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2016年5月

『寝盗られ宗介』(3)

2016.5.29(Sun.) 15:00~18:20
新橋演舞場 1階13列20番台
(センターブロック上手側)

東京・シアター1010(プレビュー)から大阪、福岡、愛知、東京・新橋演舞場と続いたこの公演も、この日が大千穐楽(24公演目)。
東京公演から販売された舞台写真入りのパンフレットはこの日の昼の部で完売になったようで、意外なレアグッズとなったようです。

大楽を迎えましたので、当然ながらネタバレ全開で参ります。

この日の夜公演は、由美子さんが2009年1月以来所属した、
東宝芸能を窓口にした作品の最後の回でもありました。
(今年4月1日付で合同会社コニイ(こちら)に移籍済み)

後半期は作品に恵まれなかった面があったように思いますが、それでも東宝芸能さんが今回の松竹作品に由美子さんを出す選択をしてくれなければ、今回の思いを抱けるようにはならなかったわけで。
その意味で今回の作品を今回のメンバーで実現させていただいたすべての方々に感謝です。

まずは本編の話からで。

何回か見てようやくわかった「劇中劇『寝盗られ宗介』」の構造。

由美子さん演じるお志摩さんの心中相手は、歌舞伎役者の浪速屋音吉。
音吉は歌舞伎役者ということもあり、「贔屓筋をみんな相手にしてれば持たない」とうそぶき、お志摩の楽屋訪問も意に介さない。
お志摩を覚えている風もない。

ところがお志摩は深川で芸者をやっていた当時、大阪から来た役者の卵の面倒を見ていたことを告白し、それが音吉であると、つまり音吉はお志摩に対して借りがあるはずと仄めかす。

が、音吉は半ば半ギレとともに「過去のことを今さら話に出して何かを求めようとするのか」と。
「暖簾汚しをするつもりか」と。
「贔屓の芸の肥やしになるのが贔屓筋ってものじゃないのか」と。

そこでお志摩が持ちだすのが、「劇中劇『寝盗られ宗介』」の音吉が演じる役(宗介)を、「実は徳川家の跡取りである、後の家宣であると。先代の五代綱吉に傷つけた故に、(家柄もあって表立っての処分はできず)下取りを申し付けた」という流れにしちゃうという。無茶苦茶ですがな(笑)

そうすることで音吉が演じる宗介という人物の格を上げ、難しくする反面、役者として美味しい役にする、それが贔屓筋が贔屓に対して提示する「芸の肥やし」という「せめてもの暖簾汚し」なんですね。ようやく納得ができました。

3幕6場の音吉は最初は姜さんですが、宗介が切りつけて退場、その後は宗介(つまり戸塚さん)とお志摩(由美子さん)の2人芝居。
お志摩の気持ちを受けるわけにはいかない宗介と、宗介を繋ぎとめているわけにいかないお志摩との、「思い合っているのに結ばれない」ことの関係がもう壮絶で。
宗介は「徳川家の跡取り」ということを表現するかのような存在の大きさを見せて、「責任」の取り方を見せる。
対してお志摩は宗介の立場を理解し、愛するからこそ自ら自害する。
桜吹雪が柔肌に落ちる中、思いあった2人の、結ばれなかったからこその心が結ばれた物語

宗介を演じた戸塚さんはただただカッコよく、
お志摩を演じた由美子さんはただただ綺麗で。

「女一人が救えずに、なんで日本が救えるか」

宗介はお志摩という「女一人」を救えなかった。
でも、救えなかったことを胸に国を背負って生きていくなら、宗介の中にお志摩は生きているし、お志摩はそれを望んだし、お志摩が自ら死んだ意味もそこにある…その想いを強く感じることができて、この作品を見られて良かったと思ったのでした。

そこを越えてからのレイ子の白無垢は最高すぎます。
当初ははにかむような笑顔だったのですが、日々だんだん由美子さん演じるレイ子の表情が変わってきて、「たっぷり甘えちゃいますから」の時の宗介への表情が、本当に気持ちが近く見えて。
とっても幸せな気持ちになれたのでした。

大千穐楽記念、キャスト別感想。その後には大千穐楽特別カーテンコールも付きます。
つまり、ここからたっぷり長いです(笑)

●戸塚祥太さん/宗介役ほか
今回の作品で拝見するのが全くの初めてだったのですが、座長の必要要素をしっかり持っていて驚きです。カンパニーの空気はトップの居住まいで決まるとよく言いますが、「余裕がある様」と「余裕がない様」を両方持っているのが魅力かなと。前者の「どんと構える」ことで座が作られるのと、後者の「あわあわする」ことで周囲が座長を自然に支えようとするバランスが素敵だなと。この一座、本当に旅巡業の一座のようにいい空気で、見ていて心地よかったです。大阪松竹座で拝見しているので、後半の新橋演舞場で喉が涸れていたのは少し残念な思いがしましたが、座長としての戸塚さんを拝見できて良かったです。由美子さんとのバランスも絶妙な距離感。

●高橋由美子さん/レイ子役ほか
25年来拝見してきて、明らかに3本の指に入る当たり役(*)をこの作品で見ることになるとは、期待以上でした。緩急取り混ぜたセリフ回し、シリアスからコメディまで振れ幅が大きくも自然で、身のこなしも明らかに前とは違う軽々とした動き。今までの作品でそれぞれの技術は見ていたけれど、その集大成を見られたような感じです。
この作品がご本人にとっても「初めてのつか作品」であることもあり、ご本人の思い入れの強さもあっての成果じゃないかと思います。どうみても「裏座長」にしか見えなかった(爆)存在感が流石でした。今回の存在感が、次の作品に繋がりますよう願っています。

(*)個人的な残り2本は、
東宝ミュージカル『モーツァルト!』ナンネール役
東宝/劇団新感線『SHIROH』寿庵役
です。
『SHIROH』はゲキシネ(映画館上映)で、東京6/6、横浜・京都・大阪・広島・福岡・鹿児島が6/24です。

公式サイト

●福田沙紀さん/沙紀役
カンパニーの若手ヒロインとして、物語上では大変な目にあっているものの、ピュアさはそのままに表現されていました。白ドレスを着ての「甘えんぼ」(大塚愛さん)は特に素敵でした。実はエネルギッシュで、東京に行って帰ってきてみたり、メンバー先導して座長励ましたり、ポジティブさが全編に亘っていてとても心地よかったです。主にドラマで活躍していた当時には拝見したことがなかったのですが、また舞台でも拝見したい方です。

