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『あの日、星は重かった』

2014.4.20(Sun.) 17:00~18:50
天王洲・銀河劇場 1階C列10番台(センターブロック)

由美子さんの舞台作品は2作目の『新アンの愛情』以来、39作目の『母をたずねて膝栗毛』までずっと見続けてきましたが、今回ばかりはさすがに諦めざるを得ないかと思っていました。

当初は土曜日で取っていましたが仕事のピークであえなく断念。

前方席で泣く泣くでしたが、紆余曲折あった末にお知り合いから譲っていただいたこの日のチケットは、何と土曜日と同じ席(爆)。驚くことに、丸一日スライドが実現するという、奇跡を体験しました。定時運行率が微妙な埼京線もこの日は無事で、劇場に到達するまでで相当疲労しました。

この作品の制作が発表されたとき、由美子さんがまさかこの劇場に出るとは!と驚愕したのですが、半ば貸し館興業みたいに見えていて・・・というのも、銀河劇場を経営するHプロさん所属なのは仁藤さんだけ。あっきーに由美子さんですから、むしろクリエでやるのであれば何となく想像が付くんですけど。

あ、そういえば演出の藤井清美さん、クリエでやった『この森で、天使はバスを降りた』の演出で拝見していたことに気づいてびっくり。(個人的に大好きな作品です)
作品的にも何か「意味のある影」みたいなものは感じが似ていた感じ。

声優の小野大輔さん演じる直樹と、中川晃教さん演じる良輔は、小学校時代からの同級生。高校だけは離れたけど大学で再び再会。社会人になり2人は別々の道を歩き始めて・・・10年が経過しひょんなことから再び出会った2人。

という導入部から物語は始まります。

「朗読劇」と銘打たれてはいますが、実質的に「音楽朗読劇」ということで、J-POPで時代を辿るという構成になっています。

小学生の頃の1曲目が「宇宙戦艦ヤマト」(昭和49年/1974年)で、ラストの「さぁ鐘を鳴らせ」が去年(2013年)ですから、曲と2人の人生を重ねあわせたようになっています。

が、期せずしてというかですね。
私、昭和49年生まれでございまして。
というか、由美子さんも昭和49年生まれなわけですけれども。

ストーリーと人生のシンクロ振りが個人的に結構色々と(笑)。

セットリストで流れを辿ってみます。

1974年 宇宙戦艦ヤマト/ささきいさお
 2人が生まれた頃の設定。

2005年 創聖のアクエリオン/AKINO
 いきなり時期が飛んでほぼ今の2人の再会のシーンへ。
 直樹がハンドクリーナーを落として自分の企画書と、もっとまずいことに彼女のお気に入りのバッグを水浸しに。
 怒って家電メーカーのお客さまサービスセンターへ電話したときの、担当者の上司が良輔という。
 あら?という2人の再会。

 で、その直樹の婚約者・はるかを演じるのが由美子さん。
 それをきっかけに直樹とはるかは喧嘩をして婚約破棄寸前にまで至ります。

1989年 仮面ライダーBLACK RX/宮内タカユキ
 メロディーに聞き覚えがあると思ったらまさかのRXだった(笑)。
 仮面ライダーBLACKってだけでもツボなのに、まさかRXの方で来るとは思わなくてびっくりしました。
 この頃は直樹が転校してきて良輔と出会うシーンとリンクしています。直樹は真面目系、良輔はスポーツ系。
 あっきーの自由なシャウト系がやり過ぎて面白いという(爆)

1989年 川の流れのように/美空ひばり
1991年 I LOVE YOU/尾崎豊
1991年 さよなら夏の日/山下達郎

 このあたりまでは直樹と良輔のじゃれ合いシーンですが、「さよなら夏の日」は女性陣(由美子さん、小林美江さん、仁藤さん)も入ってのソロパート&ハーモニ-。ほぼ男性メインで動いてきた物語はこのあたりからちょいちょいと女性陣が絡み始めて動き始めます。

1991年 ラブストーリーは突然に/小田和正
1992年 君がいるだけで/米米CLUB

 良輔は中学時代のことをあまり語ろうとはしなくて、直樹も不思議がります。「中学も大学も一緒だったのに、なんで小学校で一緒って話が先行するんだよ」と。

1993年 愛のままにわがままに、僕は君だけを傷つけない/B'z
1993年 YAH YAH YAH/CHAGE&ASKA

1994年 春よ、来い/松任谷由実
 この作品のある意味テーマ曲なのがこの曲。
 直樹と良輔と一緒にいた女の子。その3人の関係の思い出はいつしか直樹と良輔双方の重荷になっていて・・・

 良輔にとって3人で過ごしたキャンプの夜は「今まで生きてきた中で最高の夜」だったと・・・

1999年 カブトムシ/aiko
 直樹と良輔は、子供の頃は掴まえたカブトムシのどっちが大きいか競争しあっていた。
 大人になった2人は、そんな頃を羨ましく思いつつ、「1年1年の区切りのない」大人としてどう生きていくのかもがく。

 そんなエピソードにかぶせて歌われるこの曲は、由美子さんソロ。
 実は前日時点でネタバレを聞いてしまっていたので、ここで由美子さんがこの曲でソロを歌うのは分かってはいたのですが、いやぁ、「私を掴まえていて」を絡めた由美子さんの歌声がさすがすぎて絶句します。

 泣かせようとせず、ぎりぎりわざとらしくならず、聞き手に寄り添うようにメッセージソングを歌う、というのが由美子さんの歌声の一番の活かし方なんですよね。知り合いが言ってましたが「リンダリンダ」での伊礼さんとの関係で歌われる「ラブレター」が正にこの系統でした。あの、暗闇を引き裂く癒しの声でございます。

