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『ウィキッド』(2)

2014.1.12(Sun.)17:30~20:20
四季劇場・海(汐留)2階7列20番台(センターブロック)

2014年の観劇初めは、自分自身も予想だにしなかった四季作品になりました。

去年8月に見たきりのこの作品ですが、苫田さんグリンダの評判を聞き、ぜひ苫田さんのうちにと急遽押さえたこの公演。

幸運にも2階のセンターブロックが残っており、目の前が手摺りというネックはありつつも、素晴らしい音響で楽しみました。

まずは苫田さんのグリンダ。この役って可愛らしいヒロインじゃなかったんだろうか(笑)と心配になるぐらいのお転婆の数々。エルフィーのなんちゃってダンスを忠実に模倣するところとか、なんだか妙にがぶり寄りに見栄切るところとか、色々面白いです。

グリンダって、女の子であることを最大限利用してるところがあると思いますが、その辺りを嫌味になりすぎないようにわざわざドス声に変えて笑いにするあたり、なるほど、さすがはこれだけの評判を得るだけのことはあるなぁと。

苫田さんも初見ならエルファバ役の岡村美南さんも初めて。本当に驚きました。この作品が2回目だから感じるのか、岡村さんが素晴らしいからそう感じるのかが分からないのですが、凄く魅力的。初見当時も、自分自身グリンダよりもエルファバ派だったのですが、エルファバの不器用なところが随所に感じられて共感しましたし、生真面目故に間違ったことを許せない、そういう思いがダイレクトに伝わってきて、「自由を求めて」はものすごいパワーが押し寄せてきました。

グリンダ、エルファバ二人ともが素晴らしかったので、二人の友情も喧嘩も、全てが全力でとても清々しい。言葉にも行動にも嘘がない。エルファバは元々そうで最後までそうだけど、むしろグリンダがそんなエルファバによって大きく変わっていったのが凄くよく分かる。エルファバも良い意味で柔らかくなっていったのはグリンダのおかげでしょうけれども。

グリンダが色々と自由なので(やりすぎなほどに(笑))、「実は彼女も殻を破りたがっている」みたいにも見えますし、エルファバも頑なとはいえ、新しい自分を見つけたいと心の底で欲しているようにも見えたり。お互いがお互いの「出したいけど自分では出せない部分」を意識しないうちに引っ張り出したことで、お互いがかけがえのない相手になれたのかなと。

この作品のテーマの一つが「自我の開放」でもあるのでしょうし、ただこの作品のいいなぁと思うのは、自我の主張に対するリスクはグリンダもエルファバも負っているんですよね。

グリンダは愛する人(フィエロ)も大切な友人(エルファバ)も失っているし、エルファバも愛する人(ネッサローズ)も大切な友人(グリンダ)も失っているし。

大切なものを失わなければ、本当に大切なものは得られない、ところが好きなんですよね。
徹底徹尾ファンタジーもそれはそれでいいんですが、あまりに絵空事で進むと、えっ、そんなに上手くいくもんなの?と。

特にグリンダが女王へ一直線、しかもみんなに愛される女王、って話だと、「いやいや可愛くてもそこまで上手くはいかないでしょ」と(笑)。

グリンダとエルファバ、この作品では対極的に描かれますが、「自分の気持ちに素直じゃない」点についてはどっこいどっこいなわけで(笑)、ただ実際のところ踏ん切ると勢いがあるのはエルファバで、グリンダは意外なことにうじうじ型。
「ポピュラー」が意外なことにエルフィーに対して”自信いっぱい”な感じに感じなくて。

この曲、グリンダのお花畑ソングと申しますか、「無責任だなこのヒト」って思ってたんですが(笑)、苫田グリンダを見ているとそういう要素もありながらも、「エルファバにちょっとでも好かれたい」みたいな、「グリンダちゃん実は寂しがり屋です」な要素が感じられて新鮮。岡村エルファバもそれを何となく感づいているかのように茶々入れる様が微笑ましくてgood。
一方的にグリンダが押しているわけじゃなくて、エルファバがちょこちょこ反撃してるのが面白いですこのペア。

2幕、お尋ね者になったエルファバをおびき出すために、グリンダはネッサローズのことを口にしますよね。
その直後、気分が悪くなってグリンダは奥に下がりますが、あれは自分の嫌な部分が出てしまった事への嫌悪なのかなと。

大切な親友であるエルファバの、それも一番愛する人である妹・ネッサローズのことを口に出したということは、それを餌にエルファバがおびき出されることは想像に難くないわけですし・・・
それは、エルファバにとって自分が一番になりたかったという、グリンダの寂しさの表れなのかなと思えて。

グリンダが最後に女王の責任として国を守っていくことを宣言しますが、実際、グリンダは皆に囲まれていても、「本当に愛されることはない」わけで。
その中でも国を守っていくことは、親友のエルファバに対する贖罪の気持ちもあるのだろうなと。

エルファバを「悪い魔女」として忌み嫌うシーンでのグリンダの表情がまたこれが・・・表向きの立場としてエルファバを弾劾しないといけないけれども、「エルファバもそんな私を許してくれる」と信じてその立場に徹するグリンダが、正に女王様の責任の取り方だなぁと。

グリンダがお花畑なまま女王様になったらエルファバも浮かばれなかったろうし。
確かにグリンダは変わったし、グリンダの中にたしかにエルファバは生きている・・・だからこそ、物語が終わった後の2人の再会(のカーテンコール)が、「本当に心が通じ合った2人の再会」に思えて、とっても嬉しかったのでした。

観劇初めに良い作品&素敵な出来に出会えて良かったです。

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