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2014年11月

『4lation Live』

2014.11.30(Sun.) 13:30~15:20
学芸大学 APIA40

日韓ミュージカル俳優共演でのライブ。
会場のライブハウスは70~80人での定員で瞬く間に完売、28日に追加公演が同所で行われています。その間、29日には野島さんの地元、群馬県館林での公演も。つまり、学芸大学→群馬県館林→学芸大学という凄い移動距離です。
(館林も東武特急「りょうもう」号で浅草から1時間ですから、そんなに遠くはないのですが)

メンバーは野島直人さん、綿引さやかさん、そして韓国からイ・ウジョンさん。
ピアノは「レ・ミゼラブル」のピアノで有名な、「まのこさん」こと間野亮子さん。

入場は自由席でしたが、開場30分前の時点で既に長蛇の列。男性比率は低かったですが、綿引さんのライブでは男性の年齢層が二分化するのが特徴で、おじさまな皆さまは綿引さんのお知り合いの方々でしょうか(よく見かけます)。逆に普段来られている方は28・29日に分散したのか、この日は少なめでした。

<セットリスト>
1.生まれてはじめて/アナと雪の女王(綿引)
2.時が来た/ジキルとハイド(イ・ウジョン)
3.君の夢の中で/フランケンシュタイン(野島)
4.輝ける未来/塔の上のラプンツェル(野島/綿引)
5.美女と野獣メドレー(野島/綿引)
6.A Whole New World/アラジン(野島/綿引)
7.レ・ミゼラブルメドレー(野島/綿引)
 7-1.プリュメ街
 7-2.On my own
8.カフェ・ソング(イ・ウジョン)
9.アンニョン/パルレ(野島)
10.きれいだよ/パルレ(イ・ウジョン)
11.闇が広がる/エリザベート(野島/イ・ウジョン)
12.君の夢の中で/フランケンシュタイン(野島)※reprise
13.闇が広がる/エリザベート(野島/イ・ウジョン)※reprise
14.All I Ask You/オペラ座の怪人(野島/綿引)
15.カテドラルの時代/ノートルダムの鐘(野島/イ・ウジョン)
16.それ以上の/ルドルフ・ザ・ラストキス(野島・綿引)

M1は前回の汐留(トーク&ライブ)で初披露のナンバーですね。コロコロと気持ちが弾けるアナの心情を表現される綿引さん(びびちゃん)、とても合っています。アナ雪の映画を観たときには、あまりに沙也加嬢が合いすぎて他に出来る人いないと思ってましたが、びびちゃんもぴったりです。

M2。韓国のミュージカル俳優さんの歌を聞いていつも驚くのはその声量。
ゆえにこの曲がそれを魅せるのにぴったりなせいか、よく歌われる曲です。ウジョンさんのジキハイも素敵でした。

M3。日本語訳が野島さん本人とのことで、「歌詞は他の誰にも頼れない」と申しておりました(笑)。M12でリプライズになっていますが、もちろんこれは予定通りではなく野島さんのご希望です(爆)。

ここでMCに突入。この日はMCを少なめにと宣言していた割には、けっこう会話が弾んでいます。というか、びびちゃんのMC、いつも比でとっても滑らかです。

野島さん「どうしたの、今日は(MC)調子いいじゃない」
綿引さん「私もやるときはやるんですよっ」
 (ガッツポーズで客席から拍手)

というのは仲々ツボに入りました(笑)。

M4~M6はディズニー作品を次々と。
ディズニー作品の曲を歌っているときのびびちゃん、本当に幸せそうなんですよね。MCで面白かったの2つ。

綿引さん「子供の頃からディズニーの曲はいつも歌ってて、洗濯物を取り込むシーンで妹を『こっちこっち』って呼んで、どんどん妹に洗濯物渡して、自分はいなくなっちゃうという(笑)」

綿引さん「いまだに妹に言われます。『あの時私を使ってたでしょ』って。バレたか(笑)」

この「バレたか」という時の茶目っ気のあるいたずらっぽいびびちゃんの表情、実は一番ツボですはい。
いたずらしようとしてるときの表情が一番魅力的だったり。
(そして、成功率がそんなに高くないと想像できるのがびびちゃんぽいw

もう1つは、野島さんがディズニーランドに良く行くかという話で。

野島さん「劇団時代の仲間が中に沢山いるので、応援しに行きます」
綿引さん「ディズニー(ランド&シーの中)に『歌っている人』なんていません!
野島さん「来ましたよ(笑)」

というのが流石でした。それ大事。

M7は初日まで影も形もなかったというレミゼ。間野さんにピアノをお願いしているのに、何とレミがないということに初日に気づいたと・・・(なんか最近どこかでそんな話を聞いたような)
というわけで昨日から登場したこのメドレー。
前日の館林ではびびちゃん、靴脱ぎ忘れて歌に入れなかったそうな(爆)。この日は大丈夫でした。

そういえばM6は今週火曜日のチャリティーコンサートで新妻さん&石丸さんで聞いているし、オンマイは昨日は玲奈ちゃんだし、M11・M13も昨日、岡さん&原田くんで聞いてる。
いっぱい既視感だけど、この辺のクラスの皆さまだと醸し出す空気がそれぞれ違うので、その変化を楽しむのも楽しみの一つ。

パルレ(M9~M10)は未見ですがメロディーラインが綺麗ですね。このメロディーラインにこの歌声、うっとり聞き入る皆さまの気持ちがとてもよく分かります。

M14とM16はいずれもびびちゃんでは初聴な高音の曲。クリスティーヌは白いドレスとぴったりで、ご本人「この音階は普段出さないので緊張して」とおっしゃっていましたがどうしてどうして嵌っておりました。

M16は最近聞けるようになった『ルドルフ・ザ・ラストキス』(再演版)からの『それ以上の・・・』。

直近では草月ホールの『UTA・I・MA・SHOW Ⅱ』で玲奈ちゃん&和音さんで拝見していますが、そこからも歌詞が変わっていました。この曲の正しい歌詞ってどこにあるんだろう(爆)。

玲奈ちゃん、和音さん、そしてびびちゃん。3人のマリー・ヴェッツェラ男爵令嬢はそれぞれ違う佇まいですね。
玲奈ちゃんには「愛」、和音さんには「信念」、びびちゃんには「恋」を感じます。
玲奈ちゃん、和音さんにはいずれも「赤」のイメージが強いですが、びびちゃんはこの日のドレス「白」で違和感がなかったです。”赤く燃え上がる前のマリー”という感じかな。

