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2013年12月

2013年もお別れ。

年末大晦日恒例の、一年間振り返り企画です。
最終的なカウントは1月1日に更新します。
※出演者はフルネームの場合は原則として敬称略です。

●アクセス回数統計
  2013年(平成25年) 171,881回(累計656,977)※PC+携帯
  2012年(平成24年) 97,881回(累計485,096) 〃
  2011年(平成23年) 71,845回(累計387,215) 〃
  2010年(平成22年) 115,763回(累計315,370) 〃
  2009年(平成21年) 39,312回(累計199,607) 〃
  2008年(平成20年) 40,276回(累計160,295) 〃
  2007年(平成19年) 21,640回 ※PCのみ
  2006年(平成18年) 30,996回  〃
  2005年(平成17年) 66,481回  〃

 ココログのアクセス解析では、実はPCでのアクセスと携帯でのアクセスが分かれているのですが、それに気づいたのが今回という(苦笑)・・・よって、去年末に書いた「2012年もお別れ」と数が差し替えになっています。(去年まではPCでのアクセスのみでした。)

 今年は去年比で約1.6倍。観劇回数が史上最多になった分、blogを書く時間が確保できずに、個人的には消化不良だった今年のblogですが、史上最多のアクセスをいただき感謝に堪えません。ありがとうございます。

 劇場でお会いして声をかけていただくことが多かったのもとても嬉しかったです。初めてお会いした方が「この作品のことをこんな風に書いていたblogがあって面白かったです」というblogが自分のblogだったときにはびっくりしましたが(笑)。

●日別アクセス数上位
 1,270回  8/12・・・『二都物語』(2)
 1,208回  4/ 1・・・『ウェディングシンガー』up翌日
 1,207回  8/14・・・『二都物語』(2)up翌々日
 1,161回  7/18・・・『ONE HEART MUSICAL FESTIVAL 2013夏』(2)
 1,025回  6/30・・・『シルバースプーンに映る月』(4)
             /『TATTOO 14』
 1,009回  8/18・・・『ずっと二人で歩いてきた』

 何と去年まで一度もなかった1日1,000アクセス超えが年6回。驚きの一語です。
 去年の最多が845アクセス(2012年3月12日)でしたので、それを超えた日が何とこの1年で16回。
 携帯でのアクセス比率が上がったこともあって、大きく伸びる日の幅が大きくなった印象があります。

●キーワード検索/人物編
 1位 新妻聖子  1,489回(前年1位/1,411回)
 2位 笹本玲奈   835回(前年2位/579回)
 3位 井上芳雄   604回(前年3位/531回)
 4位 綿引さやか  335回(前年10位外)
 5位 三浦春馬   298回(前年10位外)
 6位 青山郁代   240回(前年10位外)
 7位 高橋由美子  225回(前年4位/158回)
 8位 若井久美子  152回(前年10位外)
 9位 浦井健治   134回(前年10位外)
10位 原田優一   107回(前年10位外)

 ・・・なぜ男性が4人も入っているかは謎ですが(笑)

 番外 Stars    455回(前年5位外)

 ・・・人物ではありませんが。

 新妻さんは2年連続の1位。2位の笹本さん、3位の井上さんと並び上位3人は変わりません。
 綿引さん、青山さん、若井さんといったレミカンパニーが入ってきているのが目を惹きます。

●キーワード検索/作品編
 1位 五右衛門ロック3        1,077回
 2位 レ・ミゼラブル          1,024回
 3位 シルバースプーンに映る月   926回
 4位 二都物語              547回
 5位 屋根の上のヴァイオリン弾き  405回
 6位 ミス・サイゴン           348回
 7位 ジャンヌ              338回
 8位 モーツァルト!          307回
 9位 ロックオペラモーツァルト     304回
10位 ダディ・ロング・レッグス     284回

 8位の「モーツァルト!」は公演もありませんでしたし、恐らくは9位の「ロックオペラモーツァルト」の方の数字だとは思うのですが、はっきりしないので合算していません。仮に合算すると611回で4位に浮上します。

●観劇回数で見た2013年
 舞台(イベントを含む)は、71作品141回(去年38作品94回)。
 うち舞台作品に限定すると、33作品98回(去年26作品70回)

 去年も史上最多だったのですが、ここのところ毎年史上最多を更新している・・・(苦笑)
 5回以上見た公演は以下の6作品。レミそんなに見たんだ・・・。

 16回 レ・ミゼラブル(帝劇16回)
 11回 ジャンヌ(世田谷8回、西宮2回、札幌1回)
  7回 五右衛門ロックⅢ(シアターオーブ4回、大阪3回)
  6回 ショーシャンクの空に(東京4回、松本2回)
  6回 シルバースプーンに映る月(東京6回)
  5回 トゥモロー・モーニング(東京4回、名古屋1回)

●キャスト別よく見ました順(女性編)
 1位 笹本玲奈   29回/4作品(去年18回)
               ※舞台103回、その他6回
 2位 新妻聖子   26回/6作品(去年29回)
               ※舞台87回、その他6回
 3位 高橋由美子  16回/3作品(去年18回)
               ※舞台91回、その他0回
 4位 青山郁代   13回/3作品(去年10回)
               ※舞台53回、その他2回
 5位 大塚千弘    9回/2作品(去年6回)
               ※舞台54回、その他12回
 
 ※印は、2013年の舞台・その他の出演回数

 番外 水谷美月   13回(去年4回)

 ※回数にはイベント・ライブを含む 作品数は舞台作品のみ

 今年特徴的だったのは笹本玲奈さんの増加ぶり。「ジャンヌ」で通いまくったのが大きく影響しています。
 それにしても上位5人、被るのは全て郁代ちゃん絡み(サイゴンとレミ)で、他は単純に足し算ですから多いはずですね・・・

 ちなみに上記に男性を含めていませんが、最多が伊礼彼方氏で14回(ジャンヌ11回、OneHeart3回)。次いで浦井健治氏が11回です(五右衛門7回、二都物語2回、StarSコンサート2回)。
 他のジャンヌ勢も皆さん11回です。

●2013年私的ランキング
 <作品部門>
  1位 Second Of Life(12月/上野ストアハウス)
   初Tiptap体験でしたが、前評判に違わず素晴らしい
   カンパニー、そして作品でした。
   音楽の素晴らしさ、3チームそれぞれの魅力に嵌りました。

  2位 ジャンヌ(9月~10月/世田谷パブリックシアターほか)
   9月~10月はとにかくこの作品に憑かれた印象。原作戯曲を
   開幕前から読み、あのシーンの解釈はこうでもない、
   ああでもないと、色々な方とやりとりした印象深い作品。
   ジャンヌダルクを題材にしたものとしては異色なこの作品で、
   ストレートプレイで鍛えられていかれた笹本玲奈さんを見ること
   ができたのも、貴重な体験でした。

