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2015年10月

『マンザナ、わが町』(4)

2015.10.25(Sun.) 13:30~16:30
紀伊國屋ホール A列10番台

4回目の観劇、この日が楽です。

「いつまでも見続けていたい」と思う作品は年に何作品も出てこないわけで、この作品は今年見た作品の中で間違いなく筆頭格です。

テーマは難しく見えるのに、中身はとっても取っつきやすい。
でもコアは深くて、一度や二度では見えてこない。だから面白い。

笹本玲奈さんが出演されるということで見ることにした作品ですが、作品の中で役があり、役者さんが作品に引っ張られ、そして作品が役者さんを引っ張る。そしてそれが5人のそれぞれの相関関係の相乗効果で増幅していき、見るたびに新鮮な発見に気づかされる作品でした。

◆テーマは「色」
この作品を見ていて腑に落ちたのは「色」という表現。

ラストシーンで、「黄色は美しい」「黒は美しい」…と、登場人物それぞれの衣装とリンクする台詞があります。「色はそれぞれ美しい」という表現は、サチコ斎藤さん曰くの日本人評、「みんなそれぞれ、みんな違う」という言葉と対応しています。別の言葉で例えれば「個性」でしょうか。

この「色」という表現は、同じくサチコ斎藤が語っている発言、「『お国のため』とかいうことになると、その色が同じ色で塗りつぶされてしまう」…という表現とリンクしています。

戦時中が舞台でありながら、反戦色が色濃く出ているのはさほど多くなくて、それは少し意外です。

◆反抗と受容
演劇班の演出家であり、室長的な立場にいるソフィア岡崎の思考には、一部分かりにくいところがあります。

始まってすぐ、天津オトメに「ずいぶんと飼いならされたものだねぇ」と言われるぐらいに、「舞台を上演せよ」という命令には従順なソフィア岡崎。それなのに、強制収容所へ収容されるきっかけになった大統領令に対しては、他のメンバーが想像もつかないぐらい(できもしない)に過激な抗議文を送る。

台本にほぼ従順なソフィア岡崎が唯一止まるシーンが「住民による自治」という一語。
台本をぎゅっと押しつぶしそうなぐらいに憤りを表現していて。
「ここに住民による『自治』なんてないだろう」、という感情が強く出ていて。

劇の終盤、ジョイス立花がソフィア岡崎に対して「あなたは『理屈』に命がけなのね」と言っていますが、ソフィア岡崎にとって「悪法であれ法は法。法には従うが、悪法そのものに対しては断固抗議する」という立ち位置なことが読み取れます。

それは「自分を自分たらしめる幹」だけに、自分だけだとぽっきり折れてしまいそうな幹。
実のところ、5人の中で一番他人の助けを(無意識のうちに)必要としていなかったソフィア岡崎のことを、皆が救った。「仲間に支えられている」ことを実感したことで、ソフィア岡崎も「変われた」のだと思う。

そう見ると、このシーンでのジョイス立花の変化も印象的。サチコ斎藤評するところの「世間知らずのお嬢様タイプ」な彼女の実際は、「自分以外に興味がない」役どころで、自分の言動や行動がどういう捉え方をされるかに無関心で、いわんや周囲の人のことなぞ眼中にないように見えます。その彼女が、このシーンではソフィア岡崎の苦しみに寄り添い、まるで自分のことのように心配している。

この物語で登場している5人は、誰一人として「始まった時と終わる時」で同じ気持ちではいない、そこにこの物語の面白さがあるように思います。

マンザナの「外の風景」に「見るべきものなんかない」と言っていたリリアン竹内が、ジョイス立花の言う「素晴らしい景色」という言及に心を動かされたりするシーンもその一つ。

「すべての『日本人』たちのまほろば」という4人の言葉に対して「すべての『人』たちのまほろば」と言うサチコ斎藤の言葉にもハッとさせられます。

◆人は結局、「おかゆ」から離れられない
その人それぞれのバックボーンを「おかゆ」と称しているこの作品ですが、劇中劇の『マンザナ、わが町』の台本のとある記述から、ソフィア岡崎はサチコ斎藤の本当の姿に気づきます。

「マンザナを切り拓いたのは中国人移民のみなさん」という表現は自らの出自である中国に対する無意識の発露。自らの素性を明らかにしないように細心の注意を払ったであろう脚本であっても、「なくて七癖」みたいなところはどうしても残ってしまうのだろうなと。

もう一点、「City」と「Town」の関係性も印象的。

住所を大きいところから小さいところへ書く日本。
住所を小さいところから大きいところへ書くアメリカ。

共同体が前提で個がある日本と、
個が前提で共同体があるアメリカの違い。

どちらが優れていると明言しないこの作品の本が好きです。

それゆえ、登場人物も自然にお互いの違いを認め合う方向に進んでいく雰囲気になる。
人の考え方は勝ち負けじゃない。
その当たり前のことに気づかせてくれるこの作品の本の優しさ。

1つ1つの言葉に優しさと強さが溢れていて、小手先で接することを許しはしなくて。

自然に真摯な気持ちで作品に向かい合う気持ちになれる作品を前に、バラエティに富んだ5人の女優さんが、個性が自然に並び立って。そしてお互いが光っている姿は、とても綺麗で美しかったです。

5人の女優さん、土居裕子さん、熊谷真実さん、伊勢佳世さん、笹本玲奈さん、吉沢梨絵さん。

この作品で初めて知った方もいらっしゃれば、今まで見てきた方もいらっしゃいますが、5人が5人とも、「この人じゃないとこの味は出せない」という絶妙な存在感でした。

あたかも、この作品、この本がこの5人が揃うのを待っていたかのような18年ぶりの再演。

土居さんの強さと脆さ、真実さんのしなやかさ、伊勢さんの自由自在さ、玲奈ちゃんのきらきらとした存在感、梨絵さんの華やかさ。

どれもが、『マンザナ、わが町』という作品が求めていた登場人物のあり方だったように思えて、この5人が揃った奇跡を感じられる、本当に素敵な作品世界になったこと、それを拝見できたことに何よりの幸せを感じられたのでした。

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『ダブリンの鐘つきカビ人間』(2)

2015.10.24(Sat.) 19:00~21:25
PARCO劇場 L列10番台

あれよあれよという間に、東京公演の前楽。
トークショー日(実はちーちゃんの入籍日)以来2回目の観劇となります。

東京楽がマンザナと同時間帯だったので、ダブリンは前楽を入れたつもりが、間違ってこの日の昼公演を入れていて、急遽昼公演をお嫁に出して夜公演を追加購入。
夜公演はグッズ付き特典チケットを購入したので、クリアファイルをゲット。通常、この手のものはA5サイズであることが多いのですが、この作品はA4サイズ。なんか得した気分です。

昼公演を外したことで、この日10時台の由美子さんのトークショー(さいたま新都心)も見られたし、ファンマゴ(ファンタスマゴリック)の新宿西口→東口のライブも見られて、とっても結果オーライなこの日。

後からとった割には後方席とはいえほぼセンターで見やすかったです。

1回目見終わった時は今から考えると把握し切れてなかったところも多くて、2回目でようやく合点が行ったところ多し。1回目は仕事終わりだったこともあるのか、最近仕事終わりで見るのはきつくなり始めてるからなぁ…(歳か、歳なのか)。

大王氏の煽り文句、10月8日マチネを見てみたかったと心から思いつつ(ちなみに聞くところによれば「『結婚したいけど出会いがないんです。』なんて言ってる女優の言葉なんて信じない」でした(大笑))。

この街が襲われた「病気」。
その「病」は人ごとに違いはあれど、病が作り出した町の空気、それは「後ろ向き」であり、他人を慮れない人たちの存在を作り出していて。結果、町までもが病んでいく。先が見えない霧の中に、町がすっぽり覆われたかのように。

見ていると町の中で飛び抜けて明るいのがカビ人間。午前11時50分に鐘を突くことを自らの業とし、町中の人に嫌われようとも、それに存在意義を見出している彼。

そんな彼に、「思ったことと逆のことを言ってしまう病」にかかってしまった美しい少女・おさえが出会って起きる出来事。

「思ったことと逆のことを言う」から他人を傷つけてしまうことを恐れて、ひきこもるようになってしまったであろうおさえ。それなのにカビ人間は表面的にどんなにひどい言葉を投げられても、おさえの前から逃げ出そうとしない。嫌われることに慣れているからなのでしょうね。

それにしたところで、おさえを演じるTPDの上西さん。
彼女が紡ぎだす、それはそれは「イメージと正反対」の言葉の破壊力たるや、なかなか凄いです。

ちーちゃんが男前で下男を従えることに一かけらの疑問も持つ必要がないのは、今までちーちゃんを見てきているからではあるのですが、逆に上西さんの場合は「いつものホームフィールド」の活躍の仕方を知らないので、外見面とのアンバランスが癖になります(爆)。衣装の完成度も凄いです。

この作品では市長とシスターの「群馬水産高校」コンビが暗黒面に落ちていますが、初回見たときはなんで市長がカビ人間を陥れようとするのか、その肝心なところを見逃してて、我ながら何を見ていたのかと。

なるほど、市長にとってカビ人間は危険な人間ということなのですね。
陰謀を巡らせる2人と、”純粋な感情”で繋がったカビ人間とおさえ、そして勇者2人と下男との関係。

1回目見たときはちーちゃん演じる真奈美の格好よさが印象的で、この日も殺陣といい動きといい、息も切れずに颯爽と動き回っていたのは流石でした。が、この日印象的だったのは、戦士役の小西遼生氏。以前拝見したのは『Light In The Piazza』で、新妻さんの相手役だった時ですが、正直、そこまで「男のカッコよさ」を表に出していた印象がなくて(新妻さんとはエポニーヌ&マリウスでも組んでいます)、でも今回は凄くカッコいい!