歌詞は再演版に近いんですが、びびちゃんマリーには玲奈マリーと通じるものを感じて、それがなんだかとっても懐かしかったです。和音さんの演じた再演版の”革命闘士”的なポジションが自分が苦手なせいもあるのかもしれませんが。

・・・

この日はこの後に他のライブが入っているということで、何とカーテンコールで大撮影会が開催されまして。

無数のカメラから無数のフラッシュがたかれまして、「なんか製作発表みたい」という面白い光景が展開されました。

それぞれの皆さまの個性が表に出ていた素敵なライブ。野島さん、綿引さんとも「またやりたい、やっていきたい」と仰っていて、その言葉が実現して欲しいと思える充実した時間でした。ゲストによってはここの会場のキャパだとすぐ埋まってしまいそうで、そこがちょっと心配です。

何はともあれ、次に続いていきますように。

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『Musical World』

2014.11.29(Sat.) 14:00~15:30
東京芸術劇場プレイハウス H列1桁番台(下手側)

としま区民芸術祭の一環イベントとなる『Musical World』。
今回は岡幸二郎さん、原田優一さん、木村花代さん、笹本玲奈さんがゲスト。

普段はblogではあまりネガティブなことを書かないようにしている自分ですが、豊島区まで来ていただいたゲストやお客さまに対して、これはないだろうと思うことがずいぶんあったので、極力抑え目にですが書きます。

指揮者は坂本和彦さん。以前、1階のコンサートホールの方で上演された年始のコンサートで2回拝見しています。その時のゲストは2回とも新妻聖子さん。坂本さんのとぼけた感じが、聖子さんの突っ込み属性にずばり嵌って(笑)面白かったことを覚えています。

配布されたプログラムを見ると、出演者の名前に誤記を見つけてしまい(「怜奈」さんになっていました)、始まる前からテンションが下がっていたわけですが、演奏されたセットリストからまず。

<セットリスト>
1.Think Of Me/オペラ座の怪人(木村)
2.愛せぬならば/美女と野獣(原田)
3.On my own/レ・ミゼラブル(笹本)
4.民衆の歌/レ・ミゼラブル(ゲスト+豊島区民合唱団)
5.ドレミの歌/サウンド・オブ・ミュージック
         (ジュニア・アーツ・アカデミー)
6.君住む街/マイ・フェア・レディ(岡)
7.魔法使いと私/Wicked(木村)
8.カフェ・ソング/レ・ミゼラブル(原田)
9.Let It Go~ありのままで~/アナと雪の女王(笹本)
10.Maria/ウエストサイド物語(岡)
11.For Good/Wicked(木村グリンダ・笹本エルファバ)
12.闇が広がる(岡トート・原田ルドルフ)
13.すべての山に登れ/サウンド・オブ・ミュージック

このホールはコンサートでは初めてだったのですが、歌声はきちんと響くものの、演奏が異様に小さい。演奏しているとしまユングオーケストラは年始コンサートの時に拝見していて、そこまで演奏が小さい印象は無かったのでこのホールの特徴なんでしょうね。でもここで芝居見た時そんな印象無かったけどなぁ・・・

歌声は岡さん、花代さんが流石の一言。環境的に厳しい場所でもあれだけの歌を歌われるのは流石です。
玲奈ちゃん、原田さんはこの環境だとかなり大変そうにしていました。れりごーもぎりぎり歌いきったって感じでした。

坂本さん、1曲目の呼び込みで花代さんなのに笹本さんの名前しか出て来ず、1曲目終わった後花代さんにお詫びしきり。

坂本さん「『ミス・サイゴン』で木村さん、笹本さんお2人共演されていましたよね」
木村さん「はい」
坂本さん「似たような役どころで間違えてしまいまして。失礼しました」
木村さん「(どう答えていいか戸惑ってる)
坂本さん「妖艶なほうの役でしたよね」
木村さん「妖艶というか(苦笑)、大人の方の役でした」

・・・もうこの時点でミュージカルを観ている観客はぽかーんです(苦笑)。
キムとエレンで同じなのはクリスが好きってことだけじゃないんだろうか・・・

あと凄かったのはこれですね。曲紹介のところ。

坂本さん「原田さんに歌っていただく『カフェ・ソング』、この曲は「カフェに行ったら、友人が誰もいなかった」という場面で歌われる曲です」

えーと。

同志がすべて革命に散り、自分以外の友人が誰も残っていない」というシチュエーションが1mmも説明されていないのは、さすがに不勉強に過ぎるかと。

言葉通りに読めば「いつも行ってるカフェに行ったら、友人が誰もいなくて、僕淋しい」って風に読めます(苦笑)

曲目も出てこなくて譜面台まで戻るわ、いつ出演者の名前を間違えるか気が気じゃなくて、これほど落ち着かないコンサートもいままで経験がありません。

ミュージカル通のようにすらすら語ってとは言いませんが、ホストとしてプロとして最低限すべきことをしていないと言わざるを得ません。次回はちゃんとした司会者を立てて、氏には指揮者として専念していただきたいです(指揮も歌い手と合っていなかったところが多かったです)。

そんな、突っ込みどころが多かったですが、MCにはこんなシーンも。

坂本さん「さきほど気分転換はお話しすることと言う話が木村さんからありましたが」
木村さん「このメンバーの場合はそうですね」
坂本さん「気分転換は他にどういったことをされますか、笹本さん」
笹本さん「温泉行きます。大好きです」
坂本さん「どのぐらいのペースで行かれるんですか」
笹本さん「月20回ぐらいですね。家のお風呂使ってないです」
坂本さん「豊島の温泉も行かれますか。というか豊島って温泉ありますか」
笹本さん「ありますよ。『としまえん』(会場内爆笑)
原田さん「えーと笹本さん、『としまえん』は練馬区なんですけど」(笑いをこらえつつ)
笹本さん「え、そうなんですか!失礼しました。なら『ねりまえん』にすればいいのに」(会場内笑)

が特筆すべき威力でした(笑)

そういえば岡さんが流れるような立て板トークをしていて、玲奈ちゃんがツボに入るシーンも。

坂本さん「笹本さん、どうされましたか」
笹本さん「岡さん絶好調だなって」(会場内笑)

というのも(笑)

東京會舘のディナーショー話も出ていましたが、

岡さん「坂本さんも奥様とご一緒にいかがですか」
坂本さん「曲は今回と変わるんですか」
岡さん「全部変わりますね。変わると言うことはよろしいということですか」
坂本さん「(あわてふためき中)」
岡さん「2枚ご注文いただきましたー」(会場内笑)

