« 2014年5月 | トップページ | 2014年7月 »

2014年6月

『Count Down My Life』(2)

2014.6.29(Sun.) 12:30~14:20 Cチーム B列上手側
2014.6.29(Sun.) 19:00~20:50 Bチーム A列下手側

中野HOPE

金曜日の夜のAチームに引き続き、Cチーム・Bチームと観劇し、NY凱旋キャスト以外の通常キャスト、これで一巡です。

本当は日曜日のC→A→Bを狙っていたのですが、今回はAの完売が早く、日曜日がタッチの差で取れずにこうなったのですが、正直トリプルやらないで良かったなぁと・・・

体力的にもそうですが、個人的に一番しっくりくる順番で見られたのが良かったです。

Aチームで物語を思い出し、Cチームでバランスを楽しみ、Bチームで爆発ぶりに圧倒されるという、ちょうどいい順番。
これが他の順番だと、どこかのチームが印象が薄くなる気がします。

それぞれのチームの印象からすると、Aチームは「個性」のチームという感じ。独立独歩というか、登場人物それぞれが走る感じで、上手いこと噛み合ったシーンは凄く良かった。公演期間が長いとチームとしての色がより濃く出たような気がします。

Bチームはコメディ色とシリアス度がどちらも突き抜ける、エネルギッシュチーム。
はらしんさん、島田さん、上田あっこさん三つ巴のコンビネーションが、容赦なく絶妙過ぎて圧倒されます。
もうみんなして、やりたい放題(笑)。客席げらげら笑ってました、コントパート。
はらしんさんが白目剥くシーンとか、あっこさんどこに聴診器当ててるんですか(笑)とか、

Cチームは好バランスで芝居として一番安定している感じ。芝居としてのチームワークが一番良いというか、菊地さん、藤倉さんという演出家さんお2人が俳優さんとして入っていることを反映しているのかなと。

彼女役の3人もそれぞれチームの色を出すのに大きく影響していた感じですが、Aチームの折井さんは一番”彼女”度が高くて、若干幼い感じ。

反面、Bチームの上田さんは一番”母親”度が高くて島田さんと微笑み合うシーンはまさに親子。見た感じSOLで昔の彼女役として共演していた吉沢梨絵さんぽい感じも出していて。

Cチームの藤倉さんはその中間で、”母親”にして”彼女”。
どちらかを選ぶように言われると困ってしまいそうな立ち位置になっていました。

男性2人として一番印象的だったのはBチームのはらしんさんと島田さん。島田さんは女性ですが、この枠は1人は中性的な女性を入れるのが系譜のようで(初演はすどかなさん)、それでも設定は”息子”のまま。
これは「夢物語」が「3世代で受け継がれる夢」という側面があるからですよね。父親が夢をなしとげられず(飛行機嫌いのパイロット)、自分が夢を諦めかけている(本が書けない脚本家)ところを、彼に尻を叩かれているということになるわけなので。

それにしても島田彩さんは凄かった。凄すぎました。あのガタイのいい、はらしんさん相手に、迫撃砲かのような攻撃で怯ませてましたから(笑)。脚本家に身をかわされて地べたにべちゃっ、って倒れ掛かるところとかむちゃくちゃ笑い取ってて、それでいてシリアスはどのチームよりもシリアス。その落差は強く印象に残りました。

そういえば各チーム、脚本家さんはそれぞれ見た目でいじられてましたね。Aチーム広瀬さんは「最近締まりすぎ」、Cチーム菊地さんは「最近太り気味」、Bチームはらしんさんに至っては「最近太りすぎ」(←笑)

Cチームの菊地さんと上田(堪大)さんはシチュエーションに最も合っている感じというか、見た目でネタバレ(笑)という感じがしました。

・・・

今回、『Second Of Life』から引き続きのキャストは、Bチームの上田亜希子さんただひとり。
それもあってか、Bチームを見ているとSOLとのつながりが強く感じられて、個人的に強く印象に残って。
「あなたは夢追い人だもの」と癒すように脚本家に諭す様は、どことなく呆れているようにも、諦めているようにも、そしてだからこそ自分が好きになったようにも見えて。
聖母様のようにも見えたなぁ。

Cチームの藤倉さんはご自身が演出家さんというせいもあるのか、どこか感情や行動に対して抑制的な印象を受けて。舞台上のコーディネーターみたいな感じ。Cチーム見た直後はそこまで感じなかったのですが、Bチームの上田さんがあまりにもの凄い弾け方をしているので、弾けきれないご自身に対するジレンマみたいなものを感じたり。

Aチームの折井さんも同様に弾け振りは抑え目でしたが、藤倉さんに比べると、意識的に抑制しているというよりは、結果として抑制している感じ。無理に押し出さないようにした感じ。

”彼女”の年齢的な雰囲気設定で言えば折井さんが一番若くて、上田さんが一番年長。藤倉さんはその中間って印象。

・・・

ストーリーの話を。

今回の主人公である脚本家は、28歳の時点で戯曲賞の最終選考の中に残っているので、それなりの実力を持った人ということは分かるわけですが、その前もその後も受賞には恵まれていません。

恐らくは最後の殻を破るための”あと少し”の差が、
”自分の夢は自分だけのものではない”という思い。
芝居を一緒にやった仲間の自殺、父親の夢を託された自分、彼女の本当の気持ち、そして彼からの支え・・・

主人公は「自分が夢を諦めればいいじゃないか」と思っていた部分があったのでしょうが、実際30歳近くまで夢を追い求めようとするなら、実は沢山の犠牲を払っていることを思い知るわけです。

この作品で感動的なのは、「犠牲なしで夢は実現しえない」という側面ともう一つ、「犠牲に対する痛みをわかってこそ、夢を追い求めることに対する責任が生まれる」ということだと思うのです。

夢を実現するのに、「自分以外の犠牲が存在した」と気づくことも必要なことでしょうが、主人公がその犠牲に対して全く何の感情も持たないのであれば、犠牲を払った人に対して「申し訳が立たない」。

犠牲を払った人に対する痛み、申し訳ないという気持ちを持ってこそ、夢を実現しようとする気持ちが”自分のためだけでない”ことに真剣味が帯びてくる。
紙一重の差と思われる”あと少し”の差を埋める、最後のピースのように思えてきます。

今回の作品のタイトル『Count Down My Life』は、主人公にとっては、”夢を追うことが許される人生の賞味期限までの時間”であり、彼にとっては”作品の中で生を受けるまでの時間”。

最後の「Happy Birthday」で2人の”時”が初めて重なり合ったとき、その時が主人公にとって『Second Of Life』の始まりだったかなと、そう思えてきたりします。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『カルメン』(5)

2014.6.28(Sat.) 12:30~15:20 2階ボックス席(下手側)
2014.6.28(Sat.) 17:30~21:00 3階A列20番台(センターブロック)

「カルメン」3回目、4回目と観劇してのmy楽です。

当初はトークショー付のソワレだけの予定でしたが、「特典DVDにはちーちゃん2曲も入っているよ(ちなみに登場は3曲)」という、ちーちゃんファン「以外」の方からの悪魔の囁きにより(笑)、マチネを追加。興味があった2階ボックス席にしてみました。

先日の1階2列目・2階ボックス席・3階1列目がすべて11,000円という、不思議仕様な天王洲銀河劇場。

音響としては1階2列目が超ベストなのは当たり前ですが、次に良いのは2階ボックス下手側、3階1列目上手側。一番良くなかったのは3階1列目下手側でした。つまり、この日は”当たり”が2回。2階ボックスは目の前の柵もさほど気にならず、これは当たりだなと。

マチネは1幕ちーちゃんの声が本調子ではなくて心配になりましたが、2幕からは持ち直して一安心。もともとカタリナは1幕はちーちゃんが演じるには役設定が若い気がするので、2幕での変化はちーちゃんが演じてこそ。そこをきっちり締めて来たのは流石でした。

ホセとカルメンの結び付きがどんどん強くなってきていて、カタリナの道化的なポジションが際だつ昨今。
カタリナとカルメンの教会のシーンが強く印象に残ります。

カタリナは彼女らしくもなく、恋敵のカルメンに大きな失点を犯します。
カルメンに向かって、「本当にホセがスニガを殺したの?」と言った言葉は、カルメンにとっては失望だっただろうと。

「ホセを信じていないの?」と呆れたかのように言うわけですが、ここでカタリナはホセをきちんと信じてあげられていなかった引け目を感じて「あなたがホセを守れなかったら許さない」という発言につながっていくわけですが、こちらも大きな失点。

