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2015年1月

『TRAILS』(1)

2015.1.30(Fri.) 19:00~21:35
池袋・シアター・グリーン BIG TREE THEATER
A列センターブロック

今年も1ヶ月経ちますが、実はお芝居初めはこの作品。
コンサートバージョンで上演された時は拝見しておらず、今回が初見になります。
事前情報をそれほど入れずに見たのがかえって良かったかも、という作品です。

メインは3人の幼なじみ。ヒロインのエイミーと、親友の男性2人、マイクとセスとの関係をメインに物語は進行します。
時が経って立場も変わった男性2人は、とあるきっかけから「アパラチアン・トレイル」を敢行することになります。
「アパラチアン・トレイル」とは、アメリカ・アパラチア山脈に沿う、南北3,500kmに亘る自然遊歩道を走破する行為。

現在と過去を場面で行き来しながら物語は進行していくので、時に今の瞬間が現在なのか、過去なのかトリップする感じがします(旅、だけに)。

マイクはtekkanさん、セスは藤岡正明さん。2人の友人関係は、マイクが順風満帆組、セスが日常沈滞組。
お2方とも何度もお見かけしている役者さんですが、2人のバランスがぴったり!

しかも勝ち組tekkanさん、負け組藤岡さんの説得力がハンパないという・・・だからこそ後半の「そうくるか!」が印象強くて、とってもナイスなキャスティング。

tekkanさんは格好いいポジションが格好いいし、藤岡さんは格好悪いポジションが格好いい。それなのに、後半、tekkanさんは格好いいポジションが格好悪く見えたりするし、藤岡さんは格好悪いポジションが格好良く見えるシーンがあって。順風満帆に見えたマイクは、実は自分に対してもエイミーに対してもセスに対しても心にわだかまりを抱えて向き合えずにいたりする。格好いい自分に酔っているからこそ、「格好いい自分は他人を責めちゃいけない」という気持ちに心を縛られているのかなと。翻って沈んでばかりいるセスは格好悪い自分に酔っているからこそ、「自分のような人間は自分の希望を表に出して生きちゃいけない」という気持ちに心を縛られている感じ。

その中に割り込むエイミー役、この日はRiRiKAさん。RiRiKAさんといえば、まりゑさんと組んでいる「ファンタスマゴリック」で何度か拝見していますが、この日初めて女優さんとして拝見。役から受けるイメージがいい意味で役者イメージと違って新鮮です。何というのか、「マイクとセスの片方を選べない、どっちにも素敵なところがある」ということを匂わせているのにもかかわらず、嫌味を全然感じないことが印象的。それでいて、2人に好かれているところにのっかるかのような、ちゃっかりした面も感じさせる、不思議な立ち位置で存在しています。

エイミーは現在と過去を時空を越えていったりきたり。正直、演じるのが大変すぎるのではと思うほど、現在と過去を行ったり来たりしすぎていて、ちょっと落ち着かない感じ。ぶつ切りにしすぎないで現在と過去の転換をもう少し長めにとると落ち着くんじゃないかと思ったりしました。

エイミーの立ち位置は1幕最後の方で、「もしかして?」と思ったことが正にその次の瞬間に判明して、「あ、なるほど!」と。「アパラチアン・トレイル」をなぜ男2人で旅しているのか、その鍵を持っているのがエイミーなわけですね(詳細は劇場で)。

男性目線で(特にセス視点で)エイミーを見ていて思いだした言葉があって(この芝居で語られる言葉ではありませんが)、「私のことを一番幸せにできる人は、私のことを一番不幸にできる人」という言葉。エイミーがいたことで、セスは幸せにもなったし不幸にもなった。それは実はマイクでさえそういう側面が見受けられて。

過去の思い出を過去の思い出にするために必要な道のり、それこそが「アパラチアン・トレイル」だと思って見ていると、長い長い道のりも、必要な人生のリハビリに見えてきます。ラスト近くに出てくる厳しい自然との対峙だったり、その先にあるこの世の物とも思えない光景だったり、情景が目に浮かぶのが素敵です。

