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『ファースト・デート』(2)

2014.11.29(Sat.) 18:00~19:40
シアタークリエ 20列23番(上手側)

2014.12.1(Mon.) 19:00~20:40
シアタークリエ 1列4番(下手側端)

全体を見た土曜日ソワレ、最前列の絶景な月曜日ソワレ。
結果的に両極端な観劇になったこの2回。短期間公演の中、無事3回見ることが出来ました。
女子会トークショーを見逃したのは残念でしたが。

この作品、見れば見るほど味があるというか色んなことを考えさせてくれます。
興味深かったことをつれづれと。

●あの電話は誰の差し金?
アーロンとケイシーのブラインドデートの中、ケイシーの電話が3回鳴ります。
お相手はケイシーの親友(という触れ込み)のレジー。
いつもケイシーがお気に召さないブラインドデートの相手から逃げるために使っているというのは想像がつくわけですが、果たしてあの電話はレジーの過剰介入なのか、ケイシーがレジーに頼んでいるのか、そこは分かりませんでした。

百戦錬磨のBDSなケイシーが、レジーをいいように使ってるんだろうな、って結論で終わっちゃいますけど(笑)
日に日になじんでいく古川レジーが面白すぎる。
月曜ソワレでは「緊急措置」2stで古川君がツボに嵌ってちゃんと歌えなくなってたら、聖子さまの肩が震えているのが見えました(笑)。ビバ最前列。

この電話のシーンのケイシーも印象的なんですよね。

1回目は電話のディスプレイを見てレジーだと分かって放置する。
2回目は電話を横目でちょっと見ただけで放置する。
3回目は電話には出ようともしないで放置する。

ケイシーがアーロンのことをどう思うようになったのかが一番わかるのがこの電話じゃないかと思うんです。
今まで逃げ出すことしか考えていなかったブラインドデートで、第一印象は最悪だった相手に、なぜだか惹かれかけてる。
まぁ、そんな考え方の違う2人がくっついてできた未来の息子があれだけパンクだった時点で、2人はそこまで合った人生は送っていないあたりを感じさせますが。

●ハプニング2題。
土曜日ソワレはハプニング祭りでした。

まずはM2「First Impression」前の2人の会話のやりとり。あっきー演じるアーロンが派手にビールを口から噴く場面。あろうことか首を左にも振ったせいで横の聖子さんケイシーを直撃。

「きゃぁぁぁーーー!」

というリアルな聖子さんの悲鳴を初めて聞けました(笑)。あまりに聖子さんはツボだったようで、机に俯せになって戻ってこない。笑ってるようにも怒ってるようにも見えたわけですが(笑)。あっきーのソロパートラスト近くになっても戻ってこなかったんですが、さすがは聖子さん、自分のソロパートは完璧にスタートされました。さすが歌で生きる姫。

もいっこ、その直前でネクタイ外したアーロン。そのネクタイは吹っ飛んでいって、下手側の未来さん&古川くんのテーブルの飲み物をなぎ倒し(笑)。あれどうやったらそこにネクタイがまっすぐ飛んでいくんだというぐらい、華麗な軌道をもってグラスの飲み物をことごとくこぼしていきました(笑)

●Google先生ほか
最強の出オチキャラ、Google先生ですが、あれを昆ちゃんにやらせたというのが山田さん大ヒット過ぎる(笑)
なにしろ冷静さでは完璧なはずのケイシーが唯一、Google先生にだけ平常心ではいられない。姉の突っ込みにだって、もちろんアーロンだって手玉に取る。そりゃ元彼とかにはメロメロ(←死語)だけど。

昆ちゃんが聖子さんを翻弄するってだけで面白すぎるわけですが、ふと考えるとここの擬人化の特にGoogleが特筆して面白いのは、「Google」というもの自体は感情を持たない物体(サーバの集合体)なわけです。
無機質なはずの存在が、実は人間の未来も左右するほどの危険な存在である(過去は消せない)と。
そしてそんな権力物体が”意思を持たないはずはない”という考え方を組み合わせて擬人化すると、あらあらまぁまぁ凶暴すぎること(笑)

