« 『アイ・ハヴ・ア・ドリーム』(1) | トップページ | 『Wonder Honey~あの娘は、可愛い魔法使い~』 »

『Sign』

2015.3.21(Sat.)19:30~21:15
中野・テアトルBONBON C列1桁番台

初演はもたもたしているうちに見逃し、今回の再演でようやく初見。
ミュージカル座制作からScore制作に変わっての再演となります。

キャストも大きく変わり、見る日程を迷いましたが、たみさん(田宮華苗さん)とあっこさん(上田亜希子さん)を軸に据えてこの回に。
結果振り返ると、全員見たことがあるキャストになっていてびっくり。

tekkanさんはレミ、サイゴン、『Count Down My Life』、堀江慎也さんは『カルメン』、田川景一さんは『ガイズ&ドールズ』。田宮華苗さんは『なうちぇんじ(I Love You,You're Perfect,Now change)』、上田亜希子さんは『Count Down My Life』『炎立つ』、吉田萌美さんは『ラブ・ネバー・ダイ』『アルジャーノンに花束を』。

それもあってか、今まで見てきた演者さんのイメージの延長で安心しつつも、「おおっ」と思う新しい面も見られて良かったです。

東京をテーマにしたオムニバスストーリーミュージカルで、今まで自分が見た作品の中では『なうちぇんじ(I Love You,You're Perfect,Now change)』に近い印象を持ちました。

先だって、2月に武蔵野芸能劇場で玄海椿さん(平田愛咲さんのお母さま)の一人芝居『夢追い路』を拝見していて、この作品の中にも出てくる『夢追い』(M14)のストーリーも分かっていて(竹久夢二と、彼を取り巻く女性の物語。実際は時系列が逆で、初演の『夢追い』をご覧になった玄海さんが、藤倉さんに書き下ろしを依頼したのだとか)懐かしささえ感じました。

その時、この作品の演出の藤倉さんがご自身で歌われていた『旅』という曲も聞いているので、この曲もなんか再会できた気分。今回、田川景一さんがこの曲を歌っているのですが、とってもわんこっぽい(笑)。この曲、忠犬ハチ公の歌で、主人が帰ってこないのにずっと待ち続けたエピソードをもとに作られている曲なわけですが、なんというか田川さんのポジションが絶妙すぎて。初めて聞いた時も感じましたが、途中までハチ公の歌だと分からないところに、「あれ?おおっ」って感じでこみあげる瞬間が好きだったりします。見上げると田川氏のわんこ風。うん、説得力抜群(こら)。

印象的なストーリーが、「雨天決行」(M5,M11,M19)。これ、三億円事件をモチーフにした作品なのですが、上田あっこさんのバイクライダー姿が絶句するぐらいに格好いい。いや、犯罪のストーリーなのは分かってはいるのですが、いや、『バイクに乗っていたのは実は女性だった』という説もあり得るぐらいに嵌っていました。
別に犯罪を肯定するわけでも、この作品での考え方を肯定するわけでもないんですが、3人が「同じポリシーを共有」したからこそこの事件は迷宮入りした、というストーリーは実際にこの事件に対する捉え方の一面だったように思うので、さすが上手くねじってあるなぁと。1回目の打合せで理念を共有できなかった一番若い女の子(吉田萌美ちゃんが演じていました)は、2回目の打合せ以降は登場していないあたりもなるほどなぁという感じです。

M15の「TKS」のあっこさん&田川さんのペアも最高すぎでした。新宿歌舞伎町の某サービス料施設の部屋係。なんといってもあっこさん、あのポジションならそりゃへそ曲げるよなぁ(笑)。華麗に舞い踊り、それはもう凄いモップの往復でしたが、2度目が見事に取り損ねて、2人ともとんでもない倒れ方してましたが、あれ、ハプニングですよね・・・(爆)・・・まさか演出だったり・・・

そして『で、ミゼラブル』。動画でたみーのライブ版を拝見していますが、実際に鈴木さんカップル(男性はtekkanさん、女性は上田あっこさん)と佐藤さん(たみー)が並ぶと視覚的に破壊力が抜群で(笑)。後の三人も名札付けているんですが、みんなそっちは見ていなことに笑う(笑)。この曲の肝って最初ですよね。『舞台俳優の世界は狭い』・・・なるほどなぁと(爆)

よりにもよって親友役、『仲悪そう』って演出家からダメ出し、ってところに爆笑。
この回特有の関係性かもしれませんが、たみーと上田あっこさんの組合せだから面白さ倍増なんですよね。たみー演じる佐藤さんの元彼が鈴木さん、そして現彼女も鈴木さん。で、あっこさんは長身だからたみーを(見た目上)見下ろす感じが絶妙でして。もう1チームのいいめぐさんと貴以ちゃんの組合せもなんか意図が分かります。見た目って大事。

ストーリーの中で一番印象深かったのはM21の「手紙」。
出征した夫、留守を預かり子どもを守る妻。夫から妻への手紙は、昭和19年9月と昭和20年1月。夫の任地は東京都の最南端、硫黄島。本土防衛最後の砦と言われ、昭和20年3月に米軍に陥落した島。

夫は最期の時を覚悟し、子供たちを妻に託し、妻への感謝の気持ちをしたためて。
その夫はtekkanさん、奥さんは田宮さん。
とにかく2人とも本当に格好良かった。自らの立場の限界の中で、やるべきことをなした2人。その2人が場所を離れて歌うこの曲は、”音楽の力”を思わせるものが確かにあって。手紙ももちろん感動するのですが、手紙だけじゃ伝わらないことを、音楽がきっちり埋めていることに感動して、きっとそれがこのテーマをミュージカルの中で取り上げる意味なんだろうなと思えて。

ラストの「Finale」ではセンターに萌美ちゃん、後ろにたみーがいて、下手側にあっこさんとtekkanさん。なんか「鈴木さん」2人が萌美ちゃんを立派に育てたようにも思えて、そして「佐藤さん」はそれに微笑んでいるように見えて。
もう一面で「夫と妻」の関係ともリンクしているように思えて。
そして、M15の「Resign」で”これが自分の進む道”だと確信した萌美ちゃん演じる女性の未来ともリンクしているように思えてきて。

ばらばらなように見えて、多分もっともっと各シーンがつながり合っていると思うこの作品。オムニバスとはいえ、むしろオムニバスだからこそ、軸がないとバラバラになっちゃうように思えて。

この日拝見して、『sign』の軸は”登場人物が前を向く気持ち”なんじゃないかと思えて。
見終わって清々しい気持ちになれたのは、”冷たい街”と思われそうな東京の街が、人々のハートによって”生きている街”ということを実感できるからじゃないかと思ったのでした。

出演者によってまた色が違うというこの作品、今回は1回だけの観劇でしたが、またぜひ他のキャストでも拝見してみたいです。

|

« 『アイ・ハヴ・ア・ドリーム』(1) | トップページ | 『Wonder Honey~あの娘は、可愛い魔法使い~』 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/74093/61317442

この記事へのトラックバック一覧です: 『Sign』:

« 『アイ・ハヴ・ア・ドリーム』(1) | トップページ | 『Wonder Honey~あの娘は、可愛い魔法使い~』 »