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『ショーシャンクの空に』(1)

2013.11.2(Sat.) 19:15~22:30
サンシャイン劇場 1階8列1桁番台(下手側)

1幕55分、休憩10分、2幕50分、休憩10分、3幕55分で合計ほぼ3時間。
初日は本来19時開演のところが15分押して19時15分開始。

休憩10分もサンシャイン劇場のお手洗いのキャパではさばききれずに、予想通りに終演は22時30分(30分押し)。
遠征で夜行帰りの方とかは厳しかったでしょう。

15分押しを実感させるかのように、セットの移動をするスタッフさんが普通に見えたりと、きっとぎりぎり間に合ったのだろうなと思わせる舞台進行をハラハラして見つめながらも、それでも見終わった後は充実感。

有名すぎるこの作品が舞台化されて見ることになったときに決めていたのは、「舞台版見るまで映画は観るまい」ということ。初見の舞台でのイメージを大事にしたくて。先々月の「ジャンヌ」は原作を読んでいたからこそ面白いことが沢山あったけど、今度の「ショーシャンクの空に」は逆にファーストインプレッションを舞台から感じたくて。

見終わって思うのが、普通3時間もの舞台だと、精神的には満たされていても、見終わったら身体の底まで疲れを感じるもの。しかも今回は舞台が刑務所。なのに、なぜだか身体に疲れを感じないのが意外。内容的なネタバレはまだ避けておきますが、舞台的には「終わりよければ・・・」の展開のすがすがしさが良いのかも。

多少のネタバレ含みます。ご注意くださいませ。



3幕構成の今回、女性陣3人がそれぞれ1幕ずつメインを担当します。

1幕を担当するのが、リタ・ヘイワース役の高橋由美子さん。そもそも「ショーシャンクの空に」の原作小説が「刑務所のリタ・ヘイワース」で、刑務所内から見た囚人達の”希望”として描かれています。舞台版はそれが単純なピンナップガールではなく、語り部役も担当します。

刑務所ということで登場人物が全て男性となると、絵面的に厳しくなるというか、変化を出しにくいこともあるのだと思いますが、赤のドレスに身を纏った由美子さん演じるリタは、思った以上に上手くはまっていて、その上語り部としての落ち着いた進行がとても良いです。明るい弾けた感じもありつつ、基本は女性の声で変化をつけるという中でもどっしりとした重量感のあるナレーションは、さすが百戦錬磨の感。進行役のイメージとしては「SHIROH」の寿庵役が近いかなと。

赤のドレスは綺麗とはいえ、ちょっと年齢を感じないわけにはいきませんでしたが(残念ながら背中に・・・)、その辺をシーンで笑いに持って行くあたりは「リンダリンダ」ほどには痛々しくなくて・・・笑いに持って行ってたからいいかなぁ(苦笑)。

ただ相変わらず英語歌は不得手なようで、以前よりも苦手意識を持っちゃった気がして残念。

その点、歌で光っていたのが2幕を担当したマリリン・モンロー役の新良(にいら)エツ子さん。
由美子さんのリタの「赤」と完全に色分けされて、新良モンローは「白」。
それでいてスカートがめくれるこの役ならではのも、風の起こし方が技術さん上手すぎる(笑)。

3人のピンナップガールは、レッド(益岡徹さん)の描く小説(というより実話)の中でレッドと心理的なつながりを持ちますが、一番近いのが由美子さん演じるリタとで、年齢のバランスのせいか、一番しっくり。(まぁ由美子さんはもともとおじさん世代と組むとすんごくしっくり来るんですが。飲み屋での経験レベルの多さのせいか。
レッドにとってのピンナップガールでもあったのかなと思わされます。