おさえに対しては道化みたいになっちゃっているところもあるけれど、ハートもハードも男らしい。
翻ってちーちゃんの相手役の白洲さん。この方は実は私初見でして、新妻さんと共演予定だった『Bitter Days,Sweet Nights』を手術のために降板(代役は2015アンジョルラス役でもある上山竜司さん)されていたので、今回が初めて。

役どころもあるのかと思いますが、ふわっふわっと、真奈美(ちーちゃん)に絡んでる姿は、トークショーのちーちゃん&小西氏発言ではないですが、とっても「ちゃらい」(爆)。

受ける印象の違いって、もしや聖子さんと共演しているどうかなんだろうか、とか考えてみたり(爆)。

冗談はさておき。

この作品を称して『ダークファンタジー』と称されていましたが、この作品のエンディングを[BAD END]と思うかというと、見解の違いもありうるというか、[HAPPY END]の側面も強いのではと。

現実世界で別れる寸前だったカップルは、女性から男性への一方的な強弱関係と逆の「必要関係」を得たし。

少女が起こした奇跡は町の人たちに笑顔を取り戻したし。

翻って、悪者の一人の市長が最初と最後に見せた、「生き残ったからといって何があるのか」を思わせるかのような、うらぶれた表情が負の意味で特に印象的。

”勧善懲悪”がはっきりしているからこそ、見終わった時に安心した気持ちになるのかなと思った作品なのでした。

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『マンザナ、わが町』(3)

2015.10.22(Thu.) 13:30~17:20
紀伊國屋ホール R列20番台

1週間強ぶりのマンザナです。

トークショーが急遽追加ということで、観劇追加して行ってきました。
こまつ座さんの場合は、他日のチケットでもトークショーを見ることは可能なのですが(開演後に整理券が配られるそうです)結局のところ、何だか座りが悪いのもあっての追加です。(当初、12日がこのパターンの予定でした)

まずは本編の話から。

この日一番印象に残ったのは、玲奈ちゃん演じるリリアン竹内がややもすれば突飛に言い出したレストランのエピソード。
自分のステージの前で起きた、一人の「勇者」の物語。リリアン竹内がなぜこれほどまでにソフィア岡崎に心酔しているか。
聞いていると途中でわかりますが、この時の一人の「勇者」は、ソフィア岡崎なんですね。日系人に対して当たり前のようにやられる「手」。自分も今までいやというほど味わってきた「手」。

しかしその人は「毅然として対応し」、最後は「勝利」を手にした。
その一部始終を見ていてリリアン竹内がどれだけ勇気づけられたか。

日系人として「どう戦えばいいのかわからず」、もやもやとした気持ちであった自分をおそらく変えたであろうそのエピソード。
だからこそ、リリアン竹内はソフィア岡崎に対して、盲目であるほどに肯定しているという流れがとても綺麗に見えていて、あぁなるほどと感じさせられたのでした。

「黒人給仕が一人味方に付いたからってなにも変わらない」
「その黒人給仕はおそらくその日のうちに首になっただろう」

そう醒めて言うことは簡単であっても、リリアン竹内にとって、そんな言葉は価値を持たないんですね。

「そういうアメリカが好きなんだ」
「むしろそういう風になっていかなきゃならないんだ、この国は」

リリアン竹内はこの舞台ではいわゆる「アメリカ派」に属しますが、その実、「アメリカならばすべて肯定」しているわけではないのですね。
日系人として、今の自分を否定され、このマンザナ強制収容所に収容された時点で、アメリカに対する憧憬は裏切られている。
でも自分にとってのアメリカがどう目指す対象であるかがはっきりしないと、ソフィア岡崎が言うところの「自分がバラバラになってしまう」

この作品にとっての5人の立ち位置は、「過去を断ち切られ、未来を閉ざされた」約5人の、「どう心を正気に保つか」の物語。

リリアン竹内にとっては、大事なのは「『そういう』アメリカが好き」ということなんだろうと。
”自由に言いたいことが言えて、それを受け入れる懐も持っている”アメリカが好き。
だからこそ、自分は全力で夢に向かって進んでいける。

この時のアメリカは戦敵であるナチスドイツや日本と同じように、「その中に怪物を飼ってしまっている」。だからこそ「この国はもっともっと大きな国だったはずよ」と叫んだリリアン竹内の言葉が重くて。

アメリカがそういう国だったからこそ、自分は夢をそこで叶えられると思ったし、叶えたいと思えた。

だからこそ、そういう国だからこそ『God Bless America』なのだと。

そういう国だからこそ、”神はアメリカを祝福する”のだと。

レストランのシーンから感情そのままに歌われた『God Bless America』は、3回見た中で間違いなくこの日が一番素晴らしくて。

「自分が信じるアメリカは、神に祝福されるようなアメリカであってほしい」という願いが伝わってくる歌の力。
その”想い”を感じられたことは、とても大きな体験でした。

「理由がなくアメリカが好き」なわけじゃない、ということが表現されるようになっていたのは、大きな変化に感じられました。

この作品を見ていて印象的だったもう一つが、『小異を捨てて大同につく』という物語の流れ。

サチコ斎藤が舞台後半で語る「日本人とは何か」を問われての答えが、「一人ひとりみんな違う。」という本人曰く”平凡な感想”に対する謙遜。が、ソフィア岡崎はそれに対して大きな賛辞を贈る。

「一人ひとり考えが違って当たり前」というのは、恐らくはソフィア岡崎にとっての哲学なんだろうと思えて、それでいてこの物語は、5人の「たまたま居を同じくした人たち」が、『小異を捨てて大同につく』物語に思えます。

”小異”とは、それぞれにとっての”日本への距離感””アメリカへの距離感”
近い人もいれば遠い人もいる。

”大同”とは、「日本を好きでいながら、アメリカで生きようとする気持ち」
じゃないかと思うんです。

最後、5人で横1線に並んで宙を見上げる姿を見ていると、そんなように思えてなりません。

この日は、12日に好評だったキャストトークショーの第2弾。流石に平日の昼とあって本編での8割近くの入りも、思ったより本編での退席が多くて、あとから入ってきた方も含めて6割弱の入り。
前回同様、こまつ座社長の井上麻矢さんが司会で、5人の女優さんが横一線で並びます。

○自分の役について
口々に話されていたのが、初演の方がご自身の中で大きくて、自分でいいのかと思ったことが多かったと。特に言及されていたのがソフィア岡崎役の土居裕子さん。

「自分は初演の方を知っているし、大きな方だし、それに私は背が小さくて…。ソフィアより玲奈ちゃんのリリアンが背が高いので、リリアンよりソフィアが背が小さくていいのかと(笑)」

とひとしきり話された後、

「でもあるとき、劇中のジョイスの言葉じゃないですが『自分は自分でいいんだ』と思えたときにソフィアの役がすっと自分に入ってきた」

と仰っていたのが印象的。同じことは天津オトメ役の熊谷真実さん、サチコ斎藤役の伊勢佳世さんも仰っていました。

リリアン竹内役の笹本玲奈さんが仰っていたのは、「『役を演じている』というより『役を生きている』という感覚」と。それは自分だけじゃなくて自分の回りのこの5人の中でいるからというのもとても大きいようで、安心しきって子守歌で寝ちゃいそうだと(笑)

チームワークの良さは皆さん言及されてましたが、ジョイス立花役の吉沢梨絵さんいわく「あまりに仲良くなりすぎて、トークショーで話していい話なのかだんだん分からなくなって」というのが妙におかしかったです。

梨絵さんは衣装についても言及されていました。
稽古場での稽古はどうしても内容的な(文学的な)正解を見出そうとする作業で、それも好きだけれども、衣装を着たときのみんなの居住まいがもう衝撃的で、と。
「ビジュアルの大事さを特に強く感じて。2次元と3次元の違いをまざまざと感じる」と仰っていました。
「特に自分は見た目で”素敵でいなければならない役で”」と仰っていました(笑)が、それもあって、ネイルはシャネルを使われているとのことで、しかもそれは真実さんのプレゼントという話が玲奈ちゃんから明かされていました。

そういえば、梨絵さんの音痴設定の話も。
「音痴のシーンで客席から一かけらも笑いが起きないことがある(笑)」とは真実さん。
「あぁ、触れないでおこうと思われてるんだなと、それはそれで淋しい(笑)」とは当の梨絵さん。
でも
「制作からは梨絵さんに申し訳ないといつも思ってて」と麻矢さんがフォローすると、
「でも歌い手としてでなくこまつ座さんに呼んでいただけているというのはそれも嬉しくて。だから今度はぜひ歌い手としても呼んでください」と次の作品の売込みもする梨絵さんが流石すぎる(笑)。

