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『グレート・ギャツビー』

2016.7.3(Sun.) 12:30~15:30
 サンシャイン劇場 12列1桁番台(下手側)

2016.7.9(Sat.) 16:30~19:50
 サンシャイン劇場 12列10番台(センター)

今年は松竹制作の作品が縁があるなぁというわけで、大阪松竹座4月・新橋演舞場5月公演『寝盗られ宗介』に続き2作品目。劇場で言えば新橋演舞場6月公演『熱海五郎一座』も松竹ですね。

松竹さんの制作公演には東宝芸能所属の女優さんが出ることが多いんですよね。『寝盗られ~』も高橋由美子さんは契約時点では東宝芸能所属でしたし、今回もRiRiKAさんはじめ数人出演。6月の『コインロッカー・ベイビーズ』には昆ちゃん・シルビアさん出られてましたしね。自社公演には他社の役者さんや芸能人さんを連れてきて、自社の役者さんは他社に出すという、東宝さんは最近不思議です。(連結決算ベースではそれをやった方が売上が上がるのはわかりますが)

もとい。今作は『寝盗られ宗介』に続き錦織さん演出、そして音楽も岸田敏志さん(元コゼットの稲田みづ紀さんのお父様ですね)で同じ。岸田さんは今回、主演のギャツビーのお父様役としても出演されています。

ネタバレを多少含みますので、気にされる方は回れ右でお願いします。
なお、トークショーのレポは後半になります。

・・・・

物語は1920年代の”狂騒の”アメリカを舞台にしており、語り手であるニックがニューヨークに引っ越してきたことから始まります。ニックを演じるは相葉裕樹さん。彼は初見ではなく2度目(初見は朗読劇『春のめざめ』)ですが、セリフ回しも自然だし、タッパもあって安定しているし、何よりこんな時代なのに常識的なキャラクターなのが安心できます。主人公であるギャツビーや、彼の敵役のトム(ニックとは知り合い)といった、「表面的に成功している人々」のアクや悪の強さに比べれば、人が良すぎて成功しないだろうなとは思うわけですけど(爆)

女性陣も多士済々。トムの奥方であり、ギャツビーの相手役でもあるデイジーが愛原実花さん。『スクルージ』初演以来なので2作品目。
ニックの相手役(恋人)であるベイカーが今回宝塚退団後初の出演になる大湖(だいご)せしるさん。初見です。
自動車修理工の奥様であり、上昇志向故に破滅への道を進んでしまうマートルに木村花代さん。四季退団以降『ミス・サイゴン』、『Play A Life』他複数の作品で拝見しています。
花代さん演じるマートルの妹、キャサリンを演じるのは今作の追加キャストになったRiRiKAさん。

物語の流れはどことなく古めかしく、かつこの年代ということで登場人物はおおむね必死。

男性陣に関してはギャツビーとトム以外は、「自分は成功というポジションに行けない」ということをはじめから分かっている風があって。実際奇跡が起きなきゃ、貧困層から富裕層に行くなんてことできなかったでしょうからね。花代さんの旦那様役のコング桑田さん演じる自動車修理工がその際たるものですね。

パーティーを開きこの世の春を謳歌するギャツビー、やり手ゆえにギャツビーの欺瞞に気づくトム。
その2人が共通して求める世の中のただ一つのもの、デイジー。彼女の前で起こる、良く言えば人間的な、悪く言えば独善的な物言い。

ギャツビーが戦争に行っている間にデイジーと見合い結婚したトム。
ギャツビーはトムからデイジーを取り戻したいと願うわけなのですが、デイジーを前にして(デイジーが見ていることを忘れて)我を忘れ本音をむき出しにする姿は正直綺麗なものではなくて。

デイジーはどちらかでも信じられれば良かったのだろうけども、「過去を忘れてすべて俺とのかかわり合いにしろ」というギャツビーも信じ切れるわけじゃないし、トムに対して過去はともかく現在は愛情がないわけだし。

デイジーが混乱したことをもって導かれる悲劇的な結末は、何というか、「熱した後の何も得られない様」を感じて、儚いなと。

立場を得た男性が(常にではないにしろ本質的には)醜いのに比べると、女性はそれぞれの形として強いなと。

男性としては、届かない立場の違いを前にすると委縮したり、挑戦したりすることを止めたりするのに比べると、自分を売り込むことに対して躊躇いはなくて。生き残ろうとする本質的な生存本能なのかなと感じたりしました。

自分が成功するためには何でもする女性(デイジーは例外で、男性から求められてあの立場にいる)が揃う分、刺々しいのかと思いきや、その実、自分に関係しない限り他者に対する関心はなさそうに思えて。
一番それを感じたのは大湖さん演じるベイカーからデイジーへの醒めた視線。
(ベイカーは孤児院育ちでプロゴルファーにまで上り詰めてる)

それ故に、姉妹のつながりは印象的。花代さんが今の境遇、自らの行ないに対して叫びあげる曲(『連れ出して』)は女性の執念を感じたし、悲劇的な結末に対する妹・キャサリンから姉を思う曲もとにかく刺さりまくった。

