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『アイ・ハヴ・ア・ドリーム』(2)

2016.2.11(Thu.) 18:15~21:00
光が丘・IMAホール A列10番台(センターブロック)

ミュージカル座さんの主要作品の1つ。1年ぶりの再演を見てきました。

舞台は1955年(昭和30年)のアラバマ州モントゴメリー。
白人から黒人への抑圧が日常的に行われる中、黒人が自ら白人とわけ隔てない権利を勝ち取るために立ち上がる物語。
2015年に拝見したときに、舞台から発せられる熱量に圧倒された記憶が蘇ります。

2015年と比べると、女性キャストでは以下の様な変化が。
この日は星組での観劇です。

ジャネット
 吉沢梨絵さん⇒RiRiKAさん

フィリス
 河野由佳さん、大胡愛恵さん
  ⇒ダンドイ舞莉花さん(星)、中村萌子さん(月)

リン
 中村百花さん、佐々木由布さん
  ⇒大胡愛恵さん

吉沢さんは今年は舞台に出られないとご本人が仰っていたので、どなたが継ぐかと思ったらなんとRiRiKAさん。宝塚出身のRiRiKAさん(花組娘役)ですが、トップ経験はないので、宝塚時代を含め、主演に配役されたのは人生初だそうです。

この作品はいろいろな意味でジャネットがどう立つかで物語の色が変わってきますが、RiRiKAさんのジャネットはとにかくパワフル。皆の熱量を自分の中にいったん溜めこみ、エネルギーとして発する様が「その役割がジャネットじゃなきゃならない」様に見えて圧倒されます。前任の吉沢さんのときは理性的な面を感じましたが、RiRiKAさんの時は心情的な面をより感じました。
実際、お2人の年齢は10近く違うので、物語的に「若返った」と感じさせられました。

そう感じたのはジャネットとフィリスの関係ゆえもあります。河野さんのフィリスの理性的な面が吉沢さんのジャネットとベストフィットで大好きだったのですが、今回のRiRiKAさんジャネットとダンドイさんフィリスは、なぜだかしっくりきませんでした。去年のscoreさんの『若草物語』で長女RiRiKAさん、次女ダンドイさんで組んでいますし、事務所も一緒(東宝芸能)なので合うはずなんですけどね。ちょっとそこは意外でした。
前回で言うと吉沢さんのジャネットと大胡さんのフィリスが組んだ時が今回受けた印象に似ています。

前回フィリスを演じていた大胡愛恵さんが今回はリン。正直、前回のフィリスは大胡さんだとしっくりこなかったのですが、今回のリンは激はまり役。前回のリンの中村百花さん、佐々木由布さんも素晴らしかったですが、今回の大胡さんリンはそれに輪をかけて素晴らしいです。踊りでもリーダー的な存在感を出しているし、スパイクの恋人・補佐的な姉御肌も十分。適材適所ってあるんだなぁと実感します。

去年見たときに、物語として初見だったためにいろいろと感じることがあって、今さらながらに去年の記事(こちら)を見ると、ずいぶんと理詰めで書いているなぁと思います(まぁこのblogは理詰めに走ることが多い自覚はありますが)。

ただ、今年見て思ったのは、理屈以前の熱量が確実に上がっていて、キャストが若返ったことによる理屈抜きの「凄さ」が上がっていて、何度も鳥肌が立ちました。

要因として一番大きいのは、やはりジャネット役のRiRiKAさんが思った以上に受け上手だったことがあるのかなと。宝塚娘役出身者がミュージカル座さんのヒロインを務めることは多くて、去年までは彩乃かなみさんが演じることが多かったですが、RiRiKAさんも同じ宝塚娘役出身。男役の演技を受けることを自然にされてきているから、聞き役としての立ち位置がお上手。

最近では「カラオケ★バトル」でも悲願の優勝を勝ち取り(ちなみにこの日の公演は「カラオケ★バトル3姉妹」のお2人、城南海さんと翠千賀さんが観劇されていました)歌の技術的な評価がされるようになった彼女ですが、今回の作品では、かなり作品に溶け込もうとする歌い方をされていて、「ジャネットとして立つ」ことに一定の成功を収めていたように思いました。受け身のシーンだけでなく、攻めのシーンでも崩れずパワーを出せていたのがとても良かったです。

ジャネットがハートで動くことで、皆のハートに直接言葉が通じていく。リンを通してキッズへ、フィリスを通してトムへ。キング牧師の言葉を、読み書きできないジャネットが、だからこそ誰よりもハートで伝えようとして、それが最終的に伝わり、皆の生きる意味を切り拓いていった。そのさまが滑らかで、そして感動的で。

期待した以上にジャネットが物語の中心にい続けられたことで、最後へつながるメッセージが圧をもって伝わってきて。
この作品で、「理屈よりも思い」のエネルギーを感じさせてもらえたことはとても嬉しかったです。

ミュージカル座さんの得意とする、群衆劇としてのエネルギーを上手く活かした、素敵なカンパニーでした。
公演は14日まで、一部ダブルキャストでの公演です。

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