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『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(2)

2014.7.12(Sat.) 18:00~21:00 
シアタークリエ 21列10番台後半(中央)

12日ソワレは菊地美香ブレンダの東京楽。

どうにかWブレンダの違いを見たくて、平日を外して日程調整したら、ここに連続で入れるしかなくなったという。

お2方を見てみると、特に2幕前半はやっぱりこの役は美香ちゃんだよなぁと思うことしきり。
居住まいからして、美香ちゃんはブレンダがそこにいる!だけれども、聖子さんに関しては”ブレンダを演じてる”にどうしてもなってしまうのが、致し方ないところ。
まぁ、美香ちゃんも何気に中身は強者ぽいイメージを最近感じはしますが(爆)、「自分に自信が持てない」ということを聖子さんが表現しようとすると、やっぱり色々とハードルが高いと申しますか・・・(苦笑)。

ただそれもあってか、印象的だったのが、フランクに嘘を付かれていたことが発覚したときの印象が、見る前と違って。

美香ブレンダはなんだか納得していたように見えたんです。
私なんかがフランクみたいな人に選ばれるはずがない。少しだけでもいい夢見せてくれてありがとう。あなたに幸せが訪れますように」みたいな感じの「Fly,Fly Away」に聞こえたし、その後、医師と結婚したことにさほどの違和感を感じなかったんです。

それに対して聖子ブレンダは嘘を付かれていたことを引きずっていて、「なぜ私を選んでくれなかったの。私は捨てられてしまった。私は私の足で歩いて行かなくちゃ」みたいな感じの「Fly,Fly Away」に聞こえたんですね(どことなく「GOLD」のエンディングじみている)。
自我の目覚めであった分、あそこまで強い歌になったのかと。結果、医師との結婚も、自分の意思によるものというか。

美香ブレンダは両親の籠の中で人生を再び歩み出したように見えたけど、聖子ブレンダは両親の籠から抜け出して人生を歩み出したように見えた。2人の印象の大きな違いってここにあるような気がする。

美香ブレンダが「自分に自信が持てない」ことを引きずっていったように見えたのに比べると、聖子ブレンダは「自分に自信が持てない」こと自体が”仮の姿”であったかのように、その殻を脱ぎ捨てたように思えて。

ブレンダのパパがブレンダに対して投げつけた言葉、『だからお前はダメなんだ!』は、ブレンダにとって凄く心の傷となったと思うし、ブレンダも「本当の家族を持てなかった少女」という意味でフランクと通じ合ったのも、分かる気がしたわけで。

それに対するブレンダの対応は、美香ブレンダと聖子ブレンダでは正反対に思えて。美香ブレンダは親に従い、聖子ブレンダは親離れしたように思えて。

2人それぞれのブレンダを見られたことはとても興味深かったです。

それに聖子ブレンダも、人を純粋に信じやすいところとか、役と役者さんで被りますし。
こういう役は『スペリング・ビー』のオリーブ役でもやっていたので、単純に5年前後前なら普通にあり得た役だったでしょうね。

・・・

歌の満足度ということで言えばやはり聖子さんの「Fly,Fly Away」は圧巻だったし、ただ、それを逆の面から捉えると、この作品、曲や歌の面では残念な面が多いように思うのです。その分、ブレンダソロが目立つと。

この作品の音が必要以上に大きくて、クリエ向きじゃない演奏だったように感じられて、その分、歌詞が演奏に負けるケースが多々あって。

歌詞も文字数多いから聞き取るのが大変だし、同じクリエの荻田さん演出の『トゥモロー・モーニング』と比べると、遥かにじりじりするシーンが多いんですね。

何というか、痒いところに手が届かないというか、あと一押しで開放感が得られるのに、みたいな終わり方をする曲が異様に多い。なんだかすっきりしないんです、色々と。

元々が爽快感あふれるすっきりした作品、ではないでしょうが(何しろ詐欺師の物語ですから)、「詐欺師の生まれた理由」にのめり込みすぎたんじゃないかなと。フランクを追いかけるハンラティはフランクの境遇に同情してる有様だし、フランクの父に至っては「止めたい」という息子に対して、自分の夢を継がせようとするかのように、「止めることを止めさせる」よう説得するし。

「詐欺師は悪いことをした人だけど、詐欺師になるにはそれなりの理由があった」ということをエクスキューズしたかったのかとも思うのですが、なんか妙に回りくどく弁解がましいというか。

お隣、帝国劇場で先日までやってた『シスターアクト』が見た人みんな「楽しかった!」と言ってるのを聞いているし実感したから、なんでこちらが、ここまでもやもやしたのか分からなかったんですが。
エンターテイメント色が薄くなって、ちょっと理屈っぽくなりすぎたんじゃないかと思います。

