« 『シルバースプーンに映る月』(3) | トップページ | 『TATTOO 14』 »

『シルバースプーンに映る月』(4)

2013.6.25(Tue.) 19:00~21:05
 東京グローブ座 1階N列50番台(上手側)

2013.6.27(Thu.) 19:00~21:05
 東京グローブ座 3階B列40番台(上手側)

しるすぷ、4回目・5回目です。

どちらも公演スタート後に作品公式でゲットした席で、25日ソワレは1つ前の列から1段高くなっていたためもあって、舞台全体が見渡せて、かつオペラグラス要らずで表情も見通せる(蚊の刺された跡は見えませんが)良席。
27日ソワレは3階で舞台を見下ろす形とはなりますが、クッションが既に準備されており、A列と違って柵が気にならないですし、某日の2階下手端よりずっと見やすくストレスレスでした。

こちらの劇場、上手側は結構端まで行っても見切れが少ないですが、下手側は相当見切れる席がありますので注意です。

27日ソワレがマイ楽の予定だったのですが、フォロワーさんのご厚意でマイ前楽に変わることになり、心なし余裕を持っての観劇となりました。

そしてネタバレモード続行中です。

●空気を読む
ラスト直前、美珠希より前に敷島家のお屋敷を出て行く泉美は、美珠希に「私にだって空気を読むことができるんです」と言って美珠希を不思議がらせるシーンがあります。

この作品に登場している人物は「固定観念」に苦しめられている人が多くて、まずは雅也さん。

「元はこの屋敷のバトラー(執事)だった」彼。

「彼(綾佑)は私と妻が愛のない結婚をしたと思っているんです。だって私は・・・」と呟きます。
「執事だったんですよね」と美珠希。
「そんなの関係ないじゃないですか」と美珠希は言いますが、
雅也は「だが世間はそう思ってはくれない」と嘆きます。

その、雅也に対してひとかたならぬ気配りをする美珠希自身、そもそも、その前に雅也に救われていて。

「私、板前なんです」
「女性の板前さんといえばご苦労がおありでしょう」

というやりとりで、雅也の「女性の板前」に対する固定観念が全くないことに救われている。

泉美のこの言葉はいきなり出てきたような台詞でいつも違和感を禁じ得なかったのですが、銀行頭取のご令嬢の泉美にとって、「私にだって空気を読むことができる」というのは「お嬢様は空気を読めない」と思われる「固定観念」に対する、自分なりの主張だったのかなと思って。

泉美にとってみれば、綾佑への好意はもともと無意識の下にあって、同じく美珠希から綾佑への好意も無意識の下にあると思ったからこそ、あえて「私にだってプライドはあるんです」とは言わずに、美珠希を変に焚きつけなかったのかな、とも思えて。
綾佑に対する恋愛感情はあの時点では明らかに美珠希からよりは泉美からの方がありそうな気がしますしね。

それにしてみても、綾佑が泉美に投げつける言葉の荒さ、それが雅也の優しさを表現することになるとは不思議です。

綾佑が泉美に「酷い言葉」(@美珠希)を吐いた後、雅也は初めて綾佑に対して本心を打ち明けるのですが、そこで「君が自然な形で彼女(泉美)を好きになることができたなら、それでいいと思った」と言っていて。

会社が傾き、社長としてどうにかしなければならないというプレッシャーの中、「お見合い」という非常手段に訴えてさえ、雅也は綾佑が「自然な形で相手を好きになってこそ」というゾーンは残していた。

それはきっと雅也にとってのミユキ(綾佑の姉)と夫婦関係になり、「執事と良家のお嬢様」という「固定観念」の中の茨の道を、「お互い愛し合っていた」からこそ乗り越えられたという、雅也にとっての支えなせいもあるのでしょうね。