  3位 ショーシャンクの空に
   (11月~12月/サンシャイン劇場ほか)
   開幕前の心配はどこへやら、開幕したらすっかり嵌ったしまった
   作品。
   「ジャンヌ」と異なり、開幕前に映画も原作も読まなかったことで
   かえって新鮮に受け止められたのかと思います。

  4位 トゥモロー・モーニング(4月/シアタークリエほか)
   良質な4人ミュージカルの完成形といった作品でカンパニー
   バランスも絶妙。
   いつまでもこの音楽に浸っていたい、と思った点では
   「Second Of Life」にも通じるものがあった感。

  5位 しあわせの詩(10月/赤坂REDシアター)
   出演者でなく作品の評判に惹かれて見て素晴らしかった作品を
   ここに。
   この作品のテーマは「やさしさの詩」でもあったような気が
   します。

 <女性キャラクター部門>
  1位 ジャンヌ・ダルク/笹本玲奈さん『ジャンヌ』
   デビュー以来全ての役を拝見していますが、この時期に
   ストレートプレイの主演をさせてもらえる運の強さをひっくるめて、
   この役で見られたことにただ感謝。
   ラストシーンで茶目っ気を出すシーンが、彼女にぴったり
   あってたのも印象的。
   あのキャラクターは玲奈ちゃんならではフィット感だったかと。

  2位 歌手/青山郁代さん『Second Of Life』
   "彼女"に容赦なく自分の感情をぶつける様が新鮮で、
   悪夢に出る要素十分(笑)。
   自分が最後まで勝てると信じている・・・その感情がダイレクトに
   伝わってくる様を間近で見られたことが何より幸せでした。
   彼女はパワフル系の方が活きる気がします。

  3位 リタ・ヘイワース/高橋由美子さん
   『ショーシャンクの空に』
   「実は全てをコントロールしている」役がツボなので、こういう役
   が定期的に来ると大変嬉しいです。
   真紅のドレスがゴージャスで、暗くなる中で水晶の光を
   輝かせるシーンがとても印象的。
   あのキャラで客席を笑いで湧かせるあたりがさすがです。

  4位 悪魔ちゃん/新妻聖子さん『それぞれのブンとフン』
   歪んだ小悪魔性が存分に(爆)表現されて
   いた役。最初は可愛い系だったはずなのに、いつのまにやら
   シャレにならないほど怖くなっていてびっくり。
   あれをアバンギャルドと呼ぶのは・・・(苦笑)。

  5位 キミ/彩乃かなみさん『ひめゆり』
   ずっと見られていなかったこの作品を、キミ役を彩乃さんで
   見られたことも今年のトピック。
   「暗闇の中でのただ一つの希望」を力みなく自然に輝かせて
   いた彼女に拍手。

 <楽曲部門>
  1位「Everything Changes」/『トゥモロー・モーニング』
    新妻聖子さん、田代万里生さんほか
   ハッピーミュージカルのオープニングナンバーを1位に。
   初っぱなからわくわく感満載。
   劇中の「Secret Tango」では大いに笑わせてもらいましたが、
   そもそもこの曲にも大いに笑いどころな歌詞があったんでした
   (「10センチも太るなんて~!」)。

   エンディングの「All About Today」もとっても良くて気持ちよく
   劇場を出られました。

  2位「Thank You Very Much」/『スクルージ』カンパニー一同
   ハッピーミュージカルソングとしてとっても良かった。いわゆる
   お持ち帰りソングですが、この曲があることでこの作品は明るく
   なっているというぐらい。
   特に楽日のKAATの雰囲気がとっても良くて、
   「みんなで幸せになって帰ろうよ」という感じが客席含めて
   あったのがとても素敵でした。

  3位「Let's Sing A song」/『クランク★イン』
   曲は素晴らしかった(爆)この作品からオープニングナンバーの
   この曲を。
   「愛するって素晴らしい」の旋律も良かったし、
   「スカイツリー」の新妻さんの澄み渡る声も良かった。
   この作品、CDむちゃくちゃ欲しいんだけど、あそこまで興行的に
   コケちゃうと厳しいよな・・・。

  4位「Part Of Your World」/『リトル・マーメイド』
   今年のTopicの一つが、マイFour Seasonsデビュー。同じ週に
   リトマとウィキッドを見るという、お知り合いに助けていただいて
   の至福の時間。
   「ミュージカル」である以上に「エンターテインメント」であること
   を、広い客層を目の当たりにしたことで認識できて、なるほど
   と勉強になりました。

  5位「Songs of a Room」/『Second Of Life』
   作曲家の小澤さんがセットリストを載せておられて、ようやく
   判明した曲名の数々。
   こちら
   迷いましたが、登場人物4人が最初に姿を現すこの曲を
   セレクト。
   良質の舞台音楽に酔いしれました。DVDが待ち遠しいです。

 <男性キャラクター部門>
  1位 デュノア/伊礼彼方さん『ジャンヌ』
   思ったよりジャンヌ寄りではなかったとはいえ、格好良さを
   存分に感じさせてくれ、それでまた人としての弱さや迷いも
   表現された姿は流石でした。
   ジャンヌのおでこをデコピンするシーンがなかったことが
   残念です(爆)。

  2位 マスター/tekkanさん『Second Of Life』
   3チームのマスターそれぞれに惹かれるものがありましたが、
   歌手役との相性というか包容力にはtekkanさんにさすがさが
   あったのかなと。
   歌手が作曲家に見捨てられたとき、その過去もひっくるめて
   救ってあげられるのは・・・と考えると、
   マスターの存在はとても救いでした。
   抱き合って消えていくラストシーン、綺麗だったなぁ。

  3位 シドニー・カートン/井上芳雄さん『二都物語』
   「ウェディングシンガー」やStarSの活動も拝見していますが、
   役を1つ選ぶとやっぱりこれかな。
   飲んだくれているけど、やるときはやる様が、なんだか
   ご本人とシンクロ。
   彼を見ていると「責任感」というものを感じて、それが一番
   はっきりしていたのがこの役かと。
   再演の「ダディ・ロング・レッグス」も真綾さんとの相性抜群で
   そちらも大好きでした。

  4位 アンディー・デュフレーン/成河さん
   『ショーシャンクの空に』
   理不尽な立場に追い込まれたとき、人はどれだけ希望を失わず
   にいられるのか・・・
   人として強くなるためのしなやかさを表現されていたかに
   思います。
   親友となったレッド(益岡徹さん)、
   利用したノートン刑務所長(粟根まことさん)も
   いいコントラストでした。

  5位 ジョン/田代万里生さん『トゥモロー・モーニング』
   今年一番役者イメージが変わった人は田代万里生氏な気が
   致します(笑)。
   春のこの役といい、冬の『スクルージ』のハリーといい、
   お調子者でどこか抜けていて、相手の女性には知らないうちに
   尻に敷かれていて、でも人生をとことん楽しんでいる様が、
   氏の真面目なイメージを良い意味で裏切ってとても新鮮でした。
   自分のご贔屓さん中、唯一複数(新妻さん、笹本さん)の方の
   相手役だったのも万里生さん。

