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『ウレシパモシリ』(1)

2014.6.1(Sun.) 18:00~20:10
ザムザ阿佐ヶ谷 C列1桁番台(センター)

観劇月間の6月、第1号は複数のフォロワーさんからお勧めをいただいたこの作品。

・・・となるはずが、実はこの日午後、東京千秋楽だった演劇集団キャラメルボックス『鍵泥棒のメソッド』ニコニコ動画生中継を見たので(とっても素敵な作品でした)、舞台生観劇としてはこの作品が最初の観劇。

歌で形作られる小劇場音楽劇は昨年来立て続けに拝見していて、『しあわせの詩』(One On One)、『Ordinary Days』(score)、『Second Of Life』(TipTap)と来て今回、とうとう「ウレシパモシリ』へ。今月末に生舞台としては初めて拝見する『Count Down My Life』(TipTap)まで含めると、素敵な作品を拝見できてとても嬉しいです。

時代は1950年代の横浜、兄妹が母と暮らす家へ、フランスから「ナポレオン・ボナパルトの末裔」と名乗る外人・ジェルマンがやってくるが、日本に来た目的は最後まで言わない。それなりに裕福な家庭(妹は社長秘書で自称「その辺の男性より高収入」と言ってますが、この日のイベントで前方席指してその台詞歌ってて会場から笑いがw)にもかかわらず、ジェルマンは「もっと色々な物を見たい、色々な人に会いたい」と言って家を出ていく。

この舞台の原作は「お馬鹿さん」という遠藤周作氏の作品ですが、ジェルマンは正にその言葉が似合うほどに、いわゆる「(社会的)弱者」に対する視線が、馬鹿正直なほどに優しく、蹴られようが殴られようが利用されようが、その視線を変えようとはしない。

一番特徴的なのは古市という男性との関係。
暴力で連行され、利用されようとするも、必死になって彼の所業を止めようとする。古市は人を信じられない男性になっていたが、ジェルマンは古市を見捨てない・・・

端から見ると「あんな奴は放っておけばいいのに」、見捨てない彼のことを「お馬鹿さん」だなぁと思うわけですが、物語がどんどん進むにつれて、いつまでもスタンスを変えないジェルマンのことを、なんだか羨望の目で見ているように感じられて。

相手の苦しみを理解しようとして、懐に飛び込んでいく彼。そこには私心はなくて、なんだか「他人を見捨てない美学」という気持ちがあるように見えてきます。

それはどことなく日本的な美学と連動しているような気がして、「フランスから来た外国人」というジェルマンを通して描いてはいても、時代背景からして「高度成長の中、アメリカ的合理主義の影で、忘れられ行く日本的な美学」を守ることの必要性を問いかけているかのように見えても来るのでした。

・・・

この回を選んだ理由は唄2(女性担当)が岡村さやかさんだったからですが、最初の方のシーン、「おかあさま」(平仮名推奨)のときの割烹着姿の余りの似合いぶりに絶句。しかもキャラクターの「あらあらまぁまぁ」のマイペースぶりがツボにはまりまくりました(笑)。

登場人物の心情を、背後から唄で表現するといった形になっているのですが、さやかさんの歌声の特徴といえば基本が癒し系。どうしても最初に拝見した『しあわせの詩』のイメージが自分の中でも残っているからなのだとは思いますが、中盤に出てくる売春婦3人の心情を歌う時の激しい歌声が衝撃的に新鮮。『Second Of Life』の後半シーンでも出てきたタイプの歌唱なので、初めてではないのですが、印象強いのが、「激しい歌声の中に優しさがある」という点なんですよね。

売春婦3人の「なぜこんなことにならなければならないのか」という”怒り”に対する優しさゆえに、彼女らをこうしているものに対する激しい感情が湧き出て、それが歌声となって発せられるという・・・

男性担当の唄1(この回はキムスンラさん)もそうですが、作品に登場する人物への愛情、その人たちそれぞれの本当の気持ちを掬い上げようとしている歌声、それはジェルマンと唄1と唄2のトライアングルで表現され、その中でそれぞれの登場人物が生き生きと生きていたように感じられました。

登場人物で印象的だったのが、ツンデレ担当(そんな担当はないw)の妹・聖役の中村百花さん。
どこかで拝見したことがあるはず・・・とずーっと頭の片隅のフォトブックをひっくりがえしても思い出せず。

経歴を見て思い出しました。思い返すこと9年前、新妻聖子さんがモーツァルト役を演じた音楽座『21C・マドモアゼルモーツァルト』のコンスタンツェ役。あのノーテンキな聖子ヴォルフィーに本気で腹立ててたコンス嬢。当時は「中村桃花さん」でしたので気づかなかったのですが、3年前に改名されているんですね。理由が分かってすっきりしました。

・・・

この日は兄・哲治役の中本吉成さん、聖の同僚・井上役の青木結矢さんが千秋楽。

中本さん「初演からやってますが、いまだに青木(さん)の警官シーンが噴き出します(笑)。再演の時にはなんとか耐えたいです」

青木さん「晴れて地球に戻ります(笑)」←この作品は今回の再演から”宇宙劇”を冠されています

というご挨拶をされていました。

そしてイベント最終日「みんなで歌おうウレシパモシリ」。哲治役の中本さん、聖役の中村さん、そして岡村さやかさんを迎え、特別ゲストは田中利花さんこと女優の○○○○○さん。「その辺の男性より低収入」ってやって笑いをとり、横の岡村さやかさんはやっぱり笑いオチしていました(笑)

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