○5歳児
前回のトークショーで土居さんが玲奈ちゃんを称した「5歳児」発言はこの日も健在(笑)

真実さんは、幕間の15分で、2幕のおさらいをざっくりやるんだそうです。
それがざっくり過ぎて、横で見てる玲奈ちゃんが土居さん曰く「まるで5歳児みたいにけらっけら笑ってる(笑)」

実際のところ玲奈ちゃんは稽古中から真実さんが面白くて仕方なかったそうで、
「(笑い過ぎて)鵜山さんに『玲奈、もう来なくていいから』って言われやしないかと心配で仕方なかった」そうです(笑)

「しまいには玲奈ちゃんのウケを狙いだしてた自分がいた(笑)」という真実さんもさすがです。

○締めの言葉
皆さんの締めの言葉それぞれ印象的でしたが、その中でもとりわけ印象的だった玲奈ちゃんと梨絵さんのご挨拶をご紹介。

玲奈ちゃん
「テーマが深いメッセージを含んだものではありますが、でもとにかく笑っていただけて、笑顔になっていただける作品。自分たちも客席からの皆さんの笑顔にとても助けられている。(テーマで来るのを迷っている周囲の方には)『とにかく笑えて笑顔になれる作品』ということを伝えていただいて、劇場に足を運んでくださる後押しをしていただければ嬉しいです」

梨絵さん
「自分の役であるジョイス立花は、劇中で『日系人だから』差別的待遇を受けたということにかこつけて、言い訳をしているんですね。でも、人は前向きになろうとする気持ちだけで大きく未来が変わる。だから、ポジティブであることの大事さを、特に若い人たちに知ってほしい」

そう語られている梨絵さんは、カンパニー内きってのポジティブさんらしいエネルギーを纏っていて。
隣に座っていた玲奈ちゃんが、首をぶんぶん縦に振っていたのが、とっても印象的でした。

公演は25日まで、紀伊國屋ホールで。ぜひ1人でも多くの方に見ていただきたい作品です。

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『昆夏美ファーストライブ』

2015.10.17(Sat.) 16:00~18:10
渋谷・マウントレーニアホール
1階H列1桁番台

昆夏美さん(こんちゃん)初のライブ。この日2回公演(夕・夜)で、この夕公演が初回。
正式名称は『Kon Natsumi 1st Live』です。

まずはセットリストから。

○セットリスト
[Act1]
1.On My Own/レ・ミゼラブル
2.Thank you for music/マンマ・ミーア
3.あなたを見つめると/スカーレット・ピンパーネル
4.つばさ/本田美奈子
5.ディズニーメドレー
 5-1.自由への扉/塔の上のラプンツェル
 5-2.リフレクション/ムーラン
 5-3.生まれてはじめて/アナと雪の女王
6.世界が終わる夜のように/ミス・サイゴン
  (with山崎育三郎)
7.This is the moment/stars(山崎育三郎ソロ)
8.AIME/ロミオ&ジュリエット(with山崎育三郎)

[Act2]
9.ダンスはやめられない/モーツァルト!
10.pulled/アダムス・ファミリー
11.永遠の瞬間/レベッカ
12.HOME/with

[Encore]
13.命をあげよう/ミス・サイゴン

M9のみが回替わり、M9~M11は事前リクエストの上位と本人の希望とのマッチングで決まったとのこと。

デビュー(2011年『ロミオとジュリエット』)から4年、本人の念願だった「ミュージカル曲だけのコンサート」がこの日。ということもあり、MCが超が付くほどにガチガチ。もうほとんど「がんばれー」と拳握っちゃうぐらいの状態。何しろ会話が「~でございます」とか、固いのなんのって。

デビュー前の事務所に入った時の逸話とかは本人曰く初めて話す話だったそうですが、結構面白い話が聞けました。曰くマッシュルームカットで、金と黒の73分けで事務所の面接を受け、そこで話があったロミジュリオーデまで似たような髪型で行ったとか(爆)。

この日、ピアノと音楽構成を担当した桑原あいさん(ジャズピアノ)は、母校の洗足学園音楽大学の同期。昆ちゃんがミュージカル科、桑原さんがピアノ科で、名前も「こ」と「く」で近いために以前から仲が良くて、大学時代は昆ちゃんの伴奏をずっと桑原さんがされていたそうです。

『「いつかお互いプロになって、あいのピアノで私が歌うライブがやりたい」って言ってたよね!』って昆ちゃんがテンパりつつもコメントを桑原さんに求めに行くも、昆ちゃん「いかがですか」とかやって会場から笑いが。

桑原さん曰く「リハとか『なっちゃん大丈夫?』みたいな感じばかりで(笑)、でも今ここ(舞台上手側)から、0番(センター)で歌ってるなっちゃん見てるとむしろそれが一番ウルウル来てます」と仰っていました。

そんなガチガチな昆ちゃんがようやく落ち着いたのは、この日のゲスト、山崎育三郎さんが登場してから。
「昆ちゃん女子アナみたい(笑)」とか「ミュージカル俳優さんはだんだん毒舌になりますから。井上さんみたいに」とか、出てきたときから、お髭のお兄さん(ルキーニの時のまま下町ロケット撮影中のお方)が突っ走ること(爆)

話が盛り上がりまくったのは、ロミジュリの演出家であり、MOZARTの演出家でもあるK.S氏の話題になったとき。

いく「(共演の)城田君は3mぐらいあるじゃないですか」
こん「(笑いながら)3mぐらいありますね
いく「だから城田君、昆ちゃんとやるときは屈んでたんですが腰痛めちゃって」
こん「そうなんです」
いく「だから、『昆、竹馬履け』とか」
こん「言われました(笑)」

こん「そういえばロミジュリのオーデションは歌だけだったんですけど、稽古に入ったら『演技まで見てたらお前は取らん』って言われてました(苦笑)」
いく「加藤和樹は『インド人にしか見えない』って言われてたし、古川雄大は『田舎のコンビニの前にいるヤンキーにしか見えない』って言われてたし、自分も『MOZART!』の通しの後『市村さん主演にしか見えない』って言われたし(苦笑)」

そういえば昆ちゃんが唯一一矢報いたシーン
こん「製作発表のとき、いっくんが私たち(昆ちゃんとフランク莉奈ちゃん)のことどう思うかって聞かれて、『いい香り』って答えたよね、その時までに全然話もしてなかったから近づいたこともなかったはずなのに(笑)」

あともう一つ
いく「ロミジュリの初日の話でさ」
こん「あーーー!、最後のシーンでいっくんが手に薬もってなきゃいけないのに落としちゃったんですよ。自分がベッドに寝てるとき、『ころころころ…』って音が聞こえて、『あ、落ちて行ってる…』って思って、『起きたらどうしよう』と思っていて、でも柵があるからそこで止まっているはず、と思って起きたらそこにもない!自分の台詞のきっかけでもあるのでどうしようと思って、ひたすら『びーん』って泣いてた(笑)…って話だよね?」
いく「いや、その話じゃなかったんだけど(笑)」
こん「(撃沈)」
ってあたりも面白かったです。

そいえば
こん「ロミジュリの公演中、いっくんがキスしてくれなくなって、不安になって莉奈にも聞いたら、莉奈も『そうだよね、してくれなくなったよね』って話になって、『自分だけじゃないんだ』って安心したんですけど、あれはどして?」
いく「キスの前のシーンって本当見せられないぐらい顔が涙やらなんやら(役者イメージ保持のため一部弱めに記載します)だから、その状態でキスしたら、女優さんの顔汚しちゃうじゃない。あの後ジュリエットは起き上がってラストなわけで」
という綺麗にちゃんちゃん、な話もありました。

衣装は昆ちゃんのIntragram、Twitterにも出ていますが、1幕が青のドレス、2幕が赤のドレス。どちらも素敵でしたが赤ドレスの方が合ってて良かったかな。青ドレスはなんかちょっと着せられている感じが。

曲目はどれも大曲ばかりでさすがですが、良かったのは持ち歌以外だと、M3「あなたを見つめると」、M5-1「自由への扉」、M11「永遠の瞬間」でしょうか。M9は夜の部は「100万のキャンドル(MA)」だったそうでそれも聞きたかったところ。

M11「永遠の瞬間」の曲紹介で「”事務所の先輩の”大塚千弘さん」と説明されていたのはなんだか不思議な気がしました。

結構「わたし」はキャラが合っている気がして、行ける気もします。逆にM9「ダンスはやめられない」はもしやいっくんヴォルフとの組み合わせを考えている?ように思える割に、キャラとしては合っていない気がしました。コンスタンツェって難しい役で、基本、「満たされない気持ち」がないと難しいキャラクターな気がします。

それと関係してか、昆ちゃんはラストのMCのことで今までとこれからについて話をされていて、本編ラスト曲の「HOME」の歌詞が自分の今の気持ちとぴったり、と話をされていたのですが…