・・・

今年1年間でチケットをとって行かなかった公演はわずか4回。いつもの年に比べて仕事に余裕があったせいか、無理しまくって見た感じがしますが、それほど体力面に自信がない自分が、良くもまぁここまで見られたものだと、それが不思議です。

遠征は北は札幌(ジャンヌ、10月)、盛岡(ミス・サイゴン、1月)、松本(ショーシャンクの空に、12月)、名古屋(トゥモロー・モーニング、4月)、大阪(五右衛門ロックⅢ、2月2回)、西宮(ジャンヌ、9月)と合計7回。
減らすはずだったのに2012年も7回でしたから、結局これも減っていない・・・

自分も若くないので、来年こそ現実的に無理のない観劇日程を組んで過ごしたいなと。

今年1年、blogをご覧いただきありがとうございました。
2005年1月にblogを始めて、丸8年。ココログ出版がなくなるということで試しに見積もってもらったら、A4で2000ページを超えてどんな全集なんだと(笑)。
今年も書いていないようで結構な量書いているんですよね。

劇場でお声をかけていただくことも増えて、おひとり様観劇がメインだった私も、お話しさせていただく方が増えてとても嬉しく思っています。来年は仕事の都合上、年度内(3月)までは仕事に追われて余裕がないことが確定していますが、引き続き、どうぞよろしくお願いします。

1年間、ありがとうございました。

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『Second Of Life』(3)

2013.12.23(Mon.) 15:00~16:40
 上野ストアハウス BB列(補助最前列)中央

TipTap新作ミュージカル、この日が最終日。

結局、平日20日以外、毎日上野に通いました。
当初は3チーム(B→C→A)のみの予定が、あれよあれよとBが2回追加。全部で5回。

この作品の凄いところは、チーム毎に見える風景が違う上に、日によっても見える風景が違うことですよね。
板の上に立つ役者さんのその日の方向性で、ここまで見える風景が違うのもそうそうないかと。

本を書かれている方がよほど自信がないと、そこまで演者に任せることはできないように思うし、舞台全体に広がる信頼関係の輪があるからこそのこの作品なのだろうなと思います。

そしてラストはBチーム。AチームもCチームももっと見たかったけれど、この作品を最初に観ようと思ったきっかけはBチームの青山郁代さんだから、そこだけは崩したくはなくて。
この日のAチームは体力的に無理で、Cチームはスケジュール的に無理だったというのもありますが。

昨日既にネタバレしているので、今日もネタバレ継続です。

・・・

この作品を最初に見たときの感想は、
「人は一番好きな人の一番になりたいものだよね」
という思い。

Bチームが他のチームに比べてはっきりしているのは青山郁代さん演じた「歌手」が、「彼への未練を消せていない」という一点かなと。
明確に「彼女」を敵視していて、最後ぎりぎりまで「自分が彼にとっての一番である」ことに疑いを持っていない。

この物語を見ていると、この女性が病んでいることが、「歌手」と「彼女」の性格分離なわけで、それを「歌手」が、「彼女」を組み伏せようと何回も仕掛けているわけですが、それは要するに「自傷」行為以外の何物でもないんですよね。

自分の中の人格を傷つけることが、自分を壊していくことに対する自覚・・・Bの郁代さん演じた「歌手」の役作りには、それがかなり薄かったように思います。
前回書いたときに「歌手」と「彼女」が同一性を感じたと書いた、もう一つのチーム/Aチームの「歌手」役、岡村さやかさんの場合はそれを分かっていたからこその、優しい接し方に見えました。

どちらかと言うと、BチームがどんどんCチームに似てきた感じ。
Cチームの梨絵さん⇒亜希子さんは「他人を傷つける」印象ではありましたが。

郁代さんの「歌手」に感じたのは自分を受け入れようと戻ってきてくれない彼への「焦り」の強さ。

「やりたくないこともやって、自分たちのバンドのために歌う」後の、疲れ切った「歌手」が聞かせた歌が本当に胸に迫って。

「自分が彼にとっては必要なはずなのに」自分を実家に帰し、遠ざけて、視界に入れようとしない彼。
そして彼の心の全てを占める「彼女」への「嫉妬」。

なぜ自分が選ばれないのかずっとわからない「歌手」が、自分を選んでくれないことがわかった時の泣きそうな顔は本当に凄かった。最前列で見られたこともあって、実際泣いていたのもわかったのですが・・・

「歌手」は「彼女」を支配下に置いていたはず。
なのに、「彼女」は混乱の末に、自分の弱さも辛さも彼にぶつけ、その素直な気持ちが彼の気持ちを動かした。
それがわかったときの「歌手」の「やられた…」かのような表情。

「自分が自分に負けることなんてないと思ってた。私は彼女に勝てると思って疑わなかった」

「彼」が言う「君は素晴らしい人『だった』」
「君は僕にはもったいない人だ」
「君の夢に僕は邪魔になる」

その言葉に「違う」と言えたなら、「歌手」を「彼」も受け入れてくれたんじゃないかと、そう思えて仕方なくて。

「彼」が「彼女」を受け入れるとき、それはつまり、自分が必要とされないことをはっきりと思い知らされる瞬間。

その瞬間に、「歌手」の郁代さんは小刻みに身体を震わせていたのですね。

「彼女」によって、「歌手」の自分が「彼」にとって不要な存在となる・・・
それを一瞬一瞬ごとに表現されていて、あれはもう忘れようにも忘れられない光景になりました。

この作品では「彼女」が「自分が自分でなくなる瞬間」をずっとたどってきていますが、あの瞬間、「歌手」が「自分が自分でなくなる瞬間」に移行したことをはっきり見て、「だから自分は彼に選ばれなかったんだな」ということを、理屈じゃなく知ったのではないのかなと。

目の前にいる「彼女」が自分であることを、もっと労ってあげられたなら。
目の前にいる「彼女」をもっと愛してあげられたなら。

「歌手」の世界は変わっていたのかもしれないなって。

「君は最高だった」と過去形で言われたって、嬉しくなくてむしろ残酷。
でも「最高」だったからこそ、「彼」にとっては息苦しい「部屋」だったのかもしれないなと。

「歌手」が自分が敗れたことを悟り、「もう消してくれないかな」と言った言葉は3チームで一番自暴自棄で、捨てられた子犬のようで、すどかなさん演じた「彼女」が「あなたは私にとって必要」という言葉も全く耳に入らずに敗残者のように去ろうとする・・・