原田さん「翌日が鳳蘭さんのディナーショーで」
岡さん「我々は鳳蘭さんのディナーショーの前夜祭と」(笑)
坂本さん「鳳蘭さんがオオトリを務められると」

(誰も拾わない)

・・・も面白かったです(笑)

ちなみにコンサートのチラシには『ミス・サイゴン』が入っていましたが何とこの日のコンサートにはなし。
前日のリハーサルで気づいたらしく(爆)、この日は即興でお1人1パートずつアカペラで。

原田さん「愛したのは、昔だよ」
笹本さん「そうよ道はないわ、殺すーーーーーー!」
木村さん「寝たのよあなた彼女と!でも愛したとは言わなかった」
岡さん「蓮ですかっ!」

4人4様(笑)

原田さんが自分で言った後「そこですか」って突っ込んで、みんなに全部同じ突っ込み入れていて笑った。

特に女性陣2人。

そこですかっ!(笑)

・・・

が、全体的に見るともやもやがずいぶん残ったコンサート。
ミュージカルコンサートって難易度高かったんだなということが分かりました(苦笑)

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『ファースト・デート』(1)

2014.11.22(Sat.) 18:00~19:40
シアタークリエ 12列1桁番台(下手側)

ブロードウェイミュージカル、日本初演の初日です。

1幕制で途中休憩なしの100分ですが、流れがとても良くて、却って休憩があると流れが途切れて戻ってこなくなりそうです。

登場人物7人が7人とも、ほぼ舞台上に出ずっぱりで居続ける、出演者にとってはとてもハードと思われる作品ですが、初日からチームワークは抜群で、どの方のファンでも、そしてどの方のファンでなくても楽しめる、ウェルメイドな作品に仕上がっています。

作品の舞台はとあるバー。「ブラインド・デート」(お互い相手を知らないデート。いわゆる合コンの1対1版)で待ち合わせるアーロン(中川晃教さん)、ケイシー(新妻聖子さん)。この2人を取り巻く周囲の人物は残り5人が代わる代わる平均4役(合計20役)を務めます。

5人が歌う幕開けの「運命の人」(M1)と、中川さん・新妻さんデュエットの「第一印象」(M2)は先だっての作品イベント(汐留BLUE MOOD)で披露され、動画も公開されていた曲ですが、作品の上で聞くわくわく感に胸が躍ります。

周囲は「2人は運命の人」って予言しているようにも見えたりして、そんな中「第一印象」が「最悪」という2人の時が始まっていくわけですが。

中川君演じるアーロンは金融マンで真面目なタイプ、新妻さん演じるケイシーは作品ポスターと違った方向に奔放な衣装をまとい(爆)機関銃のように喋りまくる。押されまくるアーロン、押しまくるケイシーのバランスがとってもポップ。
聖子さんの衣装は銀河でやった「ブンとフン」の悪魔ちゃんに近いかと。

人物の関係図で言えば、アーロンに一番近い場所に居るのが藤岡君演じるゲイブ。肉食系男子といわれてますが、なんかキャラクターがぴったりすぎて噴いてしまう。マサ君は何度か作品観ているけど今回が一番役に合っている気がする(『Beautiful Game』は役がちょっと狙いすぎというか・・・)。アーロンに対しては悪友みたいなポジションなんだけど、悪気ゼロというのがとっても心地良い。アーロンが色々やらかしてそれにダメ出しをする選択が的確すぎる。でも、実はアドバイスはアドバイスとして、アーロンはアーロンの意思として踏み出すことに実は意味がある、と。

翻ってケイシーに一番近いのは姉のローレン。未来さんが演じています。いわゆる「完璧な姉」として既に結婚もしていてケイシーに色々ダメ出しをしてくる。でもケイシーとしてはローレンの完璧さを羨ましく思いながらも、「自分はそうなれない」というもやもやとした気持ちは、ケイシーの奔放さの一つの原因であるわけですよね。

そして問題児という属性の、通称「小悪魔ちゃん」な昆ちゃん、アリソン。アーロンの元カノですが、振り回し系小悪魔のはまるまいことか!ってぐらい破壊力抜群。そりゃアーロンの中に深く深くトラウマが刻まれますわ、ってぐらいに存在がずるすぎる(笑)。アリソンもきっと悪気はないんだろうけど、無意識の悪意は感じざるを得ない(笑)。そこが魅力的なんですよね(男の感想)。

アーロンとケイシーの2人を見守るウェイターに今井さん。誰だろう、この役に今井さんを充てることを考えたGJな人は・・・自分自身も不器用で、かつ暖かい人って、なかなか見つからないように思います。座長ぐらいの年齢になるのに、座長ぶらない感じがとっても素敵です。パンフレットでも今井さんらしい天然爆弾を爆発させていただいています(笑)・・・リアみつるって・・・

ケイシーの友人にしてどこか気がある風な男性、レジーに古川さん。どことなく弾け切れていないというか、客席が暖まるまではちょっと分が悪い気がしましたが、中盤からは盛り返していました。繰り返し流れる「緊急措置」、つまりレジーからケイシーへの電話なわけですが、ケイシーがそれに見向きもしないのも興味深いです。

ケイシーにとっては「第一印象」は「最悪」だったアーロンだけど、ケイシーはそれでもアーロンのことを見捨てようとはしないんですよね。ケイシーにとって自分を変えられるチャンスをくれる相手だと思ったんじゃないかなって。

アーロンもケイシーも心にもやもやを抱えていて、その思いを伝えられる相手だと信じられたとき、それが2人にとっての「FIRST DATE」(最初の一日)だったんじゃないかと思えて。

・・・

キャストは皆さんはまり役。

アーロン役の中川晃教さん。前半の気弱な感じから、思いを吐露し始めてからのエンジンの掛かり方はさすがはあっきーワールド。お相手が新妻さんということもありデュエットもMaxパワー、と思えながらも、最近は相手との掛け合いを意識しながら調節している感じが興味深いです。

ケイシー役の新妻聖子さん。奔放さが地を思わせます(爆)。勢いで言っちゃって相手に誤解されたり傷つけたりして、人しれず後悔しているようなイメージが被るんですが、気のせいでしょうか(爆)。ケイシーが自分なりの完璧さを求め始めようと一歩を踏み出す感じが印象的でした。

ゲイブ役の藤岡正明さん。この方も地過ぎる感じですが、とあるシーンで某楽器を持ちだしたときはライブでも始めるのかと(笑)。存在が軽やかで爽やかという、「軽やかなワル」。女性にもてそう(笑)。カーテンコールで「僕は真面目に生きてきたので」と言っても聖子さんが突っ込まなかったのが意外すぎでした(爆)

