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『最高はひとつじゃない2016~SAKURA~』

2016.3.25(Fri.) 18:30~21:20
2016.4. 1(Fri.) 18:30~21:40

東京芸術劇場プレイハウス
3/25:1階O列20番台後半
4/ 1:2階D列20番台前半
いずれもセンターブロック

KREVAさんのラップで彩られる音楽劇、2011年初演・2014年再演を経て今回が3演目。
場所を初演・再演のシアタークリエから東京芸術劇場プレイハウスに移しての3演となります。

とにかくクリエに比べて縦横それぞれ倍に広がった(つまり広さ4倍)の広さがかなり印象が違います。
2階から見下ろすと光の色彩が凄く綺麗です。

この作品、初演は拝見しておらず、再演でびびちゃん(綿引さやかさん)が出演されたことで初見。
ちなみにこの作品での好演がきっかけでびびちゃんは現事務所(KREVAさんも所属されている(有)エレメンツ)に移籍されています。

今回は1部・2部それぞれを3つに分けたオムニバス形式。

3つの物語が1部・2部で展開されますが、1つの物語が1部と2部にまたがっているのが珍しいです。

つまり1つ目の物語「飾らない枯れ木の物語」は前半が1部1場(1部の前半3分の1)、後半が2部1場(2部の前半3分の1)といった形。なので1部だけ見ると説明過小というか、伏線を張っただけで尻切れてしまう印象。正直、1部にもう少し次につながる面があった方がいいような気がしました、というぐらい1部ではほとんど解決しません。1部だけだと、かなりもやもやとした気持ちが残るような気がします。

今回、3つのうち1作目と3作目「実のならない花の物語」はヒロインが増田有華さん。びびちゃんは2作目「咲かないつぼみの物語」のみなので、ちょっと分量的には少なめです。今回はお2方と、びびちゃんの事務所の先輩にあたる小西真奈美さんが出られて、トリプルヒロインという構成ですが、印象的なのは3人のポジションが被ることはないこと。

増田さんは「町娘」、びびちゃんは「村娘」、そして小西さんは全体を睥睨する「母」というポジション。

今回の物語に共通するメッセージとして「みんな、誰かの背中を押している」というものがありますが、増田さんの場合は「叱咤して蹴り飛ばす(爆)」なイメージ、びびちゃんは「必死に堪えて強く押す」、小西さんは「背中にそっと触れる」イメージ。

「妹」「恋人(未満)」「母」という違いとも言えるのかなと。

そういえば、びびちゃん、劇中の某シーンでコメディエンヌ全開のパフォーマンスを披露されています。
親友の若井久美子さんがご覧になった時に激賞(激笑)されていたそうです(笑)。

3作のうち唯一の恋愛パートになる2作目「咲かないつぼみの物語」は、びびちゃんの「叶わない恋愛」のプロフェッショナルぶりをまざまざと感じます。AKLOさん演じる高僧(のちの日蓮という設定)であるお坊さんとの、「通じ合いそうで通じ合わない恋愛未満の感情」の絶妙さがさすがびびちゃん。

今回は有華ちゃんが歌中心、小西さんはある意味、感情を排除したポジションで、心は持ちながらも全体をコントロールする感じ。その点で行くと、びびちゃんは芝居パートの印象が非常に強くて、感情のうねりがぐっと伝わってきます。想いの強さがまっすぐ伝わってきて素敵です。

”村長の娘”としか見られない多恵(びびちゃんの役名です)にとって、”坊主”という見られ方をしたくない、という彼の考え方は「肩書ありきじゃない」という意味で通じ合うものがあった気がします。

あと2幕のびびちゃんパートの歌の「ひかり」は素敵でした。
一言一言、噛みしめる様に歌う様がとても感動的。
6月発売のトリビュートアルバムに入ったらいいなぁ。

この3作を見ていて思うのは、

「つぼみであるからといって、意味がないわけじゃない。
 さくらが咲いたからといって、意味があるわけじゃない。
 そもそも、咲いたさくらはいつかは散るわけだし」

ということ。

びびちゃん&AKLOさんの「中々進まない物語」を俯瞰する”彼”は、かつては他人に全く関心を持たなかった。だけれども、2人を見て「なんとかしてあげたい」と呟くのですが、小西さんはそんな彼に答えます。「何とかしてあげたいの?私たちにできるのはちょっと背中を押してあげるだけ。あとは本人たちの気持ち次第」だと。

”誰が見たって惹かれ合っている2人”だからって、2人以外の人が2人の運命を変えることは、いいことじゃない。2人が納得して出した答えであればこそ、後で振り返った時にそれが意味あることとして浮かび上がる。大事なのは「自分」がどう考え、どう結論を出すかなのだ、というメッセージが印象的でした。

正直、ラップは全部を聞き取れない部分もあるわけで、すべてを理解できていない部分もあるわけなのですが、逆に言うと、すべてを理解できないとしても他人を理解しようとする努力はすべきだし、それでこそ得られるものがあるのかなと。

他人に過剰に介入しすぎることなく、だからといって他人に無関心でいるわけでもなく、ちょうどいい距離感で向き合うにはどうすべきか。「みんな違ってみんないい」、だから「最高はひとつじゃない」。

1人1人それぞれが「自分」をもって、他人の肩をちょっとずつ押し合っていけるなら。

誰かが誰かの支えになって、それが円になってつながるなら、また違った世界が生まれるのかもしれません。

カーテンコールではラスト、舞台上から「最高は?」と声かけて客席から「ひとつじゃない!」と戻すのが恒例になっていますが、4月1日ソワレは有華ちゃん。

そのとき、KREVAさんが有華ちゃんに「今日こっち(の公演)を選んでくれました、10周年おめでとう」と言っていて。あとから知ったのですが、彼女が所属していたグループ、2期生の10周年記念日だったのがこの日。別の場所で記念公演をやっていて。彼女はシングルキャストだから、そもそもその選択肢(向こうに行く)はないのだとしても、でもその心意気は嬉しくて、拍手を贈れたことも嬉しかったです。

東京は4月3日まで、東京芸術劇場プレイハウス(3日は完売)、
大阪は4月8日から10日まで、森ノ宮ピロティホールにて。

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