恋敵に対して自ら白旗を上げていると同然なカタリナに対して、
カルメンはわざとけしかけるわけです。
「愛したら、正しいかどうかなんてどうでもいい。欲しいか欲しくないかだけ」

カルメンにとっては、カタリナが手を引けばホセは確実に自分のものになるのに、わざわざなぜ仕掛けるか。

手応えがない相手に勝っても意味はない、という捉え方もできなくはないのでしょうが、カルメンが勝ち負けで相手を求めるとは思えない。カタリナがどう思おうと、カルメンにとってはホセを求めることには変わりはないわけですから。

とすると、カルメンがカタリナをわざわざけしかけたのは、「仲間が欲しかった」「自分と同じ炎をカタリナに感じた」の2点かなと。

同じ人=ホセを愛した以上、2人に共通点があるのはむしろ必然ですが、思い返せばカルメンは孤独な女性。自らの立場を守るために、男という男を利用し、同時にバリヤーを張っている女性。サーカス仲間の女性とはそれなりに人間関係を築いてはいるようですが、同格な関係ではなくあくまでメインとサブの関係。

カルメンにとって、自分と同格な関係と認めたのは、ホセとカタリナしかいないんですよね。

虐げられてこそ、というか虐げられたからこそ自分が上に行かないと納得できなかったカルメンが、愛し合うという結果対等となったホセと、同じ人を愛したからこそお互いを理解し合えたカタリナは、カルメンにとって恐らくとても重要な存在だったかと。

だから、愛するホセの胸の中で天に召され、十字を切って見送られたカタリナの心の中にカルメンは確かに生き続け、自らは自由な世界で自由に生きる。

カルメンにとっては幸せな最後だったんだろうな、と思わされます。

・・・

この作品「カルメン」は結果4回見たわけですが、見る度に分かることと、見る度に分からなくなることが増えていきます。
一番の謎は、キャストのパフォーマンスが良いのに、なぜ作品としての満足が得られないのかということ。

演出家の小林香さんの作品はいくつか見ていますが、基本的にメッセージ重視の方だと思うんです。「何を言いたい」が前提にあって、そのためにどう見せるかを組み立てる方。なのにこの作品では、「カルメン」という作品で何を言いたいのかが、はっきりと伝わってこないんです。

パンフレットを読めば、演出家が見せたかったことも想像が付くんですが、それはやっぱり作品で読み取れてこそだと思うんです。同じワイルドホーン作品の「GOLD~カミーユとロダン~」と今回の「カルメン」でテーマとして共通しているかのように感じたのが「魂としての自由」。「GOLD」では女流彫刻家という、その時代では存在を認められていなかった存在の中でどう生きていくかを見せていたわけですが、「カルメン」もジプシーで女性という、その時代では最下層な存在の中でどう生きていくかを見せようとしていて。

カルメンがこの時代にいかに虐げられ、だからこそ過剰に思えるほど自由を追い求めたかといった面がストーリーとして伝わって来にくかったのが、自分としてはじりじりするようなもどかしさを感じて。

思うのが、あまりにめぐさんが凄すぎて、カルメンに合いすぎて、小林さんが見せたかったところのメッセージまで、めぐさんのカルメンが吸い取ってしまったんじゃないかと思えてしまって。作品のバランスって難しいんだなと思うとともに、何とかもう少しどうにかできなかったのかなと、ちょっと残念な気持ちを持っていたりします。もっと感情的にぐわっと揺さぶられる作品だと思い込んでいたので。勝手な感想ですが。

この日ソワレはmy楽でしたが残念な出来事が。
2幕のガルシアの出し物で縛られるカルメンを紐での拘束に失敗したんです。
このシーン、2人のアンサンブルさんが両方向に1人ずつ紐を持ちながら、セットを回転させることでカルメンに紐を巻くのですが、何と紐を持った2人が同方向に行ってしまい、途中で動線がぶつかって立ち往生。バンドスペースからはそのトラブルが判明せずにいつも通りに演奏を進めて時間切れ。1本がカルメンの腹部に残ったからまだ良かったものの、下ではだらんとぶら下がる紐。ガルシアの言である「縄が締め付ける」が滑稽な言になってしまいかねないシーンは見ていて冷や汗をかきました。
全体的に今回、男性アンサンブルさんには満足しにくかったです。

・・・

この日ソワレはトークショー。
司会はいつもの名手、ホリプロの梶山プロデューサー。
下手側から梶山氏、別所さん、香寿さん、千弘さん。役の衣装そのままでの登場です。

しょっぱなから

梶山さん「市長役のべ、べっしょてつやさんです」
別所さん「噛みましたね(笑)」

で始まる(笑)。

印象に残った事柄をつれづれと順不同に。

梶山さん「千弘さんはカタリナ演じて、婚約者に逃げられて散々な役ですが(笑)、どうですか」

千弘さん「今まで結構幸せな役が多かったので、こういう役は新鮮です。
  こういう人生もあるんだなって。人生は辛いこともあるんだなって思ってます(笑)」

梶山さん「自分の歌でも他の方の歌でも良いんですが、好きな曲は何ですか」

千弘さん「イネス叔母様の『(イネスの)アドバイス』ですね。とっても楽しいです」

香寿さん「カタリナの『聖テレサ』ですね。最初音源で聞いた時から、英語でしたけどとっても素敵なメロディーラインで大好きです」

別所さん「JKimさんの預言者やりたいです(笑)。」

梶山さん「別所さんの役、『悪い奴』ですけど、演じていてどうですか」

別所さん「別に『悪役』とは思っていなくて、そりゃ悪どいこともやっているんでしょうけど、そうなるだけの理由が彼にはあったんでしょうし。娘が可愛くてひもじい思いさせたくないとか、もしかして姉さんがお金使いすぎてとか(香寿さん爆笑して撃沈)、色々と理由はあったと思うので、そういった役のバックボーンみたいなものを想定して演じたりしています」

梶山さん「ここの兄弟姉妹のシーンとしては『鍵』のシーンがありますけど、あれどうやってできたんですか」

別所さん「『この馬鹿力~』は自分が入れました(笑)。
     けど『この行かず後家の居候が!』のくだりは演出の小林香さんの作ですよ(笑)」

梶山さん「別所さんと千弘ちゃんのシーンといえば寝室のシーンがありますが、日々進化していますよね(笑)」

千弘さん「別所さんが日々話を突っ込んで下さるので」

別所さん「今日は闘牛だったね」

梶山さん「別所さん、あれはいつ考えるんですか」

別所さん「あの場面に出てから考えてます

梶山さん「毎日違いますけど、それを受ける千弘ちゃんはどうなんですか」

千弘さん「『ラブレターでパエリアが焼けた』とか(笑)、こらえるの大変なんですけど」

梶山さん「でもばっさり『もう遅いわ』ってやりますよね

千弘さん「(笑)。どこで突っ込んだらいいかって迷いますけど、
 基本、放置しています(笑)」

梶山さん「放置プレイですか(笑)」

別所さん「そうなんですよ(笑)」

梶山さん「それにしても千弘さん、絶妙なタイミングで入れますよね(笑)」

別所さん「そうそう(笑)」

梶山さん「香寿さんと千弘さんは同じ楽屋ですが、楽屋でもこんな感じですか」

千弘さん「そうですね。毎日楽しいです。今日は楽屋にシート持ち込んでサンドイッチ持ち込んでピクニック!みたいにやってました」

香寿さん「楽屋8畳ぐらいしかないんですけど、そこに2人寝転んで、きゃっきゃやってます(笑)」

梶山さん「あの狭いところでそんなことやってるんですか(驚)」

梶山さん「それでは明日1回残すのみですが、皆さまから意気込みを含めたご挨拶をお願いします」

千弘さん「明日ご覧になっていただける方もいらっしゃるかもしれませんが、最後までカタリナとして、『カルメン』の作品の一員としてしっかり生きたいと思います」

香寿さん「宝塚にいたとき、この手のコメディータッチな役だと、『千秋楽はどんなものが出てくるんだろう』というプレッシャーが凄くて、毎回辛かったんです(笑)。今回はそういったプレッシャーがなくて楽で(笑)、明日も普通に演じて、最後までイネスとしてしっかり生きたいと思います」

別所さん「明日はあのシーンがまたどういうことになるのか楽しみですが(笑)、楽しみながらしっかりと演じたいと思います。ありがとうございました」

・・・・・

トークショーは司会が上手だと話がスムーズで面白くなる典型な、とっても面白いトークショーでした。
こんなトークショーならもっと時間を伸ばしてくれても良かったです(笑)。

無事、my楽まで完走しました。なんだかんだで作品を満喫しました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『Count Down My Life』(1)

