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『ひめゆり』(2)

2015.7.19(Sun.) 13:00~15:45
シアター1010 4列20番台(上手側)

7月といえばミュージカル座『ひめゆり』の季節。
毎年上演されている作品ですが、私にとっては2013年からの観劇なので3回目。

以前から気になっていつつも、きっかけは2013年のキミ役が彩乃かなみさんだったからでした。
今回のキミ役は2年ぶりの元宝塚娘役、はいだしょうこお姉さま。

去年のキミ役の方はそれなりに好きな役者さんだったんですが、キミ役を茶髪で演じられたことにちょっと自分的にひっかかりを感じまして(以下自粛)。

キミはひめゆり学徒隊の中でこの作品のメインとなるいわゆるヒロイン格の役ですが、かなみん、しょうこさんと観ると、とても元宝塚娘役に合う役だなと。

相手役を立てることに違和感がなく、可憐ながら芯もあるという側面がぴったりくる感じ。
喩えると”吸収力の高いスポンジ”、って感じが共通している気がします。

いきなり戦地の病院に従軍することになり、どうしていいのかわからないところから始まって、前を向き兵士たちの助けになろうとするさまがぴったり。
歌が歌えるのはもともと分かっているのですが、キミとしての作品が求めるピュアさをとても自然に表現されていて、素敵なキミでした。

キミがそういった方だと自然とカンパニーがまとまるのか、3年間観た中で個人的にマイベストになった今回の公演。今回は岡村さやかさん、水野貴以さん、田宮華苗さんと気になる方が3人とも星組となった関係もあって、観劇は星組になりました。このお3方、なぜか今まで誰かが別組というパターンばかりで、あえて言うなら個人的なドリームチーム(笑)。

はいださん演じるキミと一幕でペアを組む岡村さやかさん演じるふみ。

去年と同役なのですが、その迫力の凄さに圧倒されます。ふわっとした柔らかさが持ち味なさやかさんですが、妹を守るためには何でもする、妹を傷つけるものは誰だって許さない、その感情がここまでダイレクトに伝わってくるとは驚きです。去年と受ける印象がいい方向に全く違います。

思えば、さやかさんにとって『ウレシパモシリ』の唄1役は大きかったんだなぁと強く強く痛感しました。
ややもすれば小さくまとめてしまうことが多いように思えた彼女の歌唱が、リミッターを外して表現できるようになったからこその印象の強さ。しょうこさんのキミも素敵でしたが、全くひけをとらずにふみが存在されていたことで、一幕がとてもバランスよくなっていました。

もともとふみは準プリンシパルの位置づけで、キミが生を全うするのとまた別のルートで生を全うする、いわゆる「対になる」役ということを改めて実感。カーテンコールの2列目でもセンターで、お辞儀の号令はさやかさんでしたからね。

たみーこと田宮さんは今回、ついに級長。やぁ、ポジションぴったりすぎる(笑)。三人組の別称”息抜きシーン”がたみーがセンターなことでとっても濃くなっててたっぷり癒されました。おかしみはあっても、案外生き延びるってそういうことゆえなのかもしれない、とも思えてくるあのズッコケ三人組は結構好きです。

水野さん(貴以ちゃん)のゆきといえば名曲「小鳥の歌」。作品的なポジションとしてはアンサンブルの何番目かになっていますが、この曲ゆえに大きいポジションともいえる役。裏返すと「普通の生徒たちを代表しての存在」としてのあの曲でもあるのでしょうね。

他の登場人物についてもつれづれと。

上原婦長役は2年ぶり2回目の木村花代さん。花代さんは四季を退団されてからしか拝見していなくて、一昨年の上原婦長役が2役目(1役目は『ミス・サイゴン』のエレン役)ですが、凛とした立ち姿といい説得力といい、とても素敵な佇まいです。

ただちょっと気になるのは強さ一辺倒な感じがして、特に後半に優しさが欲しいかなと。頼るものがない学生たちにとって唯一の希望の上原婦長は、職務に対しては厳しくて当然ですが、例えば夢を聞いて回るシーンとかに、もっとほっとする優しさが欲しかったかな。その点は去年の沼尾さんは自然に優しさを出されていたので懐かしさを感じたりしました。

檜山上等兵は松原剛志さん。拝見するのは3作目(『Ordinary Days』『ON AIR』)ですが、芝居を通した役作りの真摯さの安定感が凄い。人生を重ねてきている強みという感じ。この役を通してこのメッセージを伝えたい、このメッセージを伝えなきゃ、という姿を語らずとも見せていて流石です。はいださんとのバランスもぴったり。実年齢差が全くわからなくなるペアですが(爆)。

滝軍曹は史上最年少となる小野田龍之介さん。正直、1幕ではちょっと押し出しが弱いなぁと思わざるを得ないところがありましたが、その若さゆえに2幕の悲劇性が増していて、「若手軍曹が追い詰められて何も見えなくなっていく様」という意味では、なるほどこの方が軍曹をやる意味が分かった気がしました。松原さんが演じるとなんだか分かって銃弾を弾きそうな感じはあるんですよね。(むしろ松原さんは別の作品でそういう役を見てみたいです)

杉原役の染谷洸太さんも好演。いずれは滝軍曹や檜山上等兵をやっていく役者さんになられるのだろうなと思わせる存在感。何度か拝見していますが、アンサンブルさんの中でも特に目を惹く存在で、演じているときに役が地に付いている感じが好きです。なお、私にとっての染谷氏のベストアクトは今も変わらず、なうちぇんじの赤ジャケットさんですけど(爆)。

・・・・

『ひめゆり』を見ていると、確かに1年が経ったんだな、と思うようになりつつあります。
一年前に見た感情は、今の自分にはどう写るかと思いながら見ることが、なんだかとても意義深く思えて。

きっとこの作品が演じ続けられているのは、当たり前のことではなくて。
この作品を通じたメッセージを届け続ける意味のために、
”『進み続ける』ことの大切さ・大変さ”を、毎年教えてもらっている気がします。

この作品の初見から毎回頭に浮かぶ言葉は『継続は力なり』という言葉です。
願わくば、思いのバトンが来年以降もつながっていきますことを。
その時は、今年の星組のキャストはみんなそのままで見たいぐらい、素敵なチームでした。

なお、来年の上演予定はすでに発表されており、2016年7月14日(木)~19日(火)、上演場所は同じくシアター1010です。

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