「色んな方から『恵まれてるね、運がいいね』と言っていただいて、それは確かにそう思ってはいるけれども、でも自分なりに乗り越えてきたものはあって…そして今日ようやくこういった形で夢が叶えられて。それは今まで本当に色んな『人との出会い』に助けられてきたんだなと思う」という言葉と、確かに「HOME」は本当にぴったりで。

拙いMCも、最後はなっちゃんらしい言葉でのMCになって何よりホッとしたし、ミュージカル歌手としての力量はこの日夜にBS-TBSで歌われた時も含めて、流石だと思ったし。

”客観的に見て”恵まれている間のポジションのうちに「昆ちゃんでしかできない」立ち位置をどう見つけるかが課題なのかなと思えた1stライブでした。

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『TALK & LIVE Dreamin'』

2015.10.14(Wed.) 19:30~21:30
汐留BLUE MOOD

「TALK & LIVE」スペシャル「Dreamin'」。
小西のりゆきさん&綿引さやかさん&染谷洸太さんのライブに行ってきました。

サブタイトルの「Dreamin'」はお客様にも”夢の舞台”を見ていただいて、出演者それぞれも”夢”を叶えるというコンセプトだそうで。

小西のりゆきさんは染谷洸太さんの師匠。
染谷洸太さんと綿引さやかさんは「良い友人」(←説明文の通り)
ディズニー好きな綿引さやかさんにとって小西のりゆきさんは憧れの先輩。

という「三角関係」で組まれたこの日のメンバー。

局地的にびびちゃんを巡って男性陣からの争奪戦(仕掛けるのは主に進行役の立花さん)が起きるのが面白いです(笑)。

まずはセットリストから。休憩なしの2時間です。

○セットリスト
1.Seasons Of Love/RENT(小西・綿引・染谷)
2.もみじ(小西・綿引・染谷)
3.I'll cover You/RENT(小西・染谷)
4.Moving to Fast/Last five years(染谷)
5.As Long As You're There/BEFORE AFTER(綿引・染谷)
6.Defying Gravity/Wicked(綿引)
7.Beauty And The Beast(小西・綿引)
8.So Close(小西)

Encore
9.A New World/A Song For A New World(小西・綿引・染谷・YUKA)

セットリスト中、M2だけは「この日のコラボメニューを歌で説明しよう」ということになっての文部省唱歌です(笑)。

M2を除けば、本編のセットリストは、それぞれ一人ずつでソロ1曲、二人ずつの組み合わせ3パターンでデュエット1曲、3人そろってで1曲。それにプラスしてピアノ・ボーカルのYUKAさんが加わってのアンコール、という構成です。

どの曲もそれぞれ皆さんの良さが出ていて素敵ですが、何といっても「本物」のディズニー「魔法にかけられて」のオリジナル、M8「So Close」が凄いです。小西さん(コニタン)は8月の「君よ生きて」の善吉さんで初めて拝見しましたが、「思いの圧」が凄くて。びびちゃんは「空気感」と表現されていましたが、歌声一つ一つが醸し出す”包み込む空間”に圧倒されます。コニタンの寄り添う空気感、すごく好きです。

次が何とアンコールのM9。この曲、クリエで上演された時に見ていて、で、この曲、舞台の最初に歌われる曲なんですが、今回聞き終わって、「え、この曲初めて聞いたわけじゃないよね?」というぐらいの圧倒的なエネルギー。

「この4人で新しい世界を作ってやるんだ」というエネルギーが、びっちりと壁ごとぶつかってくるかのような分厚さ。それでいて重い感じも堅苦しい感じもなく、開放的なエネルギーに満ち溢れた歌声、そして演奏。(原田)優一氏や(大和田)美帆ちゃんのところで拝見していたYUKAさん、いつもは演奏だけで拝聴していましたが、この曲では2人目の女性ヴォーカルとして伸びやかな歌声を聞かせていただきました。

M5は本邦初公開のびびちゃんエイミーなBA。稽古は11月下旬からだそうで、まだ全く真っ白な状態(びびちゃんは初演は見ているそうですが)でのこの曲。この曲は「BEFORE」部、ベンから「一緒に暮らそう」と言われて「ベン、まだ早いってよ」ってエイミーが答える曲ですが、コメディエンヌなびびちゃんの特徴が生かせそうなパートがいくつも。いかにしてベンの押しをエイミーが躱すかなわけですが、今の段階では百戦錬磨な染谷ベンに土俵際まで追われてる、びびちゃんのエイミーといったところ。エイミーの初々しさがとってもいい!これからに大期待です。絶対びびちゃんエイミーはむちゃくちゃ合うって!

BAについてはMCの立花さんが作品について推されていましたが、曰く「グランドミュージカルほど(お金を)出さなくても見られる。歌が素敵で物語がしっかりしていて、イギリス発といっても日本が世界初演、2人しかキャストがいなくて大掛かりなセットもいらない、気軽に見に行けてミュージカルの素敵さを知ってもらえる作品」だからこそ再演を繰り返してほしい、ということを言われていて、全く同感です。いやまぁ、やってる方がすんごく大変なのは分かっていますけれども…、2・3回やって初めて見えてくるものがある作品なのではと思います。

M6はびびちゃんトーク&ライブ以来1年ぶりの大空高く舞い上がる曲。1年経ってびびちゃんの歌もより強く、より深くなってるなって。去年聞いたときは歌いきれるぎりぎりぐらいに思えたのに、今年はそこの上に行けていた気がします。この曲を他の方で聞いても思うのですが、これほどの大曲だからこそ、ただ歌うことのその上を聞かせられるかどうかに、この曲を歌う意味があるように感じます。

M7。わー、びびちゃんベルだ!というわけで本家ディズニーのコニタンとびびちゃんのディズニーデュエット。2人の間で確かに感情が行き来しているのが凄い。今回染谷君を通じて初共演なはずなのにこの息の合いっぷり。いいなぁと思うのは、「合わせようとしてなくて合ってる」感じ。

染谷君とびびちゃんの関係は「なうちぇんじ」の時の話でMCに出てましたが、当時、2人が共演したときに私が感じた感想も「合わせようとしなくて合ってる」感じだったんですよね。

とはいえ、当時の実態はそんな悠長なものでもなかったそうで、「なうちぇんじ」の時は、染谷君がサイゴンに出ていたので稽古にほぼ出られず、皆が夜の町に飲みに出かける中、1人台本と格闘していたとのこと。それもあって染谷君が稽古に参加したときの完成度、軸になっている感じが凄かったとはびびちゃん談。それに対して、染谷君のびびちゃんについての評はびびちゃんの名誉のために現場限りで伏せておくとして(爆)、それを「てへっ」とやっちゃう、ちゃっかりなところは、確かにびびちゃんはお母さまの血を強く引いているなと(爆)。

コニタンからびびちゃんの印象で印象的だったのは、「これだけ出来上がったメンバーの中にすっと入ってこられるのは凄い」という話。師弟関係のコニタン・染谷君、そしてYUKAさんは旧知の仲(YUKAさんは染谷君がコニタンに歌で弟子入りしたときの演奏者だったとのこと)、なのにリハーサル入ってすぐ、びびちゃんはコニタンを「師匠」と呼んでいたと(笑)。びびちゃんのその「すーっと入っていける」感じ、エポコゼの中でも絶妙な立ち位置でしたから、すごくわかります。

この3人がそろったきっかけは元々はMCの立花さんがびびちゃんに「そろそろまた(ライブを)やりたいね」と話していて、誰と共演したいかで話が出てきたのがコニタン。そして染谷君と話していて、誰と共演したいかで話が出てきたのがびびちゃん。そしてコニタンと染谷君の師弟関係を組み合わせると、ほら「三角関係」の出来上がり(爆)

その話を聞いていて、そして歌声を聞いていて、そしてMCを聞いていて、このライブが決まった時から感じていた「この3人がしっくりくる感」の理由が見えた気がして。

この3人の歌声には、しっかりと「思い」が感じられるんですよね。歌の奥にある”伝えたい”という思い、”伝えなきゃ”という思い。聞いていて感じる、「思い」の重層感。3人の間にそれぞれある、お互いに対する「信頼関係」があるからこそ伝わる空気感を感じられたこと。それこそが夢見心地な時間でした。

この日、びびちゃんの冬のコンサート予定も発表になりました。
東京公演が12月10日(木)19:00(銀座・ヤマハホール)、福岡公演が12月21日(月)15:00、19:00(アクロス福岡)です。

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『マンザナ、わが町』(2)

2015.10.12(Mon.) 13:00~17:40
紀伊國屋ホール S列40番台(上手側)

1週間ぶりのマンザナです。
初日は最前列でしたので、打って変わって後方席からの観劇でしたが、この日は終演後にトークショーもあることもあり、びっしり満員。多少の空席があるとはいえ、これだけびっしり埋まっているのは壮観です。