アリソン役の昆夏美さん。小悪魔感満載だったのは、褒めて良いのかそうじゃないのか(爆)。男性を振り回すのに無自覚、という感じがぴったり合っていました。そういえばご覧になればわかりますが、Googleは最強過ぎて笑いすぎました。

ローレン役の未来優希さん。実は初見です。姉としての存在感しっかり、そして妹(ケイシー)にとっての、有り難さ迷惑さ両方を持った「壁」なんだろうなと思えたり。姉がしっかりしてなければ妹はしっかりなれたのにという思いはあるのかもと思えたりしました。

レジー役の古川雄大さん。思ったより破壊力高くなくて、クリコンのその種のランキングでは普通に似合っている方に入りそうな感じ(ちなみに今井さんは客席拍手で最下位だったそうですw)。役どころ的にはすごいやりにくそうな役に思えますが、彼(あえてそう呼ぶ)が弾けると物語はもっと面白くなりそう。

ウェイター役の今井清隆さん。ミスターチャーミング(勝手に命名)の面目躍如。ハートウォーミングウェイターの座は彼以外にいません。前作「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」よりは動きも少ないですが、まさかあのダンスをやるとは・・・サプライズでした。

・・・

そういえば、新妻さんのシアタークリエは舞台作品ではこの作品が5作品目ですが、そのうち3作品までが12月上演。『プライド』、『GOLD~カミーユとロダン~』につづき、今回の『ファースト・デート』。”クリエ12月の女王”の面目躍如です。(もう2作は去年の『トゥモロー・モーニング』と今年の『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』)

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『マザー・テレサ 愛のうた』

2014.11.18(Tue.) 19:00~20:50
シアター1010 ミニシアター 最前列

”コンサート形式でマザー・テレサの生涯を送る”と銘打たれたミュージカル座の新作。

北千住・シアター1010の劇場(11階)ではなく、稽古場に併設された10階のミニシアター(実際に入口には「稽古場1」とあります)での上演。収容人数が100人前後のため、星組の初日ともなったこの日、当日券も出ない完全完売状態での上演となりました。

自分自身もスケジュールが合わず見られるか分からずに確保していませんでしたが、先週たまたま公式を見ていたところ、たった1席の戻り席があり、なんとか確保できて拝見できて良かったです。

役柄的なネタバレがありますので、お気にされる方は回れ右でお願いします。




マザー・テレサを演じるは土居裕子さん。いかにしてマザー・テレサのハートを伝えるかがこの役の、この作品の肝だと思いますが、強さも柔らかさも同時に出せるのは土居さんしか思いつきません。芯の強さで、相手を根負けさせる交渉力。ふわっとした雰囲気で相手を包み込む説得力。マザー・テレサを演じることを受けることへの責任の重さを感じる、と土居さんはこの作品のパンフレットで語っておられますが、作品中でマザー・テレサが唯一重圧に押しつぶされそうになるシーンでは土居さんの心情とマザー・テレサとしての思いとがシンクロして感じられもしたのでした。

マザー・テレサはほぼ全編に亘り「愛を与える」側にいますが、そのテレサの心を導くきっかけとなったシスター・テレーザを演じているのが平川めぐみさん。テレーザとしてバイオリン演奏(初見)も聞かせてくれます。月組・星組の2チーム体制にあって、女性キャストではマザー・テレサの土居さんと、めぐみさんだけがシングルキャスト。シングルキャストになっているだけあって、めぐみさん演じるテレーザが土居さん演じるテレサに愛を与えて、その後のシーンではテレサがめぐみさん演じる女性に愛を与えるというシーンが輪廻しているように感じるのが、今回の物語の一つの軸なんでしょうね。「愛を”与える”」といっても、それは「上下関係ではない」ということが、マザー・テレサの思いの固い部分だと思いますし。

それにしてもめぐみさん、今回の「愛のうた」といい、次回の「あいのおはなし」(主演)といい、「愛」に縁がありますね。

マザー・テレサをとりまく修道女の皆さまの思いの純粋さも伝わってきてとても素敵。絵空事になりかねない物語に説得力を持たせているのは、ひとを包み込む愛を、作り手や演じ手が持っているからなのだろうなと感じさせられます。

今回、印象的なのは男性陣のみなさまの出色な存在感。
進行役を務める光枝さんの確立された存在感からくる説得力は安心以外の何物でもありませんし。
妹を心配してこそ、妹を止めようとする兄を演じる及川さんは、それでいて精神的な幼さも感じさせて適役。
演奏も担当されながら、テレサの一番の理解者として存在するtekkanさんの存在はとても心強いし。
影からテレサを支える阿部よしつぐさんもとても良いです。「愛」ということでは『ウレシパモシリ』と被る部分もありますね。
権力側からテレサを理解するようになる役を2つ演じる五大さんも人の好さを上手く見せて素敵です。

この作品を拝見して思うのが、マザー・テレサという女性の人生を描くとしても、「マザー・テレサは一人にしてあらず」といったところを見せているところと、それを成していたのはマザー・テレサのお人柄だったのだろうなということを自然に見せているところ。邪心なく、ただ自分の信じることを貫き通したからこそ持てた強さが印象的でした。

コンサート形式、といいながら実質的にはミュージカルといってもいいこの作品。作品内で語られたメッセージの中で印象的だったのが、マザー・テレサが仰った「仕事には愛が大事なのです」という言葉。その言葉は、この作品の作り手・演じ手みなが思っている、根幹だったように思えてなりません。

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『くるくると死と嫉妬』(1)

2014.11.16(Sun.) ~16:55
某稽古場

12月3日~11日まで、東池袋・あうるすぽっとで上演される劇団秦組Vol.6『くるくると死と嫉妬』、稽古場公開に当選し、行って参りました。

通常は1パート3時間ですが、この日は『スリル・ミー』マチネ観劇からなので、少し遅れて入らせていただきました。

稽古場見学といえば今年6月の『カルメン』で体験させていただきましたが、その時は「稽古場見学」を前提に20名ほど、稽古進行もその日の特別バージョン(大人数の曲を2曲)という形でしたが、今回の秦組さんの場合は稽古をありのまま見せていただけるということで、見学席を設けていただいただけでの見学です。

キャストが全員揃っていたかは分かりませんでしたが、結構人数的には多い方だったように思います(2~3人確実に欠けていましたが)