「なんでこんなことになっちゃったんだろうね」と「彼」が「歌手」に投げかける言葉。

それは「歌手」にとっても同じ気持ちだったのだろうなと。

・・・

「歌手」と「彼女」が同一人格を分け合うという点から見るとそうなのでしょうが、「彼」という視点から見るとまた違って。

彼は劇中で「都合良かったんだ、僕の歌を好きと言ってくれる君がいて」と言っていて、「君を利用したんだ」とも言っています。前者が「彼女」で後者が「歌手」。

それから考えると分裂しているのは『「彼」の感情』でもあって、「彼」が「彼女」と「歌手」を別に見たからこそ、この女性は自分に自信が持てなくなって「彼女(というリアル)」と「歌手(というファンタジー)」の部分に分離して、お互いで傷つけ合うような状態になってしまったのかなとも思えたりして。

「彼」は「やりたくないことをして時間だけがただ過ぎる」、彼にも焦りがあって。
夢と現実とのギャップ、自分の才能のなさに苦しむ自分があって。

そんな自分の迷いは「病気である『彼女』を看病する」ことでごまかせる、そんな計算が彼を「ずるい」と言わせたのかなとも思えて。

「病気だから私と一緒にいるの?」という「彼女」の問いに「彼」は正面から答えていない。
「私の声が好きだから私を選んだの?」という「歌手」の問いにも「彼」は正面から答えていない。

「彼」の弱さが【「彼女」と「歌手」】を壊し、そして恐らく実体の「彼女」も失ったときに、「彼」に残るのは後悔しかなかったのかなと思うと、「そして誰もいなくなった。」という最初のマスターの言葉が、結局胸に残ります。

・・・

物事には100%の正解などというものはなくて、結局はその時々のベストを選ぶことでしか人間は生きられない。
答えを出し続けながら生きていくしかないんだろうなと思えたことが、この作品との出会いで感じられてとても印象的でした。

そんな心揺らす作品に出会えたことにただ感謝を。

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『Second Of Life』(2)

2013.12.22(sun.) 15:30~17:00 Aチーム C列上手側
         19:10~20:40 Bチーム A列下手側

at上野ストアハウス

当初、土曜日にBチーム→Cチーム、日曜日にAチームで打ち止めるつもりだったこの作品。
せっかくだからご贔屓さんのBチームで締めようと、この日はBチームキャンセル待ちのつもりで上野へ。

Aチームを見終わった後にお知り合いと話していると、(今までも何度かお会いしていましたがお話ししたことがなかった)方から「Bチームが(所用で)見られなくなった」とのお話でお譲りいただくことになり、感謝感激。
この日のBはほとんど満席(桟敷席と言われる1列目の補助席まで満席)だったので、本当に有り難かったです。

で、実は明日のBチームも桟敷席ながら確保できることになり、当初3回だった観劇予定が、いつのまにやら5回に(笑)
見れば見るほど分かることもあれば、見れば見るほど分からなくなることもある、それがこの作品の奥深さなのでしょう。

で、もう明日がラストなので今日はネタバレで参ります。そうじゃないと自分が狂ってしまいそう(爆)

・・・

登場人物の中で男性のベテラン役者さんがやる役に「マスター」という役があります。
Aチームは伊藤俊彦さん、Bチームはtekkanさん、Cチームは港幸樹さん。
この「マスター」が、主人公の作曲家志望の男性に、自分保有のビルの2階であろう部屋を貸すためにキーを渡すシーンがあります。

それに先立つことこの作品の最初、「マスター」は歌います。

・・・一人、一人去り、そして誰もいなくなった。残された部屋・・・この部屋で何が起こったか、知るのはこの「部屋」だけ・・・

と。

ふと思ったのが「マスター」という役は”マスター”「キー」でもあったのではないかと。
皆を見つめる”第三者”の立場でありながら、実は全てを見ていたのは”部屋”であり”マスター”だったのではないかと。

・・・

この作品で登場する”2人”の女性。主に前方で演じる「彼女」役、Aチームは稲田みづ紀さん、Bチームは須藤香菜さん、Cチームは上田亜希子さん。主に後方で演じる「歌手」(昔の彼女)役、Aチームは岡村さやかさん、Bチームは青山郁代さん、Cチームは吉沢梨絵さん。

この「彼女」と「歌手」の関係が、3チームそれぞれ3者3様で実に興味深いです。

実はこの2人、同一人物なんです。

彼が「夢」を諦めた、その「夢」の部分が彼女の「歌手」である部分、そして「夢」を諦めさせた「現実」の部分が彼女の「彼女」である部分。

だから、後方から「彼女」を見つめる「歌手」役の女性は、つまるところ自分自身を見ているわけなのですが、そのポジショニングがずいぶん違って。

Aチームのさやかさん→みづ紀さんは、見つめる目がとても優しい。目の前にいる女性が自分自身であることをはっきりと認識していて、彼女に対する嫉妬を感じさせない。そもそもそれは自分だと思い込んでいるかのよう。だから彼女が彼の前で浮かれようがどうしようが、彼女に対して許している。但しその分、自分の夢そのものであるCDを彼女が放り投げたときだけは、それまでが優しかっただけに、裏切られた激しい怒りを感じました。

Bチームの郁代さん→すどかなさんは、目の前にいる女性が自分自身であることをはっきりと認識しているのはAチームと同じ感じですが、あまりに同化しすぎていて。彼が彼女の前で曲を作っているときは自分のことのように喜ぶ様が一番はっきり。その反面、彼女が聞き分けなかったりする時に、郁代さんは結構頻繁に目を背けるんですね。自分自身の見たくない部分から目を背ける感じ。自傷的な要素が郁代さんは一番強かった気がする。最後まで彼女に勝てると思い込んでいる度合いも、これまた郁代さんが一番強かった感じ。だからこそ最後は自暴自棄になった感じが一番強かったかと。

Cチームの梨絵さん→亜希子さんは、目の前にいる女性が自分自身だと全く思っていないように見えて、赤の他人を責めているように思えて、その分、自分相手ではないと思い込んでいるので容赦がない印象。Bチームの郁代さんと違った意味で、彼女に対して冷たい感情を感じました。何といっても目が笑っていない(苦笑)し、許そうとしている気さえない。というか、彼女が視界に入っていないような印象さえ感じました。

この作品での「彼女」と「歌手」は、「今の彼女」と「昔の彼女」という面も持ちますが、同時に「表の彼女」と「裏の彼女」という捉え方もできて。心の病とは、今回の作品で言えば人格が分離して、「表の彼女」を「裏の彼女」が浸食していく様のようにも思えます。

劇中「羽のない天使の声が聞こえる」と「彼女」は言いますが、これは「歌手」の言う「私はもう飛べない」と繋がっていて、彼が「夢」を切り捨てたときに同時に切り捨てられざるを得なかった「歌手」にとって、「自分に羽という名の『夢』が残っていない」ことを指しているのかなと。

そこも3チームそれぞれ違って、Aチームは「彼女」が病んで、「歌手」がそれを優しく癒す。Bチームは「彼女」と「歌手」がいずれも病んでいる。Cチームは「歌手」が病んで、その実「彼女」の方が正常であるかのように思えたりして。

