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『ウレシパモシリ』(2)

2014.6.4(Wed.) 19:00~21:30
2014.6.11(Wed.) 13:00~15:00
ザムザ阿佐ヶ谷

6月1日に初見だったこの作品、案の定というか(笑)2回追加で、都合3回観劇。

3回ともの共通点は、唄2(女性唄)が岡村さやかさん。さやかさんご自身が語られていましたが、「それぞれの登場人物の気持ちで歌うので、複数の役を演じている」ように感じられるのが魅力。一人5役みたいな状態になっていて、「大丈夫マイフレンド」のようなうきうきする曲から、緊迫感あふれる「The Answer」まで振れ幅が大きくて。

その中でも一番好きなのは、娼婦3人の気持ちを代弁する「The Answer」。舞台が赤く染まるとどきどきします。さやかさんの迫力系というだけで魂を持って行かれるのですが、理不尽に虐げられる娼婦3人を、そうせしめている”それ”に対する怒り。

さやかさんの歌って、対象者に対する愛情だと思うのですが、それ故「人を愛するからこそ、その人を傷つけられることに憤る」様が激しくて。

この2回の唄1は佐山陽規さん。初見の時はキムスンラさんだったので、特に感じたのですが、キムさんが「激しく強い唄」だったのに比べると、佐山さんは「暖かくしなやかな唄」

どちらかというとさやかさんの唄2は、佐山さんと組んだ時の方が好みかなと。
佐山さんの唄1はまるで「みんなの父親的存在」で、さやかさんの唄2はまるで「みんなの母親的存在」に聞こえてしっくりくるんですよね。
キムさんだと「みんなのリーダー的存在」で、さやかさんは「リーダーのサポート的な存在」という感じといいますか、激しさに引っ張られる感じがして、ちょっと背伸びした感じがしました。

4日は終演後のミニライブがあるということで追加しましたが、その日拝見したポール役の平川めぐみさん(ライブの時「着替える間がなかった」ということでポール役の衣装(要は”犬さん”)で歌われていた)のがツボで。

1日・4日は聖役は中村百花さんが演じられていたので、ぜひ聖役を平川さんが演じている回で見たいと思い、さやかさんとの共演回を探したら、完売の15日12時(前楽)以外はこの回しかなかったという。

聖役を比べると、中村さんの聖は「ツンデレ」で、平川さんの聖は「デレツン」という感じです(爆)。

中村さんの場合、ジェルマンに対して拒絶している気持ちも自然ではっきりしているし。
だからこそ、ジェルマンの良さを認識していくストーリーに落差があって、その点にカタルシスを感じます。

対して平川さんの場合、観ている側の刷り込みがないとは申しませんが、「ポールとして優しくされた」からこそ、ジェルマンに対して最初から心を閉じていない感じがして、それが期待どおりに感じて。

「ジェルマン」という役名を聞いた時に最初に浮かんだ「ジェントルマン」との言葉の関連を、この作品を観ているとふと感じます。「本当の強さ」を持った「本当の紳士」。実在したかどうかさえわからないけれども、登場人物みんなにとって、ジェルマンの心は確かにあって。

自分が日本に来た理由をジェルマンは最後まで明かさないわけですが、古市にそれを問われて「私の決意、あなたを見捨てないこと」と答えたところに、ジェルマンにとっての過去があるようにも思えて。

新宿でチンピラに絡まれ、中本や聖は逃げられたわけですが、ジェルマンはボロボロにされる。その時の唄2(さやかさん)が語るように歌う「私を見捨てたんだ」という歌詞が胸に迫って。他者を責めないジェルマンが唯一、(伝わっているかどうかともかく)他者を責めているシーン。唄1/唄2ひっくるめて、唯一登場人物を責めている歌詞ではないかなと思うんです。

ふと、ジェルマンの過去に「他者を見捨てる」経験があったのではと、ふと感じたりもして。
だからこその「心の中だけの責め」なのではないかなと。想像ですが。

娼婦を救えず、ポールを救えず、古市を救うことにしか、自分の存在価値を見い出すことができなかったように見えたジェルマン。だけれど、周囲の人たちの心の中には確かに「ジェルマンと出会えたことでの、心の温かさ」が生まれていて。

人が人を救えると思うのは傲慢だけれど、人が人を救おうとする気持ちは、人が人である限り、持っているべきもの-この作品で”それ”を感じられたのは、とても印象的だったのでした。

特にこの回(11日)は唄1が佐山さん、唄2が岡村さやかさんと”優しい系”が揃い、ジェルマンがじぇいそん、そして聖さんが平川さんという、”心通じ合う2人”。その上、殺し屋の古市を演じた阿部にぃこと阿部裕さんが、何というか「強面ながら『どうしようもなくなっている自分』」という雰囲気で・・・

唄1・唄2のお2人が優しさで包み込んだ上に、聖さんがジェルマンを優しく見守って、その状況だったからこそ、ジェルマンが古市を救おうとするのが、決して絵空事でも綺麗事でもなく、「ジェルマンならそうするよね。」というのが、何だかすごく胸に迫ってきて。古市、そして中本も含めて”救われた”気持ちになるエンディングで素敵でした。

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