●姜暢雄さん/ノブオ役ほか
由美子さん演じるレイ子と本編上最初に駆け落ちする副座長(会計担当)。元JUNONボーイの長身さが、由美子さんのちんまりさと絶妙マッチング。「勉強させて・もらいまひょ」が好きでした(笑)。
「あーん、あーん、」…の次の日替わりネタを由美子さんが丈くんに太腿揉んでもらいつつネタ返ししてたところも毎回楽しみでした。ネタ的には「芦田愛菜」(28日夜、29日昼夜)が一人勝ちでしたね(爆)

●藤原丈一郎さん/ジミー役
劇団の若手売れっ子格というか歌手のポジションでしたが、座長に可愛がられる立場にして、2幕でのレイ子の駆け落ち相手という、なかなか素敵な立場で奮闘していました。「腹から声出せ」と言われるのがとてもしっくりくる役回りで、ジミーの成長物語として見えていた面も興味深かったです。カテコで由美子さんと(小川)菜摘さんのどっちかから(回によっては同時に2人から(笑))ツッコまれるのも見てて面白かったです。可愛がられやすいポジションって、若手としてとっても大事ですよね。

●酒井敏也さん/レイコの父役
舞台では「空中ブランコ」以来の共演ですが、ちゃらんぽらんな役をやらせたら酒井さん絶品ですよね(褒めてます)。それでいてレイ子と宗介に「他人行儀」といい、レイ子に「もっと甘えろ」と言っているのは、ラストシーンのレイ子の「もっと甘えますから」にもつながっていて、さすがは父親なんですよね。

●小川菜摘さん/リリー役
ベテラン女優でセクシー系担当。コミカルなオチというポジションが流石にぴったり。「ほったらかしかいー」のあたりで全員が興味なさそうに遊んでるのにわろた(笑)。一番印象的だったのは2幕で一座から去る時の「これからは自分のためだけに生きたい。誰かのために生きているとすぐ齢をとっちゃう」と言ってたこと。これ、実はレイ子にも通じるところがありますよね。「みんなは一人のために、一人はみんなのために」と宣言する座長の手前、自分の幸せを言い出せなかった結果の「10年経過」なんだろうなぁ。

●篠山輝信さん/花岡裕次郎役
バッグの「ビトン」というのが実は一番笑った(笑)。カッコいいように見せて稽古場男なあたりのみっともなさとの対比が面白い。松平伊豆守というとどうしても私なんぞは江守徹氏を思い出してしまうのですが(『SHIROH』)、若い頃ですからこのあたりの年代ですよね。切腹したら歴史が変わってしまう(爆)

●蔵下穂波さん/スズ子役
沙紀ちゃんが洗練された都会風なのに対して、どことなく田舎風な感じ。が、それがいい(爆)
ジミーを連れて行こうとしたレイ子を「女狐」呼ばわりしたらまさかの大反撃食らって、出生の秘密を明かされて、人生を360度変えるきっかけになってしまう件が面白すぎ。
そういえば、レイ子のお父さんが歌って登場するシーンのダンサーって彼女ですよね。消去法で行くと穂波さんしか残らないのですが、あの華やかさも好きでした。

●冨浦智嗣さん/トミー役
ある意味レイ子にとどめを刺すインパクトが大きすぎて、他の登場シーンがプロミスしか思い出せません(爆)。

●三浦祐介さん/三浦役
結構前半で東京に出て行ってしまうわけではありますが、沙紀を包み込む男の優しさなしには語れないですね。「座長が命」だった沙紀をも変えてしまう本当の優しさ。とても素敵でした。

●西井幸人さん/猿の彦次郎役
メイキングシーンだけかと思ってたら結構猿ばりに動き回ってて見てて楽しかったです。「みんなはひとりのために」の作文、単調な言い方だけにかえって伝わるというか、素敵です。

よーし、全員分到達(笑)

でここからカテコレポとか無茶過ぎる…(笑)
インパクトの大きかったみなさま中心に(記憶力の限界(笑))

座長の「今回をもってフィニッシュしましたー!」の笑顔とともにスタート。
実際には通常の座長挨拶→熊本・大分地震募金のお願いで捌けた後に、もう1回全員登場しての特別カテコです。

●冨浦さん
前作「出発」ではオオサンショウオでした。今回の本でそのネタが続いていて嬉しかったです。
全作では穂波ちゃんと恋人役だったり、そんな思い出が思い出されます。
去年厄年で、自分を見失っていたので(笑)、これからは自分を見失わず頑張ります(笑)

●篠山さん
24回も客席のお客様をトイレにしてしまって申し訳ありません(劇中の客席降りでそういうシーンあり)

●穂波ちゃん
前回に引き続き呼んでいただいて、今回のまさに家族みたいなカンパニーにいられて幸せでした。
凄い迫力の皆様の前でたくさん学ばせていただきました。ありがとうございました。

●菜摘さん
24回も乳首ドリルに付き合っていただいた皆様、ありがとうございました(笑)

●酒井さん
36年前に『寝取られ宗介』に出ました。その時はジミー役でした。36年後、今回のジミー役の藤原丈一郎くんがどうなっているのか楽しみです。

●藤原くん
36年後が楽しみな藤原丈一郎です(と、自分の頭を撫でながら)
…そこか!と会場内からツッコミ(笑)

●沙紀ちゃん
ありがとうございましたっ!(←意外にも一番あっさり)

(座長)え、もっとなにかないの(笑)

言いたいことは芝居で全部言いましたっ!(←さすが漢前)

●姜さん
JUNONボーイでここまでいじられたのは初めてです(笑)
心残りが一つあって…副座長として座長にキスを…(会場内ざわめき)

<以下実況>
1.間に入っていた沙紀ちゃんがすっと舞台下手側に移動
2.副座長と座長の間には空間しか存在しない
3.座長「ここ新橋演舞場だぞ、そんなことして…」と発言
4.座長、副座長との間に丈くんを差し出す(爆)
5.副座長、丈氏を退けて座長の唇をうば(以下略)
6.座長、呆然と舞台に倒れ込む
7.副座長、呆然と舞台に立ちすくむ
8.座長、立ち上がり由美子さんにキスしに行こうとして
9.由美子さん、嫌がって座長の勢いを止め(爆笑)
10.由美子さん、座長に蹴りを入れる(爆笑)

というとんでもないオチで終わりました(笑)

挨拶は上手→下手…と1人ずつ来たのですが、途中で上手側が少ないことに座長が気づいたようで、最後を由美子さんにしていただくのは決めていたようで、途中から下手3連続という流れになりました。

「北村宗介一座の看板女優、十手持ち、お志摩、奥さんと演じてくれました」と座長から紹介があり。

●由美子さん
何もないですもう(笑)

(座長)も、ちょっとなんか、せっかくなんで!