Aチームのラストは、明確に彼に「決断」を促しているように感じて。
つまり自分を選ばないことを彼の意思として締めさせる必要があって。

Cチームのラストは彼にとって自分がもはや必要でないことを彼に再確認させているように思えて。
だからこそ「欲張らないで」の言葉がびっくりするぐらいに淋しそうで厳しかった。
彼に対して、「私を選ぶつもりもないのに、選ぼうとしてなんてほしくない」って気持ちが伝わってくるように思えて。

Bチームのラストは直前まで勝利を手にしたと思っていた「歌手」が、まさかの敗北で自暴自棄になっていた感じもありましたが、それゆえ「私を選ばなかったことであなたは全てを失う、その覚悟はできているのよね」と試したような感じで。

ラスト直前、「歌手」役の女性は「夢なんかなくていいのよ」と言いますが、それはむしろ逆であって、物語の最初で「誰もいなくなった(=男性もいなくなっている)」ことからして、「夢を手放した(『歌手』を自分の手で葬った)彼は、実際の『彼女』をも恐らく病気の進行で失って、全てを失って朽ちていった」のかなと想像してしまって。

夢を手放したことで未来を失った主人公、逆説的に「夢を見ていないと生きてはいられない」ことを表現しているのかなと、そう感じたりしたのでした。

明日はBチームを拝見してこの作品の観劇を締めます。また新しい発見がありますように。

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『Second Of Life』(1)

2013.12.21(Sat.) 12:30~14:00 Bチーム E列下手側
         16:00~17:30 Cチーム H列上手側

劇団TipTap新作公演の2日目。

実はこの劇団を拝見するのは初めてですが、前作『Count Down My Life』が好評で(DVD買っちゃいました)、ニューヨーク公演(ニューヨークフリンジフェスティバル招聘)もあったことは耳にしていて、お知り合いの皆さまも絶賛なさるので、その言葉に乗って観劇。

公演は3チーム制で、初日がA→B→Cで始まり、2日目のこの日が1つずつずれてB→C→A。日曜日がC→A→B、最終日の祝日がふたたびA→B→Cとなります。

当初はこの日のBと、翌日のAだけ押さえていましたが、初日の評判と他公演の諸々の調整が付いて、この日のCを前日追加。

フライヤーにあるストーリー説明(プラスアルファ)を。

主人公(男性A)と今の彼女(女性A)。その彼女は心の病気を抱え、主人公はその彼女を支えようとする。
そこに登場する主人公の昔の彼女(女性B)。今の彼女(女性A)は、主人公の昔の彼女(女性B)の声が聞こえていた。
今の彼女のために仕事に打ち込む主人公。しかし次第に本当に自分が望んでいた物を見失っていく。
彼女の心を取り戻すためには何が必要なのだろうか・・・

・・・

作品の都合上、どうしてもネタバレが入りますので、まっさらでご覧になりたい方は回れ右でお願いします。

上のあらすじには出てきませんが、登場人物は男性2人、女性2人。昔の彼女のことをどことなく気に止める男性が1人登場します。

最初に見たBチームは、主人公が海宝直人さん、今の彼女が須藤香菜さん。昔の彼女が青山郁代さん、見守る男性がtekkanさん。Cチームは主人公が阿部よしつぐさん、今の彼女が上田亜希子さん。昔の彼女が吉沢梨絵さん、見守る男性が港幸樹さん。

興味がある女優さんがいずれも「昔の彼女」役を演じているというのが不思議です。

この「昔の彼女」は、主人公の昔のバンド仲間。主人公が作曲(ギター)し、彼女が歌う関係。
音楽を作るという「夢」を捨ててまで、彼は今の彼女を支えようとしている、と見える。

恐らくは彼の歌のファンであった今の彼女のことを自分の家に住まわせ、治療の手伝いをしている彼。
そんな彼に守られる彼女、その”浮かれる”彼女を責め立てる、「昔の彼女」の”怨念”

この”怨念”も2人それぞれちょっとずつ温度が違った感じがして。

Bチームの青山郁代さんは、今の彼女役の須藤香菜さんがリアルで「尊敬する先輩」なだけあって、責め立てるのにどこかブレーキがあるような気がしました。

それに対してCチームの吉沢梨絵さんは、良い意味で容赦がないというか感情抜きに責め立てている感。このシーンを見た時に、特に吉沢さんだから感じたのだと思いますが、「ルドルフ・ザ・ラストキス」のステファニーの役を感じて。つまるところ、主人公がルドルフで今の彼女がマリー・ヴェッツェラに被ったという次第。
喩えて言うと、Bチームには朝ドラ、Cチームには昼ドラ感を感じます(笑)。

全体的な印象としてBチームは「歌のチーム」。Cチームは「芝居のチーム」
それゆえか、たっぷり重い物語なはずなのに、Bチームはどこか軽やかで、Cチームはどっぷり重い。

この日、自分はBチーム→Cチームと見ましたが、Bチームの次にCチーム見るのは何とかできるけど、Cチームの次に他のチームを見るのはかなりきつい気がします。

「昔の彼女」と「今の彼女」の間には、とある関係性があるのですが(超ネタバレになるので現時点では言及しませんが)、Bチーム(すどかなさんと郁代さん)を見てると「まさか」と思うのに、Cチーム(亜希子さんと梨絵さん)を見てると「なるほど」と思ってしまう。あえて言うとCチームは見た目がネタバレと申しますか(爆)。

作品中、2箇所ほど笑わせどころがあるのですが、男性ではtekkanさん圧勝過ぎる(笑)。あんなタクシー運転手いたら困りますが、アレに近いテンションの方はたまに遭遇します(爆)。

女性で笑わせどころを担当する(シチュエーション的には笑いどころじゃなくて真面目なシーンなんですが)のは「昔の彼女」。これは郁代さんのテンションが流石すぎて面白すぎる。嫌々やってる(という設定の)場面なのに、どこか楽しそうなのが面白すぎます(笑)。
梨絵さんのテンションも「お仕事」が前提なので、そちらもそちらで別の面白さがあります。そもそもあのシーンの演技指導がどう振られたのか気になります。

「なんか面白いことやってみて」

みたいな気がするのは気のせいでしょうか(爆)

・・・

今の彼女役のお2人も好対照。Bチームのすどかなさんは病みっぷりが見ていて苦しい。正直、主人公がなぜそこまで今の彼女を支えようとするかが、ちょっと見えにくかった気がする(これは相手役の方との関係性もあると思うけど)。
Cチームの上田亜希子さんは初見だったのですが、この日良い意味でサプライズだったのがこのお方。主人公の方との相性もとても良かったし、主人公が支えたいと思う要素をちゃんと表現されていて、病気ゆえに悪態をつかれても、なるほどこの子ならというのがとてもよく分かる。

Bチームは郁代さん&tekkanさんのいわゆる「後方組」のバランスがとても良かったけど、Cチームは逆によしつぐさん&亜希子さんの「前方組」のバランスがしっくり。
それもあってか、Bチームは「過去」色が強くて、Cチームは「現在」色が強い感じ。

