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『Play a Life』

2015.12.13(Sun.) 16:00~17:20(白猫)
2015.12.13(Sun.) 19:30~20:50(黒猫)
桜台・JOY JOY STATION

白猫:最後列センター
黒猫:最前列ほぼセンター

TipTap「Life」3部作の最終章、ダブルキャストの2チームを続けて観劇してきました。
キャスト的に気になる方が黒猫に固まっていたので、そちらをmy楽に組むようにしました。
とにかく今年12月は鬼のように公演があるので、他の公演とのバランスとスケジュール調整で、この日程にするまでが大変でした。

登場人物は3人。30過ぎにして学校の非常勤講師の男性、そして妻。非常勤講師が指導教師になる教育実習生の女性。演奏は普段は小澤バンドを従えますが、今回はグランドピアノ1台のみ。作曲も担当する小澤時史さんがお1人で務めます。

明日が千穐楽ですので、内容的なネタバレを以下に含みますので、ご納得の上でお進みください。




よろしいですね?

作品の空気感としては「Life」3部作のうち、前作の『Second Of Life』に近い気がします。
”過去の存在によって前に進めなくなっている男性”という位置づけが似ていて。

今回の主人公の男性の妻は、かつては小学校の教師。『今を生きる』という映画が共に好きだったことでひょんなことから出会い、付き合い、結婚した2人。
帰宅し、起床し、あたかも”すれ違いな夫婦”を思わせるように、作品前半は進んでいきます。

ここ、白猫チームと黒猫チームでずいぶん印象が違ったのですが、白猫チームだと、本当に冷戦夫婦に見えるんですが、黒猫チームだとそう見えない。というか奥さんの存在感が非常に薄く感じます。

今回の奥さん役は白猫チームは木村花代さん、黒猫チームは池谷祐子さん。
この2人の印象を言葉にすると、花代さんは存在が有機質で声が無機質、池谷さんは存在が無機質で声が有機質に思えました。

花代さんは声が固い面があるので、夫である男性に対して、責めている感を感じざるを得ないのですが、池谷さんは存在感を意図的にか自然にか、かなり消していて、声が柔らかく、夫である男性に対して癒しているように聞こえる。

男性からの個人的な感覚ではあるのですが、白猫は夫(丹宗さん)のキャラクターも攻撃的な面もあって、とても「尖った」印象を受けました。それに対して黒猫は夫(小林さん)のキャラクターが受けな要素が強かったこともあって「纏まった」印象を受けました。

この作品では夫と妻の間を、実は共通の知り合いであったことが分かった教育実習生の女性(彼女の小学校時代の恩師が、指導教師の奥様です)が埋めるのですが、白猫は上と下からギザギザが迫ってきたところの隙間を彼女が埋める感じで、黒猫は上と下から平行に迫って閉まりきらなかった壁を彼女が埋める感じがしました。(←図で書けばわかりやすいのにw)

白猫の方が2人を隙間を埋めるのは大変そうで、白猫の教育実習生である田中里佳さんは大変”奮闘”しておられました。それに比べると、黒猫の平川めぐみさんの方が自然に2人の溝を埋めていたかと。
というのも、黒猫の池谷祐子さんと平川めぐみさんの声質が、「姉妹ですか」って言うぐらいに凄いシンクロをしていて、二重奏のシーンは鳥肌。ラストに向かう物語の流れが自然だったのは、声質のシンクロによる「自分のハートを共有する後輩」へのリアリティがあったからじゃないかと思います。

池谷さんが平川さんを見つめる「あなたにしか頼れない」表情は見ていて本当に泣きそうになって。
黒猫の小林さんに対する池谷さんは、「どうにかして存在を消そうとしている」ように見えて、それに応えての平川めぐみさんの想いの強さは本当に凄かったです。教育実習生の女性は自分の人生を変えた恩師の恩に報いようと必死で、その言葉に先生の心が動かされたことで、夫は妻から解き放たれることができたと。
それは妻の力だけではできなかったし、自身が先生であった時に伝えたメッセージが学生に心に響いたからこそであったと。

つまり、それが妻にとっての「生きた意味」。そして自分の存在が鎖となっていた夫へは新たな「生きる意味」につながり、教育実習生の女性にとっての「生きていく意味」に繋がっていくわけで。その流れを自然と感じることができた点では黒猫の方が分かりやすかったように思います。

今回のキャストで一番期待していた平川めぐみさんが期待以上。ここ1年で2作の主演(『あいのおはなし』のアイ役、『ウレシパモシリ』の聖役)をされたこともあったのでしょうが、フレッシュさはそのままに、居住まいが堂に入ってきて、芝居もますます深くなっていました。彼女の芝居の何が素敵って、とにかく「混ぜ物のないまっすぐさ」「定規を使わないのにまっすぐ感情が伸びる」感じ。想いを伝えるシーンでは涙を湛えていたのも印象的でした。

最前列なので、1幕しょっぱなの最初の授業の洗礼は私めが受けましたが(笑)、笑わせから泣かせまでどれでもござれの巧みさがとても良かったです。

もっと驚いたのは池谷祐子さん。レミやサイゴンではもちろん拝見していますし、「さらだやん」で岡村さやかさんのボケとツッコミを巧みにかわし、もしくは直撃され(笑)という光景は馴染みがあるものの、女優さんとしての存在としてそこまではっきり意識したことがなかったのですが…
居住まいの確かさに加えてその包容力の温かさに癒されました。

個人的には、昨日見た『エピメテウスの子ら』とのシンクロも感じたり。

”生きる意味”や”前向きな気持ち”の大切さ。
過去に縛られるより、未来に向かう気持ちの方が、過去を大事にできる。
過去は忘れるものじゃなくて、自分の中に溶かすもの。

今を生きている人には、今までを生きてきた人の想いをつなぐ責任があって。
ただそれを「重さ」としてではなく、「自然なこと」として捉えていければ、きっと明るい未来を導き出せていけるのかもしれない、そう思えました。

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コメント

白猫、黒猫の順に観たのは同様の理由でした。
作品の空気感は夫婦の2人がSOL,実習生の持っているものがCDML。
救いを得て未来に向かっているということでCDMLに近い爽快感を覚えました。

投稿: 白袴 | 2015/12/14 00:12

白袴さん>
なるほど。
たしかにSOLのエンディングは爽快感とは無縁ですからね。
その意味ではCDML+SOLというのが3部作完結ということなのでしょうね。

投稿: ひろき | 2015/12/14 00:38

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