どうしたの急に(笑)なんかキャラ変わってきてない?

(座長)そうかもしんない…

いや、皆が怪我なく終われてよかったです。

『宗介にもう少し優しくしてください』というお手紙をいただきまして(笑)、ごめんなさい。

…由美子さんここでそれバラしますか(笑)

座長含めて座員一同もこの話は知らなかったみたいで、客席と壇上が両方ともびっくりしていました(笑)

「北村宗介一座はレイ子という看板役者でもってますが、本当に高橋さんがその通りにいてくださいました。ありがとうございました!」という座長の言葉は嬉しかったなぁ。
その言葉に劇場一体になって拍手を贈れる喜びといったら。

「えへん」ってしないで「いやいや」ってやってくれるのがさすがは由美子さん。

全てが終わり座長から

座長「2006年版『寝盗られ宗介』もこれで…」

ざわつく会場。

座長「え?」
由美子さん「2016年じゃなくて2006年って言ったよ」
由美子さん「タイムスリップしちゃってたよ(笑)」
座長「あぁぁ(撃沈)」

というオプショナルツアー(爆)もあっての幕。

そういえば、カーテンコール内でみんなで手を繋いで手を挙げる、ってやったのですが、
由美子さんと丈くんは2人とも上から手をつなごうとして、由美子さんは「君は下からっ!」ってバシっと(笑)
かと思えば座長さん、左手を精一杯上に上げたもんだから由美子さんが浮き上がってた(笑)。

由美子さんは普段の舞台のカテコではまず手を振らないのですが、今回は手を振った上に最後はVサインで捌けていかれました。それだけでもどれだけ充実していたかが分かるというものです。

最後のカーテンコールでは由美子さん珍しく泣きそうで、上を見上げて涙を振り払っていたかのように見えたのが、とてもじんわりきました。

大千穐楽に相応しいハプニングもあり、本編の出来も良くて、満足の北村宗介一座大楽。チームワークの勝利。見られて良かったです。

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『寝盗られ宗介』(2)

2016.5.25(Wed.) 11:00~13:55 3階1列20番台(正面)
2016.5.26(Thu.) 18:00~20:55 1階8列30番台(正面)
2016.5.28(Sat.) 11:00~13:55 3階左10番台

新橋演舞場

4月に大阪松竹座で幕を開けたこの公演も、福岡・愛知(刈谷)公演を経て、東京・新橋演舞場が最後の公演地。通っております。

当初はチケ難を想定していたものの、実のところ東京公演はちょっと残席があって、電話をかけてみたら意外に確保できての追加です(水曜・土曜)。正直良席と言いにくいものがありましたが、それでも見られて良かったです。予約は電話のみだとしても、売行き状況はWeb検索できるようにしてほしいなぁ。席があるか分からないのに勧めるのは難しいです。

もう今日が大千穐楽となりますので、内容のネタバレを存分に含めつつ、作品を振り返りたいなと。

「北村宗介一座」の旅巡業、座長が戸塚さんで奥さんが由美子さん、ということでその2人を中心に一座が物語を演じる「劇中劇」のパートがほとんどを占め、その上で「劇中劇」の演者が更に劇を演じるパートもあるという、理解しようとするとかなり頭を使う構成です。台本欲しかったなぁ。原作は買ってようやく理解できた部分もありましたが、それでも全部を理解しているとは言い難い…。

冒頭は一座のメイキング映像シーンで登場人物紹介してから、歌謡シーンで幕開け。福島・いわき市公演での終わり、由美子さん演じるレイ子は、一座の会計担当でもあるノブオ(姜さん)と駆け落ち。それをほくそ笑んで見送る旦那、宗介(戸塚さん)というパートです。音楽は『麦畑』(オヨネーズ)。

場は変わって劇中劇パート。ノブオと出て行ったまま、開演時間になっても戻ってこないレイ子。宗介が電話をするとレイ子はまだホテルで…。
沙紀(福田さん)が立候補して始めようとするも、ほどなくしてレイ子は到着。

「意地悪で言ってるじゃないわよ、あなたじゃ仕切れないからどいて」とレイ子。
そして始まるレイ子の口上は会場の空気をも一気に緊張感に持ち込む長口上で、レイ子の言った意味を皆が理解する。
沙紀にとってはむしろ意地悪で言われた方がまだましかもしれないですね。実力で「力不足」を思わせられる方が、女優としては辛いでしょう。

「下剃り宗介」ではレイコが吉原の女郎を演じ、いかにも上流遊郭の売れっ子風を上手く見せています。吉原女郎を演じた経験はそういえばNHKでありましたね。下剃りとは「人として表道を歩けない」裏稼業の者が、女郎のそういった場所を整える仕事のことで、宗介は江戸に何人といないやり手の一人。ところがこのご時世、江戸の大奥の女性の顔が切りつけられるという不穏な事態が発生し、それを宗介の業と見抜いたレイコ演じる女郎は、実は女郎十手持ちでもあり、宗介をひっ捕らえる機会を虎視眈々と狙っていた…

曲パートで由美子さんがソロで歌うのは『女はそれを我慢できない』(アン・ルイス)。赤の着物の艶姿と、エネルギッシュさがぴったりな選曲で素敵。ただ、演舞場は音の通りが悪く、それこそ「腹から声出さなきゃ」通らないせいか、音楽を声入りでスピーカーから流すので、席の場所によっては肉声とサウンドがコンマ数秒分かれて聞こえるので、ちょっと聞きにくかったです(特に1階8列が予想以上に音が良くなかった)。

十手持ちの啖呵切りと立ち回りは流石カッコよかった。『SHIROH』の追及シーンに匹敵するぐらいで、しかも追及側のトップですからね。「なんだなんだ、そんな目はご法度だったんじゃないのかい。この下取り風情が」ってあたりの起伏付けた責めぶりが絶品。今回特にそうですが、由美子さんのセリフ回しはあたかも音符に乗っかるように上へ下へ、強弱付けて流れるように回すところは、歌舞伎的なこのパートにもぴったり合ってますね。その追及を巧みに躱し、戸板を使った演出も見事に決めた宗介はさすがのカッコよさで(メイキングシーンではここは上手くいっていない)、そりゃ女郎演じたところでレイ子が素に戻ったかのように「宗介、あんた惚れたわ」と言うはずだよなと。