このあたりでなんとなくデジャブを感じたのが、シブゲキでやった『Bitter Days,Sweet Nights』ですね。マイクがフユコ、セスがナツコ、エイミーがミノルに感じた。性別違うんだけど(笑)。ラスト、山に登ったときの「忘れられない光景」、そしてそこにたどり着くまでの「平坦じゃない道のり、過去と向き合う勇気」といった部分に似たものを感じたからかと。

・・・

メイン3人を見つめるストーリーテラー的な役割を果たすのが、柳瀬大輔さん、五十嵐可絵さん、岡村さやかさん。
さやかさん以外のお2人は初見ですが、まず柳瀬さん。いい声すぎ!威厳溢れる警備官の様をずっしりと伝えてくれます。

五十嵐さんも声が強くて惚れ惚れします。
岡村さやかさんは今回3人の中ではセンターにいることが多くてありがたい限り(笑)。要所要所でいい味出していますが、何といっても白眉は山ガール(命名 by 田宮華苗さん(たみさん))ですっ! あれほどまでに無条件に笑いを持って行ける人、衣装はそうそうないです(是非劇場で)。さすが飛び道具、山田先生お墨付きのコメディエンヌでございます。2幕の出番が多くないのがちょっと残念かも。ラストの笑顔は必見です。見守り属性を存分に発揮されています。さすがは癒し系。女子大生役で出てきたときの最後の言葉は印象的でした。なるほどなぁ・・・

この小劇場に溢れるほどの音楽、生バンド5人の贅沢な構成。思ったほどには「がっつりミュージカル」な感じはしなくて、むしろ「スタイリッシュな音楽劇」に近い印象を持ちました。

日程の都合が上手くつかず、片チームだけの観劇になってしまいますが、次回はこのチームの千秋楽。また新しい発見があることを楽しみにしています。

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『新妻聖子LIVE 2014-2015』

2014.12.18(Thu.) 18:30~20:35
中野ZERO大ホール 1階6列30番台(上手側)

2015.1.10(Sat.) 17:00~19:05
ティアラこうとう(江東公会堂)1階H列10番台(センターブロック)

2014~2015年の新妻聖子LIVE、今回は3箇所で開催。
初日の相模大野に続き、中野は平日開催です。

中野の、しかも中野駅から多少歩く(8分という表現は過剰でも過小でもない)しかも18時30分開演ということで、難要素がいくつもあるこの回、動員的にはかなり厳しそう。2階は一切使わず、1階も見たところ7割弱の入りと言ったところ。

10月のよみうり大手町ホール『musical party』がミュージカル曲のみのコンサートでしたので、そこから数曲外れて持ち歌が入るというのがセットリストの傾向です。ちなみに、江東公演で本人がおっしゃっていましたが、ミュージカル曲と持ち歌を交互にしてバランスをとっているそうです。

そういえば、この日お会いした複数の方から「なぜ中野のblogのupがなかったのか」と不思議がられましたが、単純に仕事多忙でそのまま寝てしまったからという単純な理由です(爆)。

江東公演は1階と2階ともに7割強の入りでしたので、例会として選びやすかったのかもしれません。(江東は東京労音の本体主催ですが、中野は東京労音の多摩センター主催)

では、セットリスト参ります。
なお、★印は10月の『musical party』になかった曲です。

<第1部>
1.Overture
 1-1.私の好きなもの/サウンド・オブ・ミュージック
 1-2.Memory/キャッツ
 1-3.One/コーラスライン
 1-4.America/ウェストサイド物語
 1-5.Tonight/ウェストサイド物語

2.踊り明かそう/マイ・フェア・レディ(英語)
3.愛を止めないで~Always Lov'ing You ★
4.Fly, Fly Away/キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
5.Sisters ★
6.Shall We Dance/王様と私
7.ピエタ ★
8.Let It Go/FROZEN(アナと雪の女王/英語)