●自然な形で
その前段を踏まえて綾佑から美珠希への関係を見ると、美珠希が屋敷を出て行くのを止める流れがとても自然で好きです。

あのタイミングで美珠希はシングルパンチを受けたのかと思いきや、実はダブルパンチを受けているのですね。

1つは無論、綾佑相手で、「謝ってきなさい」と促しておいて、綾佑が泉美に謝っていたらまさか、泉美が綾佑の胸に飛び込んで行っているとは・・・

で、そのインパクトが強すぎたのですっかり忘れていますが、そもそも綾佑の様子を見に行った勢いの理由というのが、母である彩月に言われた言葉。

自分に父がいない理由、母にとっての自分の存在。そのいずれもが自分の望む形でなかったことに大きなショックを受けているのですね。

この作品での美珠希の立ち位置は、綾佑を影ながら支えて、綾佑というスプーンを照らす月のような存在なわけですが、しょっちゅう忘れられるのが、美珠希自身も人生に迷って、ふたたび歩き出すきっかけをこの敷島家に求めている(正確には母である彩月に求めてきたけれど、結果的には綾佑に求めている形になっている)。

綾佑に拒絶された美珠希が歌う「二人で探せば」のリプライズは、これ以上ないほどのもの悲しさですが、この曲のこのシーンだけ、「2人で探せば、(私の)迷いの出口も見つけられたかもしれないのにな」という表現なんですよね。

ただもう一点、綾佑をかまっていれば美珠希にしてみれば自分の問題に目を向けないで済む、という側面もあったでしょうけどね。綾佑が美珠希のその迷いに一切気づかず、美珠希の立場は雅也が分かっている、という役割分担が絶妙でしたね。

綾佑は美珠希を求め、美珠希は雅也が支えて、雅也が綾佑と美珠希を見守るというバランスがどこをとっても絶品で、それでいて雅也の心の中にはミユキがいるから、雅也が美珠希を求めることはないから、綾佑と美珠希の組み合わせは泉美が身を引いた今、確立するという、まぁ上手く考えたもんだなぁという。

”自然な形で彼女のことを好きになってくれれば良いと思っていた”という言葉は、綾佑と泉美の関係に対して言いながら、雅也にしてみれば綾佑と美珠希の関係がまさにそうであることを表現しているように思えて。

●自然な形でその2
この作品で結構なお気に入りポイントが、3人(雅也・綾佑・美珠希)が夜のソファーでちょこんと座っているさま。
特に美珠希が雅也と綾佑に挟まれてちっこい(笑)バランスがとても面白いです。何か妙におかしいじゃないですか(笑)。

でここで、なかなか出てこない幽霊に業を煮やしての会話。

綾佑「絶対幽霊は出る」
美珠希「なんで断言できるの」
綾佑「(観念して)白状するよ」

ってシーンがとっても印象的で。

綾佑が美珠希に本当の意味で心を開いていることがはっきり見えたからなのだと思いますが、ここがとっても好き。
もはや抗う気さえないのねという(笑)。
それもあってか、実は恐がりな綾佑のことを茶化してきていた美珠希が、ここでは

美珠希「超自然的な何か」

という言葉で綾佑の気持ちを慰めているところが、空気の変化をよく表現していて好き。

そういえば、自然な形でといえば、屋敷を出て行こうとした美珠希を止めた綾佑の一言。

綾佑「逃げるのか!」
美珠希「逃げる?!(怒)」

・・・の言葉は、えーと、あて書きという前提で解析しますと
多分、彼女の足を止める一番有効な言葉だと思います、はい(爆)。

「自然な形で」というのは、発する言葉や空気が”共有の色”を持った時のことを指すのだろうなと思えたのでした。

素敵なストーリーと音楽と歌声に癒された半月も、ラストスパート。
マイラストは6月ラスト公演です。

|

« 『シルバースプーンに映る月』(3) | トップページ | 『TATTOO 14』 »

コメント

本人には好意的なリプライ飛ばしておきながら、フォロワー同士で小バカにしたような会話してて………ミューヲタってホント性格悪いのな(笑)

投稿: 呪われ・みぜ | 2013/06/29 07:07

アドバイスありがとうございます。
参考にさせていただきます。

投稿: ひろき | 2013/06/29 15:13

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/74093/57679776

この記事へのトラックバック一覧です: 『シルバースプーンに映る月』(4):

« 『シルバースプーンに映る月』(3) | トップページ | 『TATTOO 14』 »