このシーンが終わってようやくレイ子と宗介は再会になるわけですが宗介曰く「男と逃げて帰ってくるとお前は凄味が増す」って言葉の説得力ときたら(苦笑)。「沙紀じゃダメだな」と言ってる横で沙紀が出てきているのに気づかず、宗介の回りを回る沙紀(沙紀にとっては当て付け)見て、「ま、回ってる…」とアドリブ入れるようになった由美子さん面白すぎ。由美子さんがアドリブ入れると、客席が湧いてくれるのが嬉しいです(笑)。アドリブ苦手なんです由美子さん。こんなにアドリブ入るのは楽しい証拠です(笑)。

ノブオが遅れて戻ってきて、上手側に逃げるレイ子。そこからは宗介とノブオのシーンになり、「奥さんを寝盗られた相手と仲良くなる」という、レイ子が憤慨して止まない事態が発生。宗介は奥さんを寝取った相手の面倒を見ることで、奥さんより自分、そして寝盗り相手より自分が精神的に上位になることで「満たされ宗介」になっているわけですね。

シーン変わって、3人衆の即席プロミスシーン(座長の「あいつらやっぱりプロミスだー」が新橋公演だと声の通りが厳しくなってて脳内補完(笑))だったり、時事ネタが意外なほどに受けていた「座長の奥さんをセンテンス○○○○○するんだ」→「このゲスの○○が」ってあたりは初見では爆笑だろうなぁ。ニッキ氏の笑パートが妙に古めかしいのが、でもなんだかクスッと笑えるのが面白いです。

姜さんと丈くんの「歌舞伎役者が大事にしてるところで何寝てんだ」下りのやりとりも毎回面白かった。
姜さんが元JUNONボーイであることをネタにするのが定番でしたが、木曜ソワレの姜さんの「37歳の元JUNONボーイというのが一番の公開処刑ですよっ」が大うけしてました(笑)

1幕後半は、戸塚さんが歌舞伎役者音吉(2幕ではノブオが演じます)、由美子さんがお志摩。音吉の襲名披露の際に楽屋を訪ねてくる元深川芸者だったお志摩。そのお志摩はかつて難波の歌舞伎役者駆け出しだった音吉の面倒を見た関係だったという…。

このパートは、劇中劇としては「3幕6場の大立ち回り」と繋がっています。女郎と芸者をはっきり分けるためか衣装も赤から青メインに変わり、内気な感じに変わりつつも、芸者のプライドというか、女性のプライドというか、許せない一線を越えた後の声色の凄味は流石。

1幕は歌謡シーン途中で幕。「35分の休憩になりますが、お芝居はひとときたりとも進みません。これぞ舞台の魔術」といった台詞により1幕エンディング。曲は本作オリジナル曲『男道』。

宗介とレイ子のデュエットなんですが、大阪公演とはっきり変わって聞こえるのは、2人の自然な寄り添い方。お互いの距離が自然に近づいていて、掛け合いが本当に自然で。2人の関係性を理屈じゃなく空気で見せてもらえて嬉しかったです。

2人は実年齢差大きいし、それもあって2幕では宗介自身が「出会ったとき自分は20歳、あいつはいくつだか分からなかった」と実年齢差をはっきりさせないようにしているし、正直評価が多少心配ではあったもの、今までの経験上「寄り添い由美子」ってぐらい、どんな年齢の男性ともつかず離れずの関係を見せるのが上手なので、今までの経験値が活かされて何より。

2幕は宗介とレイ子の喧嘩別れシーンが前半。ここは劇中劇ではなく宗介とレイ子の直接のやりとり。
いくつもの重要な言葉のやり取りがありますが、一番印象的なのはレイ子が言った

「私は愛されていたわけじゃなくて、許されていたのね」

ですね。
宗介のやっていたことがどれだけ残酷だったかをこの言葉が余すことなく伝えていて、この言葉は重かったなぁ。

このパート、レイ子が宗介のことを”分かっている”言葉ばかり出てくるんですよね。宗介が「座員の女に手を出した」と言うのに答えて「出せたんだ?出せるわけないでしょ」と吐き捨てるように言ってみたり。宗介がいない席でレイ子が自分をかばってくれなかったのを聞いて「俺をかばってくれるのはお前しかいないだろ」とか。ま、結局宗介はレイ子に甘えているだけなんですけどね。

売り言葉に買い言葉、宗介はレイ子を寝盗らせても、結局は帰ってきて自分の下に収まることをもってして優越感に浸っていることがここであからさまになるわけですが、レイ子の言う一つ一つが、真実を突いているんですよね。「女房に勝ってどうするんだよ」とか。
絨毯爆撃のようにエピソード投げつけて女房悔しがらせて、「悔しいっ」って言わざるを得ない状態に追い込まれるレイ子、上手に見せてますよねえ。

男と出ていく前に「3幕もやってけ」と言われて演じる「3幕6場」は、お志摩と宗介のシーン。
ここでの宗介の設定がまさかの○○家であることが判明して、お志摩はお国のために自害するという…
桜吹雪が柔肌に振り落ちる中、お志摩は自ら散っていく、宗介の腕の中で。

「女一人が救えずに、なんでお国が救えるか」

そんな言葉とともに散っていく様は、鳥肌が立つほどに綺麗でした。

いつもだったら出て行ったレイ子は、ちゃんと帰ってきていたのにかかわらず、今度という今度は帰ってこない。
レイ子の父親(酒井さん)が探すが見つからない。
代役を考えていたリリー(小川さん)は「そろそろ自分のために生きたい」といって脱退。

そんな時、東京に出て行ってさんざんな目に遭った沙紀が帰ってくる。
『甘えんぼ』(大塚愛さん)を歌いながら純白のドレスを着て帰ってきた沙紀ちゃん、抜群に綺麗でした。
由美子さんは「可愛い」なんだけど、沙紀ちゃんは「カワイイ」なんですよね。その棲み分けも素敵。

奥さんが帰ってこないことを嘆く座長に「しょうがないでしょ、自業自得なんですから」と言える沙紀、強くなったよね。奥さんとの出会いを沙紀に話したときの、沙紀の納得した表情と「男は正直が一番です」という言葉に納得。沙紀にしてみれば、先に言ってもらえていれば、自分の思いが叶わない夢だったってことが分かったという意味なんでしょうね。それはある意味「女も正直が一番です」と言っているように思えて、紆余曲折あっても自分の幸せを掴んだ女性だからこそ言えた言葉だったんだろうなと。だからこそ、座長を励ます言葉として「私たちは座長を好きなのは、最後はハッピーエンドで終わらせてくれること」を言えたし、弱気な座長を、先頭切って励ますことができたんだろうなと。

