャロルを通して物語を辿ることができる。
声が若干作りすぎな面もあるけれども、原作イメージと完全に一致しているのは流石の一言。

聖子さんがキャロルをもっと前にやってたら「気の強い」系になってたと思いますが、今見ると「芯の強い系」になっているので、熟練キャロル(自称)で良かったなと。

今回、原作から多少なりとも変更がされていて、一番残念なのは聖子さんとめぐさん(濱田めぐみさん/アイシス役)が正面からぶつかるシーンがないこと。原作ではアイシスはキャロルを古代エジプトに連れていく、そしてキャロルもそれを知っているので、エジプトで「メンフィスに好かれたいわけでもないし、ただ帰りたいだけなのに」とキャロルはアイシスに食って掛かったりしているので、この2人のマジモードのバトル聞きたかったです。ミュージカル界きっての憑依系DIVAの直接対決、期待してたんですけどね…

それにしても、めぐさんは流石の一言。誰もを跪かせる女王の威厳が凄すぎる。ベテラン勢では山口祐一郎氏のイムホテップ宰相が色んな意味で丸くなっている存在(好々爺と申しますか)なので、それこそイムホテップ宰相がアイシスを「女王とはいえ愛すると変わってしまう」と評したとおり、ただまっすぐにエネルギーを放てる存在は、強く印象に残ります。

メンフィスの浦井氏は帝劇初単独主演ということもあり、待望の!というところですが、やはり滲み出る優しさがまだ見られて、「元祖俺様キャラ」の荒々しさがさらに欲しい感じ。でも2幕のキャロルを奪われた時の荒ぶる姿は良かったです。それこそ「キャロルが他の誰でもない存在になった」からこその豹変だったのかもしれません。

期待通りだったのが、ヒッタイト王国のミタムン王女を演じた愛加あゆさん。びびちゃん(綿引さやかさん)とWキャストやったとき(『ON AIR』)ではまだそれほど気になる存在じゃなくて見られず、赤根那奈さん(夢咲ねねさん)の妹さんということでインタビューとかでは見てはいましたが今回初見。
メンフィスへの恋愛感情全開のところがとても可愛かったですが、運命に堕ちていく様(光景)が元宝塚娘役コードを軽々と飛び越えて、びっくりでした。

今回の『王家の紋章』の舞台化で一番気になっていたのは、「3000年の時を越えた恋愛」だけで物語が作れるのか、というところ。それに対する答えは、本編の最後のキャロルのソロの歌、そしてバックに皆が出てくることで表現されているのかもしれませんが、正直、メッセージ性として弱い気がしました。

・・・・

公演初日に来年の再演が発表になった当作品ですが、その割には客席の熱気がそれほどまでに感じないことも気にかかります。
音楽がステージ部分で籠ってしまって、どうも客席にまで圧が伝わってこない気がします。『エリザベート』や『モーツァルト』、『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』といった作品群はそれがあったように思いますし、今回と立場が似ている『MA』も、その点に関しては「劇場を包み込む圧」があったように思います。
再演、大丈夫かなぁと心配せずにはいられませんでした。

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