2014.6.27(Fri.) 19:30~21:10
中野HOPE E列1桁番台(センター)

劇団TipTap公演、NY凱旋公演版1回目は、Aチームでの観劇です。

TipTapさんは去年12月の『Second Of Life』で初見で、2回観劇予定が、3チーム制覇した上合計4回というど嵌りをしてしまい、その時にこの作品のDVDも入手。ただこの作品を生で観るのは初めて。あえてDVDを見直すことをせずにmy初日を迎えたため、新鮮な楽しみ方が出来ました。

開演前のお楽しみ、”小澤内閣”こと作曲の小澤さん率いるバンドさんの音合わせの選曲が面白い。この季節に『もういくつ寝るとお正月』が残っていて心の中で(あと180日!)って心の中で叫んでみたり(笑)、ドラえもんもドレミの唄も生き残っていて、ちょくちょくSOLの曲が入るのと、そこに反応している方がちょこちょこいらっしゃるのが興味深い(爆)。



-君の喜ぶ顔が見たかった-

この言葉は奇しくも『Second Of Life(SOL)』と『Count Down My Life(CDML)』に共通する台詞。
主人公が”過去の”彼女に発する言葉。

自分はSOLで先にこのシチュエーションを聞いているのですが、順番的にはCDMLの方が先。
自分の夢を諦めかけている主人公が自らに問いかける「なぜ自分は”これ”を夢としたのか」

CDMLの主人公は夢に対して自信が持てず、過去の彼女はそんな彼を辛抱強く翻意させようとする。
夢を追わないのなら自分が身を引いた意味はないと・・・

SOLの主人公は病気の彼女(今の彼女)を助けることで、夢を追わなくて済むことにどこかほっとしている。
反面、過去の彼女は夢を追わない彼の姿を見て、自分の存在意義を失いかけて焦る。
彼の夢は自分の存在そのものだったから・・・

この2作品は「夢」を題材にしているので、共通点を感じてしまうわけですが、「夢とは自分だけのものではない」という点で共通していて。

CDMLの主人公は30歳という親との約束の期限、「夢を追い続けて良い時間」のタイムリミットまでに何が出来るか焦っているわけですが、どうしても見ていて「夢が叶わなければ僕の人生に意味はない」といった印象を受けてしまうんですね。

そこに少なからず”甘え”を感じてしまうわけですが、物語が進むにつれ、「自分の夢」のために犠牲になったものを目の当たりにして、彼が自らを見つめ直していく様が素敵。

「生きられなかった命」を前にして、「生き残った人が何が出来るか」を説教臭くなく訴えかけてくるところが、さすがこの作品。
『Ordinary Days』にも今回の再演で同じような感情を受けたりしましたが。

「生きる意味」を追い求めるようになる主人公。「死んだ意味」を問いかける昔の彼女。「生きられない意味」を問いかける彼。そう考えてくると、人間は「無意味」には耐えられないんだなということをつくづく感じます。

よく作家さんが仰る「すべての作品は我が子のようなもの」と言う言葉が、この作品ほどにぴったりくる作品もそうはなくて、最後のバースディソングは、DVDで見ていた時と段違いの感動。これだから生の舞台って凄い。

Aチーム、出演者の中で唯一存じ上げていたのは勝手に命名”娘1”役の折井理子さん。中野駅で中野区観光大使のポスターを確認してから参りました(笑)。SOLでもそうですが、このポジションはがんがん歌を歌いまくる、歌姫的な位置付けですね。久しぶりの折井さん、役にフィットしてました。

Aチームは今回、一番早く完売したチーム。階段席までびっしり使った満員御礼。実は日曜日にトリプルヘッダー(C→A→B)を狙っていたのですが、ちょっとの差でAが完売してしまって急遽取った回だっただけに、見られた幸運に感謝。今日のB/Cチームとの違いも楽しみです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『カルメン』(4)

2014.6.22(Sun.) 12:30~15:20
天王洲銀河劇場 1階2列目20番台(上手側)

2回目の観劇は、終演後にFC限定ライブイベント(濱田さん、清水さん、千弘さん)があるこの回に。

前回が3階席最前列、今回が1階2列目という、えらい落差ですが、さすが100m近く前方に来ただけあって迫力が段違い。これで同じ値段というのですから、鬼だなぁと(苦笑)。
こと音響でチケット代を評するなら、せいぜい6割ぐらいであるべきと思いますけどね、3階最前列(しかも視界が手摺りで遮られる)。

というわけで、全体が見通せない代わりに部分部分がとってもクリアに見える。上手側は千弘さんフリーク御用達のポジションのようで、かなり満足度の高い位置。6重奏『決して振り向くな』もここだし、『VIVA!』での観客席も上手側。イネス叔母様に人生の手ほどきされているときは下手側ですが、ちょうど対角線で見やすい。

初回に見た時に比べて明らかにカンパニーの中の成熟度が上がっていて、かなりの変化が。

千弘ちゃん演じるカタリナは、前回見たときよりも芯が強くなって、1幕でさえ結構なしっかり者に変身。

別所さん演じる父親からの過剰すぎる愛情を受けて、「蝶よ花よ」でふわふわとしてた感じの初見から随分変わって、結婚パーティーの後の寝室のシーン。

父上「私は誇らしかったよ・・・私も20年若ければホセのように・・・」

カタリナ「もう遅いわ」

客席「(笑)」

・・・いや、カタリナに悪気はないんですよきっと(多分。そうだよね。だよね・・・w)。

ここ、「パパ、もう遅いからその話は明日ね」の意味の「もう遅いわ」なんですよ。
それがこの日の千弘ちゃん、わざわざこのタイミングにこれぶち込むか!ってタイミングでこれ入れたもんで。

「(パパが若作りするのは)もう遅いわ」って理解できるような感じで、客席から笑いが起こるほどで(笑)

多分、悪意も他意もなかったはず(と信じたいw)けど、「カタリナつえー!」と思うに十分でした(爆)。

・・・

カタリナでおっ!と思ったシーンがもう一つ。この直前、ホセが帰ってきてカタリナにキスをするのですが、その時カタリナは不自然な動きをするのですね。「何かあったの?」と問いかけるカタリナに対して、ホセは「何もない」と答える。

ここのシーン、前回ははっきりさせてなかったと思うのですが、カタリナは既に何かに感づいたように見せていて。

直前にホセはカルメンとキスをしているわけで、「なぜなの?答えて」と言いたいところでしょうが、そこは直前にイネス叔母様に言われた「ちょっとは許してあげること」を実践しているわけなのですね。

・・・

2幕後半の教会シーンで、あえてスポットライトをあててみるカルメンとイネスの会話。

イネス「あなたは昔の私によく似ているわ」

カルメン「(いかにも嫌そうにw)じゃぁ歳をとったらあなたみたいになるってこと?」

イネス「運が良ければね」

ここ、初回は気づかなかったんですが、確かにカルメンとイネスはとってもよく似ているんですよ。

「自由」を追い求めた。

という一点において。

イネスはどうやら過去に沢山の浮き名を流した方らしいわけですが、それは言い換えれば「自分の意思に自由に生きてきた結果」とも言えて。

カタリナがイネスに寄り添っていた間は、敬虔な信教徒であるカタリナにとって、その浮き名は尊敬する対象ではなかったでしょうし、真摯に自分を思ってくれているのは分かっても、”イネスの生き方”はそれほどまでに尊敬する対象ではなかったでしょう。

カタリナはカルメンと対峙することで自らの「表に出していなかった感情」に気づき、「自由に生きることの大切さ」を学ぶわけです。そしてカルメンを襲ったある出来事を境に、カタリナは自分の本当の人生を歩み出す。

あのシーンで十字を切ったカタリナは寿庵に見えて、ホセはシローに見えて、カルメンはお蜜さんに見えたなぁ。(『SHIROH』)
カルメンの「自由に生きることへの大切さ」は、確かにカタリナに受け継がれたと思うし、カタリナにとってはイネスの生き方の意味を本当に理解したんじゃないかなって。

イネスはそのシーンまでずっとカタリナに寄り添っていたけど、去っていくカタリナを追いかけようとはしなかったのが印象的で。イネスにとって、カタリナが独り立ちしたと安心した瞬間だったんだろうなと。

・・・

「誰の物にもならない」と叫んでいたカルメン。社会的弱者であるジプシーの、さらに「女性」という立場のカルメンにとって、生きていくためには何でもしなくてはならなくて。ジプシー一族の長であるガルシアとの関係が実に興味深くて。

