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『マンザナ、わが町』(2)

2015.10.12(Mon.) 13:00~17:40
紀伊國屋ホール S列40番台(上手側)

1週間ぶりのマンザナです。
初日は最前列でしたので、打って変わって後方席からの観劇でしたが、この日は終演後にトークショーもあることもあり、びっしり満員。多少の空席があるとはいえ、これだけびっしり埋まっているのは壮観です。

実際、トークショーでも女優陣から「満員は嬉しい」という実感籠った話がありましたし、客席からの笑いも凄くビビットな回でした。

まずは本編、前回書ききれなかった話を。

この物語の登場人物は「アメリカ在住の日系人」。

「自分は日本人だがアメリカに夢を求めた」日系一世と、「生まれたときからアメリカで過ごした」日系二世という立場の違いそれぞれにおいて、「自分は日本人なのか、アメリカ人なのか」に否が応でも向かい合わざるを得ない場所。それが、大戦中における日系人特別収容所。

こまつ座さんの作品、井上ひさし先生の作品のコアである『日本人とは』と向き合うために、”日本人でもアメリカ人でもない立場に晒された”5人の女性の生き様をテーマにしていると感じるこの作品。

日系一世にしてみれば働けど市民権はもらえず、アメリカという国に希望を持てないでいる。
日系二世にしてみればアメリカ人として生きてきたのに強制収容され、アメリカという国に失望しかけている。
今まで築き上げてきたものを奪われる、それは財産だけでなく日系人コミュニティーも、そしてアメリカに対する輝きも。

玲奈ちゃん演じるリリアン竹内が叫ぶ「この国はもっと大きな国だったはずよ」という言葉は凄く胸に響いて。

アメリカという国はもっと懐が広かったはず、よりによって敵対国である国の首領と並び称されても不思議はないぐらいの、日系人に対する行いなど、アメリカという国がするはずもないと思いたい心…でもそれが実際に行われている現実。

土居さん演じるソフィア岡崎が、表面上は見せていなかった、『書いていないと自分がバラバラになりそうだった』という思い。

信じていたものに裏切られた時に、人はどのように救いを探し、そして自ら救いを得るか、この作品には一つの形が提示されていて。

ソフィア岡崎を通じて知り合った仲間といえ、実際のところは赤の他人の4人+1人。
諍いはあっても、「この場で生きていくしかない」と腹をくくった末の、「小異を捨てて大同につく」団結力は見てて爽快になります。

前回も少し書きましたが、最初はお互いがぶつかり合っていた5人が、心が一つになっていく様は、「疑心暗鬼」という棘が抜ける過程。生まれも育ちも違えば、みんな違って当たり前。相手が自分を敵視している、この中にスパイがいる…そんな一つ一つの”棘”が抜けていくことで、この5人は”敵”でなくて”仲間”だと思えた。「一つの作品を作る」ことで生まれてしまった、(支配する側からした)誤算。

「演劇というもののエネルギーが、5人の壁を取り払い、5人の力を合わせて立ち向かえるようにしてしまった」わけで、皮肉なものです(この点も井上先生のメッセージですね)。

2幕で所長役やってる玲奈ちゃんの大立ち回りは、そういえば結構堂に入ってて笑えます。
そろそろコメディーをやってもいいぐらいになったんじゃないかなぁ。

この日は女優さん5人勢ぞろいのトークショー。
司会はこまつ座社長の井上麻矢さん。下手側から土居裕子さん、熊谷真実さん、伊勢佳世さん、笹本玲奈さん、吉沢梨絵さん。皆さん衣装のままで登場。

○ご自身の役について
土居さん「井上ひさし先生の言葉がたっぷり入っている作品。最初は読んでいて理解できない部分もあったのですが、(先生と自分の)歯車が噛み合ったら涙が流れて。おこがましいのですが名代の様な気持ちにもなります」

熊谷さん「浪曲は初挑戦で正直荷が重くて(笑)。いままでのこまつ座さんの出演で一番台詞が多い。自分がホンを読んだ時の感動がそのままお客さんに伝わるような芝居を心掛けている。チームワークが良くて、芝居の中で自分が生きている感覚を強く感じます」

伊勢さん「初井上先生(作品)、初鵜山さん(演出)、正直ホンを甘く見てた部分もあったのかなと。でも実際ここまでやってきて、チームワークの良さは、『舞台上で何が起きても怖くない』という感じです」