ラストシーン、レイ子がついに…という白無垢シーンは何度見ても感動的。
BGMに流れる『夢がさめて』(松田聖子&クリスハート)との相性も抜群。

宗介がレイ子にかけた言葉は、ある意味『ミー&マイガール』のラストシーンと被るところもあって。
戻ってくれて嬉しいのに、でも悪態つかずにはいられない。
そんな宗介の思いは、当然分かっているレイ子。
分かっているからこそ、ただ笑顔で、そしてまたいたずらっぽく微笑み、「これからはたくさん甘えちゃいますから」と、自分が言えてこなかった言葉を言えたことで、「他人行儀」な2人じゃない、「芝居の中だけじゃない相性」を確立できたのかなと。

2人は芝居の中ではどんな役でも心が通じ合い、唯一無二の関係性だったのに、実際の関係ではどことなく歪んだ関係で。
自分以外の男を引きずり込み、寝盗らせないと精神的に安定できない宗介も病んでいて。
誰よりも宗介を想っているはずなのに、正面から宗介に飛び込めないレイ子も踏み出す勇気が持てなくて。

お互いが相手に都合よく求めていた部分を、自分から踏み出せたことでようやく埋まった溝。

大団円の本編ラスト、たしかにラストはハッピーエンドなのでした。

カーテンコール、黒タキシードはとっても嬉しい。
由美子さん、背は娘役なのにお辞儀が完全に男役というのも興味深いです。

さて日が変わって今日はとうとう大千穐楽。
ラストスパート、楽しみです。

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『さらだやん 音の葉6まいめ』

2016.5.15(Sun.) 13:30~15:00
北参道ストロボカフェ

半年ぶりという意外に早いスパンでの「さらだやん」。
前回は原宿ストロボカフェでしたが、今回は北参道ストロボカフェ。
「さらだやん」第1回目の地だそうです。

岡村さやかさん(愛称:さらださん)、池谷祐子さん(相性:やんさん)の相性を組み合わせてのユニットです。(前回と同じ説明w)

まずはセットリストからです。

[第1部]
1.These Boots Were Made For Walkin'/ナンシー・シナトラ
2.真夏の夜の夢/松任谷由実
3.さよならの向こう側/山口百恵
4.Stand By Me/Ben E.King
5.追憶/バーブラ・ストライザンド
6.時が来た/ジキル&ハイド

[第2部]
7.その目に/ジキル&ハイド
8.CHICAGOメドレー

[アンコール]
9.歩いて帰ろう/斉藤和義

M1は前回と同じ曲ですね。「シナトラ」は記憶していたんですが、フォロワーさんに言われて気づきました。
M3に関しては「別に私たちやめるわけじゃないですが(笑)」の言葉とともに披露されました。
ちなみにこの日のバンドはお2人のほかは、前回から引き続きのピアノの酒井和子さんお1人。

「さらだやん」第1回から解禁だったシンセサイザーの土井一弥氏は、かなり日程調整で粘ったそうですが、どうしても日程の都合がつかずにお休み。

さやかさん「別にクビにしたわけじゃないですよ(笑)」
酒井さん「また『さらだやん』に出たいという(前回の)目標は叶ったので、次回は一弥くんと一緒に出るのを目標にします」

M6「時が来た」は当然、元は男性の曲なわけですが、雰囲気的にはジキルがやんさん、ハイドがさやかさんという感じ。と言いますか、最近さやかさんはリミッター外す術を体得されたので、ハイド的なポジションが似合いすぎてまして(笑)。むしろ「時が来た」をやんさんでやっていただいた後に「生きている」をさやかさんで見たい(爆)

休憩を挟んで黒ずくめでご登場のお3方。
M7「その目に」はやんさんがめぐさん(濱田めぐみさん)ポジションのルーシー、さやかさんが玲奈ちゃん(笹本玲奈ちゃん)ポジションのエマ。これもぴったりな組み合わせ。
やんさんの艶やかさ、色っぽさ、それでいての純粋さはさすがは「ミス・サイゴン」ジジ8年目の面目躍如といったところ。

さやかさんは持ち味の包容力たっぷりに歌われて素敵。エマで黒というのはちょっと不思議な感じがしましたが新鮮でもありました。

M8は「CHICAGO」のステージバージョンと映画バージョンの混ぜ合わせでのメドレー。
やんさんがロキシー、さやかさんがヴェルマ。
犯罪人同士で出所後に再び自分たちが注目を浴びられるよう手を組むところの、野心バチバチが2人の関係性と相まって面白くて(笑)

やんさんロキシーの「ちょい悪」ぶりと、さやかさんヴェルマの「まじ悪」ぶりのコントラストも面白くて痺れまくりました。さやかさんがやんさんを悪顔でそそのかしてるのがツボです(笑)。

そういえばMCは前半に集中していましたが、面白かったところを。

さやかさん「そういえば携帯の電源切るお願いをM1に仕込んでおいたんですが(笑)。『確かめてスマートフォン』っていう歌詞なんですけど(笑)」
やんさん 「そうなんです」
さやかさん「そういえば先日『エドウィンルード~』をクリエに見に行ったんですけど、その時、前説(舞台開始前の説明)で『PHSの電源はOFFにしてください』って言われてて」
やんさん 「うんうん」
さやかさん「会場内の空気が『PHS持っている人なんていないよ』って空気になったんですけど、私PHSユーザなんです(笑)」
やんさん 「(笑)」
さやかさん「『PHS持っている人手を挙げて!』って言われたんですけど、2階ボックス席から手を挙げる勇気はなかったです(笑)」

やんさん 「前回の目標は『身体を鍛える』で24時間営業のジムに入会しました」
さやかさん「素晴らしい(拍手)」
やんさん 「頑張って通ったんですけど、実は今休会中です(笑)」
さやかさん「あら(笑)」
やんさん 「『24時間いつでも』って言われるとかえって時間が作れないというか。」
さやかさん「でも『ミス・サイゴン』がありますからね」
やんさん 「ジジは鍛えざるを得ないですからね」
さやかさん「もうジジ8年目ですよね。凄い長いですよね」
やんさん 「有難いです」