<第2部>
9.Big Spender/スゥイート・チャリティ(英語)
10.アンダンテ ★
11.命をあげよう/ミス・サイゴン
12.Singing in the rain/雨に唄えば
13.X'mas Song ★
 13-1.Silent Night
 13-2.White X'mas
 ⇒江東公演は
  13.エーデルワイス/サウンド・オブ・ミュージック★
14.GOLD/GOLD~カミーユとロダン
15.夢はひそかに/シンデレラ

<アンコール>
16.New Day(新曲)★
17.ラ・マンチャの男/ラ・マンチャの男

全体的には、中野はMCに苦戦していた印象。
聖子さんがMCに苦戦なんて、そんな日が来るなんて予測すらしていませんでしたが、凄かったのは「ピエタ」の前説の時。

聖子さん「『ピエタ』の意味・・・なんでしたっけ?」

客席に問いかけますが、普通は客席は答えてくれないわけですが、そこは新妻FC席。ちゃんと答えが返ってくるんですね。

お客さん「『悲哀』って意味です」
聖子さん「よくご存知ですね。イタリアの方ですか?」
お客さん「いえ、聖子さんが以前話をされていたので」
聖子さん「じゃぁ合ってますね(笑)」

・・・二の句が継げない(爆)

それに比べると年明けの江東はMC絶好調。
たまに客席が付いていけなくなってましたけど(笑)

なんといっても白眉は2幕M9『Big Spender』でのバンド紹介。バンマスの五十嵐さんに「正月何やってました?」って聞いたら「箱根駅伝」という返事が返ってきてからの一くだり。

聖子さん「箱根駅伝!」
五十嵐さん「(なぜそこまで驚かれたのかわからない)はい。」
聖子さん「ここから5分近く(←)箱根駅伝について語っていいですか(笑)」
五十嵐さん「どうぞどうぞ」
聖子さん「2日に友人と肉パーティーしてたんです。そうしたら『箱根凄いね』とかみんなが言ってるので、『何それ?』って」
友人達「箱根駅伝だよ、知らないの?」
聖子さん「知らない」
友人達「えぇぇっ?」

聖子さん「そうなんです、私生まれて34年、『箱根駅伝』を知らずに生きてきたんです
聖子さん「バンドの皆さん、知ってます?」
バンドさん達「(みんな無言で頷く)」
聖子さん「え、日本では義務教育で『箱根駅伝』を教えるんですか」(笑)

聖子さん「『これだから帰国子女は』・・・とか言われながら、黙々と肉を焼いてて」(笑)

聖子さん「そうしたら『今日優勝決まったけど明日も楽しみだね』って言ってるんですよ。今日優勝決まったのになんで明日も楽しみなのか意味がわからない(この辺から客席の笑いが止まらないw)

聖子さん「そうしたらなんと箱根までわざわざ坂を登ったのに、『温泉にも入らずに』坂を下ってくるんですよ。意味が分からない」(笑)

聖子さん「で、そうしたら明日は午前8時からちゃんと見なさいよ、って言われて。でも年末から大掃除ずっとしてて疲れてるのに起きるの嫌、って思ってたら何と午前8時に父から電話が入りまして」

聖子さん「何の用かと思ったら『箱根駅伝を見ろ』と。『もしかして用件それだけ?』って聞いたら『そうだ』と」(笑)

聖子さん「で、見てたんですよ。そうしたら感動しちゃって」(会場内拍手)

聖子さん「10分以上遅れたら繰り上げになるじゃないですか。前にランナーが見えてるのに、たすきを渡せないわけじゃないですか。その駆け込んでくる人の、『みんなの役に立ちたい、足を引っ張ったらいけない』という思いがびんびんに伝わってきて、むちゃくちゃ感動しました」

・・・感動するぐらい綺麗なオチ付きのMCに会場が大いに沸きました(爆)

聖子さんMC的にはもう一つ

聖子さん「調子に乗ってるとか思わないでくださいね、生まれたときからこんなです

・・・注記は省略します(爆)

