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『ミス・サイゴン』(18)

2014.8.14(Thu.) 18:15~21:40
帝国劇場2階M列1桁番台(下手側)

珍しく下手側からの観劇。2階最後列です。通称壁ドン。
席にたどり着いてみるとお隣がお知り合いでびっくりしました(笑)。
上演後イベントが発表された直後に取った席ですから、タイミングが同じだったのですね。

今期のサイゴンでは最多エンジになる筧エンジがこの日のエンジニア。
ようやくこなれてきたようには思えるけれども、やはり芝居色が濃い分、最新演出版のサイゴンとの相性は少しずれている感じはあります。とはいえ、緊急登板でここまで出来るのは流石です。

筧エンジの一つの”売り”といえば、ドリームランドでのジジへの言葉。この回は久しぶりに「焦るな!」になっていて懐かしい。最近は「のたれ死にしたいのか」でしたからね。いずれにせよ筧エンジの特徴でかつ、最新演出版との相性という意味で微妙なのは、「ドリームランドのオーナーとしてバーガールを”稼ぐための『モノ』”という割り切り」をしていないところなのでしょうね。優しさが隠せないというか。

最新演出版でしっくり来る台詞変更の一つに、エンジニアがキムに言う台詞があって、以前までは「なぜ脱がない、俺のニュープリンセス」だったのが、「さぁ脱ぎなよ、俺のニュープリンセス」になっているところ。”この子は今夜初めて”なのに、なぜ脱ぐことが前提になっているのか(爆)、今まではさっぱり分からなかったので、”エンジニアがキムを促す”方が自然。

キムはそんな手順に長けているわけがないし(苦笑)。ここのシーン、ミミ役の青山郁代ちゃんは結構キムにお触りしています。お尻に触るのは普通で、最近は胸も(笑)。そこでのキムの反応と言えば、玲奈キムは一切反応しないのに、昆キムはビビットに反応します。ここのシーンで特徴的ですが、玲奈キムは「されるがまま」の面があるのに対し、昆キムはその立場にまだ抵抗があるような印象を受けます。

「されるがまま」といえば玲奈キムがトゥイを撃ってしまうシーン、この回も銃を構えるのは本当にぎりぎりで、見ているこちらが毎回ヒヤヒヤします。この回のトゥイは私的には久しぶりな泉見トゥイでしたが、トゥイに振り払われたキムは、びっくりするぐらいの勢いで吹っ飛んで、恐らく想定していた場所よりもかなり下手側に寄って止まっており、そして銃も握りしめてはおらずキムの更に先にまで・・・・

今回の玲奈キムの特徴ですが、銃の管理は結構なおざりというか、ずっとは握りしめてはいないところがあって。「クリスからの贈り物として肌身離さず持っていた」と言っても、使うつもりで持っていたわけではないから、トゥイに対して使うつもりは毛頭なかったでしょうし。
「トゥイお願い来ないで!あなたに銃を向けたくないの!」という思いが言葉と動きを通して伝わる玲奈キム。

だから、銃を手放していることも、玲奈キムの思いからすれば不自然じゃないのかもしれません。
が、物語として、ここでキムがトゥイを撃つ、という事実関係からは逃れられないので、それをぎりぎりでやっている玲奈キムは、ある意味チャレンジャーというか。
”銃を撃つ”という前提の上で、どれだけその姿を自然に見せるのかを試行錯誤しているように見えます。結構今までは確信犯的というか、すないぱーキム、という面も段取り的には優先していた面があったと思いますし。

トゥイを撃った後、もう何をしたかわからなくなってトゥイにしがみつくキム。我に返る間もなく兵士に見つかりそうになって逃げるキム。ここで今までは「はっきり顔を見られてそして逃げる」だったのが、「呆然としていて見られていることにすら気づいていない」要素も入ってきていました。