実際、トークショーでも女優陣から「満員は嬉しい」という実感籠った話がありましたし、客席からの笑いも凄くビビットな回でした。

まずは本編、前回書ききれなかった話を。

この物語の登場人物は「アメリカ在住の日系人」。

「自分は日本人だがアメリカに夢を求めた」日系一世と、「生まれたときからアメリカで過ごした」日系二世という立場の違いそれぞれにおいて、「自分は日本人なのか、アメリカ人なのか」に否が応でも向かい合わざるを得ない場所。それが、大戦中における日系人特別収容所。

こまつ座さんの作品、井上ひさし先生の作品のコアである『日本人とは』と向き合うために、”日本人でもアメリカ人でもない立場に晒された”5人の女性の生き様をテーマにしていると感じるこの作品。

日系一世にしてみれば働けど市民権はもらえず、アメリカという国に希望を持てないでいる。
日系二世にしてみればアメリカ人として生きてきたのに強制収容され、アメリカという国に失望しかけている。
今まで築き上げてきたものを奪われる、それは財産だけでなく日系人コミュニティーも、そしてアメリカに対する輝きも。

玲奈ちゃん演じるリリアン竹内が叫ぶ「この国はもっと大きな国だったはずよ」という言葉は凄く胸に響いて。

アメリカという国はもっと懐が広かったはず、よりによって敵対国である国の首領と並び称されても不思議はないぐらいの、日系人に対する行いなど、アメリカという国がするはずもないと思いたい心…でもそれが実際に行われている現実。

土居さん演じるソフィア岡崎が、表面上は見せていなかった、『書いていないと自分がバラバラになりそうだった』という思い。

信じていたものに裏切られた時に、人はどのように救いを探し、そして自ら救いを得るか、この作品には一つの形が提示されていて。

ソフィア岡崎を通じて知り合った仲間といえ、実際のところは赤の他人の4人+1人。
諍いはあっても、「この場で生きていくしかない」と腹をくくった末の、「小異を捨てて大同につく」団結力は見てて爽快になります。

前回も少し書きましたが、最初はお互いがぶつかり合っていた5人が、心が一つになっていく様は、「疑心暗鬼」という棘が抜ける過程。生まれも育ちも違えば、みんな違って当たり前。相手が自分を敵視している、この中にスパイがいる…そんな一つ一つの”棘”が抜けていくことで、この5人は”敵”でなくて”仲間”だと思えた。「一つの作品を作る」ことで生まれてしまった、(支配する側からした)誤算。

「演劇というもののエネルギーが、5人の壁を取り払い、5人の力を合わせて立ち向かえるようにしてしまった」わけで、皮肉なものです(この点も井上先生のメッセージですね)。

2幕で所長役やってる玲奈ちゃんの大立ち回りは、そういえば結構堂に入ってて笑えます。
そろそろコメディーをやってもいいぐらいになったんじゃないかなぁ。

この日は女優さん5人勢ぞろいのトークショー。
司会はこまつ座社長の井上麻矢さん。下手側から土居裕子さん、熊谷真実さん、伊勢佳世さん、笹本玲奈さん、吉沢梨絵さん。皆さん衣装のままで登場。

○ご自身の役について
土居さん「井上ひさし先生の言葉がたっぷり入っている作品。最初は読んでいて理解できない部分もあったのですが、(先生と自分の)歯車が噛み合ったら涙が流れて。おこがましいのですが名代の様な気持ちにもなります」

熊谷さん「浪曲は初挑戦で正直荷が重くて(笑)。いままでのこまつ座さんの出演で一番台詞が多い。自分がホンを読んだ時の感動がそのままお客さんに伝わるような芝居を心掛けている。チームワークが良くて、芝居の中で自分が生きている感覚を強く感じます」

伊勢さん「初井上先生(作品)、初鵜山さん(演出)、正直ホンを甘く見てた部分もあったのかなと。でも実際ここまでやってきて、チームワークの良さは、『舞台上で何が起きても怖くない』という感じです」

笹本さん「(こまつ座作品は2作目『日本人のへそ』、鵜山さん演出も2作目『ジャンヌ』)。ホンを読んで、伝えたいことはいっぱいあるのだけれども、実際に稽古をやってみると真っ白になってしまって。そのとき鵜山さんがリリアンについて言ってくれた『なんでこの子はこんなにまで明るく生きられるんだろう』という言葉ではっきり進む方向性が見えた。衣装もこの衣装は星(星条旗の星)ですし、パジャマも星。アメリカ大好きなリリアンの想いは、衣装、そして支えてくださる皆さんによって作られていると実感しています」

吉沢さん「あの音痴ネタは鵜山さん発案です(笑)。普段はミュージカルにも立たせていただいているのですが、実はあのシーン妙な親近感があって…カラオケボックスで隣の部屋から『とてもいい気持ちで歌ってる、でも実は音階ちょっとずれてる歌』が聞こえてきたりするじゃないですか(笑)。あれと似た感覚です。鵜山さん演出は変な演出で面白い。鵜山さんの発想で『女優』という役柄が確立できたと思います」

○鵜山さん演出について

土居さん「鵜山さんは枕詞のように『僕の言葉はわかりにくいとよく言われるんだけど』って言いますよね(笑)」

熊谷さん「オトメ天津の変な動きは、あれ全部鵜山さん案ですから(笑)」

伊勢さん「『impossible』がしっくりこなかったみたいで50回ぐらいやりました(笑)」

吉沢さん「実際のところこれだけ伸び伸びした人たちをよくまとめたなと(笑)」

○共演者の皆さまの印象や、意外だった面

◇吉沢さん→土居さん
「発声練習から天使の声。癒されます。あれだけの長台詞なのに説明ぽくない。凄いです」

◇土居さん→笹本さん
「私よく天然って言われますけど、玲奈は…こんな天然な人いないです(笑)」

「舞台終わってみんな着替え終わるまでは楽屋が男子禁制なんですが、大丈夫ってOK出したら舞台監督は入れるんです。でも、OK出てからもまだ着替えてるんですよ玲奈は(笑)
舞台監督さんを父親とでも思ってるのか、5歳児か(笑)」

「昨日の話なんですが赤川次郎先生が来られていて、玲奈が『ご挨拶したい』って。なんでかって聞いたら以前、お父様がJALのエッセイで優勝したことがあって、その時の審査員が先生だからという話で。念のためというのでお父様に電話して確認したら、『赤川次郎先生』じゃなくて『浅田次郎先生』で(会場内爆笑)」

「だって『あ』と『次郎』は合ってるじゃん!」って言ってた玲奈ちゃんが可愛かったと(笑)

 …シスターマリアには敵いませんね。なんかもっとエピソードあるらしいですが(笑)

◇笹本さん→熊谷さん
「真実さん一滴もお酒飲めないんですよ」

「稽古中に『紅茶きのこ』って持ってきて飲んでいらしたんですが、なんか発酵しすぎたらしくて、稽古中に真実さんみるみる真っ赤になっちゃって(笑)」

酔っぱらって稽古された方始めて見ました(笑)」

◇笹本さん→伊勢さん
「1日10回ぐらい、『鵜山さんみたいな方と結婚したい』って言ってる」

「(皆口々に)いらっしゃらないときにちょうどタイミングよくメッセージを差し入れてくださったり、その心配りに感動して」

「メッセージ来ると一番佳世ちゃんが『きゃー』って騒いでます(笑)」

◇伊勢さん→吉沢さん
「とにかくよく食べるんですよ」

「(皆口々に)細いのにすごい食べるよね」

◇土居さん→吉沢さん
「とにかくすごくポジティブ。こんな前向きな人いない。初日直前に『舞台立ててうれしいです!』とか普通はない(笑)」

「このキャスト中唯一のA型。そして子役出身だから気配りが半端ない」

「以前、別の舞台で子役さんとご一緒したとき、演出家さんがもう70歳過ぎの人だったのに、『お兄さん』って言ってたぐらいですから(笑)」

○締めのご挨拶
土居さん「満員のお客さんの前で嬉しくて『猿も木に登る』気持ちです」

キャスト&客席「(???)」

土居さん「あ、猿は木から落ちるんだった(笑)。『豚も木に登る』ですね」

…というところで綺麗にボケが決まって良かったです(こら)

ちなみにこの日、トークショーが好評(というか入りきれなかったそう)で、10月22日(木)マチネ(13時30分開演)後のキャストトークショーが決定しています。

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『ダブリンの鐘つきカビ人間』(1)

2015.10.7(Wed.) 19:00~21:15
PARCO劇場 Z列(3列目)20番台(センターブロック)

初日が『マンザナ、わが町』とぶつかり、my初日が延びていた『ダブリン~』、この日がmy初日です。
結果からすると『マンザナ~』初日終わりで来れない時間ではなかったのですが、結果として『WORKING』に行ったので。

ほとんどの登場人物が寓話の世界の中の住人である中で、ただ2人の現実世界側の登場人物。
聡(白洲迅さん)と真奈美(大塚千弘さん)のカップル(破綻予定)が寓話の中を旅していきます。

街の住人がみなそれぞれの病気にかかってしまった中、それを救うために「奇跡の剣」を手に入れよ、と呼びかける王。王もまた「偉くなれない病」にかかっている(苦笑)。

そこに飛び出し「奇跡の剣」を探す旅に出る勇者の一人が真奈美で、まぁその男勝りと来たら中の人まんま(爆)。ノリノリで「ついてこい、下男よ」と聡(さとる)に言う様がmyツボです。

