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『ウレシパモシリ』(4)

2014.9.15(Mon.) 15:30~17:45
ザムザ阿佐ヶ谷 2列目上手側

超短期間再演の千秋楽。
この回は本当に売り切れが早くて、発売初日の時点で指定席が一気になくなって、ぎりぎり座椅子なし自由席を押さえた回。

千秋楽ということで、良い意味で遊ぶキャストもいらっしゃいますが、すごかったのが哲治役の中本さん。

ジェルマンさんを家に連れてきて、ひとしきり食事が終わったと思ったら、お母さん役の日野原さんに「甘えますよっと」と言って膝枕をしてもらい、横にいる聖な由佳さんの「何やってるのよもぉ」顔が最強に面白かったです(笑)。

かと思えば、ジェルマンさんが出ていった後、探しにいこうとしている時の1シーン。

哲治「ジェルさんはJKなんだよ」
聖 「JK?」
哲治「JKは3択です(会場内爆笑)」
聖 「3択???」
哲治「1つ目。『女子公務員』(笑)
   2つ目。『ジャカルタ空港』(笑)
   3つ目。『おじいさんが肩の向こうにいる』
・・・で聖さんがびくっと自分の肩の方を振り返って会場内笑い。
聖 「(どう反応して良いかフリーズ)」(笑)
哲治「答えはどれも違います」(笑)

・・・という、もう勢いだけでやってるでしょこれ状態。
こんな真面目なシーンなのに、爆弾ぶちこまれた由佳さん、完全に固まってて噴いちゃいました。

もう一人、笑いの王様、青木さん。もうこの人はどうやったら笑いを止められるのか、客席の期待のさらに斜め上50度ぐらいいっちゃうお方。
警官シーンでは喋ったまま寝だして、哲治さん『起きろー』、警官『ぐー』、聖さん『(笑いを必死にこらえて舞台の死角を向く)』な状態。その直後、留置場から出てきたジェルマンさんな佐藤さんは、包帯を鼻にまでびろーんと伸ばして、またもや聖さんは完全に笑いオチ状態になってるし(爆)。

と、主にほとんど被害者だった聖さんな由佳さん。前回も書きましたが、高嶺の花なのに遊ばれやすいキャラクターというのか、親しみやすいお嬢さまという感じで、「平凡な家庭の風景」という色がかなり濃かった気がします。
哲治さんとの関係も仲の良い兄妹という感じで、寿司を取り合ってウニとイクラは聖が先勝するも、次の具材を哲治がフェイントかけて取って、哲治「どうだ~」→聖「ぶぅー」みたいな感じが微笑ましくて楽しかったです。

4等船室をどっちが見に行くかというんで哲治が聖を持ち上げて半回転、聖が「きゃーーーーーやめてーーーー!」と叫んでるシーンのインパクトは絶大でした。哲治さんマジで階段の上近くまで持って行って遊んでるし(爆)。

というように、由佳さんの聖の特徴といえば、よく考えると哲治との距離が近いことなんじゃないかと思います。哲治のことを聖がどう思っているかというところからすると、(中村)百花さんの聖からは「ダメ兄貴」というイメージが強いし、(平川)めぐみさんの聖からは「変わり者兄貴」というイメージを受けて。聖から見て哲治への信頼という意味では一番強いのが由佳さんの聖な気がします。それゆえ、「兄がジェルマンさんを大切にする理由」というものが、言葉にしないまでも感覚として共有されていた気がして。ただ、それを言葉に出来ないのが聖、という点で不器用には見えていたわけですけれども。

以前書きましたが、めぐみさんの聖はジェルマン寄りな感じでしたから「私は最初から見抜いていた」という言葉が一番説得力があったのはめぐみさんで、その逆が百花さん(あの言葉を発している瞬間さえ見抜いている風に見えないところさえある)。

ただこの2人はジェルマンを直接見ていたところを感じたのに比べると、由佳さんの聖は「哲治が気にしているジェルマン」という前提を通じてジェルマンを見ていたように思えて。だから哲治抜きでジェルマンが岩手行きを決めようとしたときに、一番狼狽して見えたのは由佳さんの聖で。あの瞬間、”哲治の考え”抜きで決断を迫られたからこそ、聖は一歩大人になれて。だからこそ、本当に自分でした決断だったからこそ、涙を流す直前の表情でジェルマンに「行ってらっしゃい」と言った表情に心を打たれます。由佳さんの聖の表情で魅力的なのは、この「涙を流す直前の表情」と、その後の振りきったときの「ぱぁっとした笑顔」。素敵でした。

