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『悟らずの空2015』(1)

2015.11.18(Wed) 19:00~21:00
池袋GREEN TREE THEATER
A列1桁番台

南池袋にあるシアターグリーンGREEN TREE THEATERは今年1月の『TRAILS』以来2作品目。

ジャングルベル・シアター20周年記念公演。この日が初日です。
天竺への旅一行、三蔵法師役を綿引さやかさんが演じるということで、初日を拝見しました。

ストレートプレイではありますが、幕開き部でびびちゃんが歌う歌、今までになくとてもカッコいいです。歌詞も見返すと、この後に語られる物語を予告するようなものになっています(劇場で配布されているフライヤーに歌詞が入っています)。

天竺を目指す一行は三蔵法師、孫悟空(程嶋しづマさん)、猪八戒(浅野泰徳さん。この作品の作・演出)、沙悟浄(桜田航成さん)の1人+3体。

当然のことながら三蔵法師がリーダーではあるものの、あとのお3方も結構癖のあるお方たち。
意外や意外、お3方には三蔵法師の威光は通用しない時もあったりします。

役設定には「頭が固く生真面目」とある三蔵法師ですが、びびちゃんの地が残っているというか、そこまで頭が固くは見えなかったかな。年上の男性部下に振り回される女性管理職さんといった趣(こら)。

それと言うのも、この作品の三蔵法師には”迷い”があるのですね。

天竺を目指すこの旅が本当に自分のすべきことなのかに対しての自信がどんどん揺らいでいく。
”綺麗ごとを振りかざす”自らの行ないが、目の前のことを実は何も解決できないことに気づき、自信が揺らぎ、失っていく。

妖怪3人衆を従えて天竺を目指す三蔵法師が不意に放った
とある言葉は3人衆の忠誠心に深い傷をつける。
そんな時に放った三蔵法師の言葉は、いつも以上に空を切って、彼らに届くことはなくて。

ふと言った言葉が、実は自分の中にたゆたう意識から出たものではないかと気づいたときに、三蔵法師は自分の中にある「妖怪」の存在に気づいてしまう。
それはかつて自分がしてしまった、忘れたい過去ともリンクして・・・前にも後にも進めなくなる様が印象的でした。

迷いながら悩みながら、でも、”何かを見つけないと”と、もがく様子。
それは、びびちゃんのリアルと通じ合っているように感じて。
「何かにしがみついてないと自分がどうにかなってしまいそう」なステータスを経て、器量の大きな様となって立ち上がっていく様は、リアルとのシンクロも感じました。なんとなく、前者は数年前のびびちゃん自身で、後者は今のびびちゃんに思えたりして。

「自分が全てをしなければならない」思い込みから抜け出して、「他人の力を借りて進んでいく」様への変化。
出会った少年に向けて投げかける「どうして君はそんなに強くいられるの」という言葉。
それからすると、この作品の三蔵法師の前半部は、もっともっと、深く落ち込むといいように思えました。

ミュージカルを中心にやってきた人が必ずたどり着く、ストレートプレイ初体験。

実際、自分のご贔屓さんも例外なくその経験をしてきていて、(高橋)由美子さんであれば今はなき青山円形劇場での『アガタ』で初ストレートプレイ。アイドル時代から舞台好きをずっと公言してきた彼女をして、「舞台に立つのが怖い」と表現した初めての作品(2人芝居)。(笹本)玲奈さんであれば一昨年の世田谷パブリックシアターでの『ジャンヌ』。「ミュージカルではどれほど歌に助けてもらっていたか痛感した」という言葉であったり。

今回のびびちゃんのストレートプレイ初体験に関して言えば、主演であるとはいえ、周囲の人たちに助けてもらうポジション。でも、実際のところ、一番大事なのは周囲の人たちに助けてもらえる人であることで、自分の120%を出させてくれるのは、周囲に対する感謝の気持ち以外にはないのではないかと思えて。
その点、初日を見る限りは大丈夫な感じ。素敵なカンパニーでした。

今回の作品では三蔵法師一行を阻む妖怪たちが多数登場します。「火の妖怪」「水の妖怪」「木の妖怪」「金の妖怪」…それらは互いに互いを得意・不得意とし合う関係にあって、ある意味、異なる属性同士がそれぞれを牽制しあって均衡が保たれている。そこに共謀関係が生まれると何が起こるのか…がとても巧みに構成されていて興味深かったです。利用しあいされあい、狐と狸の化かし合いというのか。

覇権を狙い、力と力のぶつかり合いをする殺陣は物凄い迫力(特に火焔大王役の町田誠也さんは凄かったです。さすが元新感線)で見ごたえ十分。

他キャストでは孫悟空役の程嶋しづマさんの押し出し、沙悟浄役の桜田航成さんのスマートさ、水玲仙女役の梅宮万紗子さんのいい女っぷり、柳花役の國崎馨さんの女っぷり(特にびびちゃんの三蔵法師との某シーンが最高ですw)が印象的でした。

前半部は笑いのシーンも結構あって、小ネタから大ネタまで笑いの渦。びびちゃんは笑い属性十分なはずながら、初日はやっぱり緊張が先行したようで、あくせくした感じ(言い急いだ感じ)がちょっと勿体なかったかな。

後半の展開はネタバレになってしまうので今日段階では詳細は書きませんが、彼が彼女を思う思いの強さが印象的。そして、三蔵法師は目の前の現実から目をそらすことなく、「今自分ができることは何か」に向き合うことができるようになって。

嘆いても始まらない、目をそらしても何も解決しない。
すぐ正解にたどり着けないのだとしても、自分なりに何ができるか考え続けることでしか、解決の道は開けない。

その先に悟りがあるのかないのか。
三蔵法師は最後のシーンで自分なりの答えを見つけられていたのだろうなと思えました。

笑いあり、歌あり、殺陣あり。そして最後は考えさせられて、前向きになれる素敵な作品です。24日まで。

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