・・・

東京前楽、美香ちゃんのご挨拶。

美香ちゃん「本日はご観劇いただきありがとうございました。この作品に出演するお話しを聞いたのはとある作品の千秋楽でした。マネージャーさんに暗い部屋に連れて行かれて、なぜか正座させられて(笑)。「実は『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』という作品の話が来ているんだけど、ブレンダという役で、Wキャストのもう一人が新妻聖子さんなんだけど」と言われて「聖子ちゃんと同じ役がやれるなんて!」って驚くやら、緊張するやらで」

ここで座長、割って入ります。

松岡さん「その話いつも聞くけど、俺(との共演)はどうでもいいの?(会場内爆笑)」

最強の突っ込みを前に、普通の方なら怯むはずのところ、なぜか美香ちゃんはほとんど微動だにしません(笑)

美香ちゃん「そんなことないですよ!いつも優しく、毎回新鮮に見つめていただいて感謝しています。それに座長はいつもみんなに気を配っていただいて、本当差し入れとか凄いんですから(会場内爆笑、舞台上まで爆笑)。ラーメン屋さんとか呼んでいただいて(*)凄い座長です(会場内爆笑、舞台上まで爆笑)」

・・・美香ちゃん、その返し出来る人なかなかいないよ(笑)。さすがアメーバスタジオであの聖子さんのフォローをしていただけのことはある・・・

ちなみにラーメン屋さん入った日、マチネが美香ブレンダ(通称「ミレンダ」)、ソワレが聖子ブレンダ(通称「セレンダ」)だったそうですが、「差し入れがあるのでいつもより早く聖子ちゃんが楽屋入り」だったそうです(大笑)→そーす

美香ちゃん「私のことを捉えて放さない照明さん(会場内笑)、私の声をきっちり掴んでいただく音響さん、いつもこの可愛い衣装を着せてくれる衣装さん。この衣装、実は後ろのファスナーが上げられなくて一人じゃ着られないんですよ。私一人じゃ衣装も着られない私を、スタッフさん、キャストのみなさんにブレンダにしていただきました。本当にありがとうございました(拍手)。明日の東京千秋楽は新妻聖子ちゃんが務めます。この後の地方公演、名古屋・大阪でまた出発地を変えてこの作品で頑張りたいと思います。本日はありがとうございました!」

・・・「捉えて放さない」の後に「照明さん」が来るとは思ってなかったので、客席全体が意表突かれて大爆笑。
ブレンダ役の必要条件は変わり者であることですか・・・(をい)。

あと、

座長「菊地美香の「地」はつちへんです

が何気にライトな美香ちゃんファンな自分のツボでした(blogのタイトルにしているぐらいだから、多分本人が一番気にしていることだろうに、そこに触れてあげる座長が優しい)。

・・・

「Catch Me If You Can」というタイトル、普通に考えれば「Me」はフランクであり、「You」はハンラティなわけですが、もう一面、「Me」はブレンダで、「You」はフランクでもあるんですよね。

フランクがハンラティに対して「俺を掴まえられるもんなら掴まえてみろ」という面と、
ブレンダがフランクに対して「私(の気持ち)を掴まえ続けられるなら掴まえてみて」という面の両方があるんじゃないかって。

フランクはブレンダに対して「嘘」をついているけれど、嘘ゆえにブレンダの気持ちはフランクから離れていくわけじゃない。その証拠に、嘘が発覚した1週間以内に両親振り切ってマイアミ国際空港まで行ってる。嘘を許せなかったらマイアミまで行くはずないし、嘘を許しているなら仮出所まで待ってていておかしくないし。

あれだけお互いを思い合った相手なのに、ブレンダの気持ちをフランクは掴まえ続けることができなかった。その理由がフランクが「嘘を付いていた」からではない。とするとあっさりと次の人のところへ行ったブレンダの性格設定が、いまいち脚本的に破綻している気がするんですけどね。

単純に「待っている時間が恋する気持ちを醒めさせた」なら、なんとまぁ味も素っ気もない話であることやら(爆)。

ぎりぎり理解しようとするなら「フランクが嘘を付いていたことが信じられなくて、確かめるためにマイアミに行った。そして彼が嘘を付いていたことが確定したので一気に気持ちが醒めた」なんでしょうが、それならかまちゃんことFBI刑事にあそこまで引きはがされるごとく連れて行かれるとかないだろうと・・・

「見た目だけで人は騙せる」とうそぶいていたフランクが、ブレンダに対して受け入れてもらおうとしても、今までの自分の「嘘」の積み重ねがそれを許さなかったということなんでしょうけれども。

この作品のテーマって、その辺りだったんだろうなと思うけど、なんか絞り切れていなかったような気がします。

さて今日は東京楽。久しぶりのセレンダ(聖子ちゃんブレンダ 命名by美香ちゃん)、楽しみです。

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