それからするとモンローとレッドとはちょっと距離を感じたかな。

3人のピンナップガールって、レッドが刑務所の中で時をともにしたアンディーの起伏とちょうどリンクしていて。

リタはアンディーが皆の希望となっていく時期、上り調子な時期の象徴なんですよね。で、モンローはアンディーが迷い揺れ、レッド曰く「知らないうちに懲罰房に入れられている」ような時期、皆にとって希望が失われ絶望に変わりつつある時期、下り調子な時期の象徴として描かれているように思えて。

だからレッドがアンディーとのことを思い出すときに、リタを思い出せば高揚するし、モンローを思い出せば悄然とする、といったことになるのかなと。

もう一人のピンナップガールは宇野まり絵さん演じるラクエル・ウェルチ。
彼女は一番現在に近い存在ですが、アンディーとの関係よりもむしろ、レッドの”過去”を思い出せたことの印象の方が強かった。とはいえ実は初見では彼女のポジションの意味が咀嚼できなかったので、次見るときにまたじっくり感じてみたいです。

・・・

先に女性陣3人について触れましたが、この3人のバランスが絶妙で、締めるところから笑わせるところから、お互いおちょくるところまで実に多彩。直線的になりかねないこの作品への上手いアクセントになっています。

とはいえ、この作品のメインはあくまでお2人。成河さん演じるアンディーと、益岡さん演じるレッドの関係。

刑務所という「絶望」と隣り合わせであろう空間の中で「希望」を持ち続け、一つ一つ壁を崩していくアンディーの前向きさは凄いし、むしろ本当にあの場でそんな行動を取れる人が本当にいるんだろうかと不思議になるくらいな存在。それを、時に飄々と、時に真摯に演じていく成河さんが実に魅力的。そんなアンディーの生き様を書き続けることが、レッドにとっての、「刑務所から出てからの『生きる意味』」なのだろうなと感じて。

その文章をたまたま目にした、とある「彼」がそのアンディーの文章に「感謝」をしている様はなんかぐっと来るものがあって。レッドの思いが通じたことは、更にアンディーの思いが通じたことにもなるわけで、「絶望」の連鎖を断ち切って、「希望」の輪を広げていくのは、「思いつづける力」の強さあってこそなのだろうなと思えて。

素直に「良かったなぁ」と思えたラストでした。

他の出演者の皆さんも多士済々。

刑務所長演じる粟根さんは相変わらず粟根さん(一部の方にはこれで通じるような気さえするw)
なんでああいう「偉そうにしながら実は小心者」というのが上手いんだろう(笑)

んでもってキャラメルボックス筒井さんが刑務主任。なんであんなどやしつけるのが嵌るのか(爆)
そいでもって、いざとなると馬鹿にされるのが嵌る嵌る(笑)

アンディーが裏で舌を出しているであろうところで、自分に迫り来る危機に無頓着な感じが、この2人のイメージにぴったりすぎて吹いてしまう(笑)。

ちょっとひとりごとですが、ラストシーンのアンディーは、キャラメルボックスの西川浩幸さんを思い出した。
で、レッドの熱さは元キャラメルボックスの上川隆也さん。
今作のプロデューサーさんがキャラメルボックスと同じ、ネビュラプロジェクトの仲村さんということもあってか、もしかすると本当はキャラメルボックスでやりたかったんじゃないかと、ちょっとだけ思った。気のせいかもしれないけど。

リタのキャラは、どことなくももこさん(岡田さつきさん)を感じたし、モンローはまーや(温井摩耶さん)な感じで、ウェルチはあんりちゃん(渡邊安理さん)を感じたり。気のせいだと思うけど、何か妙にイメージしっくりきたりしました。

・・・

この日はカーテンコールが4回。

最後は客席一部のスタオベもありましたが、4回目、うちのご贔屓さまがえらい出遅れて舞台上がちょっと慌てる。その時のさまを詳細に書くのは省略しますが、本編でせっかくいい演技をしたのだから、最後まで客席には夢を見せ続けてほしいなと・・・後輩のピンナップガールに揶揄されるほどの年齢の、そして同い年の自分としては、少し残念な気がいたしました。

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