この日のMC、もう一人の同率MVPはヴァイオリン・コーラスの水谷美月さん。
(今回のツアーから聖子さんから「mizuki」さんと呼ばれるようになりました)。

M11『命をあげよう』のときに感情入りまくってしまった聖子さん。終わってからもなかなか戻って来られません。
1回目のポイント(終了10秒後前後)で普通はだいたい立て直しますが、この日はそこでも戻せず、「ベトナムから台湾あたりで止まっています」と。
そしてついに、「誰かMCで楽しい話してください」と、聖子さん(私が知る限り史上初の)初めてのMC降伏宣言。

そこで立候補したのが水谷美月さん。
(このメンバーの中では美月さんか五十嵐さんしか考えつきませんが・・・)

美月さん「年明けにライブやったときに(その前に別のお店で)オムライス食べたんですよ。そうしたらお年玉付きって言われて、それ私当たったんですよ」
聖子さん「へぇ、すごいじゃない」
美月さん「で、実は賞品が現金つかみ取りで」
聖子さん「えっ!それは札束?」(笑)
美月さん「(笑)・・・いえ、小銭だったんですけど、でも実はランクが3コースあって、1等が『500円と100円』、2等が『10円と5円』、3等が『5円と1円』だったんです」
聖子さん「へぇ、で、美月ちゃんどうだったの?」
美月さん「それが3等で」
聖子さん「それは残念。いくら取れたの?」
美月さん「316円取りました」(会場内どよめき)
聖子さん「美月ちゃんその華奢な手でそんなに取ったの?
  凄い!

 うわー、すごい温まったわ、戻ったわ、ありがとう」(笑)

・・・というGJの巻(笑)
そして美月さんガッツポーズ。

MCの話はこのぐらいにして、曲の話を。

すこぶる喉の調子が良さそうだった江東公演、
出色は『Fly,Fly Away』。
物語の説明をしていたらその時点で役のブレンダちゃんに入り込んじゃって、いつもは派手に歌い上げるところも、本当に丁寧にメロディーをなぞるように、語るように歌っていて。芝居歌はこうでなくちゃ!の完成形を見た気がしました。

『GOLD』も毎回凄い。憑依型の究極。「私はこのようにしか生きられなかった」というカミーユ・クローデルの人生、と語っていたけれど、よく考えると、『ファーストデート』で、自分の生き方をあえて変えたケイシーって、根っこはカミーユと一緒でも、それだけ融通が利いたというか、むしろ変えて欲しがっていたように思えたりして。そう考えると、あの強がりも蓮っ葉も、すべては自分を助けて欲しかったSOSだったのかと思えて、なんか腑に落ちた部分がありました。

フライヤーにあって歌われなかったのは1曲、『On My Own/レ・ミゼラブル』のみ。理由は不明ですけれども。
なお、相模大野公演ではラストのアンコールに『ラマンチャの男』がなかったそうです。

で、れりごーです。
大晦日を挟んでこの曲を英語で歌うことが何を意味するか、想像しなかったのかなぁ・・・。
うん、「新年明けたから今日は日本語で歌います」と言って欲しかったのが本音だなぁ。
英語の方が歌いやすいのは分かっているし、他の曲も含めて滑らかな英語はいつもうっとりするけど、会場みんなが英語をネィティブに聞き取れる訳じゃないし(ちなみに自分も一部しか聞き取れません)。

『踊り明かそう』みたいに明らかに英語の方が滑らかな曲もあるけど、客層(労音例会なので、明らかに熟年層が多い)を考えると、英語曲を多発するのも、ちょっとそろそろ見直す時期にきているような気が個人的にはします。

『Big Spender』のようなイケてる感じとか、すっかりエンディングソングの座を確保したかのような『夢はひそかに』とか、新しい曲も出てきてはいるので、『新妻聖子LIVE』がどのように変わっていけるのか、続けるのが大事なことと同じぐらい、変わることも大事だと思いますので、期待していたいです。

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