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『レ・ミゼラブル』(12)

2013.7.3(Wed.) 13:00~16:15
帝国劇場 1階D列47番(上手端)

2013年前半帝国劇場公演、笹本玲奈エポの楽です。

今月10日のマチネ、帝劇楽を前に1人繰り上がり楽で、カーテンコールではご挨拶もありましたが、恐らくは次回作「ジャンヌ」の稽古開始に伴う前倒し楽。
エポは平野さんが6月9日で既に楽を迎えており、キャストスケジュールが出た時に「7月4日~10日は”キャスト調整中”」で、結果、綿引エポニーヌが誕生したことを思い出します。

玲奈エポは名古屋・中日劇場公演で復帰することが決まっていたので、当初はこの回は取っていなかったのですが、公演開始直後の4月下旬にナビザを見ていたら、ちょっとびっくりなこの席が残っていたので急遽ゲット。
新演出版をご覧になった方はご存知かと思いますが、「コゼット・・・思い出す」のエポニーヌがいる、あの呟きシーンがほぼ目の前で見られる”エポかぶりつき席”(厳密には1列前の「お一人様席」である1階C列46番が一番の特等席ですが)。

そのシーンは正に満喫しました。ちなみに座っていた後、一気に駆け出しますが、スカートを引っ掛ける危なげさは全くなくてさすがはベテランエポニーヌ。が、このシーン以外は実は思ったよりステージに近くない席なので、オペラグラスを持ってこなかったのを後悔したりしました。見切れも多いですし。

・・・

この日胸に引っ掛かったシーンをいくつか。

「邪魔するつもりか、余計なこと言うなよ」

テナルディエがエポニーヌに言うシーンの言葉ですが、これ、父娘の会話なんですよね。

テナルディエ一味がコゼットのいるバルジャンの家を急襲、そこに居合わせたのは、マリウスに頼まれてコゼットの居場所を突き止めてマリウスを連れてきたエポニーヌ、なわけですが、このシーン、それこそ何十回と見ていながら、その言葉の意味を考えたことが少なくて。

テナルディエは仲間に「二束三文でコゼットを売ったが高値で片を付ける」と言って皆をけしかけているのですが、エポニーヌは当然、「二束三文でなくコゼットを売った」ことを知っているのですね。
同じ宿屋でコゼットがいなくなった後に、両親・テナルディエ&妻の羽振りが一時的に良くなったことは当然知っているはずですから。
「あの娘は誰」に「金持ちの小娘」と吐き捨てるように言うエポニーヌの言葉の意味もそれとリンクしていて、「同じ立場だったコゼットとエポニーヌ」だけれど、「コゼットはお金持ちに貰われていった」から「両親の羽振りも一時的に良くなった」・・・からこそのみじめさでもあったのかなと。

コゼットは貰われてくれるお金持ちがいた、それでいて自分の好きなマリウスの気持ちさえも奪っていって、色んな意味で「自分から全てを奪っていった少女」であるわけですね。だから(マリウスに)愛されることはできないけど、でも一緒にいたい・・・この日、とあるシーンで玲奈エポニーヌが田村マリウスの右腕をぽんと叩いたシーンがあって、なんか「友達でいいから」って気持ちが伝わってきそうな空気が伝わってきたりして。

以前も書いたのですが田村マリウスの場合はコゼットにのぼせ上がる速度が速いので、玲奈エポニーヌでさえ「置いて行かれ感」があるので新鮮(玲奈エポニーヌが他のマリウスと組むと、マリウスから気持ちが伝わっていることを感じることが多いんですよね)。

若井コゼットは着こなすのが難しい今回のコゼット衣装を綺麗に着こなし、玲奈エポニーヌと同じ身長であることを活かしてか、エポニーヌより上から存在できているバランスが良い感じ。衣装の関係か、同じ身長だとエポニーヌよりコゼットの方が大きく見えるんですよ。若干、玲奈エポが調整(小さく見せる)している感じはありますけれど。

・・・

「おおコゼット、神は許したもうたのか」

バルジャンの召され際、コゼットとマリウスが自分を見つけてくれたときのキムバル。

マリウスが「パパは聖者だ」と言ったときに、バルジャンは自分の身体をすっと後ろに引いたんですね。今までこのシーンでそれを感じたことがなかったのですが、ちょっと思ったこと。

バルジャンにとって「マリウスを救ったから私はコゼットに愛されることに」なったというのは悲しいから、すっと身を引いたのかなって。

その意味ではマリウスはバルジャンに対してとんでもなく不義理なことを言っているわけですが(苦笑)、バルジャンが本当の意味でほっとしたのは「マリウスを救ったからコゼットは自分を愛してくれた」だけではなく、「ずっと昔から真実を告げないで自分を守ってくれていたバルジャンのことを、コゼットは本当の父親として愛している」ことなのだろうなと思えて。
この日の若井コゼットからは「パパへの気持ち」がシンプルに伝わってきてとても良かった。

・・・

この日は新演出版100回到達との発表が司会・駒田一さん(テナルディエ役)からあり、この日帝劇楽だった笹本玲奈さんからご挨拶。

なんだかとっちらかっちゃって準備していない感満載で、そもそもがタイトル「レ・ミゼラブル」を噛んじゃって「あ、噛んじゃった(笑)」で不覚にも笑いを取っちゃっているあたり、エポニーヌ役203回のキャリアでしょうか(爆)。

東宝公式に何と全文、1フレーズの欠けもなく動画がupされているのですが、びっくりしたのは「新演出版はガチのオーデで受かるかどうかもわからないので、プライドもかなぐり捨てて」というくだりが動画でも残っていたこと。

新演出版はプロダクションも一新されていて、前演出版の色に染まっている方はそれだけで敬遠されていたような話は聞きますが、それをここまでダイレクトに表現された方は今までいなかったように思うので。とはいえ「自分にとって大事な作品だからこそ、新演出版にトライしてやってきた」という気持ちが素直に伝わるご挨拶だったのは、とても良かったなって。

帝劇凱旋公演(今年11月)が発表されながら、登板されるかどうかがはっきりしていないところをどう気持ちの折り合いをつけるかはわからないながらの観劇ではあったのですが、気持ちに一区切りつけて、またの登場をお待ちしています、といった気持ちの整理ができた、いい公演でした。

レミゼ帝劇(2013年前半)マイ前楽、無事終了です。

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