さやかさん「前々回の目標が『ロンドンに行く』で、前回は『踊りたい』だったんです」
やんさん 「はい」
さやかさん「前々回はロンドンではないもののNYに行けて自分的には満足で、前回はダンス公演(4月の『birth』)にも出られて、いずれも達成したかなと」
やんさん 「運を呼んでますね!」
さやかさん「もうここで言うと何でも叶うんじゃないかと思って、
       ○○したいです!」(会場内大拍手)

…機密保持の観点から、伏字とさせていただきますこと平にご容赦くださいませ

さやかさん「次回に実現していなかったら、何も聞かないでください(笑)」

MCと、特に2幕を拝見していて感じたことですが、
やんさんは男役に見えて、さやかさんは娘役に見えて。
さやかさんはやんさんに安心して甘えられて、
やんさんはさやかさんを包み込む大きさを感じて。
だからさやかさんはいつも以上にお喋りが絶好調で、
プレッシャーとは無縁にのびのびといらしていて。

1度きりじゃなくて、6まいめ(磐田公演も含めて7回目)も続くにはそれだけの心地よさがあって、ここでしか見られないものだからこそ、なのでしょうね。

さらだやんとしては今週末、5月21日(土)にやんさんの地元、磐田市で「ホームソング&ミュージカルのたのしみ『みどりの風にのせて』」(アミューズ豊田ゆやホール、14時から)に登場されるそうです。
3部構成で2部が「さらだやんLIVE in 磐田」、3部がさらだやん+合唱団でレミ、サイゴン、SOM等が予定されているそうです(現地チラシより。前売2,000円、当日2,500円、現地プレイガイドと会場のみで発売)

さやかさんから『Before After』の公演案内もされていましたが、出演回は2回とも完売ということでCDの話が告知されていました。7月公演会場で販売される予定(3,000円)です。

今回も癒しと刺激のひととき、堪能しました。

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『石丸幹二25周年コンサート My Musical Life』

2016.5.14(Sat.) 18:00~20:20
Bunkamuraオーチャードホール
1階12列20番台(センターブロック)

久しぶりにオーチャードホールへ。
石丸幹二さん25周年のオーケストラコンサート。
笹本玲奈さんと濱田めぐみさんがゲストです。

まずはセットリストからですが、今週末、21日に人見記念講堂での追加公演が予定されており、そのセットリストもフライヤーに公開されていますが、ほぼ変更ないとのことで、ネタバレ気になる方は回れ右をお願いします。

なお、この日の公演はWOWOWで6月12日(日)19時30分から放送される予定です。





それでは、よろしいですか?





では。

○セットリスト

[第1部]ゲスト:笹本玲奈さん
1.愛せぬならば/美女と野獣
2.愛と死の輪舞/エリザベート
3.翼を拡げて/GOLD~カミーユとロダン~
4.名もなき星になる日まで~別れの曲
5.虹の彼方に/オズの魔法使い
6.エーデルワイス/サウンド・オブ・ミュージック
 featuring with 池川寿一(guitar)
7.命をあげよう/ミス・サイゴン(笹本玲奈ソロ)
8.All I Ask Of You/オペラ座の怪人(with笹本玲奈)
9.Love Changes Everything/アスペクス・オブ・ラブ

[第2部]ゲスト:濱田めぐみさん
10.ラ・マンチャの男/ラ・マンチャの男
 featuring with 池川寿一(guitar)
11.あんな人が/ジキル&ハイド(濱田めぐみソロ)
12.ただ そばにいる/モンテクリスト伯(with濱田めぐみ)
13.スマイル/モダン・タイムス
14.君は僕の歌~You are the Song~
 /チャップリン『フリーク』(未完映画)
15.思い出のメドレー
 15-1.スキンブルシャンクス・鉄道猫/キャッツ
 15-2.マリア/ウェストサイド物語
 15-3.ワンダフル・コペンハーゲン/アンデルセン
 15-4.王国が現れる/レディ・ベス
 15-5.普通の人間/壁抜け男
 15-6.サンデー
   /サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ
16.僕の願い/ノートルダムの鐘
17.ひとかけらの勇気/スカーレット・ピンパーネル
18.時が来た/ジキル&ハイド

[アンコール]
19.マイ・ウェイ(サックス演奏付き)

2人のゲストが完全に1部と2部に分かれる構成が意外です。普通だと3人一緒での歌を期待するところ、それがなかったのはちょっと残念。もちろんカーテンコールには皆さんご一緒に出てこられていました。

石丸さんは四季を退団されてからしか拝見していないので、四季時代の話はお話でしかお聞きしていないのですが、大作揃いのセットリスト、それを苦も無く歌いつづる姿に、25周年の重さを感じます。歌以外のシーンでは、WOWOWのカメラが入っていたせいもあってか、いつもよりもかなり緊張されていたように感じましたが。

私にとっての石丸さんはやはり「ジキルとハイドとロダン」なわけで、この日聞いていても思ったのですが、「ジキル(理論)」「ハイド(欲望)」「ロダン(感性)」をバランス良く取り込んでいるのが石丸さんの強みなんだろうなと。○○周年というコンサートは何度か見ていますが、それこそ「継続は力なり」なのは、継続すること自体が、何らかのポリシーを貫き通した結果であって。無味乾燥に過ごしただけでは絶対に得られないものだからこそ、歌も説得力を帯びて聞こえてくるんだろうなと。

1部のゲストは笹本玲奈ちゃん。MCはそれほど得意ではない彼女ですが、石丸さんと一緒に話していると、心の開き方が絶対的に他の方相手と違うという。

石丸さん「初共演は『日本人のへそ』で」
玲奈ちゃん「ここの下でしたね(オーチャードホールの下はシアターコクーン)」
石丸さん「役柄が…」
玲奈ちゃん「(石丸さんを指して)とっちゃと娘っ子で(笑)」

石丸さん「あのときどうでした」
玲奈ちゃん「とにかく石丸さんの東北弁がお上手で!
 東北の方ではないですよね?
石丸さん「いえいえ、違います(笑)」

石丸さん「玲奈ちゃんも東北弁出来てたじゃない」
玲奈ちゃん「私は音符に起こしたりして必死に覚えたんですけど、石丸さんは読み合わせの時から完璧で、私焦りました」

石丸さん「その後の共演はジキハイですね」
玲奈ちゃん「婚約者ということで、昇格ですね(笑)」。

「東北の方ではないですよね?」と自然に素で聞いている感じが、彼女のMC史上最高レベルでラフだったという(笑)。

ジキハイ話に全く行かずに終わってしまったのは単純にMC時間がなかったからでしょうね(爆)。

石丸さん「玲奈ちゃん、今はお稽古中なんですよね」
玲奈ちゃん「そうなんです。触れていただいてありがとうございます。6月に新橋演舞場で『熱海五郎一座』というド・コントに出ます。その後は秋から『ミス・サイゴン』に出演します」