1幕で役作りを今までよりずいぶん変えてきているのに対して、ナイトメア近辺は今までと変わらない安定の玲奈キム。
玲奈キムの一番好きな歌声はナイトメアでクリスを求めて歌うところなのですが、2004年から見続けてきてこれだけは変わらないのが、”闇を引き裂く鋭い歌声”なんですよね。新妻キムなら”闇を突き進む重い歌声”だったので、掘削機とブルトーザーの違いというか・・・(をい)。

今回、重量級のキムが不在なのが玲奈キムにとっては印象的に不利に働いているかなという感じがあるのですが、期せずして大黒柱になっただけに色々なことを抱えることになってしまっているというか。その中でも出来うる限り新しいキムを求めているようには思うわけですが。

今回のパンフで海外のスタッフさんが『玲奈キム(や里奈キム)が前と違って見えるのだとすれば、それは彼女たちの内面がその芝居を見せようとしているからだ』と言及されているのが印象的。本当にそうなのだとすれば、最新演出版で感じたキム間の印象の違いというのは、それぞれのパーソナリティということになります。が、個人的にはちょっと懐疑的かなぁ。

新演出版から常に演出スタッフの意向ありき、というイメージばかり刷り込まれているから、個人のパーソナリティ以前に演出スタッフの意向が先行していると思えるんだけどなぁ。

話は戻って。

この日のキムのラストシーンはまた先日とも違って。
タムをしっかりと見送るところまでは理性的だったキム。そしてエンジニアに引き渡すところまで、まったく平常心。
だったのに。
次の瞬間、タムを失うことの本当の意味を理解したかのように、一気に淋しさがこみあげるキムの姿。
「タムのために」とこらえてきたものが一気に噴き出し、でもそれを払いのけるように意を決してベッドに向かうキムは、いつにも増して荘厳さに満ちていました。

そういえば、最新演出版で気になったのがラストシーン。

キムが自分を撃った後、近寄ってきたクリスに「タムを連れてって」と頼むわけですが、以前はクリスは「分かった。」と言っていたのですが、今回は絶対に「分かった」とは言わない。どのキャストでもそうなので、ここははっきりと演出の意向だと思うのですが、クリスが今回、今まで以上にヘタレ扱いされているのは、ここでタムを引き取ることを即断できないからではないかと・・・。

エレンには「引き取ることも出来る」と現在形で提示されている以上、キムの「タムを引き取って」の意向に迷う必要性は全くないはずですが、それでも「分かった」という台詞は封印されているようで、ここの違和感が何度見ても理解しがたい面があります。

その”制約”の中でもこの日の優一クリスはキムに対して優しく首を縦に振っていて、言葉には出せなくても、キムに気持ちは伝わったかなと思えたひとときが、なんとも救われた気持ちになるのでした。

・・・

この日は終演後イベント「Obon De Saigon」。2回目のカーテンコールで抜け出し、お隣のお知り合いと一緒に1階へ急ぎます(2階の下手側階段は予想通り封鎖されていたのでエレベーター使用)。最前列中央は埋まっていましたが、知人の機転で上手側が確保でき、最前列で拝見することができました。感謝。

ロビー中央、2階への階段も上手側下手側びっしり埋まり、2階からも見下ろす状態で全部合わせるとざっと300人ぐらいはいるんじゃないでしょうかという熱気の中、帝劇係員さんが事前説明。

「イベント中の写真撮影、録音録画はお断りします。しかしながらプレゼント抽選で当選された方はすぐ写真撮影に入りますので、携帯電話等のご準備は今のうちにお願いします。矛盾していてすいません」というくだりで客席から笑い声が。