印象に残ったエピソードを。

●稽古場と本番セットの違い
作・演出の秦さんが指示を出しながらキャストの皆さんがtry&errorを繰り返すというのが基本線ですが、隣の演出助手さんからの指摘で興味深いことが。
「このシーンのそこは、(劇場)セットでは上がつかえてしまうので、その場所だと厳しいです」という指摘が入り、ちょっと立ち位置を移動させることに。

稽古場というのは普通、劇場と同じサイズではないわけで、で、劇場に入っての場当たりは時間との勝負になるのは想像がつくわけで、なるほどこの時点で劇場でのセットを想定した稽古をしておかないと後で困るんだなというのが、「百聞は一見にしかず」Part1でした。

そういえば本番想定といえば、キャストの皆さんはほぼ室内靴を履いている。
土足厳禁のスタジオですが、靴を履いていないとダンスとか感じが違う。これも当然の話ですね。

●止める、進める
いわゆる「ダメ出し」という瞬間を拝見することが出来たわけですが、思ったより早く止めるんですね。そりゃ、演出家さんによるでしょうから、最後までやった上で止めるタイプの方とそうでない方と、また通し稽古か組み立て稽古かで違うんでしょうけど、現段階の秦さんの場合は早めに止めて軌道修正が基本らしいです。

とあるシーンが役者さんと演出家さんがどうも上手く噛み合わなかったのですが、演出家さんが意図を伝えて役者さんが納得したら、その先は早い早い。すぐ通しに切り替わって進むこと進むこと。

後のシーンをやってから前のシーンをやって、という場面に遭遇したのですが、それがきちんとつながった瞬間は見ていて気持ちよかったです。なるほどお互い納得して進むことが近道なんだなと。上手く回らないときはなぜそうなのか(そうしたいのか)を演出家さんがちゃんと伝えているのもなるほどなと。

「なんとなく良くなった」だけではいざという時、崩れてしまうんだなと。
これは「ものづくり」には共通する要素なんでしょうね。

他の難航したシーンでは、役者さんのプランもしっくりこず、演出家さんも答えを出せていないシーンがあって、演出家さん、それを見ている別の役者さんに意見を求めたんですね。それによって閉塞していたそのシーンに客観的な第三者の視線が入って、風穴が開いたような感じがあって印象的でした。

演出家さんって万能な方々という意識が自分の中にはあったのですが、それでもシーンによっては迷う部分も当然あるんだなということは感じましたし、そこで別の目が入ることでお互いが作品を作るという意識も高まるのだろうなと。

●休憩の過ごし方
時間内に2回ほど休憩が入りましたが、思い思いの過ごし方を皆さんされる中、直前までの稽古でしっくりこなかったのを自主練される方もちらほら。
印象的だったのは(青山)郁代ちゃんの過ごし方。さっきまで立っていた場所にやってきて台詞を繰り返していました。確かにポジショニングで身体に入れる方って他にも聞いたことがあります。休憩が終わった後の動きが格段に良くなっててびっくり。丸尾(丸一郎)さんもあちらこちらに話しかけに行って演技プラン相談しているようでした。

・・・

役どころや物語の進行についてもいくつか示唆するような内容もありましたが、これは初日までネタバレだと思うのでここでは触れません。
動きも多く、また「死」というテーマを扱った作品だけに、心揺する作品になることは間違いなさそう。
作品のパーツが少しずつ形になっていくことを見られたことはとても勉強になりましたし、できあがりを拝見するのが楽しみです。

郁代ちゃん、そういう役柄かぁ、楽しみ楽しみ。
丸尾さんも『リンダリンダ』ぶりです。何をかましてくれるのか(笑)楽しみです。

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『スリル・ミー』

2014.11.16(Sun.) 12:00~13:40
天王洲銀河劇場 3階A列1桁番台(下手側)

5回目の上演となるこの作品。
2012年シーズン、ここ天王洲銀河劇場に場所を移して上演された時、私役が田代万里生さん、彼役が新納慎也さん、いわゆる「にろまり」ペアで見て以来2度目。

この回は私役は同じく田代万里生さん。彼役は伊礼彼方さん。
伊礼さんは個人的に彼役で見てみたかった役者さんだったので、このペアを選びました。

自らの完璧性を証明するために完全犯罪を成功させようとする、「頭脳は明晰だが精神は子供」な「彼」の暴走を止められない「私」。しかし完全犯罪の綻びは2人の運命を暗転させる。そんな2人の物語。

もう上演5回目ですし、ネタバレという話でもないかと思いますので、結論以外はそれなりのネタバレ有りで参ります。




では。

伊礼氏の「彼」に振り回される田代氏の「私」ですが、前の田代氏の「私」は「彼」にもっと振り回されて慌てまくるキャラクターだった印象があります。振り回されるのもお付き合いのうちと割り切っている感じが見えるというか、「今は耐える時期」ということでエネルギーを溜めているように見えて。でいて、伊礼氏の「彼」は思ったよりは少し俺様モードが控え目。「私」に主導権・発言権がないのは変わってもいないんだけれども、「耳だけは傾けてやろうかな」というムードを感じる。そんなペア。

この作品を男性視点で見ていると、何というかまとわりつく空気を振り払いたくなるような作品というか。

男性のタイプには「私」タイプと「彼」タイプがあるように思うのですが、いずれにしても「勝ち誇りたい願望」があるというか(笑)、先手を取って逃げ切るような「彼」タイプと、隙を突いてひっくり返すような「私」のタイプと、どっちもわかる気がして、なんだか身につまされて居心地が妙な気持ちになります、この作品(爆)。

「私」も「彼」も”狂っている”のは間違いないわけで(時差有り)、これを正常と見なさないにしろ、肯定するような空気には、やはり距離を取りたい願望があって。意識して距離を取ってこの作品を観ているところがあるような気がします。
テーマからして観る側を飲み込んでしまうような強い流れのようなものを感じずにはいられなくて。
で、その流れにはいつも抗っていたい気持ちがあるうちは、まだ正常なのかな、と。
それを再認識するために見に行く作品というか。

物語に引きずり込まれそうになる時に客席から抗う訳なので、見ている疲れが生半可じゃないという(苦笑)。

この物語のタイトル「スリル・ミー」は直訳すると「俺をぞくぞくさせてくれ」な訳ですが、物語前半では俺=彼であり、物語後半では俺=私であり。前半では罪の意識なくあたかもゲームのように完全犯罪に突き進むことで、「彼」自身が興奮している。後半の後半ではすべてをコントロールしていたのが実は彼ではなかったことを示せたことで、「私」自身が興奮している。

