« 『青空!』(3) | トップページ | 『ジャンヌ』(3) »

『青空!』(4)

2013.8.24(Sat.) 14:00~15:25
両国・シアターX(しあたーかい)C列1桁番台(下手側)

東京千穐楽、というかご本人いわくの「大千穐楽」となったこの日の公演。
初演2回、再演3回目の観劇となったのですが、この日の白眉はラストの「青空」の歌唱。

聖子さんがただ歌い上げるだけでなくこの歌を歌う姿に、3年という月日の重さを感じずにはいられなくて。

この「青空」の曲は幸い、聖子さんご自身がblogに歌詞をアップしていただいているのでこちら(これを載せているということはある意味ご自身の中で気持ちの整理が付いたのか・・・)、その時の様をはっきりと思い出すのですが、この曲は五月が人生に迷って、防空壕の中でお婆ちゃんとの対話でふたたび歩き出そうとする・・という過程を1曲で振り返っている曲。

物語の中でずっと語られてくることは「五月の」物語であるけれども、「迷って歩く」みんなに対する問いかけであるわけで、だからこそこの曲の歌詞は「誰か」や「僕ら」といった汎用的な言葉になっているのですね。

初演に比べて、再演の五月は少なくとも「いい子」ではなく、「いい子」を演じているわけで。
防空壕に来た理由が前作の「生きる道に迷って」レベルの可愛い話ではなく、実は半ば「思い通りに行かない全てにやつあたり」しているだけだったりするのですが、それがぎりぎりまで明らかにならないのは教育的配慮なのか(爆)。

ただ、お婆ちゃんとしては初演はともかく再演の五月を放っぽって天国には行けないだろうからなぁ(苦笑)。
防空壕の主となろうかと呟く五月をきつく叱っているところ以外、基本は五月の自主性に任せていますからね。辛抱強い。

再演の五月は「自分が変わってしまった」ことを認めたくないのだろうなと思えて。
五月はお婆ちゃんに嘘を付いて、自分を正当化していたけど、結局それでは何も変わらないことを五月は悟ったのだろうと思うのですが、そこのきっかけがはっきり見えなかったかな。

昔のお婆ちゃんと同化してタイムスリップして過去に行って、「本当の戦い」を見て(それは賛辞すべきものではないとしても)、ひるがえって自分を振り返ったときに自分が胸を張って「正しい」と言えるかが分からなくなったからかなとは思えたのですが。

東京初日にもちょっと感じたことですが、「青空」の歌詞にある「父さん、母さん、好きだった」という台詞と、母さんとの電話を、極めて煩わしくあしらっているところのコントラストが印象的で。前回も書きましたが「澄み切った心(=青空)」こそが、自分が忘れてしまったもの・・・だったのかなと。

「夢が朽ち果て」という台詞も歌詞もありますが、「教師」という夢を叶えた五月にとって、「自分の思うようにいく」ことが自分の理想だったのに、物事は理想どおりには進まない。
いくら花が咲かないからといって、芽が出ることもなしに花が咲くわけなくて、それを花を植えることで解決しようとした五月は・・・安易ではあったのだろうなと。

”昔の自分を見ているかのようにおっとり”というその生徒への評は、どう聞いても否定的な要素を感じてしまうし。

その生徒からの「”私が嘘を付いていた。五月先生に申し訳ない”」という”嘘”は五月への挑戦であるわけですよね。
実際には五月は嘘を付いていた、つまり「学校に来なくていい」と言ったこと自体が事実だったわけですから。
それを今になって翻す。それは五月にとって「残酷」そのものだと。

たしかにそれは残酷かもしれないけれども、逃げていては何も始まらないと覚悟したことで、五月はお婆ちゃん離れできて、お婆ちゃんも安心して空に飛び立てたのだろうなと思う。

それにしても、初演では聖子さんと被る部分もずいぶん多かった「青空!」が、再演ではこれがリアルの聖子さんと被るようでは・・・という展開になったことにちょっぴり苦笑。
「一区切り」というご本人の表現の理由に、聖子さんと五月の感情の距離の変化を感じてしまうのは、邪推なのでしょうか。

・・・・・

この日のカーテンコールは東京初日の涙声とはうって変わってのご機嫌バージョン。
フォロワーさんが言ってましたが、楽のカテコであそこまでしゃべる人いませんって(笑)

客席に「初演見た人!」と聞いて、意外に多くなかった(半分いなかった)中、「印象変わりました?」と聞いて「あまり変わらなかった」という返事を聞いて「え、ずいぶん変わったんだけどなー」とか答えている自由っぷり(笑)。「台本半分変わったんですよー」ってぼやいてました(爆)。そういや「(客席に向けて)キリコに座ります-?」とか問われてもハイとは言い出せない(笑)

再演で一番大きかったのは「私にはお婆ちゃんが見えるようになったんです」だそうで(別にオカルトな意味じゃないようです)、逆に「キリコは変わったんですよねって聞かれるんですけど、一つも変わっていません(笑)」だそうです。

あれ、初演で尻尾あった記憶ないんだけどな-。余裕あったから「尻尾いじる余裕があった」という話かも(少なくとも初演は尻尾を「いじる」ことはなかった)。

「元気でいられればまたどこかでお会いできる」という言葉はたしか初日でも聞いたけど、素敵な締めでした。

|

« 『青空!』(3) | トップページ | 『ジャンヌ』(3) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/74093/58057878

この記事へのトラックバック一覧です: 『青空!』(4):

« 『青空!』(3) | トップページ | 『ジャンヌ』(3) »