イベントは初期の7日ソワレ以来ですが、同じ方なのにアナウンスメントが急に上達されています。およそ帝劇らしくない説明が面白いです(笑)。

その説明後、すぐにメンバー登場で後方から歓声が上がります。

この日のテーマは「Wedding Day」ということで司会は可知寛子さん(イヴェット役)。
可知さんが下手端に入って、順に上手に向かって青山郁代さん(ミミ役)、笹本玲奈さん(キム役)、磯貝レイナさん(イヴォンヌ役)、吉田玲菜さん(この日はリリー役。ジジ役兼任)、中田洋介さん(ヌードルボーイ役)。

可知さんの司会が実に冴え渡り、上手いこと客席を乗せていきます。
可知さんがネタ振りをして、そこに郁代さんが乗っかって、他メンバーが話を乗せるというフォーメーションが実に軽快です。

可知さんいわく「『れな・れいな・れな』ですね」(笑)の通り、左から玲奈さん・レイナさん・玲菜さんときれいに並んだので、時に混乱(笑)。

この日の女性陣の衣装は基本的にアオザイでしたが、例外が磯貝レイナさん演じるイヴォンヌ役。普通の洋服なのです。

これ、実はプレビュー初日1時間30分前に衣装さんから「衣装チェンジします」と言われて呼ばれて着替えることになった服で、実は2012年版では可知さんが着ていた衣装なのだそうです。他のメンバーには伝えられないままこのシーンに入ったので、「この服、可知さんの服なのに、可知さんはアオザイ着てこっちにいるしどういうこと?」と舞台上はプチパニックになったのだとか(爆)。

あのシーンでアオザイでない登場人物はイヴォンヌ含め2人だけなのですが、そのお2人、舞台上で「みんな素敵な服で良いわね」と毎回言ってたら、先日とうとう可知さんから「その会話いい加減もう止めなさいよ」というダメ出しが入ったそうです(笑)。

衣装と言えば新調されたアオザイ中、可知さんのアオザイは豹柄でインパクトが大で、郁代ちゃんいわく「どこの球団のファンかと思っちゃいますよね(笑)」という見た目のインパクトは共演者からもぎょっとされたらしいです(爆)。

このシーンの過去版との比較については笹本さんな玲奈さんから。「旧演出版はクリスが買った新居にみんなが来てくれてという設定でしたから。(ちなみに今までは「友達が部屋に」だった歌詞が「友達がお祝いに」に変わっているのもそれゆえ。)最新演出版でも『キムにとって一番幸せなシーン』というところは変わっていないので幸せです」

そこは他のメンバーも同じなようで、可知さんいわく「バーガールの私たちにとっても笑っていられるシーンってここだけですからね。私たちも幸せです。ドリームランドであんだけいがみ合っておいてなんなんですけど(笑)」

その辺は今回ジジ役も兼任している吉田さんな玲菜さんから。
「ジジにとっては心の中ではぐっちゃぐっちゃですよね(※原文のまま)。本来だったら自分がキムのポジションにいられるはずなのに、ということなわけですから。ただジジという女の子は周囲に弱みを見せたくない女性だし、率先してあの場を仕切っているところがあります。それに、ジジとしてはキムに対して、ドリームランドで既に共感みたいな気持ちを持っているんです。ジジもキムと同じようにエンジニアに拾われてドリームランドにやってきた。だから『この子今日初めて』みたいに立たされているキムのことを、ジジは同じ立場のように見ている。」という言葉に頷いている笹本さんな玲奈さんが印象的でした。

このシーンで歌われる曲「ジューボイベー」ですが、今回から女性パートが3声から4声に変わっているそうで、今までは最高音の担当が郁代さんだったのが、その更に上の音が加わって、そこの担当がレイナさん。この日はアンサンブルさん4人がちょうど4声に分かれているのだそうで、3声・4声バージョンをステージで歌われたのですが・・・

この難曲をあの一瞬の合わせだけで3声・4声と続けて聞かせる凄さと来たら・・・この日一番の拍手がオーディエンスから送られていました。本当に素晴らしかったです。

で、です。

公式blog(こちら)で「4声でなく・・・」と思わせぶりに書かれていたのが、この日の唯一の男性、ヌードルボーイ役の中田さん。
そもそもお皿と箸を持ってステージに上がっている時点で笑いが起こってますが(笑)