1幕で姉がとある男性に仕掛けたとき、妹は「ニヤッ」と不敵に微笑むんです。「姉さん、上手くやったわね」的な。「姉さんだけずるいわよ」じゃないんですよね。「姉は姉、私は私、上手いくかどうかはそれぞれ次第」と。とはいえ、結末に対してはやっぱり血がつながっている妹。平常心ではいられない。
妹として、姉がその選択をしたことへの理解は誰よりも強くて。

時代物の作品を見ると、「なんでそんな選択をしたのか」「今じゃありえない」という感想を持ちそうになるけれども、その時代やその境遇で、選択しようもない道というのは存在するわけで、今の観点から過去の特定の時代の選択の是非を判断すること自体が、そもそもするべきじゃないと思えて。

そんなことを改めて感じられた、どこか別世界のこの作品は、実はなんだかとっても興味深かったです。

トークショーは、3日は正直、文字に残す内容がなかった気がして記憶に残ってないんですよね(爆)、
9日に絞ってレポします。

司会は三浦祐介さん(『寝盗られ宗介』でも拝見しました)。
当初の出演予定は元ジェンヌ3人(愛原さん、大湖さん、RiRiKAさん)でしたが、花代さんが加わっての4人となりました。

最下手が司会の三浦さん、そこから順に、ほぼ地蔵なみなこちゃん(愛原さん)、冷静なせしるさん、喋りたがる花代さん、もっと喋りたがるRiRiKAちゃんという、上手に行くほど喋る人が増えるトークショーという(笑)。

今回、この4人が女子楽屋4人ということで、とにかく女子会トーク賑やかなのだとか。花代さん曰く「自分の役は辛い役だけど、劇場入ってから出るまで、とにかく笑っているので救われている」だそう。

テーマは主に食事ネタからということで、RiRiKAちゃんのダイエットトークへ。

花代さん「今日始まる前に冷凍庫にゼリー入れてたよね」
RiRiKAちゃん「凍らすと糖質が落ちるんですよ」
一同「へぇー」
花代さん「糖質と脂質それぞれどうなるとか、いろいろ教えてくれたよね」
RiRiKAちゃん「です。今回ダイエットしてたんですけど、というか、ライザップ行ってたんですけど(会場内驚)2ヶ月で8kg痩せました。もう2kg戻ったんですけど(笑)」

今日のトークショーキャスト、当初は宝塚の方ばかりだったのですが、花代さんが入ったことで宝塚と四季の違いという興味深い話に。

花代さん「宝塚の方って、相手役の方に仕事外でも尽くすって聞いたんですけど」
大湖さん「そうですね」
みなこちゃん「そうです」
RiRiKAちゃん「私はしなかったですけど(笑)」
花代さん「しない方もいらっしゃるとはもちろん聞きました」

※参考:大湖さん88期、RiRiKAちゃん89期、みなこちゃん90期

大湖さん「今回、私とみなこちゃんの共通の相手役ということで、山口馬木也さんにそれをやったんですけど」
みなこちゃん「おばあちゃんからよく飲ませてもらっていた蜂蜜をコップに入れて、2人で持っていったんですけど、そういう説明を馬木也さんに一切しないで飲んでもらったので、『ただの茶色のお湯』みたいになって(笑)、馬木也さん微妙な反応をしてました(爆)」

花代さん「そういえば今回、大湖さんが宝塚退団後、初めての外部公演で」
大湖さん「そうです」
花代さん「なので、キスシーンはどうするんだろうなと(笑)。相葉っち(※花代さんは相葉さんと同じ事務所です。井上芳雄さんも所属されているグランアーツ所属)とだから『どうするのー』みたいに横でわいわい囃し立てて(笑)」
大湖さん「稽古中は意識してたんですけど、途中から物語の流れ上、自然になりましたね」
花代さん「フォーシーズンズ(笑)だと、最初から普通ですからね。『仕事ですから。』って感じで。そもそも(フォーシーズンズは)女性強いですしね(笑)」

ちなみに大湖さん、7/3のトークショーでは「稽古場に男性がいるのが初めてで戸惑った」と話をされてましたが、それに加えてちょっと噴いた話が。
RiRiKAちゃん「ずっと宝塚でやってきていると、稽古着が『周囲が女性ばかり』に慣れちゃうんですよ[←要は稽古着が薄着](笑)」
大湖さん「そうそう」
RiRiKAちゃん「なので、1枚上に追加で羽織ってとお願いしました(笑)」

戻って7/9トークショー終盤、「どうしても言いたいこと」と挙手してRiRiKAちゃん、

RiRiKAちゃん「今日、座長の『My Life』凄かったですよね(会場内拍手)。私が歌ったわけじゃないので拍手されるの変ですけど(爆)、毎回みんな出番前なのに袖で大挙して聞いているんです。今日は特に凄くて感動でした」

最上手に陣取り、隙あらば(なぜか立って)発言してるRiRiKAちゃんが流石でした。三浦さんとも共演経験があるそうで。今回のトークショーで凄いなと思ったのは、三浦さんがほぼ発言されなかったことなんですよね。

女性4人で盛り上げたままにしておいた方が面白いと判断したのだと思いますが、過剰にチャチャを入れようとせず、進行されたのは流石でした。

公演は東京公演は明日7/10の2回公演で終了。その後、地方公演となります。

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