実のところ、このペアでは、いつもは俺様キャラな伊礼氏が、後半の後半で事象を自らのコントロール下に置けていないことを認識したときに、一敗地にまみれたのごとく悔しがる表情を見るのを楽しみにしていたのですが(←こういうことを書いている時点で私もそうとう歪んでる自覚はありますw)・・・確かにその側面はあったにしろ、思ったよりはそれほどそれが強くなかったのが意外でした。
むしろ、そうなることを自ら望んでいたかのような、「自分(彼)を止められるのは『私』しかいない」ことを信じ、それが成就したことに安堵したかのような感じも受けて新鮮でした。

「私」が勝ち誇ってるけど、「彼」はただ負けてるわけじゃないよね、もしや「負けたふりして『彼』が勝ってる」ように見えなくないのがこのペアならではの特徴な気がしました。

結局のところ、客席の一員として、「俺をぞくぞくさせてくれ」と思っていたのも事実なわけで(笑)この作品にどっぷり浸かるためには、きちんと理性の自立をしておきなさいよ、と釘を刺されたような気がする観劇であったのでした。

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『ちっぽけなタイヨウ』

2014.11.15(Sat.) 19:00~20:20
日暮里d-倉庫 最前列中央部

初の陽なたPresentsの作品。去年の秋の新百合ヶ丘は評判を聞いて動こうとしたら千秋楽で涙を飲んだんでした。

すっかり日暮里d-倉庫への道も感覚で覚え(笑)、自由席ということで開場時間に合わせて到着、無事最前列を確保。

今日(11月16日)が千秋楽ですが、前評判通り心温まる泣ける作品。理屈より感情を押してくる感じが、この劇場のスケールと「80分休憩なし」の規模感とぴったりフィットしています。

主人公は1人の男性(Aチームはひのあらたさん)。妻(河野由佳さん)と息子(松本拓海くん)を事故で亡くし、自殺しようとしたが死神(死神1は岡幸二郎さん、死神2は土倉有貴さん)に追い返される。途方に暮れる彼の前に、少年(松井月杜くん)が現れて、亡き息子の面影を少年に感じ、次第に心を開いていく・・・という物語。
(ここまで公式どおり)

他の登場人物は、少年の母親(野田久美子さん)、義母(つまり妻の母)(高谷あゆみさん)。

さて、明日が千秋楽ですのでネタバレ全開で参ります。

よろしいですか?




よろしいですね?


では。

この物語の根底にある思想は、死神1が言及していますが「人の人生の終わりは決まっている」ということ。
それを乱すのが「自殺」であり、死神は自殺を止めなければならない立場にあると。

「死神」といえば言葉のイメージからして”良くない人”でさえあるかのように印象を受けてしまいますが、少なくともこの作品においては「神の名のもとに死を司る」、ある意味司教のような存在になっていて、とても冷静で、ともすれば何と情がある。

男が心を開いた少年は、実は母親の誕生日の翌日に・・・なる運命だった。
でも彼は(口にはしないまでも)学校で恐らくは虐められ、家では嘘ばかりつく困った少年。

でも男と少年は出会ったことで、お互いがお互いにいい作用をしていくんですね。
妻と息子、つまり由佳さんと拓海くんは、夫(父)が気持ちが沈んでいるうちは意図的にかどうか、顔を出さないんです。
まるで、夫(父)が立ち直るのを、顔を出さずに願っているかのように。
「まだ自分達が見守る時じゃない」という行動が、かつては近い関係だからこそとても重く感じます。
夫(父)が立ち直ってくると、ようやく2人も顔を出しますが(当然見えませんが)、「自分たち2人は事故で天に召されたけれど、だからこそあなたは生きて生きる意味を見つけて欲しい」という気持ちが由佳さん、拓海くんから伝わってきてとても優しい気持ちになれます。

もう一方の少年の家庭は今度は父親が不在で、母親が一手に少年の面倒をみているけれども、働きに出ているので実際のところは鍵っ子状態。そんな彼も、男と出会ったことで勇気を出すことの大切さを知り、どんどん変わっていく。

少年が行ってしまってから、男と少年の母親は、少年が誕生日プレゼントとしてくれたオルゴールの音色を聞きながら話すのですが、今度は少年の母親が生きる意味を失っている。
「あの子がいなければ私が生きている意味なんてない」と。こう語るところの野田さんの表情には胸を突かれて、不意にうるっときました。

でも、その時の男の言葉で少年の母親は我に返るんですね。少年にも生きる意味ができたひととき。
自分がそうなることを分かってはいたのに、それでも明るく接していた少年の言葉を心に残していくことが自分にとっての生きる意味だと。

この作品では登場人物それぞれが、立場や時空や、時に現世と天国を隔ててまで、お互いがお互いに生きる意味を与え合っていて、それなしでは生きることも死ぬこともできないことを訴えかけているように思えて。

それでいて、苦しみは相手にすべてぶつけているわけではないことが伝わってきて。

少年の母親が男に対して投げつける言葉は、男にとっては実は地獄の苦しみなわけだけれど、それを男は口には出さない。
「自分も最愛の人を亡くしている」という言葉を言ってしまえば、少年の母親はもう何も言えなくなってしまう。こういう場面は通常「同じ悲しみを共有する」という方面の作品が多い中、あえて男はそれを受け止めるのが格好いいなぁと思うし、それこそが妻と息子にとっては「死ぬ意味」なのかなと思えて。

自分がすべてを明らかにすれば自分は楽になれるけど相手は楽になれない。
自分の苦しみを自分で受け止めて立ち上がることをもってしか、大人として生きることはできなくて。
そしてそれは「まだ生きている期間」だと神から授けられている期間においては必要なことで。
生きたくても生きられなかった人のために、生きる人には責任があるんだと感じられて、とても素敵でした。

男が少年と心を通わせた「キャッチボール」は、ある意味、人と人とのキャッチボール心と心のキャッチボールで人は生きているんだよと言っているように見えて。

人が生きていく上で、死んで行く上で、心の中にちっぽけでも「タイヨウ」という温かいものがあれば、それぞれの世界で人はその道を進んでいけるのかなと思えて、とても暖かい気持ちになりました。

役者のみなさま。

ひのあらたさん。格好良かった-。この方、前回は「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」で女装のCAを見ているんですが、同一人物なんですかまったく(笑)。少年役の月杜くんの予測不能な動きに上手いこと(アドリブなのか)茶々入れてて面白かったです。