この物語は主人公が「過去」に寄るのか「現在」に寄るのかの選択を迫られる作品なのだと思うのです。
「未来」として、夢を追い続けた「過去」に戻るのか、現実に寄り添う「現在」を続けるのか。

Bチームは「過去」色が強かった分、「現在」に寄り添った主人公の決断が、どことなく絵空事に見えて、過去との訣別を仕切っていない結末のように思えて。

逆に、Cチームは「現在」色が強かった分、「過去」に一瞬未練を見せた主人公に対して、昔の彼女が「欲張らないで」と言った言葉が、もの凄い説得力だった。
彼は「過去」も「現在」も「未来」に持って行こうとしたから、昔の彼女は忠告したのですね。”どっちも中途半端ではどちらも失う”と。

ここがさすがに「芝居のCチーム」(念のためですが勝手に命名です)の真骨頂で、それに比べるとBチームは良い意味で「過去」も「現在」も”若い”。どっちも青臭い。それがBチームの魅力でもあるように思えて。責める「昔の彼女」も責められる「今の彼女」も「精神的に子供」。

・・・

この物語の導入部で、ストリーテラー的な役割の「彼」が、「部屋は全てを見ていた。部屋だけが全てを見ていた。そして誰もいなくなった」と語っていた様が、振り返るととても印象的で。

実際には”どっちも中途半端ではどちらも失う”だったのではないかと・・・

・・・

現在公開中の映画「ルームメイト」で「部屋に同居する」ことをいみじくもこの物語と同じような意味合いで隠喩に使用しています。

「一つの(物理的な)部屋に同居した彼と昔の彼女」
「一つの(今の彼女の身体という)部屋に同居した昔の彼女と今の彼女」

と称するかのようなそれぞれの関係が、とても興味深かったのでした。

明日はAチームを観劇します。
なお、この日がDVD収録日で、会場で予約を受け付けています(1チーム3,000円)

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『クランク★イン』

2013.12.16(Mon.) 19:00~20:30
東京芸術劇場シアターイースト(小劇場)B列1桁番台

完全新作ミュージカルの初日。演出が舞台では初の増田氏ということで、これまでにない程の不安を感じつつ、改装前後初めての東京芸術劇場小劇場へ。

全編に亘って流れる寺嶋民哉さんの音楽がとっても心にすーっと響いて素敵。
寺嶋さんといえば私にとっては「南くんの恋人」の音楽の方なわけで、その当時からずっと思っているのが、「聞く側を拒絶しない音楽」なんですよね。
「いつでも聞きに来てね」と言われている感じのオープンな暖かさが、前からとても好きでした。

そんなふわっとした空気の中で演じられる物語のメインとなるのが、宇宙飛行士を目指した男性・オリオ(別所哲也さん)、女優の卵・真理(新妻聖子さん)。そして脇を固めるSUITE VOICE(女性4人組ボーカルグループ)と、演奏のモーガン・フィッシャーさん。つまるところ、最大人数は7人という、小劇場にしては比較的人数が多い作品。

聖子さんの歌声としては、今年春の「トゥモロー・モーニング」、初夏の「シルバースプーンに映る月」ととても似ている、実は去年までの役にはほとんどなかった「澄み切った歌声」。寺嶋さんが作り出した綺麗な旋律を、一番素敵に響かせる歌声。

男歌(ex「ラマンチャの男」)や歌い上げ曲(ex「私だけに」)のように、馬力でガンガン押す歌が、聖子さんの持ち味ではあるのですが、聖子さんの歌の巧みさを聞かせられるのは、実はこういう作品の方なんじゃないかと思わされます。何しろお相手が勝手知ったるお兄さま、別所哲也さまであらせられますから、その辺りの関係性が役どころともリンクして、とても暖かい空気感を醸し出しています。

何というか、言いたいことも言える、甘えたいときに甘えられる関係という感じなんですよね。どちらかというと甘えることに身構えるような印象がある聖子さんにとって、別所さんは今まで共演してきた俳優さんの中でも、とりわけ包容力に溢れて、それでいて良い意味の子供のような純粋さもあるような気がして。

宇宙に想いを馳せるオリオと別所さんはそういう意味でもシンクロする部分があったりするわけですが、聖子さん演じる真理はといえば、今日の撮影にぶつぶつ言ってる姿というのが、何というか台本に思えないと申しますか(爆)。

それでいて、夢に向かう真理の姿は、良い意味でピュアで、行きつけのバーでみんなに諸手を挙げて応援してくれるような”イイ娘”。そんな娘が夢と現実との狭間で迷う姿は、等身大の役どころで聖子さんにぴったり。
エンディングに向けての流れは、途中で予想したとおりだったけど、この季節らしい”夢のある決断”で良かったなぁと思う。

そういえば、この日の客席はお世辞にも埋まりがいいとは言えなかったけど、それ以上にいつもと客層が違った感じがしました。
拍手もなかなか起こりにくい中、でもあの”飛び道具”の「世界で一番長い曲名の歌」こと「Supercaliflagilisticexpialidocious」(ミュージカル『メリー・ポピンズ』より)ではそんな客席さえ楽しくなっちゃって、最後に拍手が起こったのは本心からほっとしました。



カーテンコールで聖子さんが言われていた「舞台作品はお客さまが入ってこそ完成します。皆さまが最初の目撃者です」という言葉は素敵でしたが、その後、別所さんに促されて「それではみなさま、よいお年を!」と言った時にはどうしようかと(笑)。公演始まったばかりなのに(笑)。

聖子さん「客席の女性の皆さまのお召し物が皆さま素敵ですね。
さっきまで客席暗かったので分からなかったんです」

・・・

別所さん「また来てくださいね。何なら明日でもいいですよ」
聖子さん「みなさんそんな暇じゃないと思いますよ(笑)」

聖子さん「あ、でも池袋駅行くまで『クランク★イン』良かったよ-、って呟いて言って下さい。twitterとか(笑)」

・・・という、らしさ満開のカーテンコールだったのでした。

1stカテコは、劇中のテーマソング「On The Stage」をみんなで歌いましょうということで歌詞が出ます。
最初歌詞が出なくて聖子さんが慌てて先導するおまけ付きでした。

ちなみに劇場ではリピーターチケットを販売しております(定価7,000円のところ4,000円)。

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『スクルージ』

2013.12.8(Sun.) 13:00~15:30
赤坂ACTシアター 1階D列20番台(下手側)

D列となっていますが、実はA列~C列はオケピ使用なので、なんと最前列(驚)。

2度目のACTシアター、どうもここの劇場は動線がきちんとしていなくて、この日は誘導も中途半端でロビーは完全なカオス。
何とかプログラムを手にして劇場内へ。

市村さん、笹本さん、田代さん、愛原さん・・・のキャストは確認していましたが、それ以外のキャストは事前に把握しておかなかったので、「こういう役やれる方なんだ・・・」と思う方複数。