ということでソロはサイゴンからキムのソロナンバー「命をあげよう」。
華やかなドレスでのキムは何だか不思議でしたが、オーケストラをバックにこの歌唱が聞けて、しかもそれが映像に残るのは嬉しいです。

デュエットは「オペラ座の怪人」ということで、玲奈ちゃんはクリスティーヌです。
ソプラノ音域じゃない玲奈ちゃんですが、前共演作『ジキル&ハイド』でのエマでの高音が素晴らしかったものを上手く引き継いだかのような、恐らく玲奈ちゃん史上最高音まで出していました。

エマの時も思ったのですが、高音を「出す」だけじゃなくて、高音を出すことによる感情の纏いがこの日も素敵で。「思い」を纏った高音というか、相手に対する癒しであったり温かさであったり包容力であったり、そんな面は玲奈ちゃん以外なかなか出せない強みなんじゃないかと、そう感じました。

2部のゲストは濱田めぐみさん。
めぐさんのトークは最近各所でお聞きするようになりましたが、それと比べて史上最饒舌なこの日のめぐさん(笑)。

登場時、「ラマンチャがカッコよすぎて痺れちゃいましたー」って出てきてから超マシンガントークで、石丸さんが受けるときに「この内容、放送に出せるのかなぁ」という感じで受けを考えている風があって面白かったです(笑)。

石丸さん「濱田さんとは劇団四季時代にコンビを組んでいて、同じ釜の飯を食い合った仲間です(笑)」
濱田さん「一度コンビを組むと結構その後長く続いたり、地方とかだと月単位で変わらなかったりするので、メイクしててもその日のコンディションとかわかるんですよ」

その後放送でカットされそうな話が続き(笑)

石丸さん「濱田さん、今お稽古中なんですよね」
濱田さん「そうなんです。お優しい(客席に同意を求めるめぐさん)~。石丸さん、これだけは言わせてください、『25周年おめでとうございます』(深くお辞儀されるめぐさん)」

…あ、玲奈ちゃんがお祝い言ってないことに、その瞬間、客席が気づきました(笑)

石丸さん「次は一人ミュージカルということで、始めるかどうかは自分次第だよね」
濱田さん「でもお客さんが来られて待っているので、時間になったら始めてみようと思います

…この掛け合いが抜群に面白かったです。さすが同じ釜の飯を『食い合った』仲間(笑)

濱田さん「そして次は8月、帝国劇場で『王家の紋章』という作品に出ます」
石丸さん「お得意のエジプトですね」
濱田さん「そうなんです。お得意な感じのメイクです」
石丸さん「彼女は劇団四季時代『アイーダ』でタイトルロールをやってまして」
濱田さん「当時は王女とはいえ奴隷だったのですが、今回は『ガチで王女』です(笑)」

…「ガチで王女」と「ガチでヒロイン」のガチンコ対決を熱望しております(爆)

そんな感じで、トークはお2人とも滑らかでいつも以上にラフでしたが、それも石丸さんのお人柄あってこそ、を感じさせるとっても温かいひととき。

全編に亘る石丸さんの歌声に、石丸さんを想う2人の女性がそれぞれの空気で寄り添った空間。
石丸さんの今のポジションを思わせるかのような、バランスが良いとっておきの空間。
素敵な2時間でした。

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『カラオケ☆バトル コンサート』

2016.5.4(Wed.) 17:00~19:10
相模女子大学グリーンホール
2階12列1桁番台(下手側)

テレビ東京系、老舗カラオケ採点系音楽番組、初のコンサートです。

当初、先行抽選で外れて、縁がないものかと思っていましたが、RiRiKAさんのお茶会で会ったお知り合いから一般発売開始の情報を聞いて、2階でしたが無事入手。
実際、2階の後方席にはそれなりに空きがあり、当日券も出たそうです。勿体ない。

なお、明日5月5日が追加公演です。セットリストは明日も変わらないと思いますので、明日行かれる方はネタバレご注意ください。

まずセットリストです。
M1はカラオケバトル三姉妹にお似合いの曲でしたが、曲名が思い出せず。ご存知の方教えてくださいませ。
→だもさまから情報いただきました。ありがとうございます。

●セットリスト
1.夏の終わりのハーモニー(井上陽水&安全地帯)
 /カラオケバトル三姉妹(翠・RIRiKA・城)
2.サイレント・イヴ(辛島美登里)/林部
3.あいたい(オリジナル)/林部
4.あなた(小坂明子)/RIRiKA
5.My Dearest(オリジナル)/RIRiKA
6.You Raise Me Up/翠
7.長い夜(松山千春)/翠
8.デュエットバトルコーナー
 8-1.北空港(桂銀淑&浜圭介)/佐々木&鈴木
 8-2.輝く未来(塔の上のラプンツェル)/堀&角田
 8-3.A Whole New World(アラジン)/城&林部
9.勝者ソロコーナー
 9-1.ごめんね…(高橋真梨子)/角田
 9-2.君をのせて(天空の城ラピュタ)/堀
10.月と月(オリジナル)/城
11.I Believe(絢香)/城
12.M(プリンセス・プリンセス)/つるの
13.さよならの向こう側(山口百恵)/つるの

でそのM1。

RiRiKAさんと翠さんのデュエットはRiRiKAさんのライブで聞いたことがありますが、城さんと3人ともなると初めて。城さんがオーソドックスな感じで、センターがしっくりきます。RiRiKAさんと翠さんは突き抜ける方向性が違う感じがしました。翠さんはまっすぐにしか突き抜けられない、RiRiKAさんは避けて突き抜け先を探すような感じで(笑)。RiRiKAさんのシャウトする感じ、新鮮でした。

以降の進行は、基本的に1人2曲で、その2曲の間にMCが入る構成。中盤の対決コーナーを挟んで、前半が3人(林部さん、RiRiKAさん、翠さん)、後半が2人(城さん、つるのさん)。
進行役は、番組本番と同じテレビ東京アナウンサーの繁田アナウンサーが務められていました。