カルメンにとって一番恐れていた相手がガルシアだろうことは想像が付くのですが、ガルシアの庇護があればこそ自分がその立場にいられることも分かっている。「男」すべてを意のままに操れるカルメンが、恐らく操れなかったのが2人だけいて、1人がガルシアで1人がホセだろうなと・・・

ガルシアは粗野で乱暴に見えはしますが、同じ「権力」を持った存在の”市長”と比べると、ガルシアの方がはるかに”人の上に立つ”だけのものを持っていると思うんですね。”市長”は表向きはともかく、「権力を利用する」ことに長けている。ガルシアはジプシーの長として、ジプシー一族の命運が自分に懸かっているという「権力の責任」からは目を背けてはいない。

カルメンがガルシアに対してだけは畏怖を感じ、嘘も容易く見破られる様を見ていると、ガルシアの人としての大きさと、実はガルシアの庇護の下にいれば自分は安心していられる・・・ことに安住することをカルメンがよしとしなかったのではと。

・・・

ぐんぐん良くなってきたこの作品ですが、惜しいなと思うのは多分、これ物語の根幹かと思うのですが、
「ホセがカルメンを運命の人と思う」シーンがなんだかちょっと足りない。なぜカタリナ捨ててまでカルメンに行くかは重要なポイントで、それは「自分で何かを選んだことは初めて」というホセ談に表現されているのはわかるとしても、でも。
カルメンと一緒にいておいて、「俺のせいで彼女(カタリナ)が危険に曝されるのは嫌だ」というのもよく分からない。

逆にカルメンがホセを運命の人だと思った理由はすごくはっきり見えてきていて、はまめぐさん、前よりずっと、ホセの前では女になってて凄いなぁと。カルメンがホセを絡め取ったように見えない。それが凄く好きです。男を利用する相手としか見ていなかったカルメンにとって、初めて「そうではない相手」としてホセと通じ合ったわけですから。

あと、ホセの親友の方、ちょっと台詞回しが・・・歌はまぁいいのですが。

・・・

前回書きませんでしたが、ホセ役の清水良太郎さんが、初舞台でこれだけ出来ているのは凄いなと。歌が上手い人にありがちな歌に溺れる感じもほとんどないし、相手と呼吸を合わせることにこれだけ真摯なのは見ていてとても好感。実際、濱田さんとの居残り稽古百本ノック的なものの結果でもあるらしいのですが、一番の不安要素だっただけに、予想外の収穫でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(1)

2014.6.21(Sat.) 18:00~20:55
シアタークリエ 21列10番台(センターブロック)

東京公演初日、行ってきました。
Wキャストのブレンダ役は新妻聖子さん。

シアタークリエ前で、聖子さんの前の事務所の社長さんとマネージャーさんとお会いしご挨拶。
席に座ってみたらお2人がすぐ真後ろ(最後列)でびっくり(笑)。

舞台セット上にオケが組み込まれているので、いつもよりずっと演奏の音が大きく客席に流れてきます。
セットとしてはクリコンに似てる感じ(特に真ん中の階段の作りとかが、「愛のデュエット」あたりが始まりそう(爆)))。

演奏の音が大きいせいか、ちょっと歌詞が伝わりにくい感じ。というか日本語詞が長すぎる感じがあって、言うだけで結構大変みたいな感じ。聞いている方も歌詞+台詞量が多すぎて消化が大変という感じ。もう少し整理しても良かったのでは。

登場人物もアンサンブルさんまで含めると結構多くて、全員が登場するダンス込みのシーンだったりすると、クリエの舞台全体にほとんど人がいるみたいな状態になって、「混んでいるなぁ」という感じ。

この舞台の演出は荻田浩一さんですが、以前拝見した『トゥモロー・モーニング』の方が音楽的にはキャッチーだったし、登場人物が沢山いても、クリエを狭く感じなかった『ガイズ&ドールズ』みたいなケースもあるので、個人的に感じた違和感がなぜなのか、一回では分からなかったのですが。

日が経てば恐らく盛り上がるであろう1幕最初のダンスシーンも、この日は初日ということもあり舞台側も客席側も模様眺め。それに代表されるように1幕はどことなく盛り上がりどころを手探りで探っている状態。先日拝見した「カルメン」もそうですが、どうも最近2幕制の作品は1幕の盛り上げが今ひとつな気がしています。

1幕でおおっと思ったのが、主人公・フランクの母親役を演じた彩吹真央さん。結構自由奔放で思うがままに生きているのですが、「母としては失格だけど、女として生きたい」感じが見えて魅力的。息子にとっては自慢の母親だけど、「母親」という枠の中では生きられなかった人なのかなと。

面白かったのは「ずっこけ三人組」と命名されていた、FBI捜査官の三人組。今井さん演じるハンラティの部下にあたります。中堅捜査官の鎌田さん、若手捜査官の海宝さん、その間でふらふらするひのさんのバランスが面白い。「良い味出してる」って感じがぴったりです。2幕で鎌田さんが聖子さんを連れて行くシーンがありますが、「あ、(元)同事務所ペアだ」とか思ったり(爆)。

あと1幕の見所は今井さんが率先して踊るシーン(爆)。「今井さんは実はダンサーなんです」説は今までも何度か聞いてはいたけれど、がっつり見たのは今回が初めて。結構激しいダンスの後、最後息が上がってたところが、今井さんらしくて会場からも温かい拍手が。今井さんのハンラティ、実は役替わりなわけですが(元は福井さん)、全くそんなことがないぐらいぴったり。戸井さんも役替わりですが、今回役替わりした3人とも、役にぴったりでした。

2幕は幕開きからずっこけ三人組が客席を温め、だんだんと客席も良い感じになってきますが、ちょっと弱いなと思うのが耳に残るメロディーが少なくて、1曲1曲が段取り見たいに進んでいるところ。何回か見ればまた違うのでしょうが。

予告されていたとおり、フランクの恋人になるブレンダ(新妻聖子さん/菊地美香さんのWキャスト)は2幕からの登場になりますが、あの服着ていると予想以上に背が(以下略)。というかそういう台詞も存在し(以下略)。

「内気で自分に自信が持てない」という役設定からして本来は美香ちゃんの役なんだろうな、というのは感じたりして、聖子さんだとこの手の役はオリーブ(『スペリング・ビー』)以来かなとか思って見ていました。

そんなブレンダのソロ「Fly,Fly Away」が2幕ほぼラストにあります。ご当人が「この曲で爆発させる」て申されていたり、松岡氏と今井氏が「あの曲で全部持って行く」と申されていたりで、否が応でも期待は高まるわけですが、凄いです。

聖子さんの「凄い」歌といえば、「GOLD」だったり「ラマンチャ」だったり、「RIVER DEEP~」だったり、いくつも聞いてきていますが、この中では「GOLD」が近いかなと。カミーユが「自分の人生は自分のもの」と歌ったほどには強い女性ではないブレンダですが、それこそ「ブレンダ・ストロング」なだけに、別の意味で強い。自分の置かれた立場、自分の受けた衝撃を前提に、どう生きていくかを歌にぶつけたこの曲は、なるほどこの曲だとブレンダが聖子さんである理由は、確かにあるなって。

美香ちゃんだとこの曲、かなりイメージが違う気がする。

・・・

終わりよければ全て・・・というわけでもないのでしょうが、終幕に向かうにつれて盛り上がっていったこの日の公演。公演を重ねる毎に、どう客席を引っ張り込めばいいかは磨かれていくような気がしました。また拝見できる日が楽しみ。

この日は初日ということで座長の松岡さんからご挨拶。「日本初演のこの作品の離陸に立ち会われた皆さんは自慢していいです(笑)」というところから始まり、「あの百戦錬磨の今井さんでさえむちゃくちゃ緊張されていて」と横の今井さんをいじり、今井さんはバツが悪そうに「はい」って答えてた様がとってもチャーミング(笑)

「7月21日までやってます」という話が出て会場の一部が不思議な雰囲気になり(速効で突っ込みそうな方が松岡さんのお隣にいらしたのですが、この日はおしとやかモード(爆))・・・クリエ公演は7月13日まで。

「ライバルがいっぱい居ますからね-。『シスターアクト』とか『オーシャンズ11』とか・・・あと何だっけ」って松岡さん言ってて、横の今井さんから「宣伝してるよね(笑)」という絶妙なツッコミが入るナイスなペア。

役柄としての関係性は今日は書きませんでしたが、掴まえようとする方、掴まえられそうな方に、ただ追っかける追っかけられるだけじゃない感情が芽生えてきた様が伝わってきて、そこはやっぱり「情」の今井さんなんだなと感じたりしました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『カルメン』(3)

2014.6.18(Wed.) 14:00~16:50
天王洲銀河劇場3階A列1桁番台(下手側)