松井月杜くん。自由を身に纏って生きている(笑)。いやぁ、やりたい放題すぎて笑いました。死神2のつっくんとのやりとりも噴きました。内気でいじめられて不器用なあたり、母親(のだくみさん)の息子だなぁと(笑)

松本拓海くん。月杜くんに負けず劣らず自由です。母親(由佳さん)とじゃれているところなんか抜群のテンポの良さでした。

野田久美子さん。本当泣かされました。女手一人で息子を育てて、でも働かないとやっていけないから息子を家に置いていざるを得なくて・・・という苦しさが伝わってきました。息子とのお別れが笑顔だったことを気づけたときの表情が素晴らしかったです。

河野由佳さん。由佳さんがd-倉庫といえば安定の泣かせ役です(前回は『Ordinary Days』のクレア役)。叱っているようで実質的に息子に聞き流されている様とか、でも実は締めるところは締めているところがさすがリアルお母さま。地かと思ったぐらい(笑)。その利発さは確実に息子に受け継がれている(笑)ナイスなテンポでした。

高谷あゆみさん。由佳さんが演じた妻の母、ですが、こちらも利発さが母から娘に受け継がれている(笑)。娘の死後、心配しにきているけれど、反応があったときの嬉しそうな顔はじーんときたなぁ。娘のために彼には立ち直って欲しいという思いがあるだろうなぁ。

岡幸二郎さん。ラスボス感満載(爆)。それでいて死神2のつっくんから突っ込まれるツンデレ風味も健在(爆)。
あるべき道を追求している客観的な存在が頼りがいがあって素敵でした。正直「死神」のイメージが変わりました(笑)

土倉有貴さん。かき回しぶりが堂に入っていますが、ちょうどいい存在感というか、距離感があって名助手ぶりでした。

・・・

6日間の公演会期も今日で終わり。d-倉庫作品はいつも思いますが、「もう1回見たい!」と思って会期が終わるんですよね。今回もご多分に漏れずそういう感想だったのでした。

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『モーツァルト!』(31)

2014.11.9(Sun.) 12:30~15:45
帝国劇場2階K列10番台(下手側)

上演427回目(今期2回目)
観劇43回目(今期1回目)

2010~2011年シリーズ大楽、金沢歌劇座(2011年1月30日ソワレ)以来、3年半ぶりの『モーツァルト!』。
自分自身はこの日が43回目。
ただ、3年前からするとこの日をこういう気持ちで迎えるとは思っていなかったなぁ、という・・・

前期限りでナンネール役の高橋由美子さんが卒業し、自分が役者さんをお目当てで見ることはなくなった今年。
10年もやったんだから、同じ卒業するにせよ、ちゃんと「最後」と宣言させて卒業して欲しかったなぁ。

前日の初日でおおむねの方向性を情報収集しつつ、この日が今期初日。
ヴォルフは山崎育三郎さん、コンスはソニンさん、男爵夫人は香寿たつきさん。

2階から見下ろすと楽譜が見えるのは以前と同じ。セット的な変更はあまりなかったですかね。1幕の猊下の登場が以前は上手上側からの階段だったのが、階段がなくなって中央からの登場になったぐらいでしょうか。

まずはヴォルフのいっくん。今回の彼を見ていると、前回って本当にいっぱいいっぱいだったんだなというのが分かる余裕ぶり。シカネーダーとのじゃれ合いも前回比でかなり堂に入ってて見てて安心できるように。
ただ、ふと気になったのですが、いっくんヴォルフはあまり姉を必要としていないのかなと。
後述しますが、今期ナンネの花さんは弟に対しての感情が溢れているタイプではなく、それゆえにか、いっくんのヴォルフからは姉に対する思いといったものがほとんど感じられなくて。
たぶん、ヴォルフとナンネールはお互い固く結びついている、というのは初演以来の芳雄氏・あっきー&由美子さんという刷り込みが自分自身にあるからだとは思うのですが。

コンスタンツェ、ソニンさん。先々月の新国立劇場「三文オペラ」以来2ヶ月振りですが、MyBestコンスタンツェのちひろちゃんと肩を並べたコンスタンツェが出てくるとは!素晴らしかったです。

ソニンコンスの長所といえば「人間不信」な事じゃないかと思うんです。
ご本人の人生経験によるものかどうかはわかりませんが、「たくさん裏切られてきた人」でしか出せない味というのでしょうか、「コンスタンツェが最後にただ一つ求めた『救い』がヴォルフガングにだけはあった」ということに対する説得力と来たら。
そして「ヴォルフガングが最後にただ一つ求めた『救い』がコンスタンツェにだけはあった」ということの説得力も凄くて。
これは先述のヴォルフ×ナンネが薄くなった結果論でもあるのですが、ヴォルフ×コンスが濃い濃い。

ヴォルフが錯乱する中、何も手を差し伸べられないソニンコンスが、口を抑えて泣き顔を必死にこらえていて、ヴォルフをここまで支えようとしたコンスタンツェは記憶に思い浮かばないぐらいでした。

ヴァルトシュテッテン男爵夫人は香寿たつきさん。もう安心度安定度№1。男爵夫人はヴォルフに引導を渡したり冷酷な面も見せる人物ですが、その冷酷ささえ、たーたんさんにかかると神々しい。

そしてナンネール役、花總まりさん。由美子さん以外に「歌うフランス人形」を襲名できる方がいるとは、というのがまずもってのびっくり。まさにプリンセスの趣。
ゆえに、「音楽家一家が貴族の中に無理に割って入っていく」というシチュエーションにしては驚くぐらいに貴族寄りではありました(爆)。それにしても体型が違うとはいえドレス全部新調って羨ましいというか、色々とコメントしたくなるというか・・・

実は花さんを拝見するのは初めてなのですが、歌はこなしていてさすがですが(それでも曲はそこかしこ苦戦していたのでナンネの曲って難しいんだなぁ・・・)、この役に関しては私の場合はどうしても思うところが沢山あるわけで、花さんは良いのですが、やはり由美子さんとの違いをかなり感じてしまいます。

一番大きいのは、花さんナンネは感情が希薄に見えるところ。

前半での弟に対する愛情も、後半の弟に対する不満も、怨嗟も、それは由美子さんが増幅していた部分なのかもしれませんが、「モーツァルト!」におけるもう一つの人間関係だったように思うのですね。
それが花さんだとほとんど見えてこない。というかそれこそ「プリンセス」である故に、弟に対する感情自体もないように感じられて、そこが見えないと、ナンネが人形に見えてしまうのだなということを痛感したのでした。