この作品は1999年以来14年ぶりの再演。
その時は池袋の東京芸術劇場中ホールだったそうで、なるほどACTよりはそちらの方が劇場イメージ的にはしっくりきます。

偏屈じいさんすくるーじ♪
クリスマスなんてどこ吹く風♪

・・・な、お人(職業は金貸し屋です)が、過去~現在~未来それぞれの”精霊”たちが見せる光景を見て、「守銭奴」ではない本当の自分の心を取り戻していく物語。

ネタバレもありますのでご覧になる前の方は要注意です~




1幕は市村さん演じるスクルージおじさんの偏屈ぶりに、正直、お腹いっぱいと申しますか(苦笑)。

彼も最初からひとりぼっちだったわけではなくて、先立たれた共同経営者のマーレイ(安崎求さん)と一緒にやってきた時もあって、マーレイはスクルージに警告をしていたりする。”お前のその生き方では、幸せになれないぞ”と。

「過去の精霊」(愛原実花さん)に導かれた過去では、若き日のスクルージ(田代万里生さん)とイザベル(笹本玲奈さん)が恋に落ち、でも彼女は彼を愛するからこそ、「自分が一番愛されているわけではない」という言葉とともに彼の元を去る・・・

ここで、イザベルがスクルージに突きつける別れの言葉は聞いてて辛かったなぁ。そして自分の指から外されたものを秤に乗せて、それによって秤が下に下がらないことが何よりショックでした。

イザベルは最後にスクルージを試したのかなって。「愛はお金より軽い」ことを見せれば、スクルージは今の自分の過ちに気づいてくれるのかもって。
でももう一面あって、「そうなるのは分かっていた諦め」も感じて。自分はもう彼の中では一番じゃないことに・・・

「自分はもう彼の中では一番じゃない」・・・その相手が他の女性なら、まだあの”諦め”は見せないと思うんですよね。相手が「物・・・お金」だったからこそ、イザベルにとっての絶望はより大きかったのかなと。

イザベルが起こしたその”音”と、それに目もくれないスクルージと。
自分が何を失おうとしているのか分からないのか若さなのか何なのか。

周囲となじむのが苦手だったスクルージとはいえ、別に最初から孤独を好んでいたわけでもなく、殻に籠もることを欲してばかりいたわけじゃない。彼の中にある”寂しさ”を誰よりも分かっていたイザベルが、それでも別れを告げたことが、何より胸に痛く感じて。

イザベルを演じる役者さんは、”現在”でヘレンを演じます。そして、若き日のスクルージを演じる役者さんは、”現在”でスクルージの甥であるハリーを演じ、この2人は”現在”では結婚している。

2幕後半で、ハリーとヘレンの夫婦に対して、スクルージは”ずっと誘われていたクリスマスパーティへの招待”を受けることを快諾して、ネックレスを、ヘレンにプレゼントします。

※観劇友から聞いて知りましたが、このネックレスには過去、イザベルがスクルージに渡した指輪が通されていたようです。叔父さんとはいえ、既に結婚しているヘレンに対して指輪を渡す事は出来ないし、疑われないように渡せる方法として、ネックレスを使ったのだと思います。

若きの日の過ちを、イザベルにうり二つなヘレンに対してプレゼントすることで、いくばくかの償いにする様は、精一杯の想いでもあったのだろうと思います。

2幕で面白かったのは、スクルージが改心するきっかけとなった「未来の精霊」が見せた光景は、スクルージには都合のいいところしか見えていないところ。

「なぜみんながスクルージに感謝しているのか」の”オチ”と言えるべきものをスクルージには見せていない。
でもスクルージは「その未来のためには何をすればいいのか」を考えて、違う行動に出る。

タイムパラドックス的には、「未来によって過去が変えられてはならない」ので、「変えたこと自体がもともとの本来の流れだった」はずで、根底にあるのは「スクルージは元々は愛に溢れた人であって、それがいつからかずれてしまっていた」という点なんですよね。

精霊は、軌道修正のための触媒に過ぎない、と。

スクルージおじさんは頑固さだけじゃない、それ以外の良さもある、と見抜いていたハリー、そしてボブ。

皆がスクルージを非難する中、一番実害を受けているボブ(スクルージの下で長いこと働いています。お給料は長いこと上げてもらっていない)はスクルージを庇ってはばからない。
それはスクルージにとって救いであり、精霊以上に彼の人生を元に戻すエネルギーになったんだろうなと。

今回びっくりしたのはボブ役の俳優さん。
実は、役者さんが誰が演じているのか、本編で最後まで分からなかったんです。(その時点でパンフも読んでいなかった)

パンフを読んでいて、「この作品に役者の色を持ち込むのはエゴ」と言っていたその役者さんは、武田真治さんでした。

自分にとって彼は「南くん」で始まっている役者さんなので、そこまでの想いで役を演じるほどになったのかと、本当に驚きでした。市村さんが特に指名したのが分かるというか。期せずして実は市村さん自身もパンフレット内のインタビューで「エゴ」について触れているんですよね。そこのシンクロがなるほど、高いレベルでのシンクロなんだなと思えたりしました。

・・・

お目当ての笹本玲奈さん。

久しぶりのドレス姿の可憐さにただただ眼福。
とあるドレスは「赤ずきんちゃん」と名付けちゃいましたが、我ながらずばりな喩えだなと(笑)

今年、エポニーヌ(レミゼ)、ジャンヌの2役。叫び系、エネルギッシュ系、悲恋系という、もちろん素晴らしいんですがHPを減らしていくかのような2役だったので、今年の最後がこれでもかのハッピーエンドで本当に良かった。

表情もいつも以上に柔らかだし、万里生くんとの夫婦のバランスも素晴らしいです。万里生くん、相手役に上手いこと転がされる夫役が抜群ですね(笑)←今年2作目。春の「トゥモロー・モーニング」の聖子さんともそんなんでしたし(爆)

耳に残る曲は「Thank You very much」ぐらいしかないけれど(笑)、「素敵な時間を過ごせたな」と思えるほっこりな作品
。小難しい理屈抜きに、良かったねと思えるハッピーミュージカル。出演者の方々が何人もおっしゃっていますが、12月冬の定番作品になるといいなぁと思える作品でした。

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『大和田美帆 10th Anniversary Live』

2013.12.6(Fri.) 20:00~22:50
 目黒ブルースアレイ

デビュー10周年の「初ライブ」に行って参りました。

セットリストはご本人のblog(こちら)に載っておりましたのでそちらをご参照で。

メルマガ読者さんを舞台側に配席・・・とご本人が語られていたので、どんな感じかと思って会場入りしてみると、なんとほとんど舞台かぶりつきの、実質2列目(舞台に一番近いテーブルで、その2番目の席)。舞台張り付きテーブルは、男性率が非常に高かったです。恐らくは、美帆さんを以前から応援されている方が多くて、ちょっとどころか、かなり恐縮。