当初、22日マチネが初見予定だったこの作品。

この日、夕方から同所発着(クルージングです)で大塚千弘さんのファン感謝イベントがあるということで、できれば作品を拝見してから参加したいな、ということで無理矢理この日に休日出勤振替(これでもまだ1日残っています。どんだけ休日出勤していたのやら)を入れて行ってきました。

製作発表、稽古場見学会と拝見したぐらいの作品なので、なぜ初日に見ないのか不思議ですが(笑)、最近初日へのこだわりが減ったというか、平日の場合だとよほどのことがない限り回避しています。

この作品は3階最後列のみA席、それ以外はS席だそうで、3階最前列のこの席さえS席(つまり諭吉超え)。が、目の前に転落防止用の手摺りが鎮座して、手摺りの下を見るようにするか、次の列に人がいないこと前提で伸びするか、どっちかが強いられるので結構疲れる席なんですよね。この手摺り、透明にしてくれないかなぁ・・・と座る度に思います。

1幕の主要曲は既に聞いているので、衣装と舞台とのマッチングが気になるところですが、噂に聞いていたちーちゃんのドレスは、それほど違和感は感じず(衣装さんのセンスが微妙な気はしますけど)、でもたーたんさん(香寿さん)のドレスは・・・うーん、ちょっと微妙

見る前の印象として、はまめぐさん演じるカルメンが「どん!」と中央に揺るぐことなく存在して、圧倒的な存在感でのしかかってくる・・・感じかと思っていたので、全編そうではなかったことがちょっと意外。
「VIVA!」を初めとしてソロとしては間違いなくさすが、はまめぐさん、という存在感ではあるのですが。

小林香さんが演出されているにしては、意外なほど各シーンの繋ぎがぎこちなくて、これも意外。
比較的流れを重視する演出家の方だと思うのですが、どうも流れがぶつぶつ切れてしまうのが玉に疵。

その解決策の一つが、「場面転換に預言者(JKimさん)を使う」ということで、それ故にチェコ版、韓国版よりこの役の出番が多いそうです。

もう一つが香寿さんが演じられているイネス叔母様の自由自在感。市長にも物申せて(まぁ聞き流されていますが)、カタリナを本当の娘のように心配する様も全く無理がなく、ホセを煽ることさえ違和感がありません。ホセとカタリナの結婚披露パーティーでひとしきり踊り終わった後、「若い子は良いわね」って言ってたのには噴きましたが(笑)。

随所にどこかで聞いた曲が登場するのも最近のワイルドホーン作品の特徴な気がしますが、ホセとカタリナのデュエット「ただ一人の人」は「ルドルフ・ザ・ラストキス(初演)」の「something more」を思い出してしまい、千弘ちゃん曰くの「星がキラキラした感じ」がそっくりすぎて。でも製作発表の時よりもずっと良い感じのホセとカタリナになっていました。親密すぎる感じでもなく、まったく接点がない感じでもなく。キラキラ担当のちーちゃん、これを待ってたんですよ!さすがデュエットの達人!(爆)

1幕は全体的に散漫な印象が強いのですが、1幕ラストの「決して振り向くな」は圧巻の六重奏。これだけでお腹いっぱいになれる凄さ。登場人物すべてが、自分の道を巻き戻せない覚悟で、そしてそれらの道は場合によってぶつかり合い妨害し合うわけで・・・

ある意味、勝手気ままに進んできた登場人物たちが、最初に一同に会することで(実際に会っているわけではないのですが)、全ての人物が戦っていることを感じさせるこの曲の凄さは、2幕への期待をつなぐものでもありました。

主演のカルメンはジプシーかつ女、この時代においては最下層で、虐げられているからこそ全てと戦わなくては生きていけない・・・というのは言われれば確かに分かるのですが、「カルメンが何と戦っているか分かりにくい」のが一幕を見ての正直な感想でした。

それに比べると2幕はかなり盛り返した印象。

何と言っても白眉はホセを挟む2人、カルメンとカタリナの教会のシーン。
この作品のコアはここにあるんじゃないかと思うぐらい印象的なシーンでした。

正直言ってしまえば、このシーンがあるからこそカタリナを千弘ちゃんが演じる甲斐があるぐらいに思えて。というのも、ただ可憐なだけなら、最近、可憐キャラから離れていた千弘ちゃんがその場に復帰する必要は薄いわけで(爆)。

これはめぐさん前作の『ラブ・ネバー・ダイ』でメグを玲奈ちゃんが演じたこととも似ているかと思うのですが、めぐさんが演じる役と、直接対峙する役にこのクラスの女優さんが来ることの贅沢さと有り難さをしみじみと感じます。

実際に何が起こったかはネタバレになってしまうので今日のところは控えますが、このシーンがあるからこそカタリナが千弘ちゃんで良かった、と強く感じました。

好敵手の対決ということで、やっぱりステファニーとマリーの関係を思い出してしまうのですが、ステファニー的なのはカタリナで、マリー的なのはカルメンなので、そう捉えると役者としてのイメージでは逆なんですよね。

自らの立場に縛られるという点でステファニーとカタリナは似ているし、自らの立場が実質的に存在しないという点でマリーとカルメンは似ているし。

ただその両者って実は表裏一体の同じものなのかとふと思えて。

父親の庇護の下で生きてきたことに、何の疑いも持たなかったカタリナが、自らの立場を必死に築こうとするカルメンに接して起きたこと。

なぜホセはタイプの違う2人-カタリナとカルメン-を好きになったのかということを不思議に思われがちだけれど、見終わった限りではホセは2人に共通する要素を見ていたのだろうなと思えるし、理性を超えた感情は、本質を見抜くということなのかと思えたのでした。

次の観劇は日曜日マチネ。今度は1幕ももっとじっくり感じてみたいです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『Ordinary Days~なにげない日々~』(3)

2014.6.15(Sun.) 13:00~14:30 B列下手側
         19:00~20:30 C列中央寄り
日暮里d-倉庫

土曜日に続けてのOD2回観劇。
トリプルヘッダーは体力的に厳しいので、開いた中間の時間はお知り合いとお茶した後、もみほぐしへ行ってきました(笑)。

この日のキャストは、以下の通りで( )内は初演含めた回数。

クレア   昼:河野由佳さん(初)、夜:吉沢梨絵さん(2)
ジェイソン 昼:松原剛志さん(3)、夜:麻田キョウヤさん(初)
デイブ   昼:綿引さやかさん(2)、夜:小松春佳さん(2)
ウォレン  昼:田中秀哉さん(初)、夜:田中秀哉さん(2)

昼夜でキャストほぼシャッフルで唯一ウォレンだけが田中さん2回。
この日、作品としての完成度という意味では夜が凄く良かったです。

デイブは昼の綿引さん、夜の小松さんとそれぞれ別のアピールポイントで弾けまくっています。

綿引さんはコミカルシーンの笑いの持って行き方が絶品。教授へのメール送信シーンの茶目っ気というか、上手いことやり過ごせそうな様子というか、下手をするとちゃっかり単位を取れてしまいそうな気さえする(笑)ところが絶妙。卒論用ノートを地下鉄だかどっかでなくして、拾ったウォレンに呼び出されて、その場所がメトロポリタン美術館という・・・その時の方向音痴ジェスチャーが・・・もはや笑いの神が降臨している(笑)。「2流の芸術家とスタバでお茶してるのがお似合いの女よ」とか絶句するぐらい嵌ってて、しまいには「わたし、強いから」がシャレにならなすぎて噴きました。

小松さんは初演で拝見して以来なので、自分にとってオリジナルデイブなせいもあるのか、そこかしこが懐かしく。それでも初演比だとちょっと弾け方が大人しくなった感じがします。今回、初演と違って各キャストの衣装の色が違って、それが性格の違いを表現しているようにも見えてきます。後半部分、ウォレンと気持ちが通じ合い始めてからの衣装が、綿引さんはクリーム色のセーター風、小松さんははっきりとした緑になっていて、「ウォレンと出会って自分を積極的に変えようとする」のは小松さんのデイブの方がより強く感じました(綿引さんのデイブは「ウォレンに引きずられて行ってみる」といった受け身を感じて)。

なんとなく綿引デイブは「ちゃっかり者」、小松デイブは「しっかり者」な気がしましたが(笑)

ウォレンが同じ田中さんですが、デイブとの関係性、特に最後の分かりあえるシーンの説得力がさすが、初演からの小松さんデイブとの組合せだけに、とってもしっくり。

先ほども書きましたが、デイブ単独では綿引さん・小松さんともそれぞれの得意分野を活かした、全く違うデイブを作り上げられていますが、ウォレンと絡むと、物語としての説得力はさすが、小松さんと組んだ時の方が活きる感じ。やっぱり場数ということもあるのかなと。その辺りは綿引さんはこれからに期待ということでしょうか。