弟とだけでなくて、夫との関係も淡泊そのもの。お帰りなさいのご挨拶さえ、まず夫婦触れ合いませんからね。

もう一点、それに付随する部分なのですが、「モーツァルト!」という作品にとって、登場人物はほぼすべからくモーツァルトを責めるか利用するかする人たちばかり。みんなモーツァルトに対して尖っているんです。支配下に置こうとしたコロレド大司教はもちろん、父親であるレオポルトも(大司教への)服従を求めた。男爵夫人さえ表面上は「夢の手助け」とはなっているけれども、社交界における自分の地位の底上げに利用しようとした面は拭えない。ウェーバー一家はいわずもがなだし、悪友たちだって夜の飲み代の助けぐらいにしか思っていない。

そんな中、ナンネールとコンスタンツェは数少ないヴォルフガングの理解者であったわけで、特にナンネールは姉という側面と母という側面と両方を持っていたわけなので、「尖った登場人物たち」の緩衝材ではあって、それがなくなった今、「モーツァルト!」がずいぶん重い作品になったなぁというのが正直な感想です。

年末に向けて超多忙が予想されて、なかなかこの作品の優先順位は上げにくいのですが、芳雄氏のラストということもあり、納得いく見終わり方にしたいと思っています。

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『佳歩』

2014.11.2(Sun.) 14:00~16:15
草月ホール1階SC列40番台(センターブロック)

徳島青年会議所2014年「魅せる!徳島CINEMA委員会」制作の徳島をテーマにした映画。
今年5月から7月にかけて徳島で撮影され、10月の徳島での完成披露試写会を経て、この日が東京での完成披露試写会。

徳島県徳島市出身の大塚千弘さんが主演の佳歩役。母親役の水野真紀さんも現在は徳島に縁があるということで、キャストにも徳島にゆかりの方が多く関わられています。

この映画のテーマとなっている四国八十八ヶ所の霊場が今年、開創1200年を迎えるそうで、その関係もあっての企画でもあるそうです。ちなみに四国四県にまたがる空海(弘報大師)ゆかりの八十八ヶ所のうち、徳島にあるのは23番札所までの23箇所。この作品の最後に千弘ちゃん演じる佳歩のお遍路姿がありますが、そのシーンが千弘ちゃんのシーンの撮り始め(7月4日)だったそうで、そこが徳島県最後、23番札所の薬王寺(海部郡美波町)でした。オープニングとエンディングの海はこの美波町の海かな。青く素敵な海でした。

この記事

上映開始前に阿波踊りの実演があり、主題歌を担当されたエバラ健太さんのミニライブ有り、そして主要出演者5名が登壇されての舞台挨拶ありと盛りだくさん。

主演ということもあり、千弘さんにかなり話が振られていましたが(徳島の完成披露試写会に登壇されたのは千弘さんだけなので、他の方々はこの日が初見だった模様)、やはり”徳島”がホームということもあるのか、いつも以上に滑らかなトークで、司会の青年会議所の方を「徳島の試写会でも司会をやっていただきましたが、どんどんお上手になられて」というところまで滑らか(笑)。

登壇された水野真紀さんがおっしゃられていましたが、撮影機材が普通のカメラみたいなもので、映画を撮られ慣れている側からだとびっくりしたそうですが、実際そのイメージがあって映像を見たせいか、驚くほど映像は綺麗でした。ただ、音声は拾い慣れていない感じはして、その辺が手作り感でもあったのでしょうね。

この作品の全編に流れるのが、”徳島を盛り上げようとする気持ち”ですね。映画を撮ったことをない人たちが、一つ一つ積みあげて映像を作っていった”思い”が強く伝わってきて、そしてメインキャストもみなさん徳島出身や徳島にゆかりがある人たちで、「徳島」に対する思いはきっと、多くを伝えあわなくても伝えあったんじゃないかと、そう感じられる映像でした。

徳島に縁の薄い方が「徳島に来て自分を取り戻す」という展開もあり得たかと思うんですが(引き籠もりの女性が自分を取り戻すという同じテーマだった新妻聖子さんの『アンダンテ』の方はそちらのパターンですね)、今作に関しては「徳島の人が徳島の空気を再認識して立ち直っていく」今回の方向性の方があっている気がします。

舞台挨拶の場で浜田晃さんがおっしゃられていたのですが、「今回の撮影で、映画の原点に触れさせてもらった。皆さまの熱意に後押しされて、映画を作ることの原点を改めて感じさせてもらえたことが何よりの喜びで、先ほど自分はお礼を言われましたけれども、こちらこそお礼を申し上げたい」という言葉は、”言葉なくとも伝えあえた”からこそ出てくる言葉だったんじゃないかなと思います。

・・・

作品の中で印象的だったのは、お遍路をしている女の子(石丸佐知さん)が道を迷って教えてもらう。2度目も教えてもらう。でも3度目が来たときに聞く人がいなくて途方に暮れる・・・というシーン。

この作品では日常を怠惰に過ごす佳歩(千弘さん)が、お遍路をしている人たちに入り込む(タイムスリップというか、異次元移動というか)のですが、お遍路をしている人たちの気持ちと自分を重ね合い出すときに、ここってちょっとターニングぽいところなのかなって。

お遍路をしている人たちは特別な人たちではないということを感じながら、「お遍路をしよう」という勇気さえ持てていない自分に対する不甲斐なさが、佳歩を変えていく。
途方に暮れた彼女を見ながら、佳歩は何を感じたのかと思うと、それは「悩むことさえもしていなかった自分」に対する思いじゃなかったのかなと。

色々な人のお遍路姿を見て、佳歩の瞳は戻ってくる度にちょっとずつ「これでいいのか」という思いに駆られてきて、最後の出会い、浜田晃さん演じる男性が、病身を押しながら歩いている姿に、決定的に踏み出す勇気を得るシーンが印象的。
あの綺麗なひまわりはここのシーンだったんですね。

登壇された方が口々に「おもてなしの心」とおっしゃっていましたが、徳島の方々の、お遍路をされている人たちへの暖かな眼差しは画面を通しても伝わってきて、それはなんだか「お遍路」、そして「お遍路をする人」たちへの尊敬の念なのだろうなと。無の境地にどう近づくかを、それぞれにもがいて考えようとする人たちへの、押しつけがましくない差し伸べの心が、画面から感じられるようでした。

見終わってこの作品のタイトル『佳歩』を見直したときに、『自身の「佳」きスピードで「歩」く』という意味だったのかなと思ったときに、この作品を拝見できて、そして佳歩役を千弘さんで拝見できたことが、何よりほっこりした気持ちになったのでした。

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