もう一人の勇者が寓話の世界の中の戦士(小西遼生さん)で、婚約者と信じる美少女・おさえ(TPD上西星来さん)のためにもと「奇跡の剣」を探しに出る。

しかしその勇者たちを阻む者、市長(吉野圭吾さん)、シスター(篠井英介さん)…といった面々が画策を始める。街の平和は取り戻されるのか。

…といったストーリー。

G2さん&後藤ひろひとさんといえば、すぐ思いつくのが『MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人』(通称『ガマザリ』)。タイトルと似ても似つかぬハートウォーミングさと、ちょっぴりの毒といったところは、当作にも通じるところがあって。

少女と気持ちの通じ合う相手がいて、その2人を取り巻くちゃきちゃきの男勝りがいて。向こうの男勝りは光岡役(2演目の新妻聖子さんで拝見)、こちらの男勝りは真奈美役(大塚千弘さん)というわけで、まぁ私の大好きな方面のキャラクターですね(笑)

千弘ちゃん、恐らく初めてと思われる殺陣をかなり頑張ってこなしています。剣術が飛び抜けて上手というわけではないのですが、「いっぱいいっぱいながらもかなりの剣の使い手」というポジションに上手く嵌っています。

既視感があったのですが、高橋由美子さん(当時29歳、今の千弘ちゃんと同年齢)が『花の紅天狗』の劇中劇で見せた茜役での剣術がちょうどこんな感じでした。「私が何とかします」のいっぱいいっぱい感がそっくり。

男を必要としない男勝りっぷりもそっくり(爆)なんですが、でもそれは「強がり」というか「怖さと向き合っていた」んだなと思える、この物語のラストの真奈美のいじらしさは結構好き。

寓話の中で出会うおさえとカビ人間(佐藤隆太さん)。カビ人間はかつては美しい顔と醜い心を持っていたが、病により美しい心と醜い顔になり(つまり入れ替わり)、街の人々に嫌われるようになったが、それでも町の人のために毎日鐘を突いている。正午10分前。みんながお昼を迎えられるように。自分以外は鐘を突けない、という信条のために。

そしておさえの病は、「思ったことと逆のことを言ってしまう病」。それゆえ口を開くことを恐れている。自分の言葉が他人を傷つけてしまうから。

その2人が出会ったことで生まれる不思議な空間。おさえの病をカビ人間はなぜだか見抜いてしまう。言葉では逆のことを言っていても、なぜだか彼には思いが伝わる。それはカビ人間が「言葉ではなく気持ち」を受け取れる人だったからなんだろうなと。

おさえが利用され、窮地に陥るカビ人間。それでも「自分のやることは『鐘を突くだけ』」と皆の前に歩いていくカビ人間。そのカビ人間を救うためにおさえが取った手は、なるほど予想通りの話ではありましたが、心を閉じていたおさえにとって、自分を救ってくれた彼に対する、彼女なりの答えだったんだろうなと。

内面の醜さを持つ悪者に対して、外見のみに醜さを持つ者が勝利を収める姿は、なんだかすっとするものがありました。

この人は終演後トークショー。司会は当初、この作品のプロデューサーであるPARCOの方でしたが、メンバーに「後藤さんの印象」を聞いてたら後藤さんが登場して司会を乗っ取る。トークショーって結構見てますが、司会を乗っ取った人なんて初めて見ました(笑)。

この日のトークショーのメンバーは白洲迅さん、大塚千弘さん、小西遼生さん、明樂哲典さん。

全体的にちーちゃんと小西くんが通じ合ってて、本来ならちーちゃんとカップルなはずの白洲くんがなぜかいじられキャラに回されてて。「チャラい」とか散々言われてて本人はたいそう不本意な模様(笑)。白洲くんの某キャラが「出落ち」とまで言われてたけど、あれは「出落ち」以外の何物でもない(笑)。むっちゃ笑いましたもん。何の役にも立ちそうにないのに、でも効果抜群だったのは面白い展開だったなー。真奈美を救ったのはあの出落ちですもんね。「あんたなんでそんなカッコしてんの」の真奈美の醒めまくった視線が実はわたくし、超ツボでございまして(爆)

そういえば戦士役の小西遼生氏は戦士の衣装(要はとても暑い)のままで登場し、あおぐために持ってきたうちわがなんとTPD(東京パフォーマンスドール)のうちわというのが絶妙にお上手でした(笑)。そういうとこ、こちら昔取ったなんとやらで気づくんですよね(爆)。

後藤さんのテンポがこの作品の笑いのたっぷりさを思わせるとてもいいテンポで客席を乗せまくり、あっという間の15分。あそこまで嫌味なく笑いを取れるってすごい。作品もトークショーも。

この作品の魅力の一番は、「構えず笑える」ことなんですよね。笑うことに後ろめたさを感じないでいられる。それでいて最後は勧善懲悪の上での、ある意味大団円。笑って笑って最後にほんわり。それはできそうでできないこと。素敵な物語を見られて良かったです。

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『さらだやん 5まいめ』

2015.10.4(Sun.) 13:30~15:00
原宿ストロボカフェ

1年ぶりのさらだやんLive、今回が5回目(自分は2回目)です。
岡村さやかさん(愛称:さらださん)、池谷祐子さん(愛称:やんさん)の愛称を組み合わせてのユニットです。

まずはセットリストから

<1st>
1.These Boots Were Made For Walkin'/ナンシー・シナトラ
2.All That Jazz/CHICAGO
3.知らなかったこと/ダディ・ロング・レッグス
4.愛と死の輪舞/エリザベート
5.私が踊るとき/エリザベート
6.美女と野獣メドレー
 6-1.Be our guest
 6-2.夢叶う
 6-3.愛せぬならば

<2nd>
7.ビリー・ジョエルメドレー
 7-1.Piano Man
 7-2.movin' out
 7-3.honesty
8.秋桜/さだまさし
9.ハイッ! ハイッ! ハイッ! ハイッ!/FUNK THE PEANUTS
10.You've Got a Friend/キャロル・キング


11.ららら Love Song/大黒摩季
 ~夜空のムコウ/SMAP

M1から曲名覚えていないというのも締まらない話ですが(苦笑)、さやかさん曰く「元は英語で勝手に日本語歌詞をつけました」(←よくある)という話で、検索しても見つからない(笑)。アップテンポのいい意味でふわっふわっした曲でした。ピアノの酒井和子さんのBlogで判明しました→こちら

M2はカッコいい系ですが、このお2方の男前のカッコよさときたら折り紙付きなわけで、きっとこれで踊れたら最強ですよね(某方面に勝手にプレッシャー)。

M3、念願のDLL再び。実際はさやかさんのソロライブで同作品の曲を歌われていたので、さらだやんには初登場ですが、「無理やりにでも2人で歌う」(byさやかさん)とのことでジルーシャとジャービスパートを交代でされていて私得。さやかさんのジルーシャがイメージにぴったりなんです。もちろん本役の坂本真綾さん演じるジルーシャも大好きなんですが、「強がることしかできない不器用さ」がとても被るんです。ツンデレのツンですね(後述)。

M4とM5はエリザからのデュエット。やんさんのエリザに対する説明がバッサリ過ぎて笑う(笑)。「エリザベートは皇后にあっても自分が自由でありたいと思う。そこに黄泉の国からトートが『俺のもとに来いと誘う』」…「私見です」と強調されてましたが(笑)。

この2曲は当然トートとシシィのデュエットなのですが、とても良かったのが、2曲で担当を変えていたんです。M4「愛と死の輪舞」は、やんシシィとさやかトート。M5「私が踊るとき」は、さやかシシィとやんトート。女性としての芯の強さ(シシィ)と男性としての芯の強さ(トート)は、2人それぞれ聞きたいですからね。まぁ役替わり公演みたいな(爆)。その中でも、やっぱりさやかトートの押し出しときたら....

