« 『TRAILS』(1) | トップページ | 『ON AIR~夜間飛行~』 »

『TRAILS』(2)

2015.2.1(Sun.) 16:30~19:30
池袋シアターグリーン BIG TREE THEATER
F列10番台

始まったと思ったらあっという間に終わった、この日が千秋楽。
今回、「1/28~2/1」の公演が4つ重なりましたが(『TRAILS』の他に、光が丘のヒトカ、青山のたきとも、銀座のパルレ)、諸々の余裕を考えて、この公演一本に絞りました。ただ2チーム制のところ、片チームに寄せての観劇だったので、金曜ソワレとキャストは同じ。さやかさん&五十嵐さんのペアでの観劇です。

金曜日は超良席という最前列どセンターで、それはそれでとってもありがたかったのですが、上手端、下手端に対しては見るのが大変でして、それからすると全体が見えるこの日の席も超良席。ありがたい限りです。

各シーンが途切れ途切れと思えていた初見と比べるとこの日は流れが凄く上手く表現されていて、それは観る側の気持ち故なのかも知れませんが、「なるほどこういう風に見せたい話なのね」というのがより分かるように。



楽も迎えたのでネタバレモードで参ります。よろしくお願いします。



見ていて印象深かった台詞が、エイミーの最期の言葉である「スピード落として」という言葉。

成功の道をひた走るマイクは、有名大学への切符も手にして順風満帆。エイミーへプロポーズするが、何と2度にわたり断られ、車を運転しているにも関わらずそのことも忘れてしまう。そんなマイクにエイミーが言った最後の言葉が「スピード落として」という言葉。エイミーはマイクが運転する車の事故で亡くなってしまった・・・そのお葬式が冒頭のシーンなわけですね。

ただここは、「人生を早く早く進めようとするマイク」に対して「スピードを落として」と言った言葉にも聞こえて。エイミーにとっては、ゆっくりすぎるセスと、急ぎすぎるマイクの、そのどちらも愛していたし、そのどちらにも不満はあったかと思えるわけで。ただ、気持ちの上ではエイミーの本心はセスだったんでしょうね。「俺に付いてこい」のマイクよりは、「君の望むままに」のセスの方が、「Queen」なエイミーにしてみれば良かったのかと思います。

マイクがエイミーに告白したときの、セスが板挟みになり、セスが答えたエイミーの悲しそうな顔が印象的でした。

そういえば、エイミーのことを「ガキ大将」と言ってた知人がいて噴き出しました。
RiRiKAちゃんの仁王立ちはそのイメージにダイレクトアタック(笑)。

・・・

この作品で描かれる「アパラチアン・トレイル」は、元はといえばエイミーが亡くなる直前に彼女の提案で「3人で行こう」と言い出した話が、時空を越えて復活した形で、「マイクにとってはセスに聞きたいことがある、そのきっかけを掴みたい」という話なんですよね。

その厳しさ故に、命を落とす人たちさえいる「アパラチアン・トレイル」。確かに完走することで人生が変わると言われるほどのものだけれど、「三つ巴」というか、マイクとセスは再会するだけでは分かり合えてはいないわけで、日常と違う場に置かれて、それを長く続けるだけで人生が変わるわけではなくて、膠着状態になった時には何らかの外部要因が必要で。

その外部要因を担当しているのがメイン以外の3名。柳瀬大輔さん、岡村さやかさん、五十嵐可絵さん。
「アパラチアン・トレイル」の警備官として3人を見守る際には、本人たちには分からないように存在していて、作品的にはストーリーテラー'sの役割。

もう一面が、「登場人物としてメインの2人に関わる」という点。

柳瀬さんが演じるのはヴァージル。バーでの飲んべぇな人生の先輩。かつては貨物列車の機関士として「決められたことを決められたようにする」ように生きてきたが、とある日に線路を塞ぐ1台のトラック、その運転手(自殺願望ありと思われる)を助けられず死なせてしまい、以来、自分がどう生きるべきか分からず酒に溺れる日々。
「時間は女のようなものだ。時間は抱きしめておけ、今の時間を自分だけの物にしておけ」という言葉は凄いなぁと。そしてこの言葉がマイクに対して発されているのがなるほどなと。「決められたことを決められたようにする」ように生きてきたマイクが袋小路に入ったからこそ、ヴァージルの言葉を真摯に受け止めざるを得なくなる。

さやかさんが演じるのはフェイス。”元気な女子大生”というポジションが、見る前と見た後で印象ぴったり一緒という元気ぶり。彼にプロポーズしてもらえるかも、と浮かれているけれども、実はただ浮かれているわけではなくて、「結婚してこれから一緒に生きていく」ことに対しての悩みを抱えている。でもさすがさやかさんの役というか、本質的に前向きなんですよね。

「最後は『さよなら』で終わる」って言葉がとっても印象的。「だからこそ出会いを大切にしたい」という気持ちが伝わるのはさやかさんらしくて素敵。何というか、「考えていないようで本質を突いている」って役がこれだけ似合う方もそうそういません。ホテルの女主人のやる気のなさも最高(笑)。ポジショニング的にたみさんと被りますが(笑)。

五十嵐さんは”1日TRAILER”のようなトレイル参入組、ママ・ハーレー役。柳瀬さん、さやかさんがマイクへの助言役として続くので、「マイクに問題がある」ように思えたりしますが、彼女はセスにも問題があるということを示すためのポジション。
セスが過去を断ち切れず、前にも進もうとしていない(進めない、というより進もうとしていない)ことを喝破し、「他人のせいにしていることが自分自身の問題だ」ということを自覚させているわけです。

