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『スクルージ』

2013.12.8(Sun.) 13:00~15:30
赤坂ACTシアター 1階D列20番台(下手側)

D列となっていますが、実はA列~C列はオケピ使用なので、なんと最前列(驚)。

2度目のACTシアター、どうもここの劇場は動線がきちんとしていなくて、この日は誘導も中途半端でロビーは完全なカオス。
何とかプログラムを手にして劇場内へ。

市村さん、笹本さん、田代さん、愛原さん・・・のキャストは確認していましたが、それ以外のキャストは事前に把握しておかなかったので、「こういう役やれる方なんだ・・・」と思う方複数。

この作品は1999年以来14年ぶりの再演。
その時は池袋の東京芸術劇場中ホールだったそうで、なるほどACTよりはそちらの方が劇場イメージ的にはしっくりきます。

偏屈じいさんすくるーじ♪
クリスマスなんてどこ吹く風♪

・・・な、お人(職業は金貸し屋です)が、過去~現在~未来それぞれの”精霊”たちが見せる光景を見て、「守銭奴」ではない本当の自分の心を取り戻していく物語。

ネタバレもありますのでご覧になる前の方は要注意です~




1幕は市村さん演じるスクルージおじさんの偏屈ぶりに、正直、お腹いっぱいと申しますか(苦笑)。

彼も最初からひとりぼっちだったわけではなくて、先立たれた共同経営者のマーレイ(安崎求さん)と一緒にやってきた時もあって、マーレイはスクルージに警告をしていたりする。”お前のその生き方では、幸せになれないぞ”と。

「過去の精霊」(愛原実花さん)に導かれた過去では、若き日のスクルージ(田代万里生さん)とイザベル(笹本玲奈さん)が恋に落ち、でも彼女は彼を愛するからこそ、「自分が一番愛されているわけではない」という言葉とともに彼の元を去る・・・

ここで、イザベルがスクルージに突きつける別れの言葉は聞いてて辛かったなぁ。そして自分の指から外されたものを秤に乗せて、それによって秤が下に下がらないことが何よりショックでした。

イザベルは最後にスクルージを試したのかなって。「愛はお金より軽い」ことを見せれば、スクルージは今の自分の過ちに気づいてくれるのかもって。
でももう一面あって、「そうなるのは分かっていた諦め」も感じて。自分はもう彼の中では一番じゃないことに・・・

「自分はもう彼の中では一番じゃない」・・・その相手が他の女性なら、まだあの”諦め”は見せないと思うんですよね。相手が「物・・・お金」だったからこそ、イザベルにとっての絶望はより大きかったのかなと。

イザベルが起こしたその”音”と、それに目もくれないスクルージと。
自分が何を失おうとしているのか分からないのか若さなのか何なのか。

周囲となじむのが苦手だったスクルージとはいえ、別に最初から孤独を好んでいたわけでもなく、殻に籠もることを欲してばかりいたわけじゃない。彼の中にある”寂しさ”を誰よりも分かっていたイザベルが、それでも別れを告げたことが、何より胸に痛く感じて。

イザベルを演じる役者さんは、”現在”でヘレンを演じます。そして、若き日のスクルージを演じる役者さんは、”現在”でスクルージの甥であるハリーを演じ、この2人は”現在”では結婚している。

2幕後半で、ハリーとヘレンの夫婦に対して、スクルージは”ずっと誘われていたクリスマスパーティへの招待”を受けることを快諾して、ネックレスを、ヘレンにプレゼントします。

※観劇友から聞いて知りましたが、このネックレスには過去、イザベルがスクルージに渡した指輪が通されていたようです。叔父さんとはいえ、既に結婚しているヘレンに対して指輪を渡す事は出来ないし、疑われないように渡せる方法として、ネックレスを使ったのだと思います。

若きの日の過ちを、イザベルにうり二つなヘレンに対してプレゼントすることで、いくばくかの償いにする様は、精一杯の想いでもあったのだろうと思います。

2幕で面白かったのは、スクルージが改心するきっかけとなった「未来の精霊」が見せた光景は、スクルージには都合のいいところしか見えていないところ。

「なぜみんながスクルージに感謝しているのか」の”オチ”と言えるべきものをスクルージには見せていない。
でもスクルージは「その未来のためには何をすればいいのか」を考えて、違う行動に出る。

タイムパラドックス的には、「未来によって過去が変えられてはならない」ので、「変えたこと自体がもともとの本来の流れだった」はずで、根底にあるのは「スクルージは元々は愛に溢れた人であって、それがいつからかずれてしまっていた」という点なんですよね。

精霊は、軌道修正のための触媒に過ぎない、と。

スクルージおじさんは頑固さだけじゃない、それ以外の良さもある、と見抜いていたハリー、そしてボブ。

皆がスクルージを非難する中、一番実害を受けているボブ(スクルージの下で長いこと働いています。お給料は長いこと上げてもらっていない)はスクルージを庇ってはばからない。
それはスクルージにとって救いであり、精霊以上に彼の人生を元に戻すエネルギーになったんだろうなと。

今回びっくりしたのはボブ役の俳優さん。
実は、役者さんが誰が演じているのか、本編で最後まで分からなかったんです。(その時点でパンフも読んでいなかった)

パンフを読んでいて、「この作品に役者の色を持ち込むのはエゴ」と言っていたその役者さんは、武田真治さんでした。

自分にとって彼は「南くん」で始まっている役者さんなので、そこまでの想いで役を演じるほどになったのかと、本当に驚きでした。市村さんが特に指名したのが分かるというか。期せずして実は市村さん自身もパンフレット内のインタビューで「エゴ」について触れているんですよね。そこのシンクロがなるほど、高いレベルでのシンクロなんだなと思えたりしました。

・・・

お目当ての笹本玲奈さん。

久しぶりのドレス姿の可憐さにただただ眼福。
とあるドレスは「赤ずきんちゃん」と名付けちゃいましたが、我ながらずばりな喩えだなと(笑)

今年、エポニーヌ(レミゼ)、ジャンヌの2役。叫び系、エネルギッシュ系、悲恋系という、もちろん素晴らしいんですがHPを減らしていくかのような2役だったので、今年の最後がこれでもかのハッピーエンドで本当に良かった。

表情もいつも以上に柔らかだし、万里生くんとの夫婦のバランスも素晴らしいです。万里生くん、相手役に上手いこと転がされる夫役が抜群ですね(笑)←今年2作目。春の「トゥモロー・モーニング」の聖子さんともそんなんでしたし(爆)

耳に残る曲は「Thank You very much」ぐらいしかないけれど(笑)、「素敵な時間を過ごせたな」と思えるほっこりな作品
。小難しい理屈抜きに、良かったねと思えるハッピーミュージカル。出演者の方々が何人もおっしゃっていますが、12月冬の定番作品になるといいなぁと思える作品でした。

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