ただ、正直なところ、小松さんは初演で拝見した去年の方が年齢的にはフィットしていた気がしますし、綿引さんも年齢的には2年ぐらい前に拝見したかった気がしますが、そうなると直近作での修行(『ラブ・チェイス!』『ON AIR』)がなかったわけで、ここまで面白いデイブになったかどうかはちょっと疑問(笑)。

・・・

大人カップルですが、昼公演では河野さんのクレアを拝見。ようやくクレアはこれで全員拝見したことになります。河野さんは私が『レ・ミゼラブル』を見始めた時のコゼット役をされていたので、自分にとってはオリジナルコゼット。可憐なソプラノがお上手だった少女が、立派なキャリアウーマンとして歩かれている姿は感慨深いものがあります。

以前から河野さんを拝見していて、思ってはいたのですが、どことなく生活感を感じさせない部分が、ある意味、女優さんらしいなと感じていて。ジェイソンと同棲を始めるシーンが何となくふわふわと、どこか現実じゃないように見えて。

この日夜公演で拝見した梨絵さんのクレアが、現実味溢れているといいますか(爆)どこまで物語なのか分からないほどに嵌っていたせいもあるのかと思うのですが。

河野さん、梨絵さんは実年齢の違いもあるかと思いますが、梨絵さんは「埋められない心の隙間がある」ことへの自覚が強いのに比べると、河野さんは「埋められない心の隙間」へ無自覚な感じを受けます。梨絵さんがちょうど今の年齢とぴったり合う役設定なのに比べると、河野さんはあと2年ぐらいしたときがちょうどぴったりな気がします。

いずれにしろ、どちらも袋小路に入っていることは間違いないけれど、「全てを分かっていることが解決への早道ではない」ということを、梨絵さんと河野さんの対比で感じたりして。

現実に寄り添いすぎてる梨絵さんのクレア、現実から離れすぎてる河野さんのクレア、両極端のクレアを見られたのはとても興味深くて。

梨絵さんのクレアはジェイソンと別れることに説得力があって、河野さんのクレアはジェイソンと結ばれないことに説得力があって。

クレアは最後のソロ、「I'll Be Here」で自分の過去を吐露するわけですが、梨絵さんのクレアは「一度は割り切ったけど、やっぱりジェイソンと結ばれる資格はない」と思えるし、河野さんのクレアは「表面的には付き合ったけど、やっぱりジェイソンと結ばれる資格はない」という点で、ベクトルが違うだけで結論は一緒なのかなと。

そういえば、夜公演、ウォレンの田中君がいつもより派手に紙をまき散らして(だいたい舞台上に残るのですが、かなり客席まで飛んできてました)、梨絵さんが座って「I'll Be Here」を歌うための台に、紙が残っていて。

どうするのかなと思っていたら、梨絵さんはその1枚をすっと手に取り(そのちょっと前に、麻田さん演じるジェイソンが紙を拾ったとのリンクするかのように)、その紙を見て勇気づけられたかのように歌い始め・・・た姿が、絶句するほどに素晴らしくて。

その流れで歌われた「I'll Be Here」で、今さらながら「I'll Be Here」の本当の意味を理解して。

「なにげない日々」とタイトルが付いている、この作品の登場人物が、”「なにげない日々」を取り戻そうとしている代表”としての4人なのだということを理解して。

「なにげない日々」を取り戻す、「なにげない日々」を豊かにするのは、周囲の人であり物であり、それぞれの人のハートの温かさであることを感じさせる、『射し込む太陽の日差し』がとても素敵なエンディングだったのでした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『Ordinary Days~なにげない日々~』(2)

2014.6.14(Sat.) 19:00~20:30
日暮里d-倉庫 F列下手側

2013年10月に日本初演のオフブロードウェイミュージカル、待望の再演です。

初演時の感想はこちら 

初演の劇場は上野ストアハウスでしたが、少し座席数が減ったもののほぼ同じサイズの日暮里d-倉庫へ(定員98人)。

日暮里駅からは少し離れており、道案内はジェイソン役・松原さんのblog記事必見ですが(こちら)、初めての方は15分は見た方が安全です。

日暮里駅南口からバス通りである日暮里中央通りにさえ入れれば、後はエネオスとファミマの間を左折し、1つ目を右折、ということだけ覚えておけばOKです。(ちなみに日暮里駅から1つ目のバス停・東日暮里五丁目まで都バス(都08系統/錦糸町駅前行き、里22系統/亀戸駅前行き)に乗るのも一つの手です)

・・・

初めて来たこの劇場ですが、かなり段差があるために後方席でも視界を遮る物がなく、ノンストレスで拝見できます。
クリエの通路以降のみのミニチュア版という感じでしょうか。

登場人物4人のキャストは前回の初演と異なり、毎回回替わり。
この日3回目のこの回はクレア・ジェイソンの「大人カップル」がクレア=吉沢梨絵さん、ジェイソン=松原剛志さん。デイブ・ウォレンの「若者カップル」がデイブ=綿引さやかさん、ウォレン=今村洋一さん。

この作品としては松原さんのみ初演で拝見しており、前回クレアで拝見したのは木村花代さんだったので、吉沢さんは初めて。この日初日となった綿引さんは当然この作品としては初めてですが、前作『ON AIR』楽からわずか中4日という、プロ野球のローテーション投手みたいなスケジュール(爆)。今村さんは初見です。

クレアとジェイソンが同棲直前のカップル、デイブとウォレンが(最初は)カップル未満。というポジションで、2つのカップルはお互いを知らないわけですが、客席からは両カップルを俯瞰してみられるというお得感。

舞台上ではお互いのカップルがお互いのことを知らないけれども、物語最後で起きる奇跡が見せる、「お互いのカップルはお互いの足りないところ同士を補い合えたのでは」と思える空気がとっても好き。

「迷い悩むだけじゃ始まらない」クレア。
「待つだけじゃ動かない」ジェイソン。
「夢見るだけじゃ始まらない」デイブ。
「行動するだけじゃ実にならない」ウォレン。

皆が皆、自分の欠けている部分を分からなくて、もがいてる。
どうにもならない袋小路に入り込んだときに、人を動かすのは他者との関わりなんだなということを感じさせてくれるストーリー。

クレアはジェイソンによって変われたし、ジェイソンもクレアによって変われた。
デイブはウォレンによって変われたし、ウォレンもデイブによって変われた。
でも、クレア&ジェイソンのカップルが一歩先に踏み出すにはデイブ&ウォレンの起こした出来事が必要だったという、そのどれもが欠けても幸せになれない、という構成が絶妙だなって。

吉沢さん演じるクレアは、もう期待どおりのクレアなのですが、一番素敵なのは、思い悩むシーンのリアルさ。初演で拝見した花代さんのクレアはどちらかといえば女優さんとしてのイメージが「陽」で、思い悩むシーンがどことなく座りが良くない印象を持っていまして。その点吉沢さんは・・・と思いながらも、初演では日程的に拝見することが叶わず、今回念願の初見となった次第。一つ一つのシーンの心の移り変わりをとても丁寧に積み上げられていて、ジェイソンに対する気持ちの発露も、ともすれば発狂的になってしまうところも、あくまで理性的。逆に言うと理性的だからこそ突き破れない壁というのが、クレアにとっての自分に対するもどかしさだったのかなと、そう感じたりします。

松原さん演じるジェイソンは唯一、初演でも拝見した自分にとってのオリジナルキャストだけあって、とっても安心感。
物語の中心にどんとそびえる大黒柱。だけに、クレアの理性的な面を変えてしまうほどに奔放には感じられなかったのがちょっとだけ残念。ウォレンほどでないにせよ、もう少しぐいぐい引っ張るかなと思っていたので。ただ梨絵さんとのバランスがとっても良くて、最後収まるところに収まったときのしっくり感(笑)が良かったです。

今村さん演じるウォレンはこの作品の一番のかき回し役。芸術家肌の妄想家さん・・・な割にはこちらもちょっとパンチという面ではあと一歩弾けて欲しかったかなと。デイブをもう少し慌てさせてかき回して欲しかったんですが、ウォレンがかき回す以上にデイブが突っ走ってた気もしました(笑)。

綿引さん演じるデイブはこの日が初日。綿引さん自身はこの週月曜日まで『ON AIR』という別のミュージカルに出ていたので、恐らくは準備期間が極めて少なくこの日を迎えたのだと思いますが、予想以上に抜群のコメディセンスが爆発しておりました(驚)。

