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『Ordinary Days~なにげない日々~』(1)

2013.10.18(Fri.) 19:30~21:00
上野ストアハウス H列上手側

小劇場ミュージカルでは最近よく名前を聞くこの会場。今回、初めての観劇です。
前評判に釣られて今週2度目の新顔作品。

オフ・ブロードウェイ作品の日本初演です。

男女ペア2組、合わせて4人プラス、演奏お1人の合計5人の舞台。
4人構成ということで、ストーリー的にも今年春の『トゥモロー・モーニング』に似た印象を受けましたね。

年長ペアのクレアとジェイソンはダブルキャスト(ペアは固定)で、
この回は木村花代さんと松原剛志さん。
年下ペアのデイブとウォレンはトリプルキャスト(ペアは固定)で、
この回は小松春佳さんと田中秀哉さん。

この4人の中で(意識しているかどうかはともかく)、初見なのはデイブ役の小松さんだけなのですが、正直この方が一番光っていたかなと。経歴見たらミュージカルアカデミーの卒業公演でエポニーヌ役やってて、自分のストライクゾーンに嵌る理由が分かったりしました(笑)。ちなみに小松さんは来年の帝劇『レディ・ベス』でアンサンブルで出演されることが決まっています。

上の説明で意図的に「カップル」と書いていないのは、2ペアとも、カップルとしては微妙な位置づけにあるから。
クレアとジェイソンは結婚を意識する間柄だけど、後一歩が踏み出せない(主にクレアの考えによる)。
デイブとウォレンはふとした瞬間に腐れ縁になるような「カップル未満」。

それでいて、クレアとジェイソンの距離はそうそう近づかないのに(むしろどんどん離れていくのに)、デイブとウォレンの(気持ちの)距離はどんどん近くなっていって、キーキー言ってたデイブがウォレンの存在に知らず知らずのうちに癒されていく様がとっても微笑ましい。
デイブは卒業を前に卒論に苦しむ女性ですが、ウォレンとの関係で自分の進む方向を修正していく。

印象的だったのは「夢は具体的であるほど叶わない」というウォレンの言葉。
これほど深い言葉ってない気がする。

まぁ反面、「現実は抽象的であるほど解決しません」けどね・・・(普段の日常からの感想)

さっきも書きましたがデイブのポップさがとても心地好くて。
ひたすら悩みまくっているもんだからなんだか周囲にネガティブを纏ってしまっているかのようなクレアの花代さんと比べて、とっても前向きで楽しませてもらえます。

クレアは多分生真面目で、色々損してきたんだろうなぁと思うに余りあって、演出の藤倉さんが花代さんに「クレアは花代さんにぴったりの役」とおっしゃったそうなのですが(パンフでの花代さん談)・・・自分の花代さん経験は短いので直感でしかないけれど(お芝居では「ミス・サイゴン」「ひめゆり」に続き、今回が3作目)、似ているとすればその辺りなのかなと。

特別な日々ではなく、「なにげない日々」を描いたこの作品。
日常を嘆いてばかりでなくて、日々のなにげないことにもそっと寄り添えれば、日々はもっと豊かになることに、デイブとウォレンはお互いの関係から先に気づいて。

交わることのない2組の関係が、とある出来事から交差して、デイブとウォレンの前向きさが、クレアとジェイソンの関係を近づけて、クレアが頑なだった理由もひっくるめてジェイソンはクレアを受け入れてくれて・・・というラストの流れが一気にぐっと盛り上がって、とても良かった。

この作品では演奏は1人のピアニストさんが90分ほぼほぼ弾きっぱなし。村井一帆さんという男性の方でしたが、この作品の空気を決定づけるソフトでポップでまろやかな演奏が、クレアを筆頭に頑なな思いを溶かしていくようで。

派手さはなくとも柔らかな空気が流れる作品の空気がとても素敵でした。

公演期間が1週間未満ということで、他キャスト(特にクレア役のもう1方、吉沢梨絵さん(ルドルフ(再演)のステファニー役)と、デイブの平田愛咲さん)も見てみたかったです。全く違う空気が醸し出されそうな、そんな気にさせられました。

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コメント

全部のペアを観劇いたしました。
なかなかこのような体験をする事はないので面白かったです。それぞれのペアが独特の空気を作られていたことが興味深く・・・お互いのペアがほとんどかかわらないのにもかかわらず違和感なく時間が過ぎていくのが心地よかったです。もっと見ていただいて、感想を伺ってみたかったです。
演出・翻訳の藤倉梓さんも興味深い方ですよ。。。

投稿: かっぱ | 2013/10/21 01:51

かっぱさん>
はじめまして。コメントありがとうございます。
全部のペアを観劇されたのですね。羨ましいです。日程の都合上、どうしても1ペアしか拝見できず、キャストの皆さまそれぞれでの醸し出す空気の違いを体感してみたかったです。

藤倉さん、先だっての「sign」も評判が良くて、拝見できなかったのが悔やまれます。最近よくお名前を拝見するお方なので、注目してみたいです。

投稿: ひろき | 2013/10/21 02:07

始めましてのご挨拶が、後になってしまいました。申し訳ございません。よろしくお願いいたします。
早速のコメントありがとうございます。

面白い体験でしたので、他の方の感想はどうかな・・・と、検索いたしましてこちらにたどり着かせていただきました。とても素敵なひとり言でしたので、思わず書き込ませていただきました。再演があるといいですよね。

ちなみに、来年の「レディベス」には、小松さんの他に、相手役の田中さんとご覧にならなかった吉沢さんそして稽古場代役・アンダーを務めていた一人も 出演が決まっています。
藤倉さんのブログにはお仕事の情報が次々と・・・楽しみです。「Sign」も一度だけでしたが拝見いたしました。

ひろきさまのご観劇の感想など、おいおい読ませていただき、コメント書き込ませていただきます。よろしくお付き合いお願い申し上げます。

投稿: かっぱ | 2013/10/21 08:53

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