昆ちゃんは今回”小悪魔”ということで出番初っぱなからすっ飛ばしていますし、アリソンはもうとんでもない小悪魔ですが、実はGoogleを「悪意ちょい乗せ」で演じているのがサタン級の大悪魔だと思います(笑)。

●ローレンとケイシーの関係
この物語で結構重いのがこの2人の姉妹関係。
”完璧な姉”と称し、若いうちから(人間が)できた相手と結婚している姉。

妹にとって、完璧な姉はプレッシャーでしかないわけですよね。
同じ家族環境で過ごしながら姉はしっかりと人生を築いている。

ケイシーの心の欠落って、親の離婚・再婚が大きく関わっているはずで。
あそこまで派手でいる外見の裏には、満たされない思いや、自分から周囲を遠ざけたい願望があるわけで。
深く付き合おうとすると自分から壊す。
自分の内面を除かれることへの恐怖から逃れられないケイシー。

スピリチュアルな方面に才能を持ち、実は聞き上手な彼女のバックボーンは、恐らく父親から来ていて。
父親とは「意味のある会話をできていた」とケイシーは言っていたりします。
ところが、彼女の素性に大きな位置を占めていた父親は、自分の産みの母親と別れ、新しい奥さんと一緒になり。
父親を信じていたであろうケイシーは、父親に捨てられた感情を、「自分の中の小さなケイシー」として持ち続けてきたのかなって。
「可哀想な実の母も」とケイシーが歌い上げたとき、実の母はケイシーにとって、父親に捨てられた同じ立場だったのかなと。それを「自分が可哀想」と思いたくないのがケイシーの強がりかなと。

「傷つかない」の曲を歌い上げる聖子さんの姿は本当に胸に迫ってきて、演じるとかいうものをあきらかに超越していて。

-「傷つかない」と強がることが自分を傷つけている-

ローレンはそんなケイシーを立ち直らせたくて、いつも面倒をみていたのですね。
でもあるとき気づくわけです。
「すぐやれ」と急かすことはケイシーを追い詰めていただけということに。

「いつかそうなれればいいね」とローレンがケイシーに言ったとき、ケイシーはほっとした表情を見せるんですよ。
急がなくていいんだ、姉のようにならなくていいんだ、姉を越えることが目標じゃなくて、自分で自分の道を見つけることを目標にすればいいんだ、と思えたとき、ケイシーは初めてほっとできたのかなって。

●一直線に並ぶとき
月曜ソワレの後半、アーロンが母の死をケイシーに告げるとき、未来さん演じるアーロンの母親が現れるのですが、自分の座っている席からは、奥からアーロンの母親(未来さん)、アーロン(あっきー)、ケイシー(聖子さん)が一直線で並んだんです。それはまるで星が並ぶように。

アーロンの母親は仕事ばかりでアーロンのことをずっとかまってやれなかった。その後悔がとてもある。

「(仕事に生きる、と)自分が選んだからこそやりきれない

という言葉は、アーロンにあてたように見えて、実はケイシーに一直線で刺さったんじゃないかと思えて。

ケイシーの気持ちのよりどころは、「自分の人生は自分で選ぶ。だから後悔しない」ってことだと思うのですが、アーロンの母はまったく逆を言っている。「自分で選んだからこそやりきれない」、その言葉は、「自分の人生は自分で選ぶ。だから後悔しない」と”強がっていた”ケイシーの心を動かしたんじゃないかと。

ケイシーにとってアーロンは全然タイプじゃない。自分で積極的に選ぶタイプでは全然ない。でも自分が今までの人生を振り返ってみたときに、”自分が選ばないタイプを選ぶ”ことが、自分を楽に出来る一つの道じゃないかと思えたんじゃないかって。

前向きさに溢れたエンディングは、それでも「すべて成功する未来」までを保証しているわけじゃない
でも自分だけでしか作れない未来より、人と人と結びついて見る未来の方が、より広い世界を見せてくれる気がする。
そんなことを感じさせてくれる素敵な作品でした。

ちなみに本稿、あえてアーロンの役どころにあまり触れていないのは、身につまされるからです(爆)←あそこまでの経験はしてない

・・・いいのかそんな締めで(笑)

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