最初はやっぱり緊張している感じがしましたが、教授に言い訳メールを書いている辺りのセンスが抜群にお上手で。さすがは卒論原稿のデータを実体験ですっ飛ばした経験者だけのことはあります(笑)。しかもこれほどまでに「てへっ」が許されるデイブも少ないように思います(爆)。その上、東京特許許可局は言えなくても(←『ON AIR』ネタ)あれだけの台詞の量を、聞いている方がストレスなく聞けるというのは凄いなと。あ、あと方向音痴話がリアルに聞こえました(笑)。

クレア、デイブともにそうですが、この作品だと女性キャストのキャラクターが演じる方のパーソナリティをかなり反映するように思います。女性キャストによって役作り、そして作品の色合いが変わる印象を受けます。

明日(15日)は13時・19時と2回観劇予定。また違ったキャストで、違う景色が見えるのを楽しみにしています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『ウレシパモシリ』(2)

2014.6.4(Wed.) 19:00~21:30
2014.6.11(Wed.) 13:00~15:00
ザムザ阿佐ヶ谷

6月1日に初見だったこの作品、案の定というか(笑)2回追加で、都合3回観劇。

3回ともの共通点は、唄2(女性唄)が岡村さやかさん。さやかさんご自身が語られていましたが、「それぞれの登場人物の気持ちで歌うので、複数の役を演じている」ように感じられるのが魅力。一人5役みたいな状態になっていて、「大丈夫マイフレンド」のようなうきうきする曲から、緊迫感あふれる「The Answer」まで振れ幅が大きくて。

その中でも一番好きなのは、娼婦3人の気持ちを代弁する「The Answer」。舞台が赤く染まるとどきどきします。さやかさんの迫力系というだけで魂を持って行かれるのですが、理不尽に虐げられる娼婦3人を、そうせしめている”それ”に対する怒り。

さやかさんの歌って、対象者に対する愛情だと思うのですが、それ故「人を愛するからこそ、その人を傷つけられることに憤る」様が激しくて。

この2回の唄1は佐山陽規さん。初見の時はキムスンラさんだったので、特に感じたのですが、キムさんが「激しく強い唄」だったのに比べると、佐山さんは「暖かくしなやかな唄」

どちらかというとさやかさんの唄2は、佐山さんと組んだ時の方が好みかなと。
佐山さんの唄1はまるで「みんなの父親的存在」で、さやかさんの唄2はまるで「みんなの母親的存在」に聞こえてしっくりくるんですよね。
キムさんだと「みんなのリーダー的存在」で、さやかさんは「リーダーのサポート的な存在」という感じといいますか、激しさに引っ張られる感じがして、ちょっと背伸びした感じがしました。

4日は終演後のミニライブがあるということで追加しましたが、その日拝見したポール役の平川めぐみさん(ライブの時「着替える間がなかった」ということでポール役の衣装(要は”犬さん”)で歌われていた)のがツボで。

1日・4日は聖役は中村百花さんが演じられていたので、ぜひ聖役を平川さんが演じている回で見たいと思い、さやかさんとの共演回を探したら、完売の15日12時(前楽)以外はこの回しかなかったという。

聖役を比べると、中村さんの聖は「ツンデレ」で、平川さんの聖は「デレツン」という感じです(爆)。

中村さんの場合、ジェルマンに対して拒絶している気持ちも自然ではっきりしているし。
だからこそ、ジェルマンの良さを認識していくストーリーに落差があって、その点にカタルシスを感じます。

対して平川さんの場合、観ている側の刷り込みがないとは申しませんが、「ポールとして優しくされた」からこそ、ジェルマンに対して最初から心を閉じていない感じがして、それが期待どおりに感じて。

「ジェルマン」という役名を聞いた時に最初に浮かんだ「ジェントルマン」との言葉の関連を、この作品を観ているとふと感じます。「本当の強さ」を持った「本当の紳士」。実在したかどうかさえわからないけれども、登場人物みんなにとって、ジェルマンの心は確かにあって。

自分が日本に来た理由をジェルマンは最後まで明かさないわけですが、古市にそれを問われて「私の決意、あなたを見捨てないこと」と答えたところに、ジェルマンにとっての過去があるようにも思えて。

新宿でチンピラに絡まれ、中本や聖は逃げられたわけですが、ジェルマンはボロボロにされる。その時の唄2(さやかさん)が語るように歌う「私を見捨てたんだ」という歌詞が胸に迫って。他者を責めないジェルマンが唯一、(伝わっているかどうかともかく)他者を責めているシーン。唄1/唄2ひっくるめて、唯一登場人物を責めている歌詞ではないかなと思うんです。

ふと、ジェルマンの過去に「他者を見捨てる」経験があったのではと、ふと感じたりもして。
だからこその「心の中だけの責め」なのではないかなと。想像ですが。

娼婦を救えず、ポールを救えず、古市を救うことにしか、自分の存在価値を見い出すことができなかったように見えたジェルマン。だけれど、周囲の人たちの心の中には確かに「ジェルマンと出会えたことでの、心の温かさ」が生まれていて。

人が人を救えると思うのは傲慢だけれど、人が人を救おうとする気持ちは、人が人である限り、持っているべきもの-この作品で”それ”を感じられたのは、とても印象的だったのでした。

特にこの回(11日)は唄1が佐山さん、唄2が岡村さやかさんと”優しい系”が揃い、ジェルマンがじぇいそん、そして聖さんが平川さんという、”心通じ合う2人”。その上、殺し屋の古市を演じた阿部にぃこと阿部裕さんが、何というか「強面ながら『どうしようもなくなっている自分』」という雰囲気で・・・

唄1・唄2のお2人が優しさで包み込んだ上に、聖さんがジェルマンを優しく見守って、その状況だったからこそ、ジェルマンが古市を救おうとするのが、決して絵空事でも綺麗事でもなく、「ジェルマンならそうするよね。」というのが、何だかすごく胸に迫ってきて。古市、そして中本も含めて”救われた”気持ちになるエンディングで素敵でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『カルメン』(2)

2014.6.7(Sat.) 12:30~13:00
都内某所 稽古場見学会

幸運に恵まれ、50人のうちの1人となることができました。

当初は出勤日にあたっていて、応募自体を諦めていたのですが、代わって出てくれそうな方がいらしたので、応募最終日の23時59分に、PC2台使って、1台でチケット購入、1台で見学会応募という離れ業で、ぎりぎり応募完了。

今までこの手の見学会は大概平日昼(しかも12時台)ということが多かったので、午後休も午前休も使えずに、涙を飲んでいましたので、この作品で初めて稽古場を拝見できて嬉しい限り。

各FCで3人の枠があった以外は、ホリプロオンラインチケットでの当選者だったようで、男性は5人いたかどうか(爆)。

開始前にひとしきりプロデューサーさんからノリの良い注意説明があって、いざ稽古場へ。

2日前からオーケストラも入り、この日がこの稽古場見学会の後に初の衣装付通し稽古とのことで、プロデューサーさんいわく「髪はきっちり揃えてますが衣装は稽古着なので、これが本編の衣装だとは思わないでください(笑)」とのこと。

稽古場にはキャスト、スタッフ、オケも入っているので総勢30人強。意外なほど狭いので、そこに観客が50人も入ると結構大変なことに(爆)。2階部分から見下ろすデッキに約20人(私はここの下手側)、階段に約10人、残った20人はなんと演出家さん(小林香さん)始めとしたスタッフの後ろに立つという、壮絶な様相に。

「キャストも初めてスタッフ以外に見せるということで緊張していまして」とはプロデューサーさん談。
そんな中、開始前には思い思いに各キャストがウォーミングアップをされています。ちーちゃんは十六茶片手にご登場で、身体をストレッチしつつ上手側で主に男性陣のみなさまとおしゃべり。なんか女性陣のみなさまといるよりしっくり来ているのが相変わらずだなぁと噴いちゃいました(笑)。
とはいえ、後のめぐさんのシーンではイネスなたーたんさんと並んで体育座りで親密そうにリラックスしてお話しされていて、とってもほっこり。

さて、意図的に本編の内容を書いていないのはネタバレだからなわけで、この日は特にネタバレ禁止令も出ませんでしたが、さすがに初日前ということで以下はネタバレモードに切り替わります。
ネタバレお嫌な方は回れ右でお願いします。





この日披露されたのは4曲。うち製作発表で披露されたのは1曲目のJkimさん「運命の風」のみで、他の3曲は新顔。

振り返ってみると、この日通し稽古を控えているとあって、舞台所狭しと動き回る、複数登場人物のフォーメーションが複雑な曲を意図的に選んだ感じ。稽古場見学会に見せるという目的というよりは、稽古場見学の存在でキャストにより緊張感を持たせて、難しいパフォーマンスの精度をきっちり上げようとしている印象を受けました。

