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『レ・ミゼラブル』(10)

2013.5.25(Sat.) 12:00~15:15
帝国劇場2階K列20番台(センターブロック)

待望の、玲奈エポ&郁代コゼの組み合わせ。
「(4月28日)ソワレが幻♪」となり、東京公演では12回しかなくなったこの組み合わせ。

エポから見ると玲奈エポからはレイナコゼ・若井コゼともに16回なので、多少少ないぐらいですが。
ちなみに、エポ4人とコゼ3人の12通りのうち、唯一ないのはさやかエポ&レイナコゼです。

で、ふと公演数日前にキャストを見返してみると、この日のプリンシパルキャスト、物の見事にマイファーストキャストが勢揃い。キャッチフレーズを付けるなら・・・

益々バル度が増すレミの大黒柱  吉原バルジャン
円熟味を増す若きエース       笹本エポニーヌ
芯の強さと母性のバランスが絶妙 和音ファンテーヌ
追い上げ急で持ち味発揮へ     青山コゼット
堅物ぶりが実にスマート       原田マリウス
ヘタレっぷり増量中          KENTAROテナルディエ
怖さで劇場中を震え上がらせる   谷口テナ夫人
カリスマそのもの           上原アンジョルラス

そしてこの日初見
若き正義感の塊           鎌田ジャベール

テナはマイファーストキャストははじめさん(玲奈エポとレミ同期の2003年組=駒田一さん)ですが、KENTAROテナも何度か見て、これもこれでありだなと。
というわけで、個人的にキャスト皆さんの存在感それぞれに全くストレスを感じることなく、すーっとレミを見ることができました。

新演出が始まって1ヶ月、話に聞く現場の微調整はいい方向に動いているようで、「皆まで言わんでいいです」的な台詞がちょいちょい削られ、主にバリケードの学生の正直余分すぎた茶々が減っていて、すんなりストーリーが身体に入ってきます。

唯一残ったのって「良くやってくれました」ぐらいでしょうか。ここは残してくれて嬉しかったです。以前も書きましたがバルジャンがバリケードでどう評価されたかに対する明確な答えだと思うので。

・・・・

1幕はエポ&コゼのアンサンブルシーンを中心に鑑賞。

コゼは以前に比べて大きく動くことがなくなった感じ。以前は少しオーバーアクション気味だった気がしていたので。エポ娼婦とコゼ娼婦でお持ち帰りされてる方おりますね・・・

そういや、その後のジャベ突入直前あたりで、エポ娼婦さまが発狂したかのように(娼婦宿の)客を指差して笑ってて、コゼ娼婦さまが「ちょっとあんたやめなさいよ」って、手で口を塞ぎに行ってたのに笑い。
ここのシーン、コゼ娼婦さんはちゃんと状況確認もきっちりしてて逃げ足も速いんですが、そこにしがみつくのやめんしゃい>エポ娼婦さん

ま、それはそれとして。

1幕で印象的だったのはファンテーヌ(この回は和音さん)の「夏、あの人来て~」の転調。ここ、マイオリジナルファンテーヌな(高橋)由美子さんが表情を一気に変えていたのが今でも自分の中のオリジナル演技なのですが(何しろ役者歌の方なので)、この回の和音さんは、ここで膝を折って歌い続けて。あ、それいいっ!と思ってしまった。
これ、前(新演出最初)からそうだったっけなぁ。ファンテーヌの気持ちの動きがなんだかとってもしっくり来た。この曲、最近は”レミといえばこの曲”になってしまっているけど、歌唱力自慢な歌い上げ曲では正直ないと思うので、ここの転調で演技ができる人に歌って欲しいんだよな、やっぱり。和音さんの演技スタイル好きだなぁ。

玲奈エポと優ちゃんマリウスのペアは今期一番好きな組み合わせ。何というか、優一氏の「どう突っ込んでやろう」的な空気が玲奈エポだとより映えるというか、お互い百戦錬磨な役者さんだから、エポニーヌの心情とマリウスの心情が自然にすれ違うように演じるのが上手いんだよなぁ。何というか、ぎりぎり1mmの隙間作って、触らないみたいなのをお互いやってるみたいなところが(笑)。

郁代コゼと優ちゃんマリウスのペアも好き。今回はそれもあってマリウスは優ちゃん一押しな自分。2人の芝居の呼吸が合っている感じが好き。
この日見ていて思ったけど、マリウスってコゼットがパパに反抗しまくっているところを門越しに聞いているんですよね。「それでもコゼットが好き」というマリウスがちょっと意外。

というのも、旧演出版のイメージでコゼットを見ていると、「蝶よ花よと育てられた箱入り娘なお嬢様」と思ってしまうんだけど、新演出版は「もっとアクティブでセクシーなイメージ」だそう(@パンフレット)。一部でこの「セクシー」という用語がその言葉のイメージ通りに認識して変な捉え方をされてたけど、良い意味で「自立しようとしている少女・女性」なのかなと。芯の強さという意味で、紛れもなく「コゼットはファンテーヌの娘」であることがレミ新演出版の一つのポイントかなと。