笹本さん「(こまつ座作品は2作目『日本人のへそ』、鵜山さん演出も2作目『ジャンヌ』)。ホンを読んで、伝えたいことはいっぱいあるのだけれども、実際に稽古をやってみると真っ白になってしまって。そのとき鵜山さんがリリアンについて言ってくれた『なんでこの子はこんなにまで明るく生きられるんだろう』という言葉ではっきり進む方向性が見えた。衣装もこの衣装は星(星条旗の星)ですし、パジャマも星。アメリカ大好きなリリアンの想いは、衣装、そして支えてくださる皆さんによって作られていると実感しています」

吉沢さん「あの音痴ネタは鵜山さん発案です(笑)。普段はミュージカルにも立たせていただいているのですが、実はあのシーン妙な親近感があって…カラオケボックスで隣の部屋から『とてもいい気持ちで歌ってる、でも実は音階ちょっとずれてる歌』が聞こえてきたりするじゃないですか(笑)。あれと似た感覚です。鵜山さん演出は変な演出で面白い。鵜山さんの発想で『女優』という役柄が確立できたと思います」

○鵜山さん演出について

土居さん「鵜山さんは枕詞のように『僕の言葉はわかりにくいとよく言われるんだけど』って言いますよね(笑)」

熊谷さん「オトメ天津の変な動きは、あれ全部鵜山さん案ですから(笑)」

伊勢さん「『impossible』がしっくりこなかったみたいで50回ぐらいやりました(笑)」

吉沢さん「実際のところこれだけ伸び伸びした人たちをよくまとめたなと(笑)」

○共演者の皆さまの印象や、意外だった面

◇吉沢さん→土居さん
「発声練習から天使の声。癒されます。あれだけの長台詞なのに説明ぽくない。凄いです」

◇土居さん→笹本さん
「私よく天然って言われますけど、玲奈は…こんな天然な人いないです(笑)」

「舞台終わってみんな着替え終わるまでは楽屋が男子禁制なんですが、大丈夫ってOK出したら舞台監督は入れるんです。でも、OK出てからもまだ着替えてるんですよ玲奈は(笑)
舞台監督さんを父親とでも思ってるのか、5歳児か(笑)」

「昨日の話なんですが赤川次郎先生が来られていて、玲奈が『ご挨拶したい』って。なんでかって聞いたら以前、お父様がJALのエッセイで優勝したことがあって、その時の審査員が先生だからという話で。念のためというのでお父様に電話して確認したら、『赤川次郎先生』じゃなくて『浅田次郎先生』で(会場内爆笑)」

「だって『あ』と『次郎』は合ってるじゃん!」って言ってた玲奈ちゃんが可愛かったと(笑)

 …シスターマリアには敵いませんね。なんかもっとエピソードあるらしいですが(笑)

◇笹本さん→熊谷さん
「真実さん一滴もお酒飲めないんですよ」

「稽古中に『紅茶きのこ』って持ってきて飲んでいらしたんですが、なんか発酵しすぎたらしくて、稽古中に真実さんみるみる真っ赤になっちゃって(笑)」

酔っぱらって稽古された方始めて見ました(笑)」

◇笹本さん→伊勢さん
「1日10回ぐらい、『鵜山さんみたいな方と結婚したい』って言ってる」

「(皆口々に)いらっしゃらないときにちょうどタイミングよくメッセージを差し入れてくださったり、その心配りに感動して」

「メッセージ来ると一番佳世ちゃんが『きゃー』って騒いでます(笑)」

◇伊勢さん→吉沢さん
「とにかくよく食べるんですよ」

「(皆口々に)細いのにすごい食べるよね」

◇土居さん→吉沢さん
「とにかくすごくポジティブ。こんな前向きな人いない。初日直前に『舞台立ててうれしいです!』とか普通はない(笑)」

「このキャスト中唯一のA型。そして子役出身だから気配りが半端ない」

「以前、別の舞台で子役さんとご一緒したとき、演出家さんがもう70歳過ぎの人だったのに、『お兄さん』って言ってたぐらいですから(笑)」

○締めのご挨拶
土居さん「満員のお客さんの前で嬉しくて『猿も木に登る』気持ちです」

キャスト&客席「(???)」

土居さん「あ、猿は木から落ちるんだった(笑)。『豚も木に登る』ですね」

…というところで綺麗にボケが決まって良かったです(こら)

ちなみにこの日、トークショーが好評(というか入りきれなかったそう)で、10月22日(木)マチネ(13時30分開演)後のキャストトークショーが決定しています。

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