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『21C:マドモアゼルモーツァルト』

2013.6.22(Sat.) 18:00~21:10
東京芸術劇場プレイハウス 2階C列1桁番台(下手側)

音楽座ミュージカル「21C:マドモアゼルモーツァルト」、8年ぶりの再演です。
初演は2005年のPARCO劇場。主演のモーツァルト/エリーザの2役は客演の新妻聖子さんでした。
当時カンパニー内にこの役をやれる人がおらずに客演となったそうですが、今年の再演は満を持して、カンパニー内から高野菜々さんが主演。

初演の新妻さんが今回の再演版を見た感想blogはこちら

さてネタバレありますご注意あれ




「モーツァルトは女性だった」という仮説と、「当時、女性の音楽家は存在を認められていなかった」(東宝版「モーツァルト!」では由美子さんが演じるナンネール役でさんざん身にしみてますが)という話を混ぜた結果、1幕はパパ(レオポルト)の指示により男(モーツァルト)で生き、2幕は元の女性、エリーザでモーツァルトを生きるという物語(2幕後半からふたたびモーツァルトに戻ります)。

1幕の男役で生きるモーツァルトは、正直、菜々ちゃんには大変そうな気がしました。8年前なのにいまだ鮮烈な印象がある新妻さんのモーツァルト役の突破力をついつい重ねて見てしまって。
ホント「すこーん」と突き抜ける勢いがありましたから。
菜々ちゃんも頑張っているんだけど相手が悪い・・・と思って幕間を迎えました。

そして迎えた2幕。幕が開いて菜々エリーザに一発で持って行かれました。
なんですか、あのちゃーみんぐえりーざは。
可愛さ全開、魅力全開。1幕のどこか窮屈そうなモーツァルトはどこへやら。

「モーツァルトの持ち主(=レオポルトのこと。自分を男として世間に出したという意味)は行ってしまったんだ」と本心から言うかのような菜々エリーザを見た時、1幕の違和感がようやく納得できて。

初演の新妻さんは、1幕のモーツァルト役は地でやっているんじゃないかと思うぐらいにはまり役で、逆に2幕のエリーザ役はどことなくぎこちなくて。

逆に菜々ちゃんは、1幕のモーツァルト役はぎこちないのに、2幕のエリーザ役は完全にはまり役。

2幕最初でそれに気づいてからは、2人の違いが分かったような気がして、すっきりと再演版も見ることができて。

新妻モーツァルトは、レオポルトが自分を「男」として音楽家として世に出したことに、これ幸いとのっかっちゃった感じがあったから、女性に戻ることにはしぶしぶという感じがしてました。

が、菜々モーツァルトは、男として生きることが「やらされていること」そのもので半ば嫌悪まで持っていて、そのためにコンツタンツェにも嘘を付かなきゃいけなくて、「嘘を付く人は地獄に墜ちる」という言葉が頭から離れず、女性に戻れたことが嬉しくてしょうがないという。

2幕でエリーザはコンスタンツェに投げやりに「モーツァルトも○○○だからさ。サリエリの弟子になるよ」って言ってますが、モーツァルトであることに未練がないようにさえ見える菜々エリーザの醸し出す雰囲気が、コンスタンツェの怒りを倍増させるに余りあるという(笑)

今回、モーツァルト(エリーザ)とコンスタンツェがいずれもカンパニー内からということで、2人の関係はとても密接。東宝版含めてここまで2人の感情が近い組み合わせってない気がする。コンスタンツェ役の宮崎さんもとても良いです。

宮崎さんは今回の作品の対談で、菜々ちゃんのことを「彼女がいつも頑張っていることを知っていたから、しばらく前から彼女のために自分が何かできるかずっと考えていて。そんな気持ちが今回の役の関係につながればいいなと思う」と言っていたんですね。その言葉を菜々ちゃんが聞いて感動していたのが印象的で(いい関係ですよね)。

その言葉があったからということもあるのだとは思いますが、「モーツァルトのために尽くす妻」という意味で、今までで一番良妻なコンスタンツェを見た気がします。ま、秘密明かされたら怒ってましたけど、それは当たり前だし(笑)

最近初演版のDVDを見ていないので記憶がちゃんとしていないのですが、今回、ラストへ向かう流れが印象よりずっと明るくなっていた気がしました。
モーツァルトと言えば最後は自傷的で破滅的で、自滅的な面があって、もともと初演版(新妻さん)の時にもその印象が入り込んでいた感じがあったのですが、今回の再演版はモーツァルトの最後がとても前向きで、周囲に支えられてモーツァルトとモーツァルトの音楽は光り輝いた、ことがより表現されていた気がします。

・・

初演版を見た時に思った、この作品と「戦争」を絡める意味がよく分からない、ということは今回も同様で。

その辺の話は今回配布されたパンフレット(普通の市販パンフレットレベルの凄い内容ですが何と入場時に無料配布です。会報の特別号扱い)に代表の方が書いておられて。

いわく「モーツァルトの活躍末期の困窮は、ウィーンを『戦争』の影が覆い、オペラや演奏どころではなくなってしまったから。戦争がモーツァルトを追い詰めた面があるのだという」のだそうで。

この作品ではモーツァルトと心理的に繋がった少女(21世紀に戦場にいる少女)とを連動させることで「戦争に苦しめられる2人の存在」をリンクして語ろうとしているようなのですが、ちょっと無理付けな感じがしないでもなく。

戦争は他の作品で語った方が良かったんじゃないかなぁ、ということを8年の時を経て全く同じ事を感じました。

・・

この日は終演後、「サタデーナイトフィーバー」なるイベントがあるとのことで初参加(もちろんその日を選んで取りました)。
2階で見ていた自分たちも含めて1階の前方に集められてのイベントスタート。結局中通路+3列ぐらいまででしたから、都合200人ぐらいと思われますが、ちなみに史上最高の参加人数で、かつ初体験が8割というのも異例な多さだそうです。さすがに舞台上けっこう混雑しました。

司会のお3方の軽妙なやりとりの後、客席から希望者全員が舞台上に上がってのイベント。
モーツァルトを囲み、シカネーダー一座の歌のシーンをひとしきり至近距離で聞きながら、みんなで一緒に歌うという趣向。目の前に菜々ちゃんモーツァルトが。かわええ(爆)。

主進行担当のシカネーダー役・藤田将範さんの滑らかな進行に笑い声が絶えない舞台上。
歌の練習の前に見本、ということで歌った時に歌い終わって藤田さん一言。

「フランツ(安中淳也さん)が高音で(パートに)入ったので失敗しました。まったくいつも失敗ばかり(皆爆笑、菜々ちゃんについてはあまりに面白かったのか机に突っ伏して撃沈)」

・・・(笑)

そういえばこの日はキャストのパパさんが大挙して来られていた日だそうで、菜々ちゃんのパパが広島から、藤田さんのパパが札幌から、そいでもってフランツのパパさんも来ていたって話でしたっけ。「パパゲーノ」にちなんでかなぜか藤田さんいわく「パパの日(笑)」

最後に挨拶を求められた菜々ちゃん。いきなりの不意打ちで絶句して藤田シカさまに「頑張れ」と励まされる(笑)

「ぼくはアドリブが苦手なんだ!」

とかました菜々ちゃんは好感度が超アップ(笑)。

そんなこんなで楽しい15分強のイベントも終了して、ほっこりしたまま劇場を出ました。

印象的だったことといえば、舞台上って何であんなに暑いの!?・・・ということでした。
あれで汗かかない女優さんたちってやっぱり別次元の人たちだわー。(と、この舞台に関係ない感想)

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