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『Before After』(3)

2015.12.19(Sat.) 13:00~14:45 田村&清水ペア
2015.12.19(Sat.) 18:00~19:45 染谷&綿引ペア

日暮里d-倉庫

マチネ:B列2桁番台(上手側)
ソワレ:G列2桁番台(上手側)

2015年のBA観劇、終わってしまいました。

日暮里に2日間、3ペア合計4回の観劇。一番気になっていた染谷&綿引ペアの初日と楽を見て、かつ3チーム全部見るという結果にできて、満足感に満たされております。

この日のマチネはベンが田村良太さん、エイミーが清水彩花さん。彩花さんはこの作品のオリジナルキャストで今回再登板。そしてこの2人のペアと言えば、レミのマリコゼペアです。

経験者の彩花さんがお姉さん的にリードするかと思ったのですが、彩花さんが上手いこと抑え気味にしていたので、ベンとのバランスがとても良かったです。そして全編に亘ってとても丁寧に感情表現をされるエイミー。どんなシーンでも崩れない感じです。

昨日「鳩時計」と書いた、エイミーがベンを追い詰めるシーンの百面相&動きがとっても遊びが豊富で、今回の3ペアで一番面白かったです。父親からの束縛に関しては彼女が一番リアリティを感じたかも。役として束縛慣れしているからかもしれませんが(今回の3人のエイミーの中では唯一のコゼット経験者)。

ソワレはベンが染谷洸太さん、エイミーが綿引さやかさん。昨日が初日でこの日が楽日。
今回2回しか出演がないのは、21日(月)にびびちゃんが福岡でコンサートをやるからと思われますが、20日(日)に全員出演のBAアフターライブが行われるので、それならもう1回あっても良かったような(苦笑)。

今回の3ペアの中で一番ベンとエイミーの実年齢が接近している(染谷さんが9ヶ月年上。学年は1つ上)なこともあって、ペアとしての距離感の近さはさすが。お互いの長所も短所も感覚で分かっているようなところがこの役に合っていたかと。

染谷さんはベンの経験豊富(3演目)で、役として謀るところも自由自在ですが、やんちゃで遊び心溢れる感じは彼自身と被るところもあるのだろうなと。稽古最後でいきなり三輪車に乗って遊びだして、キョウヤさんとスチュアート氏を呆然とさせたエピソードに笑いました。

びびちゃんは相手を思うばかりに本心を閉じ込めてしまうところとか、言うべき時に言えずに後悔するところとか、そしてそれを相手に頼れないところとか、ちょっとずつびびちゃんご本人と被るところがありそうな印象。その分、「BEFORE」部分の堅物な感じは少し薄かったかも。ベンに振り回されると同じぐらい最初からベンを振り回していた感じが(笑)。父親からの束縛感も弱く感じたので、ご自身のパーソナリティと違う部分をどう見せていくかが、これから必要とされるのかもしれません。

2人のペアは初日に拝見したときは、客席からの笑いに助けられてはいたものの、「生みの苦しみ」をそこかしこに感じさせてはいたのですが、この日はベンとエイミーという役そのものにどっぷり漬かった「育ちの歓び」を感じさせて。
たった1回通せただけでこれだけ変わるのかと、そう驚かされる素晴らしさでした。

レストランの出会いで泣きまくってるびびちゃんエイミーが鼻水すすりまくって役名が聞き取れなくて「エイビー?」って聞き返している染谷ベンがさすがです(笑)。
家探しを告白したときのベンの「テンション上げて行こうよ」からのエイミー「とっとと連れてかなきゃぶっ殺す」の流れが最高でした。(ここが初日の緊張解放ポイントでした)

なうちぇんじネタもしっかりありました。ベンが「あんなこととかこんなこととか」って後ろに手を組んでエイミーの出方を待つ。縛れってことですね(笑)

2人の相性の良さは「なうちぇんじ」で実証済みでしたけど今回も絶品。

染谷さん、綿引さんの2人は「お互いに依存せずに、お互いを頼りにする」感じが絶妙なんです。
お互いに寄りかからないのに、お互いに支え合う感じがします。

そういえば、仲直りに○○しよ、って言われた後のエイミーの反応は今回はみなさん
 「時々本気で殺したくなるわ」

でしたが、これは岡村さんちのさやかさんの
 「いっぺん死ね」
に軍配を上げます(笑)

この作品は過去と現在を行った来たりの物語展開で、「AFTER」と「BEFORE」がほぼ交互にやってきます。
とにかく行き来が激しいので、登場している方、特にエイミーは上下に激しく感情移動するので、精神が健康でないとできない役だなと、見ていて実感します。

ベンは結構早い時期に過去に区切りをつけるタイプなんですよね。
孤児だった時期が長かったので、両親からの愛情が自分にないことも、もう気にしていない。
それに比べてエイミーの方は逆に過去の区切りをきちんとつけられていない。
ベンに言ってしまったこと、してしまったことを今でも引きずっている。

「やり直すチャンス」を求めているのはエイミーの方で、ベンはその実、「やり直す必要がある」という認識すらない。だからこそ、ベンの言葉一つ一つがエイミーを傷つけるのに、それでもエイミーはどれだけ打たれても立ち上がる、本当に強い女性。自分が犯した罪ゆえに、自分がベンの言葉で傷つくことは当然という思い。

「BEFORE」のとき、
ベンは諦めることに慣れてしまっていて。
エイミーは父親から束縛されることに慣れてしまっていた。

でも、エイミーはベンと出会って変わることができた。

だから「AFTER」のとき、
エイミーはベンに前を向いて歩けるようになってほしかった。
その時に、隣にいて一緒に歩くのは、できれば自分であってほしい。

のだろうなと。

この作品のエイミーが素敵なのは、「戻ってきてくれて当然」という思いを一欠けらも感じさせないことなんですよね。今まで4人のエイミー(岡村さやかさん、小此木まりさん、綿引さやかさん、清水彩花さん)を拝見しましたが、その点だけは絶対的に共通していました。

最後までベンが戻ってきてくれるかどうかわからない。
それは身体としてという意味以上に、「心」がエイミーのもとに戻ってきてくれるかわからないという意味で。

でもエイミーは心からベンに詫び、心からベンを待った。
だからこそ、ベンは自分が失いかけた「心」を、エイミーと一緒なら取り戻せる、いや、エイミーと一緒に取り戻したい、と思って帰ってきたんじゃないかなって。

互いに悩み、互いに傷ついた末に、自分が絶対的に正しいわけじゃない、と心から感じられたからこそ歩み寄れた2人。
どのキャストで見ても例外なく爽快感で終わる作品。
キャストが変わっても、BAのコアはいつでも変わらず続いていくことを願っています。

ふと、「BA」が「Before After」でもあり、「Ben & Ami」であることに気づき、なんだか静かな感動を覚えずにいられませんでした。

今期は明日20日まで、日暮里d-倉庫にて。

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コメント

はじめましてこんにちは。いつもレポ読ませていただいております。ありがとうございます。恐らく昨夜は隣の席だったのですね。なるほどBAはそういう意味なのかと感心しました。ではまた。

投稿: しんめい | 2015/12/20 10:05

しんめいさん>
コメントありがとうございます。
ソワレお隣でしたか…そんなにわかりやすい存在でしたでしょうか(汗)

BAは「そういう意味にもとれるなぁ」と思っただけではあるのですが、別の視野から見られたような気がして嬉しかったです。

今後ともどうぞよろしくお願いします。

投稿: ひろき | 2015/12/20 12:00

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