1996年 誰より好きなのに/古内東子
 この曲は「カブトムシ」から由美子さんのソロパートが続きつつ直樹が入ってきて、直樹とはるかのデュエットになります。

 はるかの直樹に対する思いは随所に出てきますが、直樹に対して耳の痛いことも言えるのは、はるかの本当の愛情だよなぁと。
 厳しさが優しさであることを知っているというのかなぁ。
 あの包容力とか説得力っていつ見てもすごく安心する。さすが姐御(爆)。

 今回、てっきりあっきーと組むと思っていた由美子さんですが、小野さんとのカップリングも絶妙な距離感。
 なんでしょう、客席が「直樹、はるかを手放しちゃだめだっ!」って思っている感が(笑)

 直樹ははるかに対して、どこか本心を隠しているところがあって、はるかは直樹がそれを言ってくれるのを待っていたのだろうなと。昔、小説で入賞したことがあったけど、「自分の体験を書いているけど、体験止まりだろうから作家としては難しいと思う」という講評をされてその道は諦めた、と直樹ははるかにこの時明かしていて。
 その時の「話してくれてありがとう」というはるかの言葉はとっても良かったし、とっても納得できた。

 「何かを挫折したことがある人の方が信用できる」という言葉は、はるかの言葉でもあり、実は由美子さん自身もある意味そう感じているのではと思わされる説得力でした。

2013年 さぁ鐘を鳴らせ/DREAMS COME TRUE

 わだかまりが消えた皆の前を向く気持ちがあふれ出る最後の1曲。
 この1曲がないと随分印象が違う気がします。
 正直、この曲まではなんかモヤモヤした気持ちというか、そのまま終わられちゃったらどうしようって思いがあったので。
 サビの由美子さんのシャウト、さすがです。女性バンドのボーカル系って合いそうな気がしますね。

・・・

この回は千秋楽ということで小野さんから「キャストそれぞれにご挨拶を」ということで順々にご挨拶。

由美子さんから「2人(小野さんとあっきー)で締めるって言ってたじゃん~」と突っ込まれてました小野さん(笑)

由美子さん専売特許の、いつも心配なご挨拶ですが、上手いこと隣の美江さんとあっきーが一拍入れてくれたおかげで実に自然なご挨拶になり感謝(苦笑)。

そういえば一番ウケたのが

あっきー「皆さま自由な方ばっかりで・・・」

と挨拶したときの由美子さん初め皆さんの驚愕した顔と即ツッコミが大爆笑でした(笑)
帝劇系の皆さま、客席まで一緒になって突っ込んでました(爆)

・・・

出演者の皆さまについてつれづれ。

小野大輔さん。お名前は存じ上げていましたが拝見するのは初めて。スマートな身のこなし、流石な台詞回しと、役柄的な陰鬱のコントラストが素敵でした。由美子さんとのバランスもとても良くて、自分の殻に閉じこもる様と、少しずつ殻を割っていく様がとても魅力的でした。

中川晃教さん。というかあっきーと呼ぶのがいつもなわけですが、何というかやんちゃに落ち着いたというか、いい意味で棘が抜けた感じを受けます。肩の力が抜けた感じもありますが。MOZART、SHIROHと見てきた印象が残っているせいもあるのでしょうが。小野さん、由美子さんと両側に甘える相手がいるときの甘え方がはんぱない(笑)。ちなみに小野さんは甘えさせてますが(兄と弟みたい)、由美子さんはばっさり斬り捨てますw(姉と弟です)。

仁藤萌乃さん。ウェンディでは拝見していないのでお初です。ポジション的には衣装のせいもあってか、「SHIROH」のリオ的なイメージを受けました。そうなんですよ、2人のSHIROHがいて、2人の未来を狭めてしまったリオという存在がいて。
リオから開放されて2人は未来に歩き出せたみたいなイメージで。

西村直人さん。男性2人以外の全ての男性部分を受け持っていられましたが、人間から犬まで(爆)八面六臂の大活躍でございました。

小林美江さん。すんごい芸達者の方でびっくり。直樹&はるかカップルが飼ってる犬の声、公演毎に西村さんと小林さんが代わる代わる担当されていたそう。この日夜は西村さんだったので、カテコで小林さんがフルスロットルの犬やってて客席から大拍手もらってました。

高橋由美子さん。こういうポジションでしかも銀河でやれる日が来るとは正直思っていなくて。今まで見ていただいてなかった方に見ていただけたのが何より良かったです。小野さんとの距離感は演出の藤井さんの希望通りなんだろうなと。

2日間4公演、毎回満員での今回の公演。
舞台上から客席を眺める幸せ感もあったでしょうし、客席からも素敵な作品を拝見できた空気感に溢れていました。
ぜひ再演を、今度は一週間ぐらいでもっとこの作品を色々な方に観ていただきたいです。

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コメント

いい舞台でしたね。久しぶりに由美子さんの歌が聞けて遠征した甲斐がありました。仁藤さんの役柄リオと重ねて私も見ていました。
小野さんとの「誰より好きなのに」は良かった。ライブやってほしい気がしました。小さなホールでいいから・・。

投稿: てるてる | 2014/04/21 01:18

仁藤さんの役、どこかで見たことが・・・とずっと思っていて後で分かりました。ストーリー的にも「2人の過去への重し(星の重さ)」として存在していましたね。

今回、由美子さんと小野さんの歌は、芝居歌という点で上手く融合していたような気がします。

投稿: ひろき | 2014/04/21 01:48

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