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『ジャージー・ボーイズ』(1)

2016.6.29(Wed.) 19:00~22:00
シアタークリエ 15列10番台後半(センターブロック)

日本版キャスト初演、チームREDプレビュー初日です。
終演後のカーテンコールであっきーが「チームWHITEプレビュー初日」と仰って舞台上と客席一同、空気が止まる体験をしましたが(笑)
※ちなみにあっきー曰く「服が白いからWHITEだと思った」だそうです。あっきーらしい(笑)

4人のコーラスグループ「FOUR SEASONS」の曲を使ったカタログミュージカルで、あっきー(中川晃教さん)演じるリードボーカル、フランキー・ヴァリを中心に、グループの成功、そしてその後の彼らの変化を描いていきます。

2幕制で、1幕は彼らが成功するまでの道のり。1人1人が集まっていって、偶然と必然が絡み合って、成功への道をたどっていきます。2幕に入ると、上手くいっている時は気にもならなかった小さな綻びが次第に広がりを見せていきます。

まだプレビュー初日ですので、ネタバレはかなり少なくしますが、気になる方は回れ右でお願いします。




この作品はなんといっても主人公フランキー・ヴァリの歌を歌うあっきーの存在感。
自分にとってはあっきーといえば『MOZART!』のヴォルフガングであり、『SHIROH』のシロ―であり・・・という、どこか破滅的な側面を持った役を得意にしていたところ。

むしろ『ファースト・デート』であまりに普通の人を演じてびっくりした記憶がありますが、そういえば今作にも「女性との付き合いに慣れていない男性が、お相手の女性に翻弄される」というバーのワンシーンという、同作そっくりの場面があって噴いちゃいました。今回のお相手は綿引さやかさん。恋人~奥様を演じます。

話は戻りますが、あっきーの歌声はその凄さゆえに「その歌声に溺れる」ようなところはあったわけで。今回、歌が素晴らしいのはそうなのですが、過剰に自信を持っている感じじゃないのがとても良いです。歌声も抑えた感じの囁き系なのがとっても新鮮です。

その分、グループのリーダー的存在であり続けたいと思う藤岡くん演じるトミー。イメージ通り(爆)のオラオラ系が似合うこと似合うこと。

グループのメロディーメーカーのボブ、矢崎さんは初見ですがクレバーな面がぴったり。

吉原さん演じるニックはその外見に反して存在感を上手く出せない様がとっても印象に残ります。寡黙な感じも新鮮ですし、まさか彼がいなくなるなんて、誰も思わなかったんだろうな。

1幕で4人が揃うまでの時間はちょっとまだるっこしいというか、じりじりする感じがあってもうちょっと短くできそうな気がします。

というのも、2幕はグループが解体していく過程なのに、沈んだ印象をあまり感じなくて、かなりのスピード感というか疾走感で走り切る感があるのに、1幕は少なからず重い雰囲気を感じます。

思いつく節はあって、1幕でフランキーは「家庭」に安らぎを持てないんですよね。奥様役のびびちゃん(綿引さやかさん)の「酒に溺れて夫をなじりまくる妻」がもうドンピシャってぐらいにハマってる(笑)。
フランキーが帰ってきたら最後、機関銃のように夫の不義をこれでもかってぐらいに責める新境地です。
メアリー自身がイタリアからの移民で、寄り添うものもなく、安らげる家族を得られなかったことへの悲痛な叫びでもあるんですよね。でもメアリーの感情を理解するにはフランキーは若く幼すぎたのでしょうね。

今回、ジャージーガールズ(通称)として、舞台に4人の女性アンサンブルさんが出ていますが、びびちゃんはその妻役・メアリーの印象が強いだけに、他の場面に登場する場面は極端に少ないです。
実際、びびちゃんを除く3人で歌い踊る(エンジェルスの)シーンもありますしね。印象深い役があるだけに、物語を深める役割を担っているように見えます。

そんなびびちゃんと好対照なのが、まりゑちゃん。彼女は『シャーロック・ホームズ』はじめ複数の舞台で、とにかく役数多く動き回るのを得意技にしていますが、今回も御多分に漏れず、結構な数の役をやっています。他の作品でも感じますが、まりゑちゃんは物語を動かすのにとても大切なんですよね。
びびちゃんの「深める」とまりゑちゃんの「動かす」、その2つの縦横軸が印象的でした。

2幕後半からカーテンコールにかけてのカタルシスはこの作品ならでは。
1幕ではひたすら闇に落ちていた(爆)びびちゃんも、ジャージーガールズみんなでトランペット吹いて出てきてくれて本気でホッとしました。1幕のあのキャラが重すぎるので、他の役で出てこれないもんだと思っていたので(苦笑)。

・・・・

彼らが殿堂入りするほどになぜ熱狂的に支持されたのか、あれだけ仲違いしたはずなのに、なぜ再び出会うまでになれたのか。

成功して得たもの、成功して失ったもの。
失敗して失ったもの、失敗して得たもの。

彼らの成功は、彼らだけの成功ではなくて、彼らを支持したあの時代のみんなの成功でもあったのだろうなと、「熱狂」が渦巻くクリエの客席で、そう確かに思えたのでした。

クリエを上部ぎりぎりまで使ったセットの結果、前方列は首が痛くなること請け合いで、結果論とすれば後方席のこの日はほとんど見切れるものもなく、とても快適でした。
セットの階段がぐらぐら揺れるのは相当心配になりますが…。

・・・・

開演前から評判を呼び、完売まであと2公演(7月1日23時現在)。7月7日夜がチームRED、7月12日昼がチームWHITE。沢山の人に見てもらいたいと思いつつ、人気公演の熱狂を肌で感じられるのは嬉しいものです。31日まで、シアタークリエにて。

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