M2、M3は2015年グランプリで今年プロデビューされた林部智史さん。
コンサート後半で繁田さんと話されていた話が印象的でした。
「この番組をアマ、プロと関わられてきて変わりましたか?」という繁田さんからの問いに「変わりました」と。「当初はあまりに勝てなくて、『次勝てなかったらやめてもらうから』と言われて『やめます』と答えたその回で優勝できて次につながった」そう。

その上で「アマチュアの場合は、翌日喉が涸れようが気にしないで練習できる。でもプロは明日の仕事を考えてセーブしたりしなくちゃいけない。だからこの番組に出ているプロの方ってすごいと思います。プロになってそこはわかりました」と仰っていたのが凄く印象的でした。

実際テレビを見ていたところでどこまで練習しているかは分からないわけですが、確かに紙一重の戦いをする方たちの練習量って凄いんでしょうし、それを本業の合間(この番組も本業の一つではありますが)にするのは並大抵のものじゃないんだろうなと。
番組放送回数も月1回から月2回に増えて、消耗戦の様相を呈していますからね。

それもあってか、「採点がないってこんなにいいものか」(@つるの剛士さん談)って感じでプロの皆さま超伸び伸び(笑)。
M4・5とRiRiKAさんはとても伸びやかな歌声を聞かせていただきました。M4はテレビ版とは違った歌詞のバージョン。衣装もお似合いでしたし、客席がとっても温かったこともあってかRiRiKAさん伸び伸び。楽しんでおられました。

「初登場から1年経っていないのに、色々な方と出会うことができました。歌で気持ちを伝えることに、人生をささげていきたい思いを持っていた私にとって、より多くの皆様に歌を届ける機会を与えてくれた、この番組『カラオケ☆バトル』に感謝しています」と仰っていました。

そんな機会にオリジナル曲の『My Dearest』を歌えたのはとっても良かったなって。
惜しむらくはCD販売もしていたらもっと良かったのになぁと。
城さんはサイン色紙付きで販売していたし、林部さんも横浜のソロコンサートのチケットを売っていましたしね。

ちなみに『My Dearest』CD通販はこちら

M6・7はオペラ魔女・翠さん。RiRiKAさんライブで知っていましたが、相変わらずの棘付き毒舌と言いますか(爆)。毒舌な方ってこの業界には結構おられますが、聞きやすい毒舌と聞きにくい毒舌ってあるんですよね。何となく気の強さでは翠さんとRiRiKAさんってそう変わらないように思うのですが、受ける印象がこれほど違うといろいろ考えさせられます。今回の放送(ちょうどこの日放送)も、RiRiKAさんは「狙うは新絶対女王」と言ってて(言わされてる感あるにしろ)、翠さんは「私が勝つための舞台」って同じようなこと言ってるのに(笑)。

M8はU-18四天王が登場してのデュエットバトル。U-18四天王が2組に分かれて2チーム、そしてプロからはなんと城さん&林部さんでの3チーム対戦制。「点数対決ない」とか言っていたのにここだけ対戦制(笑)。
U-18で勝った場合にはそれぞれのソロが副賞で付いてくるという展開ですが…

夜はあまりに定石な城さん&林部さん99点台で勝利(笑)
つるのさんがすかさずツッコんでましたが、「それはないでしょ」と(笑)
林部さんもさすがに「あまりに大人げなかったです」と(笑)
城さんも「本気で行っちゃいました」と(笑)

林部さん曰く、昼の部が「ボロ負け」だったそうで、2人で緊急練習してこの結果だったとか。

結果、U-18の勝利側、角田くん、優衣ちゃんにソロを歌っていただくことで一段落。
ラピュタの優衣ちゃん良かったなぁ。ピュアな感じが前面に出てて素敵。
6月26日のRiRiKAさんのソロライブにはゲストでもっと聞けると思うので楽しみです。
それにしたところで、対戦相手(しかも1回負けてる)優衣ちゃん呼ぶRiRiKAさん凄いなぁと改めて。

M10・11は城さん。9冠女王の威厳というのか、実は小さいのに、歌うとすごく広がる感じが流石だなぁと。三姉妹の中では一番外に広がる感じがするのが城さんで、前に広がる感じがするのが翠さん。RiRiKAさんは城さんに近いかな。

M12・M13はつるのさん。ご自身もMCで仰っていましたが、「得点として皆さんみたいに高得点は出せないけど、心に響く歌を歌いたい」と仰っていた通りに2曲とも素敵でした。特に「M」は印象強い素敵な歌いぶりでした。点での対決じゃなくて、歌を聞かせるつるのさんのような存在はこれからもこの番組でいてほしいなと。
もう最近、99点台出さないと決勝に行けないばかりか、99点台出しても予選敗退があるんですもん(今回もA・Cブロックで発生)。

全体的に「点取りから解放された方々の歌ウマ祭り」になっていて、つるのさんが”番組公録”を提案してましたが、やめた方がいいと思う(笑)。
中盤のイベント的なものはともかく、点取りもコンサートでやりだしたら、たぶんこの日のようないい感じのステージはもう見られないと思うから。

ちなみにこの日の放送は、(この後完全ネタバレです)


RiRiKAさんは出演5回すべて決勝進出(現時点で予選落ちが一度もありません)。
初登場後、城さんに3連敗した後に勝利(初優勝)したときの3位が、今回優勝の宮本美季さん。
つまり時を経てひっくり返された形。

1月の年始SPで優衣ちゃんに勝ったら、次の4月には優衣ちゃんが決勝で100点出して優勝。
この時もひっくり返されてます。

今回、予選の対戦相手はミュージカル座『アイ・ハヴ・ア・ドリーム』でRiRiKAさんがジャネット役をやったときに親友・フィリス役(月組)をされていた中村萌子さん。
彼女は3月の番組で初出場初優勝していますが、その時の推薦者がRiRiKAさんという(笑)
今回はぎりぎり下剋上ならずでしたが、法則からすると次回あたり危ないような・・・RiRiKAさんはまだ安定感に難がある感じ。

RiRiKAさんが優勝したときの「つばさ」はやっぱり格が違いましたし、今回の宮本さんの優勝曲「空と君のあいだに」は優勝に相応しいと思いましたし、機械で点をつけているといっても、優勝するに相応しいかどうかは、その歌いぶりの厚さによるものな気がしています。
「歌に点を付けるなんて…」と思っていた自分ですが、でも、それでも、点が出るには相応の理由があるし、優勝するには相応の格があるように思えます。

その意味で、この日のコンサートは「点を抜いても歌が伝わる」ことを見せられていたという意味で、とても良いコンサートに思えたのでした。

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