« 『ダディ・ロング・レッグス』(7) | トップページ | 『B~Haaaan!!- Live Tink』 »

『ラブ・ネバー・ダイ』(1)

2014.3.16(Sun.) 17:30~20:00
日生劇場 2階I列10番台後半(下手側)

「オペラ座の怪人」続編。

・・・と言っても実は私は「オペラ座の怪人」を見たことのないという、ミュージカルファンとしては非常に少数派な立ち位置で、知人に話したら「ラブネバ見てからでも遅くないから、今からは見ない方がいい」と忠告を受けまして(笑)、その忠告は正鵠を得ていたようです。

というわけで、割と真っさらな気持ちで見られましたラブネバ、略してLND。

この作品を知ったのはそう言えば玲奈ちゃんが大手町でやったディナーライブの時に歌った曲、「Till I Hear You Sing」だったんですよね。そんな縁を思い出しつつ、ファントムな市村さんが歌うこの曲に浸るひととき。

この日のキャストはファントム市村さん、クリスティーヌ平原さん、ラウル万里生くん、メグ玲奈ちゃん、マダム鳳さんという組合せ。玲奈メグとしては2日目になります。そういえばなんで玲奈メグ初日に行かなかったのか沢山不思議がられました(笑)が、当初は土曜日は仕事を抜けられる予定じゃなかったからでした。

さて、結末に触れない範囲のネタバレ含んだ感想スタートです




玲奈ちゃんと彩吹さんのダブルキャストなメグは、ポスターでは同じ役なのか信じられないぐらい対照的な衣装を付けていますが、彩吹さんの付けている衣装が1曲目の衣装、玲奈ちゃんの付けている衣装が2曲目の衣装です。

彩吹さんメグを見る予定がないのですが、1曲目は想像するに彩吹さんの方がしっくり来そうな気がしますね。逆に2曲目は玲奈メグの本領発揮というか、なんか天王洲で似たようなポジションで歌った曲があったような気が(←これは局地的にネタバレw)

どことなく格落ちした感じのショーダンサーという感じが嵌りすぎてて、何となく複雑な心境になってしまうのですが(爆)コニーアイランドでショーを通じてファントムを支えているいじらしさ、そのやさぐれさを朝の珈琲で癒す玲奈メグが、恐ろしいほどにドはまりでどうしようかと(苦笑)。

メグとクリスティーヌは親友ですが、それ故にクリスティーヌにファントムを取られることに苦しまざるを得ない。どうしてよいか分からなくなった時の行動が、玲奈メグには凄くリアルに感じて、心底怖かったです。

どうしても同じアンドリュー=ロイド=ウェバー作品ということで、彼女の演じた「ウーマン・イン・ホワイト」のマリアン・ハルカム役と比べてしまいますが、ある意味、2幕の玲奈メグは”諦めの悪いマリアン”とも言えるという(苦笑)。

マリアンは愛する妹ローラのために身を引くじゃないですか。
それに比べてメグは親友のクリスティーヌのために身を引きはしないんですよね。

この作品の登場人物は一人残らず「他人の芝生は青く見える」な感じ。
とにかく他の人の持っている物を欲しがって、自分の持っている物の大切さに気づかない。
結果、どんどん状況は悪くなって大切なものも失ってしまうけれども、失ってからでは全てが遅くて。

だから誰かが一方的に悪いわけじゃなくて、みんなが自分の事しか考えなかった結果、みんなが不幸になったように思えます。

ファントムとラウルの対決は確かに男と男の対決だっただろうけど、ラウルが妻のことをきちんと信じていられたら、粘ることだってできたように思うし、ラウルのあの決断は綺麗に言えば「自分の美学」だろうけど、それで失ったものは余りあるし。

メグにとってのファントムは全てで、彼女の人生そのもので、それこそ玲奈ちゃんが語っているとおり「執念」なんだろうけれども、メグにとってファントムは全てを賭けるほどのものなのかどうか?
それこそマダムがファントムに問いかけた「あなたにとってクリスティーヌは全てを賭けるほどのものなのかどうか」とある意味、表裏一体の関係なのかなと思います。
それは他人にとっては容易くNoと言えても、自分にとっては容易くNoとは言えない問題なんでしょうけれども。

普通、ここまで登場人物がいれば、誰かが勝って誰かが負けるもの。
表面的な勝者がいなくとも、実質的な勝者はいるはず。
なのに、この作品は登場人物すべてが敗者。
全ての登場人物が漏れなく大切なものを失っているという・・・

ネタバレを開幕前まで回避してきましたが、メグについて何となくこうなるかなと思っていたことが当たって絶句してしまいましたが、何というかですね、この作品の流れを見て思い出した「玲奈ちゃんがかつて演じた役の作品との類似点」というのが、WIWのマリアン以外にもう一つありました。それは観劇前では想像が付かない作品で・・・『ミス・サイゴン』でした。

グスタフの親が誰か知ったときの玲奈メグの慟哭。その凄まじさに背筋が凍り。
それを目の当たりにして、あぁ、これは愛するクリスに自分以外の女性との息子がいることを知ったときのエレンそのものじゃないかと・・・

グスタフを連れて行く玲奈メグの姿は、完全に感情を失った女性そのもの。
あの場で最も一人にしてはいけない人をフリーにしたゆえの悲劇。
メグにとっても、ファントムにとっても後戻りできない瞬間。
ファントムからメグへの問いかけは、結局は言葉の上での繕いでしかなくて、愛するクリスティーヌを守るための懇願に過ぎなくて。

あの長い時間、メグはファントムから綻びが出るのを待っているように感じて。
メグにとってもはやファントムは信じるに値する存在ではなくて、ファントムがメグへ一欠片の感情を持っていないことをはっきりと認識するまで待ったように思えました。

この作品のタイトル「Love Never Die」について、マダム・ジリー役の鳳さんがいみじくも「私にとっては『Love Die』」と書いていて。それで感じたのですが、「愛は死なない」とタイトルで語っているのに、どの人の愛も成就していないという不思議。

ある意味「True Love Never Die」であったことを暗示しているように感じられたのでした。

|

« 『ダディ・ロング・レッグス』(7) | トップページ | 『B~Haaaan!!- Live Tink』 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/74093/59306280

この記事へのトラックバック一覧です: 『ラブ・ネバー・ダイ』(1):

« 『ダディ・ロング・レッグス』(7) | トップページ | 『B~Haaaan!!- Live Tink』 »