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『BIRDMAN~空の果てにあるもの~ライト兄弟』

2015.12.17(Thu.) 19:00~21:20
池袋・シアターグリーン BIG TREE THEATER

OneOnOneコードシリーズ最終章「BIRDMAN~空の果てにあるもの~ライト兄弟」初日です。
この日の昼公演で開幕、この回が2公演目。後からアフターライブも発表されお得な回になりました。

「ライト兄弟」と「オズの魔法使い」をリンクさせたオリジナルストーリー。

人類初の有人飛行を成功させたライト兄弟を突き動かしたものは何か、
そして成功させた後にあったものは何か。
ライト兄弟の間にある微妙な立場の違いを解き明かそうとするかのように、時計を遡り、過去に飛ぶライト兄弟。
そのライト兄弟が飛ばされた先がオズの国。

オズの国ではドロシーはじめ3人の仲間(カカシ、ブリキ、ライオン)がおり、その隊列に加わるかライト兄弟が逡巡する間、キレキャラ(笑)のドロシーからは矢のような催促。
このドロシー役が岡村さやかさんですが、もう衣装がむちゃくちゃ可愛い。なのに、さやかさんのいつものキャラと似ても似つかない(爆)なキレキャラ
魔法使いに会いに行く隊列に加わるか、煮え切らないライト兄弟(兄)に対して怒涛のような言葉責め。付き人に対して矢のように突き出される毒舌の数々がとても新鮮です。
まさか馬乗りになるとか想像したことないですし、ライオンの尻尾引っ張る大人げなさはなおさら想像がしたことがない(笑)

ドロシー様一行の珍道中を見ていると、同じ劇場でたった1ヶ月前に見ていた三蔵法師一行(『悟らずの空』)を思い出します。こちらのリーダーは絶対権力ですけれども。

絶対的にツンなのですが、一箇所だけツンデレになったのがツボでした。そのときのお相手は、『BEFORE AFTER』のベンだった内藤大希さん(この作品ではライト兄弟の弟)。さやかさんのエイミーが一瞬蘇って嬉しかったり(笑)

今回、そんな岡村さやかさん以外にも、皆さんいつもと違うイメージの役柄を担当されていて。いつもはコメディエンヌの要素が強い田宮華苗さんのオズの国での白い魔女(某作品ではグリンダと称される)のドレス姿が素敵で印象的。

特にその2人の役回りを見ていて感じたのですが、主宰の浅井さやかさんが「この役者さんは本当はこういう要素を表に出したいけど抑えているんじゃないか」という面を役にしているんじゃないかな、とふと思いました。勝手な想像なのですが、水面下にたゆたう深層心理の中の願望みたいな(笑)。

おっとり型の岡村さやかさんを毒舌アクティブに動かすことで「発する欲望」を見せたり、コメディラインのたみーにドレスを着ていただくことでお上品なお嬢様の姿を鮮明に浮かび上がらせたり。

今回の物語は2つの物語からのオリジナルストーリーでしたが、共通して流れるものは「本当の願い」じゃないかなと思うんです(そういえば私がOneOnOneを最初に見たのは、休止前の最後の公演『しあわせの詩』でした。この作品もテーマは「本当の願い」でした)。

ライト兄弟が目指した「空」。
ではそれは「本当の願い」だったかというのが、この作品では弟と兄との間それぞれから語られていて。
当然、弟と兄だから「本当の願い」は違う。むしろ弟と兄だからこそ、「本当の願い」は違う。近すぎるからこそ
分かり合いにくい。

兄と弟が迷い込んだオズの国で、ドロシー一行と語り合うことで、違った世界だからこそそれが浮かび上がってくる。
オズの世界でも同じく。ひょんなことから同じ場所を目指している一行で、元が別人だから言いたいことを言い合えても、本当のことを言い合える関係でもない。表面的な関係。

でもライト兄弟が入り込んでくることで、妙にまとまってしまっていた彼ら(力関係の序列を含めて)の関係は、よりお互いを再認識する方向に向かい始める。

パワフルなのに実は一歩踏み出せていなかったドロシーも、そこで先に進めなかった自分に何が足りなかったのか知ったり。
弟への嫉妬にかられ続けた兄が、すべての始まりを思い出して腑に落ちたり。

物事を進めるのに必要なのは知識や知恵かもしれないけれども、物事を始めるのに必要なのは純粋な気持ちなのかなって。
そして知識や知恵で行き詰まったときに、再び歩き出すのに必要なものも、これまた純粋な気持ちなのかと。
兄と弟、同じじゃないのはもちろんだけれども、2人で組み合わさって1つの物事を実現する。なんだか凹凸で1つになるような感じなのかも。

思いだけじゃ始まらないけど、思いがなくても始まらない。
野心があるだけじゃどうにもならないけど、野心がないのもありえない。
利得に駆られるだけじゃ意味がないけど、利得を度外視するのもありえない。

大人とは、いかにして切り捨てるかという仕事、という見方って、この作品を見ると信憑性を帯びてくる。
夢と現実と本音と建前。それらのバランスをどうとるかが、大人に求められる責任なのかもしれません。

1度だけでは物語の全部を見られた自信はまったくないけれども、良質の音楽に身をゆだね、「大人」の立ち位置について感じさせてくれる素敵な作品です。
23日まで、池袋/シアターグリーン BIG TREE THEATERにて。

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