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『その後のふたり』

2014.7.19(Sat.) 17:00~18:25
東京グローブ座 D列20番台

『シルバースプーンに映る月』以来1年ぶりの東京グローブ座。
どの駅からも微妙に遠いこの劇場、この日は高田馬場駅から歩きました。

D列ということで、てっきり4列目と思っていたのですが、この作品ではA列~C列は舞台がせり出したことによって消滅しており、なんと最前列でした(笑)。

・・・

物語は「昔の恋人」の「その後」を振り返るストーリー。
男女ふたりとも映画制作に携わっていて、お互いが「別れた後の自分から見た相手を語る」という、かなり突拍子もない物語。

この作品自体は実は3つあって、「小説」(原作本が販売されていました)と「映画」と「舞台」という3つの分野でそれぞれ多少なりともの差異をもって展開されています。

この日、舞台を見てから小説を読みましたが、舞台で印象的だったシーンと小説で印象的だったシーンが違ったりして興味深かったです。小説で印象的だったところが、そもそも舞台では完全になくなっていたりもしましたし。

キャスト替わりの男女ふたりの朗読劇、といえば有名なのはPARCO劇場の「ラブ・レターズ」ですが、あの作品が演じるキャストによって大きくメッセージの伝わり方が違うのと同じく、恐らくこの作品も回替わりキャストの朗読劇ということで、似たような化学反応が起きるのだろうと推察しながら、この日、初観劇。

ネタバレはなるべく避けますが、真っさらで見られたい方はここから回れ右でーーーー。




純哉役は青木玄徳さん。自分的には『仮面ライダー凱武』のプロフェッサー凌馬役が印象に強すぎて、女性になびかない印象がついてしまっているという(苦笑)。最近はストーリーが動いちゃいましたが、ちょっと前までは隣に佃井皆美嬢演じる湊耀子様がおられたじゃないですかー(←守備範囲を広くしすぎて自滅している自分)

七海役は大塚千弘さん。朗読劇としては「ラブ・レターズ」以来2作品目。「ラブ・レターズ」の時は相手役の男性の方が声優さんということで、どことなく自信なさげなメリッサになっていましたが、それに比べるとやっぱり、千弘ちゃんは場数踏んだんだなー、と思う奔放ぶり。
前のめりに突っ走る感じと、ふとした瞬間に不安になる気持ちとの行き来が印象的。

この2人の間には大きな疵が横たわっていて、それ故に2人は繋がっていないようで繋がっている(注:詳細はネタバレになりますので略します)。強気で押す七海だけれど、「2人が別れた」事実が前提にあるからか、時として急速に不安に駆られ、七海らしくなく反省の弁を述べたりして純哉に心配されてみたり。

この「らしくなく」の役作りの前提の強気系キャラがそれは、もうちーちゃんにどんぴしゃりで。
というか、役説明に「お酒飲む」とか「男っぽい」とかいう説明コメントが入ってくる時点で、あぁぁこれ、ちーちゃんのキャラだと(笑)。

2人のペアの関係性は新鮮だったけれども、予想以上に実年齢2歳の差(しかも女性が年上)って大きかったかな。物語上2人が「同い年」ということが大きな意味を持つので、年上の七海が年下の純哉を引っ張るシーンが強く印象に残って、純哉がある意味「一矢報いる」(別に喧嘩しているわけではありませんがw)シーンの印象が薄かったのは、ちょっと残念。

七海がドキュメンタリーを作ることを通して「この後のふたり」を展開しようとしていて、「それは違う」と答える純哉のくだりが小説ではとても印象的。あの七海でも「間違う」んだなということと、だからこそ七海には純哉が必要だったんだなと、納得させる空気が、舞台上でもう少し深められても良かったのかなと。

ずっと押しの一手だった七海がここでふと我に返る、その表情は良かったな。

・・・って書いてみて調べたら、今回の5組のキャストで年齢差が一番ないのがこの、青木さん&大塚さんなんですね(1年半しか離れていない)。この日のマチネの風間トオルさんと白石美帆さんに至っては干支一回り以上違うんですもんね・・・

今回は男性が年上なのが2組(風間&白石ペア、加藤&八坂ペア)、女性が年上なのが3組(青木&大塚ペア、川畑&香寿ペア、松下&安倍ペア)なので、その2パターンで印象が違うのかもしれません。
このストーリーで男性が年上だとどうなるのか、興味が湧きます。

・・・・

それにしてもこの作品の最大のサプライズ、びっくりしました。

その話を聞いて思い出したのは「P.A(プライベートアクトレス)」の第1巻。

「個人的な女優(P.A)」の依頼内容、それは「自分の父親を騙したい」という男性。
その男性の父親は、実は自分の父親でもあって、あちらは本家。こちらは隠し子。
隠し子の自分(女性)と、本家の息子(男性)が付き合えば、「私はあいつに復讐することができる」と呟いた女性主人公。
うぁぁ。

・・・・


この物語は「その後(別れた後)のふたり」を2人がそれぞれ会話(舞台版はビデオレターの交換。小説版は対面しての会話)しますが、「その後」を語り合うことで「付き合った時のふたり」の気づかなかった部分に触れる物語でもあるんですよね。

なんの気なしに続いていた2人の「その時」、2人がともにする機会を失って初めて分かった、「相手に支えられていた部分」の大きさ。

付き合って良かったことも別れて良かったこともある、それを「別れてからしばらく経って振り返る」というのは確かに”普通じゃない”体験なわけで、だからこそ「この後のふたり」がどうなるのかに結論を出さずに、受け手(客席)に任せる感じはなんだかとっても爽やかでした。

2人の中では結論が出ているのかもしれませんが、それをみなまで言わないのが良さなんでしょうね。

キャスト替わりで印象が変わりそうなこの作品。色々な方で見てみたいですね。
ご贔屓さんがらみだと、由美子さんと泉見さんとか、玲奈ちゃんといっくんとか、いかがでしょう。

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