マイクも逃げている、セスも逃げている。だから何も解決しない。
マイクだけが立ち向かっても何も変わらない。セスは優しいから、流してしまう。
セスだけが立ち向かってももちろん変わらない。
お互いが本音をはっきり口にしたからこそ、2人は分かり合うことができて。

その流れを薄くなく見せていたのは、藤岡くんとtekkanさんの相性ゆえなのかなと。
いつもマイクが先導していたのに、最後の丘に登るときにはセスが先に登っていたのがとても印象的。
そしてセスが率先してノートを置いていたことも。

「自分の中の『王国』に閉じこもるだけでは、前に進めない」

エイミーが亡くなった後もセスにだけは見えていたのは、セスが前に向いて歩けないことがエイミーの心残りだったのだろうなと。

・・・

この日は千秋楽ということでキャストの皆さんからご挨拶。
一番手はこのメンバーからすると当然、上手端の岡村さやかさんに。

岡村さやかさん「ご観劇ありがとうございました。フェイスの言葉を借りると『すべてはさよならで終わる』とありますが、それは出会えたからこそと思います。この作品を通して皆さまとお会いできましたこと、感謝しています。ありがとうございました」

柳瀬大輔さん「ご観劇ありがとうございました。ヴァージルの言葉を借りると(笑)『時間を自分だけの物にしておけ』という思いで、時間を大事にして生きていきたいと思います」

五十嵐可絵さん「素敵な作品に関われて幸せでした。ママ・ハーレーの言葉を借りると(笑)『人生は道を作ること』、その言葉を胸に頑張っていきたいと思います」

・・・決めぜりふがもしかすると違ってたらごめんなさい。
なんか「借りると」シリーズの道をさやかさんが作ったもので、みなさん乗っかる乗っかる(笑)

RiRiKAさん「ご観劇ありがとうございました。この作品、そして2人(マイク・セス)のシーンが好き過ぎて、楽屋に帰らず脇で見ていました。前方の方はおわかりかと思いますが、ラストシーン見ていて大泣きしていて、こんな泣き顔ですいません(笑)。素敵な作品で、次が私じゃなくても(笑)この作品を応援していって欲しいです。ありがとうございました」

・・・カンパニーから「なんで?」という突っ込み複数(爆)

ここでバンドも呼び込んで、代表して音楽監督の村井さんご挨拶。

村井一帆さん「ご観劇ありがとうございました。音楽監督・バンドマスターの村井です。この作品は本当に音楽が難しくて、曲数も多くて、本当に大変でしたけれども、こういった形でお客さまに聞いていただけて良かったです。バンドを代表しまして御礼申し上げます。ありがとうございました」

ちなみにこの挨拶の時、スタッフさんが持ってきたマイクを村井さんが使おうとせず、

藤岡君「何でマイク使わないんですか?マイクは人殴る道具じゃないですよ?」と一言(笑)

そしてマイク役のtekkanさん。

tekkanさん「ご観劇ありがとうございました。驚くことに藤岡君と同級生、そしてもっと驚くことにRiRiKAちゃんと同級生(会場内笑)という・・・(笑)。今回のマイク役は『思ったことはすぐ口に出す』というタイプなんですが、僕自身は考えてから口に出すタイプで、むしろ『思ったことはすぐ口に出す』のは藤岡君の方で。・・・そうだよね?(と藤岡君に水を向け・・・なぜか一拍置いてから「はい・・・」と答える藤岡君(笑)・・・ただ、逆にその分、お互い役と自分が違うということでやりやすかった面があったのではないかと思います。再演があるのでしたら是非早めにお願いしたいです。「68歳への折返し」からどんどん遠ざかってしまうので・・・(笑)」

そしてここで演出家の大杉さんを客席から呼び込む藤岡君なのですが、その呼び込みというのが「こっちからもあっちからもうるさいこといっぱい言われる演出家さん」という(爆)、それに答えてtekkanさん、「主に(藤岡)君でしょ?」と(笑)

大杉さん「ご観劇ありがとうございました。今回は演出だけでなく舞台装置もやらせていただいて、ただ色々な事情でかなりの手作り感で実はこの舞台装置スポンジだったりで、実は欠けなかった回がなかったという(笑)(←ちなみにこの件、土曜日のプチトークショーでRiRiKAちゃんが素性をバラして何と藤岡君に窘められていたそうです(爆))。本日、めいプロデューサー・・・「めい」は「迷」う方ですけど(会場内笑)・・・である四宮も渡米(『王様と私』公演)しておりまして、彼とも美味しい酒が飲みたいですし、このキャスト・スタッフとも美味しい酒が飲みたいですし・・・。そういったところも含めて、『TRAILS』はまだ未完成だと思っています。本国のスタッフもまだ未完成と言っていますし、米日それぞれで独自に『TRAILS』を深めていきたいと思います。もし私じゃなくても(笑)、『TRAILS』応援よろしくお願いします」

そして真打ち登場(爆)

藤岡正明さん「・・・ということで私は一言二言ご挨拶させていただければと思いますが、もし私じゃなくても(笑)、『藤岡正明』はよろしくお願いします(大笑)。ご観劇ありがとうございました。」

後半はRiRiKAちゃんが引き金弾いた『私じゃなくても』が席巻しました(笑)

・・・というわけで本編+カテコで3時間の千秋楽バージョン。短い公演であっという間でしたが、舞台上・客席どちらも、何か言葉に表現しきれないパワーを感じた回でした。

|

« 『TRAILS』(1) | トップページ | 『ON AIR~夜間飛行~』 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/74093/61071724

この記事へのトラックバック一覧です: 『TRAILS』(2):

« 『TRAILS』(1) | トップページ | 『ON AIR~夜間飛行~』 »