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『シルバースプーンに映る月』(2)

2013.6.16(Sun.)13:00~15:05
東京グローブ座 2階A列1桁番台(下手側)

今年50回目の観劇は、中1日の通称「しるすぷ」(←聖子さん命名、たぶん今回も定着しないw)。

去年50回目は8月18日のサイゴン厚木(玲奈キム)でしたから、2ヶ月も早く到達してしまいました。自制せな、自分。

当日券を求めて並び、抽選番号が自分的にはラッキーナンバーだったのに関わらず、席はS席の割に超見切れ席。

演奏の荻野きよちゃん(清子さん)は全く見えませんでしたし、戸田さん&聖子さんの母娘シーンも全く見えず、ただひたすらに舞台中央からの後方か、上手側に移動するのを待つ時間でしたが(笑)、それでも初日公演の観劇の記憶があるままに見られたこの日の公演は、充実したものでした。

聖子さんの作品はデビュー以来、2作品(*)を除いて全部拝見していますが、肩の力を抜いて見られる度が間違いなくナンバーワン。前作の「トゥモロー・モーニング」もおよそ”肩の力を抜いて見られる”ことにかけては相当だったのですが、まさかこんなに早く同じようなラフ系が来るとは、意外でした。

(*)「サド公爵夫人」と「NARUTO」です

今日もネタバレ攻勢中ですので、ご希望でない方は回れ右ですーーーーー!



1回目見たときに理解出来ていなかった言葉があって、前半で執事の2人(園山さんと青山さん)が話している「春の嵐」について、青山さんが「ゲルトルート」という言葉を出しながら、園山さんから意味を尋ねられて曖昧に濁すシーンがあります。

ここの意味が分からなくて、後半で青山さんが「我らのゲルトルートを逃がしてはならない」と園山さんを促すところの関係が、イメージでしか掴めていなくて。

このコメントは、聖子さん演じる美珠希がいい加減堪忍袋の緒が切れて、屋敷から出て行こうとした時に、発せられる言葉なので、およそ美珠希を評価するコメントではあろうと思ったのですが、調べてみると「ゲルトルート」とはそもそも「春の嵐」の原題(Gertrud)であり、また作品内に登場する女性の名前でもあり。

この作品にとって美珠希は「希(望)」と前回書いたのですが、もう一面が「春の嵐」そのものということで。

美珠希は敷島家にとっては実は闖入者そのものなのに、なぜだか誰からもすんなり受け入れられている。

敷島家にとって「春の嵐」であった美珠希は、反目し合う2人を変えられる人として、執事の2人、そして綾佑の友人である恭平(演:上口耕平さん)から絶大な支持をされている。

幽霊騒動の実体を突き止めるために、「歌で気持ちを伝えましょう」と提案した泉美(演:内田亜希子さん)のもとで、皆が歌詞を作ることになるけれど、綾佑は「俺は詞(を作る)柄じゃない」と言います。

が、そこに直撃する”春の嵐”な美珠希爆弾・・・「柄なんて言っている場合じゃないんじゃないの」という言葉に、執事2人+恭平が「まさに。」という感じで頷く様子に笑ってしまった。どんだけ取り込まれてるんだこの人たち(笑)

美珠希の存在で感じるのは、彼女自身「誰かを変えよう」として動いている訳じゃないんですよね。一瞬だけ母親に対して「あの人が困るから」と本音を明かしてすぐ、「あの人『たち』が困るから」と言い直していたのが印象的。自分の存在の大きさに一番気づいていないのは美珠希だと思う。



この作品を2回見た後に去年の「Bitter Days,Sweet Nights」を見返してみたのですが、やっぱり似通いすぎるほど似てる。

新妻さん演じるナツコと、姉のフユコは母の死をめぐる行き違いがあって反発し合い、ナツコは単身アメリカへ。
フユコはその後しばらくして亡くなり、夫であるミノルや、親友のヤヨイはその心の隙間を埋められない・・・

ナツコとフユコは今回作の綾佑と雅也と印象がかぶるし、ミノルやヤヨイの心情は綾佑と雅也が共通して持つ心の隙間に思えるし。
ナツコがミノルの尻を叩くさまは今回の美珠希と綾佑の関係と「どっかぶり(著作権:彩月)」だし。

ただ印象が大きく違うのは、この2作品で唯一続けて出演した聖子さんの役どころ。

ナツコはミノルを励ますにもいちいち棘があるんですが(笑)、美珠希が綾佑を励ますのには棘が一つもないんですね。
・・・と思っていたら、フユコが美珠希にそっくりなんだ、ということに気づきました。

今回の作品がビタスイのアナザーストリーなのだと思った理由が、ビタスイ見返すまで分からなかったんですが、ビタスイがナツコ視点、しるすぷがフユコ視点の作品なんじゃないかと。

ミノルがフユコのことを語った「本質的なところを理解している」点は、今回の美珠希そのものに思えて。

ビタスイの映像の聖子さんを見ていると、張りつめたストーリーのためか、とてもびりびりした表情に見えて。
でも「シルバースプーンに映る月」の聖子さんは今までのどの作品よりも表情が優しくて。

そういえば今まで見続けてきた聖子さんは、大部分の作品の表情が張りつめていたから、今年の明るいキャラクター3連発って、史上稀に見るノンストレスな表情の時期なのかも。(家族の方いわく、「役が日常生活の表情にまで現れる」お方だそうですから)。

パンフレットでも「一歩引いた存在感で立つことが目標」と言っていて、まさにそれを体現している感じですが、きっとあれだけラフに立っても全てを持っていく戸田さんの演技を横で見てこその、立ち位置であり演技なのではと思えてなりません。

戸田さんのあの”抜けた”演技の軽やかさ素晴らしいです。「軽やかに太い」、理想ですよね。

綜馬さんのダンディさも素敵だし(但し私、綜馬さんを拝見した唯一の経験がなんと「ウェディング・シンガー」のサミー役・・・笑)、綾佑より前に美珠希を狙いに行ってる感じがさすがです(爆)。

女性執事の園山晴子さん、「ミス・サイゴン」の初演ジジで有名ですが、園山さんを拝見した唯一の経験は「屋根の上のヴァイオリン弾き」のフルマセーラ役。コミカルな感じはなんか通じるところがあったかも。

上口さんは園山さんと同じく「屋根の上のヴァイオリン弾き」の今年のフョートカ役(三女・チャヴァの相手役)。その時の印象とあまりに違いすぎて絶句しました(笑)。

主演の坂本さんは拝見するのは2作品目ですが、彼の走り姿が実は好きだったりします。今回、美珠希との関係がサバサバした関係なのが(主に美珠希のキャラというか、聖子さんのキャラ故と思うのですが)、バランス良いなぁと思ったり。

色々な意味でストレスなく拝見できる作品。カンパニーの仲の良さも垣間見え(カーテンコールでキャストみんな肩を寄せ合った結果、ちっちゃい聖子さんがぎゅーっと挟み込まれる様が何だか面白い笑)、日々熟成されていくのを期待しています。

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