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『Ordinary Days~なにげない日々~』(3)

2014.6.15(Sun.) 13:00~14:30 B列下手側
         19:00~20:30 C列中央寄り
日暮里d-倉庫

土曜日に続けてのOD2回観劇。
トリプルヘッダーは体力的に厳しいので、開いた中間の時間はお知り合いとお茶した後、もみほぐしへ行ってきました(笑)。

この日のキャストは、以下の通りで( )内は初演含めた回数。

クレア   昼:河野由佳さん(初)、夜:吉沢梨絵さん(2)
ジェイソン 昼:松原剛志さん(3)、夜:麻田キョウヤさん(初)
デイブ   昼:綿引さやかさん(2)、夜:小松春佳さん(2)
ウォレン  昼:田中秀哉さん(初)、夜:田中秀哉さん(2)

昼夜でキャストほぼシャッフルで唯一ウォレンだけが田中さん2回。
この日、作品としての完成度という意味では夜が凄く良かったです。

デイブは昼の綿引さん、夜の小松さんとそれぞれ別のアピールポイントで弾けまくっています。

綿引さんはコミカルシーンの笑いの持って行き方が絶品。教授へのメール送信シーンの茶目っ気というか、上手いことやり過ごせそうな様子というか、下手をするとちゃっかり単位を取れてしまいそうな気さえする(笑)ところが絶妙。卒論用ノートを地下鉄だかどっかでなくして、拾ったウォレンに呼び出されて、その場所がメトロポリタン美術館という・・・その時の方向音痴ジェスチャーが・・・もはや笑いの神が降臨している(笑)。「2流の芸術家とスタバでお茶してるのがお似合いの女よ」とか絶句するぐらい嵌ってて、しまいには「わたし、強いから」がシャレにならなすぎて噴きました。

小松さんは初演で拝見して以来なので、自分にとってオリジナルデイブなせいもあるのか、そこかしこが懐かしく。それでも初演比だとちょっと弾け方が大人しくなった感じがします。今回、初演と違って各キャストの衣装の色が違って、それが性格の違いを表現しているようにも見えてきます。後半部分、ウォレンと気持ちが通じ合い始めてからの衣装が、綿引さんはクリーム色のセーター風、小松さんははっきりとした緑になっていて、「ウォレンと出会って自分を積極的に変えようとする」のは小松さんのデイブの方がより強く感じました(綿引さんのデイブは「ウォレンに引きずられて行ってみる」といった受け身を感じて)。

なんとなく綿引デイブは「ちゃっかり者」、小松デイブは「しっかり者」な気がしましたが(笑)

ウォレンが同じ田中さんですが、デイブとの関係性、特に最後の分かりあえるシーンの説得力がさすが、初演からの小松さんデイブとの組合せだけに、とってもしっくり。

先ほども書きましたが、デイブ単独では綿引さん・小松さんともそれぞれの得意分野を活かした、全く違うデイブを作り上げられていますが、ウォレンと絡むと、物語としての説得力はさすが、小松さんと組んだ時の方が活きる感じ。やっぱり場数ということもあるのかなと。その辺りは綿引さんはこれからに期待ということでしょうか。

ただ、正直なところ、小松さんは初演で拝見した去年の方が年齢的にはフィットしていた気がしますし、綿引さんも年齢的には2年ぐらい前に拝見したかった気がしますが、そうなると直近作での修行(『ラブ・チェイス!』『ON AIR』)がなかったわけで、ここまで面白いデイブになったかどうかはちょっと疑問(笑)。

・・・

大人カップルですが、昼公演では河野さんのクレアを拝見。ようやくクレアはこれで全員拝見したことになります。河野さんは私が『レ・ミゼラブル』を見始めた時のコゼット役をされていたので、自分にとってはオリジナルコゼット。可憐なソプラノがお上手だった少女が、立派なキャリアウーマンとして歩かれている姿は感慨深いものがあります。

以前から河野さんを拝見していて、思ってはいたのですが、どことなく生活感を感じさせない部分が、ある意味、女優さんらしいなと感じていて。ジェイソンと同棲を始めるシーンが何となくふわふわと、どこか現実じゃないように見えて。

この日夜公演で拝見した梨絵さんのクレアが、現実味溢れているといいますか(爆)どこまで物語なのか分からないほどに嵌っていたせいもあるのかと思うのですが。

河野さん、梨絵さんは実年齢の違いもあるかと思いますが、梨絵さんは「埋められない心の隙間がある」ことへの自覚が強いのに比べると、河野さんは「埋められない心の隙間」へ無自覚な感じを受けます。梨絵さんがちょうど今の年齢とぴったり合う役設定なのに比べると、河野さんはあと2年ぐらいしたときがちょうどぴったりな気がします。

いずれにしろ、どちらも袋小路に入っていることは間違いないけれど、「全てを分かっていることが解決への早道ではない」ということを、梨絵さんと河野さんの対比で感じたりして。

現実に寄り添いすぎてる梨絵さんのクレア、現実から離れすぎてる河野さんのクレア、両極端のクレアを見られたのはとても興味深くて。

梨絵さんのクレアはジェイソンと別れることに説得力があって、河野さんのクレアはジェイソンと結ばれないことに説得力があって。

クレアは最後のソロ、「I'll Be Here」で自分の過去を吐露するわけですが、梨絵さんのクレアは「一度は割り切ったけど、やっぱりジェイソンと結ばれる資格はない」と思えるし、河野さんのクレアは「表面的には付き合ったけど、やっぱりジェイソンと結ばれる資格はない」という点で、ベクトルが違うだけで結論は一緒なのかなと。

そういえば、夜公演、ウォレンの田中君がいつもより派手に紙をまき散らして(だいたい舞台上に残るのですが、かなり客席まで飛んできてました)、梨絵さんが座って「I'll Be Here」を歌うための台に、紙が残っていて。

どうするのかなと思っていたら、梨絵さんはその1枚をすっと手に取り(そのちょっと前に、麻田さん演じるジェイソンが紙を拾ったとのリンクするかのように)、その紙を見て勇気づけられたかのように歌い始め・・・た姿が、絶句するほどに素晴らしくて。

その流れで歌われた「I'll Be Here」で、今さらながら「I'll Be Here」の本当の意味を理解して。

「なにげない日々」とタイトルが付いている、この作品の登場人物が、”「なにげない日々」を取り戻そうとしている代表”としての4人なのだということを理解して。

「なにげない日々」を取り戻す、「なにげない日々」を豊かにするのは、周囲の人であり物であり、それぞれの人のハートの温かさであることを感じさせる、『射し込む太陽の日差し』がとても素敵なエンディングだったのでした。

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