笑顔と言えば、印象的なシーンがあって。
殺し屋・古市といえばこの作品の中で「人を信じなくさせられたんだ」と叫んでいますが、その古市を必死で救おうとするジェルマン。ずっと受け入れてもらえない中、実は古市が立ち上がるとき、ジェルマンの肩を借りて立ち上がるシーンがあるんです。その直後でジェルマンが笑顔になるシーンが自分の泣きポイントだったりします。

娼婦3人の中で恐らく一番人への警戒心が強いあい(今回は2回とも椛島さん)の心が溶けていく様も今回はじっと見られて。ジェルマンは人を信じない人に対して人を信じることを伝道して歩いているのかなと思うかのようなシーンが複数あって、哲治と聖の元に居る必要がないと感じたからこそ街に出たようにも思えて。

古市から「いつまで俺についているんだ」と問われて「古市さんの病気が治るまで」とジェルマンは答えていますが、これは「古市が人を信じられるようになるまで」という見方もできるわけですよね。運転手に「古市さん、医者に行かないからいけないや」と言われていますが、古市にとって医者にかかるということは、「自分の命を他人に委ねること」に他ならないのでしょうし、だからこそ「他人を信じられない」古市にとって、医者にかかるという選択肢は端からないということでもあって。

「ジェルマンさんはなんで日本に来たんだろうね」と言うことに対しての答えは、この作品の中で完全には提示されてはいないわけですが、個人的には『他人を他人として尊重する気持ちを伝えたい』『人を信じる気持ちを伝えたい』ことではなかったかなと。前者が『聖の心を変えた』こと、後者が『古市の心を変えた』こと、に代表されている気がしています。

・・・

この日終演後は、この作品の楽曲提供、AKIRAさんのミニライブ。(舞台下手側2列目で舞台をご覧になっていました)
最新CDのタイトル曲「ライフシアター」。「人生は劇場であり演劇である」というテーマは実際その直前まで見ていた『ウレシパモシリ』の世界と当然のことながらリンクして、そのメッセージ性に圧倒されます。

そういえば、ウレパモの終演後ライブといえば、出番のないキャストのみなさんが客席にいらっしゃるというのが定番ですが、自分の席、2列目の上手側端だったため、すぐ右隣がやよいさん(田中里佳さん)、その右が聖さん(河野由佳さん)、前があいさん(椛島歩さん)という状態でした(爆)。

2曲目はキャスト全員を呼び込んでの『ウレシパモシリ』。で、その後のアンコールがすごかった。

『ありがとう』なのですが、何とキャスト・お客さん皆さんが輪になって手を繋いで歌うというAKIRAさん発案での、民族大移動。自分は位置的に舞台に上がる位置にいたので、キャストさんお2人の間に入ることになったのですが(写真が出そうなのでどなたの間だったかは伏せてw)、それにしてもザムザ阿佐ヶ谷の舞台+客席をぐるっと円になった光景(客席はつまり全部空席)はすごかったです。

赤坂ACTシアターで『ファントム』に出演中の演出・阿部義嗣さんも舞台終了後にお子さんを連れて駆けつけられ、『自分が生きている限りこの作品を続けていきたい』と仰っていて、皆さんから大きな拍手が贈られていました。(お子さんはこの日舞台デビューだそうです。AKIRAさんは「幼稚園とかいってライブやると大概子供は泣くんだよ」とおっしゃっていましたが、よしつぐさんのお子さんをAKIRAさんが抱かれてちょっとしたら、やっぱり泣き出してました(笑))

前回は2ヶ月公演、今回は5日間公演。ちょっと極端な感じで、2週間ぐらいがちょうどいい規模ではないかと思うほど、今回は完売がどの公演も早く。実際2回見た自分が言うのも難ですが、ある程度リピーターさんが多かった印象(特に千秋楽は)。
この規模の劇場でやるとどうしてもそうなってしまうのは致し方ないところかと思いますが、作品のパワーがあるからこそ、初見の人にこそ見て欲しい作品。ベストな布陣・環境でこの作品が再演されることを願っています。

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