ここの下りが抱腹絶倒過ぎて大笑いします。

そもそもなんでヌードルボーイかというのは公式blogにも書かれていますので、かいつまんで説明しますが、このドリームランドでの結婚式って、開店前のわずかな時間に催されており、いわば「日常」の中で行われていると。
店員は仕込みやってるし、飲み物運んできている人はいるし、その中で「賄いを食べている」人がいるというのが日常の表現の一部なのだそうで、ここでのヌードルボーイは「ジューボイベー」の曲が流れる2分5秒のうちに、この麺を残さず食べきらなければならないという、重大な任務を帯びているのだそうです。

ちなみに「ジューボイベー」の曲の途中に「ずるずるずる」という音をすするので、「音が取れなくて困ることがある」という郁代ちゃんの突っ込みに、「じゃぁ『ジュー』に合わせて『ずるずるずる』と啜ります」と宣言していた中田氏。会場内も爆笑、玲奈ちゃんまで笑い落ち(笑)。

ここ、麺は基本的にうどんだそうなのですが、「毎日それだと飽きるだろう」ということで色々なオプションがあるのだそうです。可知さんいわく、そもそも「食事を抜かないとマチソワで麺が食べきれない」のだそうで、食事抜いて麺を食べているんだそうです。

で、酷かったオプションベスト3(というかワースト3)が、

3位 昆布巻き
2位 中田くん誕生日スペシャル
1位 岡さんスペシャル(激辛ラーメン)

だったそうな。

なおこの日は、麺の中にタコ焼きが入っていたそうで、それは笹本玲奈さまSelection。

中田氏「汁を吸って、がんもどきだかなんだかみたいになってました」
玲奈様「明石焼きかも(笑)。美味しかったでしょ?
中田氏「はい」

というくだりがさすがすぎました(爆)。

「なんでタコ焼きが楽屋の冷蔵庫に?」とレイナちゃんは不思議だったそうです(笑)。

玲奈様「チョコレートとかにしようと思ったんだけどさすがに可哀想かなと」

・・・それは好印象ポイントになるのでしょうか玲奈様(笑)

岡さんと相談しながら悪戯するのが楽しくてしょうがないイメージに思うのですが、私の玲奈様イメージは(笑)

もとい。

ひとしきりヌードルボーイ話で(予想以上に)盛り上がった後はプレゼント大会へ。この日は4名当選。

ドリームランドの写真撮影イメージ(アングル)でということになったのですが、実はこのシーン、演出プランとして「変顔をする」というのが指示らしく。写真撮ったら可知さんの変顔があまりに可知さん的変顔で会場内爆笑。郁代ちゃんは変顔というより変ポーズ。レイナちゃん、玲菜さんは普通に変顔。

で、それが初耳だったそうな玲奈ちゃん。(後ろ向きませんからね)

「私も変顔する?」って言い出してメンバー全員から「キムは変顔しなくていいです」って必死で止められる(笑)ものの、むちゃくちゃやりたそうな玲奈ちゃんが面白すぎました(笑)。

結局20分近いイベントでしたがとっても楽しいイベントで動画が上がらないのが返す返すも残念です。
メンバーで司会も構成も考えてやるというのはいいですね。
今回も予想以上に盛り上がったみたいでキャストのみなさんもとても喜んでいらっしゃいましたし、みなさんそれぞれの良さを発揮して芸達者振りを見せていました。今回で言えば可知さん&郁代ちゃんが下手側に並んでイベント的にそこを軸に回せたのがバランス良かったです。

それにしても途中から空調が切れたのか暑い暑い。いつも思うのですが、ステージの上はこの暑さが普通なわけで、それで汗をかかない(主に)女優さんって凄いなぁと感じさせられずにはいられません。

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