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『ダブリンの鐘つきカビ人間』(1)

2015.10.7(Wed.) 19:00~21:15
PARCO劇場 Z列(3列目)20番台(センターブロック)

初日が『マンザナ、わが町』とぶつかり、my初日が延びていた『ダブリン~』、この日がmy初日です。
結果からすると『マンザナ~』初日終わりで来れない時間ではなかったのですが、結果として『WORKING』に行ったので。

ほとんどの登場人物が寓話の世界の中の住人である中で、ただ2人の現実世界側の登場人物。
聡(白洲迅さん)と真奈美(大塚千弘さん)のカップル(破綻予定)が寓話の中を旅していきます。

街の住人がみなそれぞれの病気にかかってしまった中、それを救うために「奇跡の剣」を手に入れよ、と呼びかける王。王もまた「偉くなれない病」にかかっている(苦笑)。

そこに飛び出し「奇跡の剣」を探す旅に出る勇者の一人が真奈美で、まぁその男勝りと来たら中の人まんま(爆)。ノリノリで「ついてこい、下男よ」と聡(さとる)に言う様がmyツボです。

もう一人の勇者が寓話の世界の中の戦士(小西遼生さん)で、婚約者と信じる美少女・おさえ(TPD上西星来さん)のためにもと「奇跡の剣」を探しに出る。

しかしその勇者たちを阻む者、市長(吉野圭吾さん)、シスター(篠井英介さん)…といった面々が画策を始める。街の平和は取り戻されるのか。

…といったストーリー。

G2さん&後藤ひろひとさんといえば、すぐ思いつくのが『MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人』(通称『ガマザリ』)。タイトルと似ても似つかぬハートウォーミングさと、ちょっぴりの毒といったところは、当作にも通じるところがあって。

少女と気持ちの通じ合う相手がいて、その2人を取り巻くちゃきちゃきの男勝りがいて。向こうの男勝りは光岡役(2演目の新妻聖子さんで拝見)、こちらの男勝りは真奈美役(大塚千弘さん)というわけで、まぁ私の大好きな方面のキャラクターですね(笑)

千弘ちゃん、恐らく初めてと思われる殺陣をかなり頑張ってこなしています。剣術が飛び抜けて上手というわけではないのですが、「いっぱいいっぱいながらもかなりの剣の使い手」というポジションに上手く嵌っています。

既視感があったのですが、高橋由美子さん(当時29歳、今の千弘ちゃんと同年齢)が『花の紅天狗』の劇中劇で見せた茜役での剣術がちょうどこんな感じでした。「私が何とかします」のいっぱいいっぱい感がそっくり。

男を必要としない男勝りっぷりもそっくり(爆)なんですが、でもそれは「強がり」というか「怖さと向き合っていた」んだなと思える、この物語のラストの真奈美のいじらしさは結構好き。

寓話の中で出会うおさえとカビ人間(佐藤隆太さん)。カビ人間はかつては美しい顔と醜い心を持っていたが、病により美しい心と醜い顔になり(つまり入れ替わり)、街の人々に嫌われるようになったが、それでも町の人のために毎日鐘を突いている。正午10分前。みんながお昼を迎えられるように。自分以外は鐘を突けない、という信条のために。

そしておさえの病は、「思ったことと逆のことを言ってしまう病」。それゆえ口を開くことを恐れている。自分の言葉が他人を傷つけてしまうから。

その2人が出会ったことで生まれる不思議な空間。おさえの病をカビ人間はなぜだか見抜いてしまう。言葉では逆のことを言っていても、なぜだか彼には思いが伝わる。それはカビ人間が「言葉ではなく気持ち」を受け取れる人だったからなんだろうなと。

おさえが利用され、窮地に陥るカビ人間。それでも「自分のやることは『鐘を突くだけ』」と皆の前に歩いていくカビ人間。そのカビ人間を救うためにおさえが取った手は、なるほど予想通りの話ではありましたが、心を閉じていたおさえにとって、自分を救ってくれた彼に対する、彼女なりの答えだったんだろうなと。

内面の醜さを持つ悪者に対して、外見のみに醜さを持つ者が勝利を収める姿は、なんだかすっとするものがありました。

この人は終演後トークショー。司会は当初、この作品のプロデューサーであるPARCOの方でしたが、メンバーに「後藤さんの印象」を聞いてたら後藤さんが登場して司会を乗っ取る。トークショーって結構見てますが、司会を乗っ取った人なんて初めて見ました(笑)。

この日のトークショーのメンバーは白洲迅さん、大塚千弘さん、小西遼生さん、明樂哲典さん。

全体的にちーちゃんと小西くんが通じ合ってて、本来ならちーちゃんとカップルなはずの白洲くんがなぜかいじられキャラに回されてて。「チャラい」とか散々言われてて本人はたいそう不本意な模様(笑)。白洲くんの某キャラが「出落ち」とまで言われてたけど、あれは「出落ち」以外の何物でもない(笑)。むっちゃ笑いましたもん。何の役にも立ちそうにないのに、でも効果抜群だったのは面白い展開だったなー。真奈美を救ったのはあの出落ちですもんね。「あんたなんでそんなカッコしてんの」の真奈美の醒めまくった視線が実はわたくし、超ツボでございまして(爆)

そういえば戦士役の小西遼生氏は戦士の衣装(要はとても暑い)のままで登場し、あおぐために持ってきたうちわがなんとTPD(東京パフォーマンスドール)のうちわというのが絶妙にお上手でした(笑)。そういうとこ、こちら昔取ったなんとやらで気づくんですよね(爆)。

後藤さんのテンポがこの作品の笑いのたっぷりさを思わせるとてもいいテンポで客席を乗せまくり、あっという間の15分。あそこまで嫌味なく笑いを取れるってすごい。作品もトークショーも。

この作品の魅力の一番は、「構えず笑える」ことなんですよね。笑うことに後ろめたさを感じないでいられる。それでいて最後は勧善懲悪の上での、ある意味大団円。笑って笑って最後にほんわり。それはできそうでできないこと。素敵な物語を見られて良かったです。

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