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『レ・ミゼラブル』(8)

2013.4.24(Wed.) 18:15~20:30 2階H列X番台(下手側)
2013.4.25(Thu.) 18:15~20:30 1階A列40番台(上手側)

新演出版レミゼ、プレビュー2日目と3日目を見てきました。

自分のレミ歴は2003年からなので、その時以来の大きな変更ということになります。

新演出版、一切の先入観なしにご覧になりたい方は、ぜひ回れ右でお願いします。
新演出版はある意味すべてがネタバレなわけでして…

ではよろしいですか?



まず最初に目を惹くのはセット。左右にバルコニーがあって中央に舞台が狭まっている印象があります。
このバルコニーはミーマイあたりの雰囲気で見た記憶が。
バルコニーはバルジャンの殊勲シーンで、まったくもって正しい使い方をされるほか、箱入り娘のコゼットがひょいと顔を出すシーンにも使われます。

新演出版の全体的な印象ですが、誤解を極力回避するように作られているという印象。

例えばバルジャンがジャベールを「自分に任せてくれ」と言って皆から離れて、ジャベールと話しつつ、銃を撃つシーン。
ここ、バルジャンが学生たちにどう認識されているか、前演出版では両方に取れたと思うんですね。
砦の上の学生が銃を「ガンガン」とやるのが賛辞なのか抗議なのかは、お客に任せられていた部分があったと思うんです。
今回の新演出版では、学生の台詞が入り(ちょっと不自然気味ですが)、それがどちらなのか分かりやすくなっています。
「考える余白」という意味では深みがなくなったのかもしれませんが、重要なシーンの解釈が完全に真っ二つに分かれることに自分は少し違和感を覚えていたので、自分はすんなり受け入れられました。

もうひとつは砦の学生が全滅した後のアンジョルラスへの拍手。これはどうにも自分は納得いっていなかったのですが、今回の描かれ方だと拍手する隙がないので、自分的には納得がいきます。拍手するかどうかは人それぞれとはいえ、個人的な感想としては本当の意味でのアンジョルラスの尊厳に対しては拍手というのは釈然としていなかったので。

女性キャストメインで回を選ぶ自分にとって、レミの特に女性プリンシパルはけっこう重要ですが、まずファンテ。
24日ソワレは和音さん、25日ソワレは里アンナさん。
どちらかといえば和音さんがしっくりきたかな。

今回の新演出版だと、今まで以上にストーリーに合うかどうかがキャストで左右される感じがあって、新演出版の役設定にあっているほど存在感が出せるようなところがあって、和音さんは自分的なフィット感がぴったり。
というのも、新演出版は映画版と役設定が似ているので、「強い」女性な部分がちょうどシンクロする感じ。絶対にファクトリーガールに勝ちそう(笑)。

アンナさんは「夢破れて」こそちょっと違和感あったけど、それ以降はすごく良かった。
このお2人に関しては役者イメージと役イメージの「勝気」な部分が合っているのかもしれません。

エポニーヌは24日ソワレが昆ちゃん、25日ソワレが平野さん。
個人的な好みとしては平野さん。蓮っ葉な感じが新鮮。
雰囲気的には2008サイゴンのソニン嬢がエポ演じたらこんな感じかなと。
そういえばガブのお姉さんなのがちゃんと見えるようになっていたりしますね。
昆ちゃんはやっぱり小さすぎるのがマリウスとのバランス的には厳しいのと、役への思い入れがちょっと過剰なところが薄まるといいのかなと。

平野さん、よかったのですが「恵みの雨」はさすがにちょっとオーバーアクションな感じで、ここはこれからに期待。
今までのエポな自分のご贔屓様方は「恵みの雨」プロフェッショナルが揃っていたので、ついついシビアに見てしまうのかもしれません。
でも今回のオーバーアクション、エポの危機的状況を、マリウス以外がきちんと認識するトリガになってもいるので、そもそもが新演出版としての演出なのかもしれません。その意味ではありかなと。

コゼットは24日ソワレがレイナちゃん、25日ソワレが郁代ちゃん。
いずれも「ミス・サイゴン」から今回レミのプリンシパルとなったお2方。
やはり初めてのプリンシパルということで、緊張は隠せない様子でまだまだ持ち味を出し切れていない感じ。
客席までその緊張がダイレクトに伝わってくるので心臓には良くない(笑)。

言われているほど女性プリンシパル3人の役の軽重は変わっているようには感じず(映画版ではコゼットが強くフューチャーされていて、エポニーヌが小さい扱いでしたが、新演出版でそれほどには感じず)、その意味ではコゼットが力を出し切れれば、よりバランスが良くなるのかなと。

レイナちゃんは一幕、郁代ちゃんは二幕が良かったかな。
レイナちゃんはマリウスのバランスが良くて、郁代ちゃんはバルジャンとのバランスが良い。
それぞれもう一方とのバランスが取れればもっとよくなる気がする。

今回新演出版でおおっと思ったのは、エポニーヌがコゼットの家へ手紙を届けに行くシーン。
エポニーヌが「ぼうや」と呼ばれてからの一連の流れが大好きだったりします。
エポニーヌが女性であることを知った時のバルジャンの反応がジェントルマンで…
エポニーヌがコゼットに対して、本当の意味で負けを感じたのは、バルジャンの優しさに触れた時なのかなと。
自分の両親(テナルディエ)に比べると、ジェントルマンなバルジャンに育てられたコゼットに、自分が敵うはずはないんだと…

そういう視点で見るととても興味深いシーンでした。

新演出版、不安はありましたけれどいろいろと新鮮な面があり、予想よりいい意味で楽しめました。
また違った新しい発見をするのが楽しみです。

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コメント

エポニーヌが手紙を届けに行くシーンの考察が興味深かったです。
坊や、と言われた後のエポニーヌの行動が
なんだか「坊やじゃない!」とバルジャンにアピールしているように思えたんですが
その意図が私には良くわからなくて
あれは何だったんだろう…と思っていたのですが
こちらを読ませていただいて目から鱗がボロボロと(笑)。
その直後に彼女が父親から受ける扱いを重ね合わせて、すとんと腑に落ちてきました。

今は無事に初日を迎えることを祈るのみですが
新演出の解釈やキャスト感想を楽しく語れる状況に
早くなってほしいですね。

投稿: judy | 2013/04/30 23:48

コメントありがとうございます。
新演出版で一番印象的なシーンだったので、そう言っていただけて嬉しいです。

なんでバルジャンに「ぼうや」と言われてあんなにムキになっているのかなぁ・・・と思っていたのですが、バルジャンがエポニーヌが女の子だと知った時点で、バルジャンがエポニーヌを女性扱いしましたよね。

コゼットへの手紙を届けに来たのは、実はエポニーヌが好きな男性からの頼まれ事ってことを瞬時に理解した感じで。

それを瞬時に認識したバルジャンだからこそ、エポニーヌはコゼットに絶対に勝てないと思ったんじゃないかなと。

・・・

このコメントをいただいてから後で、4日ソワレ・5日ソワレの公演中止が決まってしまいました。
もうこれ以上波乱が起きないことを祈るのみですが、何しろ持ち駒が少ない今回の公演、まだまだ何事もありそうですね。

投稿: ひろき | 2013/05/01 01:31

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