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『Count Down My Life』(2)

2014.6.29(Sun.) 12:30~14:20 Cチーム B列上手側
2014.6.29(Sun.) 19:00~20:50 Bチーム A列下手側

中野HOPE

金曜日の夜のAチームに引き続き、Cチーム・Bチームと観劇し、NY凱旋キャスト以外の通常キャスト、これで一巡です。

本当は日曜日のC→A→Bを狙っていたのですが、今回はAの完売が早く、日曜日がタッチの差で取れずにこうなったのですが、正直トリプルやらないで良かったなぁと・・・

体力的にもそうですが、個人的に一番しっくりくる順番で見られたのが良かったです。

Aチームで物語を思い出し、Cチームでバランスを楽しみ、Bチームで爆発ぶりに圧倒されるという、ちょうどいい順番。
これが他の順番だと、どこかのチームが印象が薄くなる気がします。

それぞれのチームの印象からすると、Aチームは「個性」のチームという感じ。独立独歩というか、登場人物それぞれが走る感じで、上手いこと噛み合ったシーンは凄く良かった。公演期間が長いとチームとしての色がより濃く出たような気がします。

Bチームはコメディ色とシリアス度がどちらも突き抜ける、エネルギッシュチーム。
はらしんさん、島田さん、上田あっこさん三つ巴のコンビネーションが、容赦なく絶妙過ぎて圧倒されます。
もうみんなして、やりたい放題(笑)。客席げらげら笑ってました、コントパート。
はらしんさんが白目剥くシーンとか、あっこさんどこに聴診器当ててるんですか(笑)とか、

Cチームは好バランスで芝居として一番安定している感じ。芝居としてのチームワークが一番良いというか、菊地さん、藤倉さんという演出家さんお2人が俳優さんとして入っていることを反映しているのかなと。

彼女役の3人もそれぞれチームの色を出すのに大きく影響していた感じですが、Aチームの折井さんは一番”彼女”度が高くて、若干幼い感じ。

反面、Bチームの上田さんは一番”母親”度が高くて島田さんと微笑み合うシーンはまさに親子。見た感じSOLで昔の彼女役として共演していた吉沢梨絵さんぽい感じも出していて。

Cチームの藤倉さんはその中間で、”母親”にして”彼女”。
どちらかを選ぶように言われると困ってしまいそうな立ち位置になっていました。

男性2人として一番印象的だったのはBチームのはらしんさんと島田さん。島田さんは女性ですが、この枠は1人は中性的な女性を入れるのが系譜のようで(初演はすどかなさん)、それでも設定は”息子”のまま。
これは「夢物語」が「3世代で受け継がれる夢」という側面があるからですよね。父親が夢をなしとげられず(飛行機嫌いのパイロット)、自分が夢を諦めかけている(本が書けない脚本家)ところを、彼に尻を叩かれているということになるわけなので。

それにしても島田彩さんは凄かった。凄すぎました。あのガタイのいい、はらしんさん相手に、迫撃砲かのような攻撃で怯ませてましたから(笑)。脚本家に身をかわされて地べたにべちゃっ、って倒れ掛かるところとかむちゃくちゃ笑い取ってて、それでいてシリアスはどのチームよりもシリアス。その落差は強く印象に残りました。

そういえば各チーム、脚本家さんはそれぞれ見た目でいじられてましたね。Aチーム広瀬さんは「最近締まりすぎ」、Cチーム菊地さんは「最近太り気味」、Bチームはらしんさんに至っては「最近太りすぎ」(←笑)

Cチームの菊地さんと上田(堪大)さんはシチュエーションに最も合っている感じというか、見た目でネタバレ(笑)という感じがしました。

・・・

今回、『Second Of Life』から引き続きのキャストは、Bチームの上田亜希子さんただひとり。
それもあってか、Bチームを見ているとSOLとのつながりが強く感じられて、個人的に強く印象に残って。
「あなたは夢追い人だもの」と癒すように脚本家に諭す様は、どことなく呆れているようにも、諦めているようにも、そしてだからこそ自分が好きになったようにも見えて。
聖母様のようにも見えたなぁ。

Cチームの藤倉さんはご自身が演出家さんというせいもあるのか、どこか感情や行動に対して抑制的な印象を受けて。舞台上のコーディネーターみたいな感じ。Cチーム見た直後はそこまで感じなかったのですが、Bチームの上田さんがあまりにもの凄い弾け方をしているので、弾けきれないご自身に対するジレンマみたいなものを感じたり。

Aチームの折井さんも同様に弾け振りは抑え目でしたが、藤倉さんに比べると、意識的に抑制しているというよりは、結果として抑制している感じ。無理に押し出さないようにした感じ。

”彼女”の年齢的な雰囲気設定で言えば折井さんが一番若くて、上田さんが一番年長。藤倉さんはその中間って印象。

・・・

ストーリーの話を。

今回の主人公である脚本家は、28歳の時点で戯曲賞の最終選考の中に残っているので、それなりの実力を持った人ということは分かるわけですが、その前もその後も受賞には恵まれていません。

恐らくは最後の殻を破るための”あと少し”の差が、
”自分の夢は自分だけのものではない”という思い。
芝居を一緒にやった仲間の自殺、父親の夢を託された自分、彼女の本当の気持ち、そして彼からの支え・・・

主人公は「自分が夢を諦めればいいじゃないか」と思っていた部分があったのでしょうが、実際30歳近くまで夢を追い求めようとするなら、実は沢山の犠牲を払っていることを思い知るわけです。

この作品で感動的なのは、「犠牲なしで夢は実現しえない」という側面ともう一つ、「犠牲に対する痛みをわかってこそ、夢を追い求めることに対する責任が生まれる」ということだと思うのです。

夢を実現するのに、「自分以外の犠牲が存在した」と気づくことも必要なことでしょうが、主人公がその犠牲に対して全く何の感情も持たないのであれば、犠牲を払った人に対して「申し訳が立たない」。

犠牲を払った人に対する痛み、申し訳ないという気持ちを持ってこそ、夢を実現しようとする気持ちが”自分のためだけでない”ことに真剣味が帯びてくる。
紙一重の差と思われる”あと少し”の差を埋める、最後のピースのように思えてきます。

今回の作品のタイトル『Count Down My Life』は、主人公にとっては、”夢を追うことが許される人生の賞味期限までの時間”であり、彼にとっては”作品の中で生を受けるまでの時間”。

最後の「Happy Birthday」で2人の”時”が初めて重なり合ったとき、その時が主人公にとって『Second Of Life』の始まりだったかなと、そう思えてきたりします。

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