さやかさんの歌って前と比べると変わったなと。身体の中から出していた声が、身体の底から出しているように変わった感じ。さやかさんの歌は元から感情歌として持っていかれるところはありましたが、より重く、より強く伝わるようになった感じがします。トートがそんな重さだから、やんさんのシシィも光ります。トートに迫られて満更じゃない感じが2人の関係性にぴったりです(笑)。

ただ、シシィって「無自覚に唯我独尊」キャラなわけで、そうなるとやっぱりさやかシシィが、これまたぴったりな訳で。で、やんさんはシシィよりはトートの方が合う。2人比べると男前さはやんさんに一日の長があるので、トートがシシィにすげなくあしらわれるというストーリーの点からしても、さやかさんとやんさんなら、やっぱりさやかシシィとやんトートが相性としてはリアリティありという感じです(爆)。

いずれにしても2人で2曲で2役を付け替えるのは超満足。

M6は美女と野獣メドレーで、流れるようなメロディーラインに2人の歌声が乗って、素敵な空気感。2曲目はラストシーンでベルが野獣に「死なないで」と願う曲です。この3曲がなぜメドレーで繋がるのかは謎ですが(爆)。

約10分の休憩をはさんだ後、2幕最初はビリー・ジョエルメドレー(M7)。これはやんさんリクエストだそう。
専門学校当時、ビリー・ジョエルのカタログミュージカル(ビリー・ジョエルの曲によって構成するミュージカル『ムーヴィン・アウト』)がやっていて、周囲が盛り上がりまくっていたけど自分は距離置いてて(笑)、でもなんか気になって今回やりたくなったという、不思議な論理構成が(笑)。

ちなみに「ビリー・ジョエルが」と言った時に客席の一部から「おおっ」の声が上がり、さやかさん曰く「こんな反応あると思いませんでした」と。そしたらやんさん「そういう年齢の皆さま」と暴走し(笑)、さやかさんが「年齢関係なく素敵と感じていただける」とフォロー。美味しい(笑)。

実のところトークで最初に走り出すのはさやかさんで、1stから結構な暴走ぶりだったのですが、それにつられてやんさんが暴走すると、途端にすっと身を引くさやかさんの巧みさ(爆)。さすがやん(笑)。

自分も「honesty」はツボ世代です。なんかちょっと悔しいけど(爆)。

M8は「秋と言えば」ということで舞台を日本に戻してのさだまさしさん。ミュージカルを歌われている方はメロディーラインの綺麗な曲を歌われると皆さんお上手ですが、至高のお2人だけに心に染み入ります。

M9はレミゼでやんさんが共演してた浦嶋りんこさんのユニット(ドリカムの吉田美和さんとのユニットです)から。歌うって言ってないらしいですが(笑)。

2人の関係性という意味でM10もぴったりな選曲。ここまで実質70分(休憩除く)ですから、時間の割には曲数が多いですね。

M11のアンコールは会場のストロボカフェさんからの「前回一番良かった曲」というリクエストで、2曲合作の「ららら&夜空のムコウ」。自然に2曲が1曲に繋がっているのが気持ちいいんですよね。この曲。また聞けて嬉しかったです。

が。

アンコールでハプニング発生。正確には本編のハプニングですが、

さやかさん「すいません、告知してませんでした(笑)」

…そうなんです。告知(宣伝)がどこにもなかったことにアンコール入るときに気づいたみたいです(笑)

さやかさんはまずは12月のOneOnOne「BIRDMAN」。歴史物と童話の合作ということで、今回は歴史物はライト兄弟、童話はオズの魔法使い。
さやかさんの役は「ツンデレドロシー」だそうで(会場内爆笑)。

(参考:OneOnOne主宰の浅井さやかさんが、岡村さやかさんが演じた「Before After」のエイミー役を見て、「次はさやかにツンデレをやらせたい!」と仰ったそうですw)

さやかさん曰く「『ツン』はあるんですけど『デレ』はないんで、『デレ』を学んで他にも生かしたい」と言ったら会場内にこの日一番のさざ波が(爆)。

あとこの日12時発表、「tick tick Boom!!」のスーザン役で出演(2016年2月、シアター風姿花伝)。
そのせいもあってか、「ダンスを習いに行きたい」と仰ってましたね(スーザンはダンサー)

やんさんからは12月のTipTap「Play A Life」と、来年2月の「ピアフ」(シアタークリエ)。この「ピアフ」、看護婦役ですが前回はさやかさんがされた役なんですね。

演奏メンバー、ピアノの酒井和子さんからは「来月笹本玲奈さんのファンクラブイベントで演奏します」というお話で、あぁ、どこかで拝見したことがあると思ったら!という謎が氷解。確かに前回だけ別の方でしたがそういえば!と納得です。

そしてさやかさんの格好のいじり対象、土井一弥さんからはゲーム音楽を演奏するLiveの告知が。

さやかさん「去年の私のライブの時、昼と夜の間、私のライブの曲は全く弾かずにずっと(Liveする)ゲーム音楽弾いてるんですよ。耳に残ってイラッとするぐらい(笑)

…と、やっぱりいじられている土井さん。でも、去年のさらだやんライブの時に「来年の夢」で「さやかさんのCD作りたい」と言っていただいた土井さんのおかげで、5月にさやかさんのCDが出て(この場で物販する分が存在しないのがさやかさんらしいけど(たぶんみんな持ってる笑)、今年の抱負は「自分のCDを出すこと」。さやかさんは最初は「私は何もできませんけど」って言ってましたが、最後には「もちろん宣伝はしますよ」と訂正してました(笑)。

さやかさんとやんさんの組んだ機会を、今回さやかさんが数えられたそうで、さすがにアカデミー時代は除いて、Galaribbon時代は加え、マチソワの時は1と数えたそうで、

さやかさん「何回かと思ったんですが、12回あったんです」
やんさん「意外に少ないね(会場内爆笑)」
さやかさん「や、盛り上げ過ぎた(笑)」

というやりとりに爆笑。

それでも「12回違ったものを作ろうと思ってきた軌跡があって」と仰った言葉の通りで、2人が2人とも、お互いがいやすい空間だから、これだけ長く続いているということを実感。ボケもツッコミも勿論歌も、すべてが容赦がない空間(笑)、これからも続いていきますように。

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『マンザナ、わが町』(1)

2015.10.3(Sat.) 15:00~18:15
紀伊國屋ホール A列10番台(センターブロック)

こまつ座さん公演初日、観劇してきました。

太平洋戦争初期、アメリカにいた日系人を強制収容した施設の一つ、マンザナ特別収容所がこの作品の舞台。そこに収容された5人の女性の感情のぶつかり合いから、「アメリカ」「日本」といった位置づけを見せていく物語。

「戦時中」「収容」というキーワードはあれど、表面上は悲劇的に「死」を直面させるようなものは見せず、シーンによっては笑いも起こしながらいつの間にかテーマに接近していく様は、井上ひさし先生の作品ならでは。

メンバーの5人はまさに多士済々。リーダー格は日本語新聞を主宰するソフィア岡崎(土居裕子さん)。年長のマイペース、浪曲師のオトメ天津(熊谷真実さん)。映画女優のジョイス立花(吉沢梨絵さん)、マジシャンのサチコ斎藤(伊勢佳世さん)、そして歌手のリリアン竹内(笹本玲奈さん)。

職業もポジションも違う5人が代わる代わる喋り、時には歌いますが個性バラバラに見えて共通しているのが、結構な問題児ばかりということ(笑)。まぁ常識人じゃないのは見てて分かるんですが、話を聞いていくと揃いも揃って筋金入りの強硬派というか、一筋縄ではいかない登場人物ばかり。

だからこそ時にぶつかる様が正面衝突で、傍から見ているととても興味深いです。

日系1世(オトメ天津)と日系2世(リリアン竹内)の対立がそれにつけても一番派手かな。ジョイス立花が1世側について、「日本側」の立場を取り、リリアン竹内、つまり玲奈ちゃんが孤軍奮闘するあたりの、勝てなかった時のふくれっつらがとっても可愛いです(爆)

今回のリリアン竹内、玲奈ちゃんの衣装はご本人も言及してましたが、『ミー&マイガール』のサリーにそっくり。実際、ミーマイのタップダンスみたいなシーンもあって、とてもわくわくします。何より1幕、これでもかというぐらい玲奈ちゃんの笑顔がいっぱい見られます。それこそミーマイ以来かもしれない。

実は笑顔女優よりは貧乏女優や死亡女優(爆)という面が多い玲奈ちゃんにあって、ここまで笑顔たっぷりなのは嬉しい誤算です。

でもだからこそ、その笑顔は色んなものを押さえて出ていたものなのだ、ということを感じられる2幕は見ててつらい面もあって。

「自由の国アメリカ」での生活を夢見ていた日系人が、何の根拠もない大統領命令一つで、今まで築き上げてきたものをすべて奪われて、連れてこられた強制収容所。

ここに登場する5人は、当たり前のことながら「強制収容所に入れられた」ことに対してショックを受けている。
そのショックをやり過ごすために、とある人は現実から目をそらし、とある人は現実に攻撃的になり、とある人は他人に攻撃的になったりする。お互いの諍いも起きる。

いちいち相手の行動に茶々を入れていた行動は、2つの出来事をもって変わっていく。その出来事自体はネタバレなので言及しませんが、1つ目の出来事で感じたのは、「存在位置」の重要性。

この物語の興味深いのは、登場人物の軸足がそれぞれ違うことを許容しているところ。

「アメリカにおける日系人」だからこそ、「日本的なものの見方を自分の立ち位置としている」人たちと、「アメリカ的なものの見方を自分の立ち位置としている」人たちという”両方の存在を許容できるのだと。

だからといって前者の人がアメリカを視界の外に置いているわけではなく、アメリカに自分の意思でいる以上、アメリカに対する憧憬は存在する。後者の人が日本を視界の外に置いているわけではない。

「アメリカ的なもの」を、両者の人々は共有できるのだ、ということを『God Bless America』、「日本的なもの」を両者の人々は共有できるのだ、ということを『おぼろ月夜』で聞かせて(見せて)いて、その両方がリリアン竹内が歌う歌であることに、なんだかとても強く印象付けられ、とても嬉しい思いを感じました。

