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『佳歩』

2014.11.2(Sun.) 14:00~16:15
草月ホール1階SC列40番台(センターブロック)

徳島青年会議所2014年「魅せる!徳島CINEMA委員会」制作の徳島をテーマにした映画。
今年5月から7月にかけて徳島で撮影され、10月の徳島での完成披露試写会を経て、この日が東京での完成披露試写会。

徳島県徳島市出身の大塚千弘さんが主演の佳歩役。母親役の水野真紀さんも現在は徳島に縁があるということで、キャストにも徳島にゆかりの方が多く関わられています。

この映画のテーマとなっている四国八十八ヶ所の霊場が今年、開創1200年を迎えるそうで、その関係もあっての企画でもあるそうです。ちなみに四国四県にまたがる空海(弘報大師)ゆかりの八十八ヶ所のうち、徳島にあるのは23番札所までの23箇所。この作品の最後に千弘ちゃん演じる佳歩のお遍路姿がありますが、そのシーンが千弘ちゃんのシーンの撮り始め(7月4日)だったそうで、そこが徳島県最後、23番札所の薬王寺(海部郡美波町)でした。オープニングとエンディングの海はこの美波町の海かな。青く素敵な海でした。

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上映開始前に阿波踊りの実演があり、主題歌を担当されたエバラ健太さんのミニライブ有り、そして主要出演者5名が登壇されての舞台挨拶ありと盛りだくさん。

主演ということもあり、千弘さんにかなり話が振られていましたが(徳島の完成披露試写会に登壇されたのは千弘さんだけなので、他の方々はこの日が初見だった模様)、やはり”徳島”がホームということもあるのか、いつも以上に滑らかなトークで、司会の青年会議所の方を「徳島の試写会でも司会をやっていただきましたが、どんどんお上手になられて」というところまで滑らか(笑)。

登壇された水野真紀さんがおっしゃられていましたが、撮影機材が普通のカメラみたいなもので、映画を撮られ慣れている側からだとびっくりしたそうですが、実際そのイメージがあって映像を見たせいか、驚くほど映像は綺麗でした。ただ、音声は拾い慣れていない感じはして、その辺が手作り感でもあったのでしょうね。

この作品の全編に流れるのが、”徳島を盛り上げようとする気持ち”ですね。映画を撮ったことをない人たちが、一つ一つ積みあげて映像を作っていった”思い”が強く伝わってきて、そしてメインキャストもみなさん徳島出身や徳島にゆかりがある人たちで、「徳島」に対する思いはきっと、多くを伝えあわなくても伝えあったんじゃないかと、そう感じられる映像でした。

徳島に縁の薄い方が「徳島に来て自分を取り戻す」という展開もあり得たかと思うんですが(引き籠もりの女性が自分を取り戻すという同じテーマだった新妻聖子さんの『アンダンテ』の方はそちらのパターンですね)、今作に関しては「徳島の人が徳島の空気を再認識して立ち直っていく」今回の方向性の方があっている気がします。

舞台挨拶の場で浜田晃さんがおっしゃられていたのですが、「今回の撮影で、映画の原点に触れさせてもらった。皆さまの熱意に後押しされて、映画を作ることの原点を改めて感じさせてもらえたことが何よりの喜びで、先ほど自分はお礼を言われましたけれども、こちらこそお礼を申し上げたい」という言葉は、”言葉なくとも伝えあえた”からこそ出てくる言葉だったんじゃないかなと思います。

・・・

作品の中で印象的だったのは、お遍路をしている女の子(石丸佐知さん)が道を迷って教えてもらう。2度目も教えてもらう。でも3度目が来たときに聞く人がいなくて途方に暮れる・・・というシーン。

この作品では日常を怠惰に過ごす佳歩(千弘さん)が、お遍路をしている人たちに入り込む(タイムスリップというか、異次元移動というか)のですが、お遍路をしている人たちの気持ちと自分を重ね合い出すときに、ここってちょっとターニングぽいところなのかなって。

お遍路をしている人たちは特別な人たちではないということを感じながら、「お遍路をしよう」という勇気さえ持てていない自分に対する不甲斐なさが、佳歩を変えていく。
途方に暮れた彼女を見ながら、佳歩は何を感じたのかと思うと、それは「悩むことさえもしていなかった自分」に対する思いじゃなかったのかなと。

色々な人のお遍路姿を見て、佳歩の瞳は戻ってくる度にちょっとずつ「これでいいのか」という思いに駆られてきて、最後の出会い、浜田晃さん演じる男性が、病身を押しながら歩いている姿に、決定的に踏み出す勇気を得るシーンが印象的。
あの綺麗なひまわりはここのシーンだったんですね。

登壇された方が口々に「おもてなしの心」とおっしゃっていましたが、徳島の方々の、お遍路をされている人たちへの暖かな眼差しは画面を通しても伝わってきて、それはなんだか「お遍路」、そして「お遍路をする人」たちへの尊敬の念なのだろうなと。無の境地にどう近づくかを、それぞれにもがいて考えようとする人たちへの、押しつけがましくない差し伸べの心が、画面から感じられるようでした。

見終わってこの作品のタイトル『佳歩』を見直したときに、『自身の「佳」きスピードで「歩」く』という意味だったのかなと思ったときに、この作品を拝見できて、そして佳歩役を千弘さんで拝見できたことが、何よりほっこりした気持ちになったのでした。

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