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『ウレシパモシリ』(3)

2014.9.12(Fri.) 19:00~21:00
ザムザ阿佐ヶ谷 C列センター

「ウレシパモシリ」今年5/6月公演から3ヶ月での超短期間再演。
個人的には3ヶ月ぶり4回目の同作品観劇ということになります。

この日の特徴は新顔の方が多いことで、聖役の河野由佳さん、ジェルマン役の佐藤秀樹さん(前回は哲治役。今回も最初のオファーは哲治役だったそうですbyトークショー)、あい役の椛島歩さん。それに加えて歌2の日野原希美さんも初めて。そういえば前回は3回が3回とも岡村さやかさんを選んで観ていたんでした。

まずはヒロイン・聖役の河野由佳さん。『Ordinary Days』以来です。聖役は前回、中村百花さん(2回)、平川めぐみさん(1回)で由佳さんが3人目。女優さんのカラーがずいぶん色濃く出る役だなと改めて思います。

聖は「社長秘書」という役どころですが、「社長秘書」色が一番強いのは百花さんかなと。あの強気な感じがいかにも社長秘書という感じ。由佳さんもそれに近いのですが、どちらかといえば「会長秘書」という感じ。なんだか「高嶺の花」なのにガツガツしない、上から目線の点もあるのに、どことなく茶化しやすい(爆)。一番庶民的なのはめぐみさん。「副社長秘書」という感じで一歩引いている感じ。

由佳さんの聖で興味深いのが、結構みんな喜んでいじってる、それを許しちゃうチャーミングさがあるというか。哲治が聖を持ち上げるシーンとか、前任者では想像付かなくてびっくり。でも一線は守ってて、最初の方でジェルマンが近づいて来てもおでこを「ぺちっ」といい音立てて止める。いやもういい音すぎて笑っちゃいました。ジェルマンの佐藤さんのおでこが広いせいもあるのだと思いますが(をい)。

前回、百花さんの聖を「ツンデレ」、めぐみさんの聖を「デレツン」と称しましたが、由佳さんの聖はその中間。ニュートラルな感じがしますが、比較的デレツンに近い感。ジェルマンに対する近さは、よりめぐみさんに近い感じ。それでいて由佳さんらしいと思うのは、ジェルマンに対する申し訳ない気持ちの溢れ方が凄く強く伝わってくるところ。ジェルマンの「他の人とは違う」ところに気づいていく流れがとても自然で、「自分が恵まれたところにいた」ということに対する引け目が強くあるのかなって。

聖って、この作品の中ではヒロインのポジションですが、この作品の中での立場は実はメインストリームじゃないんですよね。この作品に出てくる人たちって、基本「市井の人々」で、「恵まれた人々」ではまずない。娼婦だったり占い師だったり、その筋の人たちだったり、殺し屋だったり。昭和32年という時代からして、「高度成長直前の、『まだ皆が豊かさを得られていない時代』」であろうタイミングの、その日その日を必死に生きる人たちが、この作品のメインの登場人物たち。

それに比べれば、聖は恵まれすぎるほど恵まれる立場にいて、ある意味、そういった人たちを蔑むような目線をもっていかねない登場人物。その聖がジェルマンの「ありのままの人たちを知って、その人たちと寄り添って、そして助けたい」という気持ちに引っ張られて、視野を広げていく物語でもあるわけです。ただ、百花さんの聖ほどには上から目線でなく、めぐみさんの聖ほどには最初からジェルマンに心惹かれていた感じでもなく、その中間を行ったバランスはさすがは由佳さんだなと。

ただその分、「男より金(株)」とか、哲治から「結婚できるのか?」と心配される風が、今ひとつリアリティとは離れた部分に感じたのも、これまた正直な感想ではあるのですが(苦笑)。

ジェルマンに気持ちを伝えそうになるシーンで、一番伝えちゃいそうに見えたのが由佳さんの聖でしたが、気持ちを押さえて見送るところの、泣く直前の表情がとても良かったです。

・・・

この日もう一人のお目当てが娼婦の一人、あい役の椛島歩さん。TipTapや、当作『ウレシパモシリ』の受付担当として何度かお話ししていますが、女優さんとして拝見するのは初めて。娼婦3人の中では一番斜に構えて、ジェルマンと一番距離を置く女性ですが、ジェルマンの佇まいと、ポールの存在に心を開いていく様を素敵に演じられていました。

たっぷり2ヶ月あった前回と異なり、今回はわずか5日間。次に拝見するのは楽公演ですが、どんな風に変化しているのかとても楽しみです。

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