4人が共有できるものがあるのに1人はその共有ができない、ことからわかった1つの事実。それは5人を4人にするほどの衝撃を持つものであったのに、それはあっという間に解消する。
短いとはいえ一緒に過ごした者として、「彼女には『依って立つものがない苦しみ』があった」ことを知ったからじゃないかなと。形と内容は違えど、「同じ『苦しむ』仲間」だったことが5人の絆を強くして。

そして起こった最大の危機に向けた、仲間の恐ろしいばかりの団結力、そして機転はエネルギーたるや凄まじく、爽快の一言です。このお芝居は男性は1人も出てこなくて、女性ばかり5人の作品ですが、実際、男性がそこまで心を強くいられるかといえば、確かに難しいかもしれないと思えます。男性の心を折る方が結構簡単かなと。女性だからこそのエネルギーというものが確かに感じられました。

劇中に出てくる「アメリカにおける『町』とは自治組織を政府から認可されることにより成立する」という言葉は、5人の仲間が立ち上がった「(強制収容所の中における)自治」を認めさせたこととも繋がっていて。この作品のタイトル『マンザナ、わが町』における「マンザナ」はただの地名ではないのだなと。

5人が支え合い、ぶつかり合い、そして「みなが違うことをお互い認め合って」、5人の団結力でその存在を認めさせたもの、それが「マンザナ」であり、だからこそ「わが町」なのだなと。

戦争という大きな波の中で、それでも今を生きるために、それぞれが苦しんで出した答え。
その答えをお互いが拒むことなく「異質を認める」形でエネルギーに昇華した様は、とても気持ち良かったです。

5人の女優さんはそれぞれ本当に個性的で、でもこの方たちにしかできないエネルギーに溢れていました。

土居裕子さん。MA以来ですからもう9年ぶり。
精神的にも存在的にもリーダーであり続けたその説得力の高さに圧倒されます。
それでもその実、「壊れそうな自分と戦っていた」自分は自分だけではトンネルから抜けられなかった。
4人がいたからこそ乗り切れた。その実、誰にも助けを求められない性格だったところを救われた様がとても印象的でした。

熊谷真実さん。初見ですが役柄的にとってもウザくて(褒めてます念のため)、でもだんだん癖になっていく自分に笑えます(笑)。
自分の殻に閉じこもっていた前半から、この方も仲間にいい意味で変えられて前に進んでいく、ちゃっかりさはそのままに(笑)ってところがとても面白かったです。

伊勢佳世さん。初見ですがこの方もキャラクターむっちゃ立ってましたね。
色んな意味でムードメーカー。良くも悪くも。それでいてなぜか憎めないのが不思議なところです。

吉沢梨絵さん。ルドルフ再演、「Ordinary Days」、「I HAVE A DREAM」ときて4作目。
ゴージャスな衣装がとても似合う。さすがのスタイルがまさかの(ネタバレ略)でびっくりです。最前列のメリットを存分に享受いたしました(笑)。
色んな意味でお高く止まっていた役どころでしたが、プライドが高すぎることもなく、皆と接することで今までの自分を振り返ることができた様が印象的。わざと1音ずらして音痴にするあたり、実際は歌が上手じゃなきゃできないですよね。

笹本玲奈さん。2回目のこまつ座、2回目の鵜山さん演出。どちらの面からも居方が分かってきたせいか、予想以上に役がイキイキしていてびっくり。
舞台における役柄って、役の大きさと役者の大きさの掛け算で決まると思っているのですが、思った以上にこの作品にいる意味を見せてくれて、この作品のクオリティーも上げていてくれたことが正直、とても嬉しかったです。無条件に甘えることができるシスターマリア、土居裕子さんがいらっしゃることもあって、緊張せずに座組に自然に居られている様を拝見していたので、予想がいい方向に当たってとても良かったです。

思った以上に楽しめて、思った通りに考えさせてくれる充実の作品。
また拝見できるのがとても楽しみです。

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『WORKING』

2015.10.2(Fri.) 19:30~21:10
新宿村LIVE C列10番台(センターブロック)

一般社団法人映画演劇文化協会「ハロー・ミュージカル・プロジェクト」の無料公演、行ってきました。
仕事が佳境なのでぎりぎりの会場到着。「10分前までに到着しない場合は…」の注意書きに戦々恐々としつつ、手にした座席券はセンターブロックというかセンターそのものでした(目の前の立ち位置番号が「0」なので)

様々な人たちの「Working」を語りつなぐオムニバス形式のミュージカル。輸入物ですが、音楽は今回用にかなり書き換わっているようで、小澤時史氏(某嬢曰くの「世界の小澤」)演奏で、演出は上田一豪氏なので、随所にTipTapぽいシーンもちらほら。

一番噴いたのは、伊藤俊彦氏が染谷洸太氏に「釣りはいらねぇ」というシーン。一部に大うけだったこのシーン、TipTap『Second Of Life』の、寝坊して会社に向かうときに捕まえたタクシーシーンのオマージュですね(染谷氏が乗客、伊藤氏がそれはそれはデフォルメされたタクシードライバーで、散々ドライバーにかき回された挙句、キレた乗客が『釣りはいらねーよ!』と降りるという)。

前半は自分が「Working」した後の「Working」だったせいか、集中力が続かないことも何度か。ひたすらに登場人物が早変わりで別々の「Working」を語るので情報量が半端ない反面、「共通点がどこにあるのか」を探そうとしていると存外に疲れました。正直、登場人物はもう少し絞った方が良いと思います(役者さんは今の人数でちょうどいい。ちなみに男性3名・女性3名)。

前半を見ていると「Working」そのものというより「Life」(人生)の側面を感じました。
タイプ的に分類すると「仕事があってこその人生」というタイプと、「人生のために仕事をしている」というタイプ。
前者は仕事に並々ならぬプライドを持っているけれども、”仕事を奪われたらどうしよう”という思いから意識的に目をそらしている感じがあり。
後者はドライに生きているけれども、その仕事を選んだことには理由は持っていて、どんな仕事でもいいわけじゃない。

登場人物の「Working」はほぼ交わらなくて、複数の登場人物の人生がただ並列に並べられる構成の部分は、歌はみなさんお上手でお芝居も安心して見られますが、実際に心揺さぶられるのは、複数の人が絡む部分なんですね。

一番惹きつけられたのは「石」を掘る仕事をしている男2(Aチームは染谷洸太さん)が「石はずっと残る」と言っているシーンで、舞台反対側の上から、男1(Aチームは川島大典さん)が優しく歌で包み込むシーン。
男2は人生を回想するという面で登場していて、染谷氏の年配役の説得力ときたら、それはそれは絶品なわけで(『I LOVE YOU, YOU'RE PERFECT, NOW CHANGE』通称「なうちぇんじ」で実証済み)、あれだけ若いのに、確かに人生の重さを伝える表現力が素敵です。

「ちっぽけな自分であっても、作られたものは残る。石は半永久的に残る。それは自分が生きた証」ということを表現していて。それを見つめる男1の優しい歌は、そんな男2への温かいエール。「君の生きた証、それは世間への影響力の強弱とかで測られるものではないんだ」ということをとても素敵に伝えていて、この1シーンを見られただけでこの作品を見て良かったというか、一番必要なパートだったんじゃないかと。

というのも、これがこの作品のラストパートのメッセージに直結していて、男3(伊藤俊彦さん)が語る、「この建物にかかわったすべての人の名前が建物に記されていたら、それは素敵なことだし、語り継がれることで息子や家族に伝えられていくことができる」という言葉には深く心に刻まれるものがありました。

以前、「地図に残る仕事」というキャッチコピーが某建設会社さんで出たことがあって、それと同質の感動を感じました。

「Life」でなくて「Working」である理由。
ただ生きるだけでは何も残せないかもしれない。
ただ働くことで何かは残せる。
それは誰かに軽重を測られるものではなくて、確かに自分が生きた軌跡であり意味。
だからこそわれらは「Working」するのだというメッセージが伝わってきて、胸に迫るものがありました。

見終わった後見上げた町は新宿の高層ビル群。かつては淀橋浄水場として使われた土地に、次々と建てられた高層ビルの1つ1つ、1階1階に、無数の人たちの労苦が刻まれていることを感じさせられて。

ただの偶然かもしれないけれど、この作品が「新宿」で上演されたことの意味を感じて、なんだかとても腑に落ちたものがありました。

登場人物としては伊藤俊彦さんと染谷洸太さん、原宏美さんのお3方が既に拝見済み。原さん長身活かしてせくしーでしたね。北村岳子さんのパワーに度肝を抜かれました。1つ心残りなのは折井理子さんがBチームだったので拝見できなかったこと。あの役をどう演じるのかは見てみたかったな。

このクオリティーが無料で見られることに感動しつつ、でも実のところアンケートがあっても良かったんじゃないかと思う。何を感じたかのフィードバックは無料だからこそ必要なものじゃないかなと思う。「ただ何かを持ち帰ってもらえればそれでいい」という観点も大事ですが、「何を思って見に来て、何を感じて帰ったのか」をリサーチして次のプロジェクトに活かす観点は必要なのじゃないかと思います。

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