同じテーブルにミュージカルでよくお会いするお知り合いがいたのでそれをきっかけに他の方とも話したのですが、整理番号と席の配置はどうも関連性がなかったようで、美帆ちゃんセレクトの席割り振りは、最後まで謎なままでした。

思い返せば、10年前のデビューから名前は知っていても、舞台で拝見するのは「ウーマン・イン・ホワイト」の2代目ローラ役としてだけ。・・・と思っていたら、トークコーナー司会の河原雅彦さん(松本以来2日振りにお会いするという、何という短インターバル。)と美帆ちゃんが話していて、「EVIL DEAD~死霊のはらわた」が初見だったことを思い出す、しょうもない自分。

そんなこともあって、こんな時に美帆ちゃんからの視線が来ているかのような良席で見ることに多少なりとも気が引ける部分があったのですが、始まっちゃうとすっかり美帆ちゃんワールドに浸っておりました。

とにかく抜群に面白いんです、MCが。
ピアノの佐山さん(実質的な進行役)が巻きを入れるぐらいに、1幕はMCで伸びる伸びる。
で、MCがどことなく(良い意味で)病んでるのが面白い。

河原さん「(いただいた質問の中から)今日死んじゃったら何が後悔ですか」
美帆ちゃん「私のことを付け狙っているスナイパーがいるかもしれないですね」
河原さん「(苦笑)どんなですか、あなた」
美帆ちゃん「だって知らないまま連れてこられちゃった人とかいるかもしれないし」
河原さん「で質問の答えは」
美帆ちゃん「あぁ、今日最後まで歌いたかったなと」
河原さん「今日ピンポイントかよ(笑)」

・・・あははは。

美帆ちゃん「ここにいるみんなを持って帰りたい!」
河原さん「(呆れて)きっとうっとおしいよ(笑)」

・・・(笑)

美帆ちゃんのMCを聞いてて面白いのは、「本人至って大まじめなのに、世間の感覚とほんのちょびっとずれてて、普通にしているだけで面白い」ところなんですよね。

「おしとやかにしようとしても、『ま、あたしじゃ無理ですよね。あはは』」って言い放つ感じとかもそうなんですが、確かにこの方を前にすればそりゃみんな笑顔になるよね、ということを実感しました。

子供の頃は鍵っ子で、いつも「自分で自分が楽しまないといけなかった」娘さんが、どうやったらこんなpureに、どうやったらこんな愛されキャラになるのか、さっぱり想像がつきません。

今年、良い夫婦の日(11月22日)で「いい夫婦 パートナー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた、大和田獏さんと岡江久美子さん。
たしか岡江さんが語られていた『娘がいい子に育ってくれて嬉しい』と言う言葉は、決して誇張ではなかったのだなと。

興味深かったのは「いい子に育ってくれて」が、「両親が家にいなくてもいい子に育ってくれて」というニュアンスだったことで、その辺は娘さんの認識とも合っているようですが、それでも娘さんが、両親が普段一緒にいなかったことを責めることもなく。

このブルースアレイ、出演者の希望でその日限定のカクテルが作れるのですが、この日のカクテルの名前は

『セブンライト』

和訳するとどういうことになるか・・・。

最初ご本人からこのカクテルの名前について客席に振られたとき、何人か理由に気づいていましたが、美帆ちゃんいわく「ここ笑うところですよ」と。

客席から見るとそこ笑って良いのか正直困っちゃうところなわけで。

でも美帆ちゃんは言うわけですよ。

「ずっと言われ続けてきたし、気にならないわけがないですけど、でもそのことは変えられないし。それに、両親がこの仕事をしていたからこそ自分もやりたいと思ったし、良かったと思っています」と言っていて。

10年間、それこそ言われ続けてきたことがどういうことなのだろうというのも、何となく想像が付くのに、それでもこう言い切れる美帆ちゃんが本当に格好いいなと。

「いつか笑って話せる時が来る」って言葉は、未来に向かって言うと無責任で、ある意味冷酷だけど、過去に向かって言うと勲章だなって。

そんな絡みで話に出ていたデビューのきっかけのエピソードが大変興味深く。

日芸に通っていた美帆ちゃん、デビュー作「PURE LOVE」のヒロイン役が決まらないという話を人づてに聞いて、なんやかんやの経緯で小池先生にまで話が通って、小池先生から深夜に電話がかかってきたのだそうです。

で、声を褒められ、「電話口で歌って」と言われ(笑)

「深夜で両親も寝てるのでどうしようかと思ったけど、もう歌うしかないと思って、『エ○ザベート』の大ナンバーを

・・・ここで私含め、複数の爆笑が(笑)

「『私○けに』という大ナンバーなんですけど、
『いやよ~』(←音程正確)って歌い出して」

・・・そんなきっかけですか。

そういえば、ミュージカル好きで有名な美帆ちゃん。
選曲にも自分の作品以外のミュージカル曲も登場。

「Part of your world」(リトルマーメイド)は当然の如く英語ですが、思ったよりずっとはまってて、英語も予想以上に滑らかでびっくり。

続いての「あごで受け止めて」(ミー&マイガール)は東宝版では「スマイル!スマイル!」ですが、やっぱり「あご」って露骨すぎて毎回噴き出しちゃうんだよなぁ。でも明るさ持ち味の美帆ちゃん、この2曲ともにベストマッチング。タップできたらサリーいいんじゃないの?ぐらいに良かったです。

出演されていた「My One And Only」は未見でしたが、非持ち歌(本来は坂本氏の歌)・持ち歌両方ともgood。無邪気にはしゃぎながらも、どことなく影があるような感じの役が合いそうな印象。

2部の衣装が黒のドレスで素敵でしたが、河原さんいわく「1幕のあの衣装だけだったらどんな子供かと」(笑)という突っ込みも上手く作用しつつ、いやなんだか立ち振る舞い見ていると某「MOZART!」の某悪妻役とか似合いそう。

どの曲も良かったのですが(選曲がご自身だったせいか、美帆ちゃんの個性に合わない曲が皆無だったのが印象的。)、一番印象強かったのは2部後半に歌われた「道標(みちしるべ)」という曲。
いい歌詞だし、いい曲だし、誰のカバーだろうと思っていたら、まさかのオリジナル曲というのにびっくり。

「皆さんの大切な人を思い浮かべて聞いてください」と仰っていた美帆ちゃん。両親への感謝、相手への感謝が溢れた曲は、まさに美帆ちゃんの人となりそのもの。そんな感謝の気持ちが伝わったからこその、客席からの暖かい拍手。

なんだかファミリーのような、「多少やらかしても見守ってるよ-」って感じの(笑)、でも突き放しているわけじゃない、という、大人同士の信頼関係が美帆ちゃんとバンドの皆さんの間、そして客席とも確かに存在していた、とっても心地好い空間でした。

10年に1回なんて言わず、定期的にやって欲しいなと思える、とても素敵なライブでした。
バンドの皆さんの音の深さにも感動でした。

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