コゼットが「芯の強さ」ならエポニーヌが「気の強さ」という対比ではありますけれど、だからこそエポニーヌがマリウスの腕の中で息絶える「恵みの雨」の玲奈エポニーヌが、年々女の子っぽくなっていくのが絶品すぎる。

新演出版ではエポニーヌの前半登場部が男っぽく、街でも指折りのワルぶりを表現していますが(モンパルナスの横で膝立てして指示聞いてるエポニーヌは新演出版のツボでもあったりする)、それ故に愛する人の腕の中で死んでいけるエポニーヌが、どんどん女の子になっていく様がとても印象的。以前はもう少し男性ぽさを残していたような気がしたんですけどね。

エポニーヌが亡くなったことがバリケードの崩壊の引き金を引いた・・・とは前回書いたことですが、エポニーヌが亡くなった直後、「戦おう彼女のため」がアンジョルラスに語りかけられ、「彼女を裏切るな」がマリウスに語りかけられていたことが、自分にとってはとても印象的で。

この2つの歌台詞は、旧演出版から脈々と続く変化のない台詞ではありますが、私がきちんと見ていなかったのか、エポニーヌしか見ていなかったからなのかわかりませんが、この2つの台詞ともが、マリウスに宛てられたものだと思い込んでいたのです。

これは前回書いたこととも重複するのですが、旧演出版でのエポニーヌの死は、あくまでマリウスにとっての衝撃でしかないけれど、新演出版でのエポニーヌの死は、バリケード全員にとっての衝撃なのだと。

だからこそ指揮官のアンジョルラスに対して「戦おう彼女のため」という言葉がかけられ、「死を無駄にしないぞ」という声が上がり、そしてマリウスに対して「彼女を裏切るな」という言葉がかけられ、それらの言葉は一つに繋がっているのだと。

レミゼの女性プリンシパルはある意味みんな「強い」という意味で共通項があって、ファンテもコゼもエポもテナ夫人も、それぞれに強い(準プリンシパルのファクトリーガールもこれまた強い)。ただファンテとコゼは旧演出版では「儚さ」が優先されていたような気もしますけれども。

新演出版を見ていると、先ほど言いましたが「コゼットは、間違いなくファンテーヌの娘なんだな」同様に、「エポニーヌは、間違いなくテナ夫人の娘なんだな」ということを強く感じます。それでいてエポニーヌは自ら母との気持ちのつながりを切るかのごとく自分から愛する人を助けるために飛び込み(ちなみにこの日は正面を向いてエポニーヌは撃たれてた。今までそういうアングルはあまりなかったはずでしたが、あの血痕はどう見ても前から撃たれないとおかしいのもこれまたその通りで)、絶命するわけです。

ラストシーン、「鎖は切れて今救われる」のエポニーヌにとっての「鎖」は、母親との鎖だったのかなと。

本当の愛情を受けて育ったコゼットに対して、
偽物の愛情しか受けずに育ったエポニーヌが、
マリウスの心を本当に手に入れられるはずがない
という絶望的な気持ち。

それでいて、愛する人の命を救い、その「母」との「鎖」を自分で断ち切ったエポニーヌだからこそ、神の国に行けるのだと思うと、なんだかじんわりとしてくるのでした。

※ちなみにこの点については、新エポニーヌ役の3人が「月刊ミュージカル」5-6月号で語っている「コゼットをどういう女性と見ているか」の答えが示唆に富んでいました。
昆エポとさやかエポが似ていて、「エポニーヌにとってコゼットは憧れの女性像」と語っているのに対して、平野エポが「エポニーヌにとってコゼットは危険な存在」と語っている違いがとても印象的です。
そういえば、先日エポOGの新妻さんがコゼットについて語ったときは「あの人とてもたくましいんですよ。なんだかんだ言って、唯一生き残る人ですからね。すごく強い精神の持ち主です。」と答えてましたね。

エポニーヌにとってコゼットをどう捉えるかは、エポニーヌの存在位置を左右するだけに、キャストによってある程度変わってくるところなのでしょうね。

・・・・・

罪に生き、牢獄に19年過ごしたバルジャンも、ファンテーヌのためにコゼットを育て続け、コゼットをマリウスに任せたことで安心して天に召され、神の国に行ける。エポニーヌにとっても、それとある意味、同じような意味合いがあるのかなと。

そういえばこの日のカーテンコール。
上手側から出てきた玲奈エポ、下手側から出てきた和音ファンテーヌ。
中央で手をつなぎ前に出てきて、何と2人一緒にお辞儀。
その直後、2人は顔を見合わせていたので、きっとハプニングだったのでしょう(笑)

あのシーンでエポとファンテが一緒にお辞儀したシーンは自分の記憶する限り初めてでしたねー。

3週間ぶりに見てまた新しい発見があったレミ。
次はまた3週間後に帝劇に参ります。その日はスペシャルな日・・・!

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