その分、見ている方も「カルメン」の”曲だけじゃない部分”を見せてもらえて、それがとっても良かったです。
製作発表ではどうしてもそういった部分はまだ追いついていませんが、この日は来週から劇場入りという、稽古場ほぼラストのタイミングですからね。そう考えれば、この段階で「お客さんに見せられる」というのは凄いなと思います(振り返ってみると、某ディーヴァ共演の作品で一度だけ稽古場見学会の話がありましたが、「まだお見せできる段階じゃない」という理由で直前になって話が消滅したことがありました、そういえば)。

JKimさんの「運命の風」は製作発表でも聞きましたが、この時期に聞くとまた違った印象を受けます。その上、曲はソロながら、周囲を出入りするそれぞれの登場人物の動きがとっても意味深で、預言者として「皆の運命には風が吹いている」と思わせぶる歌は、本当にぞくぞくします。エキゾチックな感じがとても好きです、この曲。

2曲目はカタリナ(大塚千弘さん)とホセ(清水良太郎さん)の婚約披露パーティーで披露される曲。出席者が口々に2人を祝福する様は、ここだけ見ていると嬉しくなります。このシーンでカタリナを見守るイネス叔母さまの愛情が絶品。カタリナは母親不在だから、イネス叔母さまにしてみれば母親代わりという感じでしょうね。お互い。このシーンでたーたんさんのイネスが「男は踊れないとねっ」と堅物のホセをダンスに誘うのですが(これはカタリナを嫁に出すことを寂しがる感じも受ける)、そのダンスが本格的でイネス様無双。ですが、その後、「はいっ」ってカタリナに後を託すと、カタリナもホセをとっても上手にリードするという・・・。2人して本領発揮で嬉しくなっちゃいました。で、ここのバトンの渡し方、素晴らしくスムーズでした。感嘆するぐらいに。

3曲目は男性4人がカルメンのことを歌う「ああいう女」。ここにホセだけならまだしも(いや、それも大概問題ですがw)、市長(別所さん)までいます(爆)。別所さんはこの曲に限らず、今回の役はかなりひねっているみたいで楽しみ。

4曲目はめぐさん無双の「VIVA!」。いやもうめぐさん凄い。もう纏っている物が凄い。めぐさんの存在感を前に、他のキャストはどう自分を光らせるか大変だろうなぁこれ・・・。カルメンなめぐさんをセンターに、ダンサーが所狭しとぐるんぐるんとポジション変えて動きまくる。カルメン一座の巡業公演、溜息が出るほど素敵でした。

・・・

終わった後の補足でしたが、今回はチェコ版(世界初演)とも韓国版とも違い、内容的には原作準拠だそうで、ホセの職業とか、多数修正が入っているようです。

そんな感じですが、稽古場見学会に当選できたから申し上げるわけでもないですが、この段階でこの出来、衣装付きではもっと素晴らしくなる感じ。迷われている方はぜひ。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

『ウレシパモシリ』(1)

2014.6.1(Sun.) 18:00~20:10
ザムザ阿佐ヶ谷 C列1桁番台(センター)

観劇月間の6月、第1号は複数のフォロワーさんからお勧めをいただいたこの作品。

・・・となるはずが、実はこの日午後、東京千秋楽だった演劇集団キャラメルボックス『鍵泥棒のメソッド』ニコニコ動画生中継を見たので(とっても素敵な作品でした)、舞台生観劇としてはこの作品が最初の観劇。

歌で形作られる小劇場音楽劇は昨年来立て続けに拝見していて、『しあわせの詩』(One On One)、『Ordinary Days』(score)、『Second Of Life』(TipTap)と来て今回、とうとう「ウレシパモシリ』へ。今月末に生舞台としては初めて拝見する『Count Down My Life』(TipTap)まで含めると、素敵な作品を拝見できてとても嬉しいです。

時代は1950年代の横浜、兄妹が母と暮らす家へ、フランスから「ナポレオン・ボナパルトの末裔」と名乗る外人・ジェルマンがやってくるが、日本に来た目的は最後まで言わない。それなりに裕福な家庭(妹は社長秘書で自称「その辺の男性より高収入」と言ってますが、この日のイベントで前方席指してその台詞歌ってて会場から笑いがw)にもかかわらず、ジェルマンは「もっと色々な物を見たい、色々な人に会いたい」と言って家を出ていく。

この舞台の原作は「お馬鹿さん」という遠藤周作氏の作品ですが、ジェルマンは正にその言葉が似合うほどに、いわゆる「(社会的)弱者」に対する視線が、馬鹿正直なほどに優しく、蹴られようが殴られようが利用されようが、その視線を変えようとはしない。

一番特徴的なのは古市という男性との関係。
暴力で連行され、利用されようとするも、必死になって彼の所業を止めようとする。古市は人を信じられない男性になっていたが、ジェルマンは古市を見捨てない・・・

端から見ると「あんな奴は放っておけばいいのに」、見捨てない彼のことを「お馬鹿さん」だなぁと思うわけですが、物語がどんどん進むにつれて、いつまでもスタンスを変えないジェルマンのことを、なんだか羨望の目で見ているように感じられて。

相手の苦しみを理解しようとして、懐に飛び込んでいく彼。そこには私心はなくて、なんだか「他人を見捨てない美学」という気持ちがあるように見えてきます。

それはどことなく日本的な美学と連動しているような気がして、「フランスから来た外国人」というジェルマンを通して描いてはいても、時代背景からして「高度成長の中、アメリカ的合理主義の影で、忘れられ行く日本的な美学」を守ることの必要性を問いかけているかのように見えても来るのでした。

・・・

この回を選んだ理由は唄2(女性担当)が岡村さやかさんだったからですが、最初の方のシーン、「おかあさま」(平仮名推奨)のときの割烹着姿の余りの似合いぶりに絶句。しかもキャラクターの「あらあらまぁまぁ」のマイペースぶりがツボにはまりまくりました(笑)。

登場人物の心情を、背後から唄で表現するといった形になっているのですが、さやかさんの歌声の特徴といえば基本が癒し系。どうしても最初に拝見した『しあわせの詩』のイメージが自分の中でも残っているからなのだとは思いますが、中盤に出てくる売春婦3人の心情を歌う時の激しい歌声が衝撃的に新鮮。『Second Of Life』の後半シーンでも出てきたタイプの歌唱なので、初めてではないのですが、印象強いのが、「激しい歌声の中に優しさがある」という点なんですよね。

売春婦3人の「なぜこんなことにならなければならないのか」という”怒り”に対する優しさゆえに、彼女らをこうしているものに対する激しい感情が湧き出て、それが歌声となって発せられるという・・・

男性担当の唄1(この回はキムスンラさん)もそうですが、作品に登場する人物への愛情、その人たちそれぞれの本当の気持ちを掬い上げようとしている歌声、それはジェルマンと唄1と唄2のトライアングルで表現され、その中でそれぞれの登場人物が生き生きと生きていたように感じられました。

登場人物で印象的だったのが、ツンデレ担当(そんな担当はないw)の妹・聖役の中村百花さん。
どこかで拝見したことがあるはず・・・とずーっと頭の片隅のフォトブックをひっくりがえしても思い出せず。

経歴を見て思い出しました。思い返すこと9年前、新妻聖子さんがモーツァルト役を演じた音楽座『21C・マドモアゼルモーツァルト』のコンスタンツェ役。あのノーテンキな聖子ヴォルフィーに本気で腹立ててたコンス嬢。当時は「中村桃花さん」でしたので気づかなかったのですが、3年前に改名されているんですね。理由が分かってすっきりしました。

・・・

この日は兄・哲治役の中本吉成さん、聖の同僚・井上役の青木結矢さんが千秋楽。

中本さん「初演からやってますが、いまだに青木(さん)の警官シーンが噴き出します(笑)。再演の時にはなんとか耐えたいです」

青木さん「晴れて地球に戻ります(笑)」←この作品は今回の再演から”宇宙劇”を冠されています

というご挨拶をされていました。

そしてイベント最終日「みんなで歌おうウレシパモシリ」。哲治役の中本さん、聖役の中村さん、そして岡村さやかさんを迎え、特別ゲストは田中利花さんこと女優の○○○○○さん。「その辺の男性より低収入」ってやって笑いをとり、横の岡村さやかさんはやっぱり笑いオチしていました(笑)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2014年5月 | トップページ | 2014年7月 »