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『シスターアクト』

2014.7.7(Mon.) 18:00~20:55
帝国劇場 2階H列40番台(センターブロック)

なんと今年初の帝劇です。

『レディ・ベス』は日程が上手く合わせられずに帝劇楽を迎え、『シスターアクト』も同じ状態になりそうでしたが、ひょんなことから日程の調整がつき、行ってきました。

土日に北海道へ家の用事で行くことになり、月曜日はゆっくりしたくて。午前休でもよかったのですが、一日休みを取れば『シスターアクト』の前楽が見られる!と。我ながら上手い采配でした。

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(内容にネタバレあります。地方公演待ちの方は回れ右で~)

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評判通り楽しい作品。ひとまず何も考えずに音楽に身を委ねられる作品。

シアタークリエでやっている『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』も同じような作品ですが、両作品とも歌詞が聞き取りにくいことで共通している割に、『シスターアクト』は聞き取れなくても意味が通じる感じがします。フォーメーションがとても綺麗で、1幕ラストの逆V字型は、どことなくレミの行進を思い出します。

帝劇作品って、広さを持て余すことが多い印象がありますが、この作品はこれだけの登場人物がいても、狭すぎるとか広すぎるとか感じることがなくて、ちょうどぴったり。山田和也さん、帝劇は不得手な印象がありましたが(狭いところは得意)、帝劇向きの作品に上手く再構成されていた気がしました。サイズ的にも内容的にも、『ザッツ・ミュージカル』的なミュージカル初心者向けな作品になっていて、堅苦しくもなく、それでいて奔放すぎてもいなくて。

修道院長の鳳蘭さんが、自由奔放な隠れ修道女・デロリス(この回はモリクミさん)に振り回される様が良いバランスで、オハラ神父役の村井国夫さんがデロリスの自由さを楽しんでいるところがこれまた、コメディモードの村井さん(笑)。

ミュージカル界3大汗っかきな石井カズさんの役は、もはやあてがきなのではと思うほど。悪役やらせたら、その怖さとなぜだか道化師ぶりが絶妙に同居する大澄賢也さんもさすがの一言。男性陣はそれぞれのキャストなりに自由に動いてはいるけれども、登場人物の多さからして主導権を握るのはやはり女性たち。

修道院に居続けた修道女たちが、聖歌隊にデロリスが加入してからというもの、どんどん生き生きとしてくる様は見ていてわくわくするし、その中でもとりわけデロリスに心酔していたのが、修道女見習いのロバート。演じていたのはラフルアー宮澤エマちゃん。既に見に行かれた方が声を揃えて言っていたのが、「楽しい作品だよ!」という言葉に次に来る、「エマちゃん凄く良いよ」の言葉で・・・

この『シスターアクト』を見に行くことにした最後の決め手が「エマちゃん見ておきたい」(先週の彼女のラジオレギュラーで、新妻聖子さんが絶賛していて、かつ、聖子さんの良さをぐんぐん引き出していた進行上手ぶりが、頭良い人なんだろうなと思って)だったりしました。

※ちなみにエマちゃん曰く
「聖子さん演じる役も、私が演じる役も、どちらもシャイな役ですけれど、私たち二人ともそういう感じじゃない
というコメントを聖子さんに言えるのが、まず凄いなと(笑)

それにしても、期待以上の伸び盛り振りで見られて良かったな。物語的に一番感動したのは、デロリスが修道院を出なきゃ行けなくなったときに託されたブーツを、エマちゃん演じるロバートが履いて踊っていたところ。修道院長に面と向かってはっきり自分を主張したのも魅力的。役柄的にお得な役(若手の中では一つ飛び出た準プリンシパル級)という点はあったものの、若さからしてこれから引っ張りだこになるでしょうね。

修道女の皆さんの活躍は何というか、1回では判読できないというか、各場面では分かるところもあるのですが、2階でオペラグラスといったりきたりのせいもありますが、なかなか付いていけず。
とはいえ、年がいった役がお2人いらして、片方が春風さんだから、もう片方はすどかなさんだなーというのは一発で分かる(笑)。

すどかなさんの方が年上のおばあちゃんに見えて、その腰の曲がり方がどんどん切れが良く(言葉おかしいw)なっていくのが面白いです。デフォルメしやすいキャラクターだったんでしょうね。

この作品を拝見していて、ただ盛り上がるところだけにスポットライトが当たりがちではあるけれど、シスター1人1人がどんどん生き生きとしてくる様が頼もしくて。

『シスターアクト』って、『Sister Active』ということでもあるのかなと。

エマちゃん演じるロバートが、「修道女として生きていくことに自信がない」と言っているのは、デロリスが来る前のシスター1人1人の、心理的な拘束感というか、息苦しさを横で感じていたからなのだろうなと。

自分から変えられないけど、デロリスという一種”不純物”が入ったことで、変えられるチャンスは逃したくないという気持ち。それがみんなに伝わっていったからこその一体感。
デロリスにとっても、皆の一員になるべく聖書を枕元に置いていたといういじらしさ。
そんなあれやこれやの「突き抜けきれない人たちの、突き抜けたパワーが爆発する時」の爽快感。

客席も、盛り上がりたがっているし、爽快感を味わいたがっているんですよね。
誰が言ったか「閉塞感を打ち破るために芝居を見に来る」という気持ち。
それを「大劇場のミュージカル」として打破することに、このお芝居の存在価値はあるのだと思わされる、素敵な一体感に包まれた帝劇前楽でした。

この日帝劇前楽(ご自身は帝劇楽)でご挨拶されたモリクミさんが、舞台上の台詞に掛けて「私がこの作品でここにいるのは、理由があってのことだと思います」の言葉は、ここまでのモリクミさんの辿ってきた道と重ねるときっととっても深い意味を持つと思うし。
ミュージカル初心者も含めて「劇場に新しい人を呼んでくる」というミッションにこれほどまでにぴったりな作品はないと思います。集客的には苦戦していて気の毒なほどでしたけども、この盛り上がりが次に繋がることを祈念しています。

言い古されたことですが、今回の公演で2点だけ。

作品名はやっぱり『天使にラブソングを』にしておいて欲しかった。集客が大きく違うはず。

平日開演18時。これは正直きついです。子役もいないのに21時終演。
それでもそれを守らなければならない故の逆算なら、余分なシーンを切り取れば18時15分は可能なはず(とはいえ、そんなに余分なシーン感じませんでしたが)。

次の再演の時には、ぜひ再考していただきたいものです。

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