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『ダディ・ロング・レッグス』(4)

2013.1.6(Sun.) 18:00~20:40
シアタークリエ 13列10番台(センターブロック)

アンコール公演、チケット確保に苦戦してフォロワーさんにお願いさせていただいた回。
びっくりするぐらいの席で本当に感謝感激です。

席が昨日に比べてセンターに移ったせいもありますが、それを差し引いても、安定感が9月当時の状態に戻っていて、かつ感動は更に増していて。1日でここまで戻してくるとは、予想の更に上を行っていました。

昨日は特に真綾さんのジルーシャは、ジルーシャを演じることの怖さを感じたけど、この日はジルーシャを演じられる喜びに満ちていて、それすなわちジルーシャそのものに見えて。
それだけでこの日の公演が素敵なものになると確信できて。

真綾ジルーシャはこの作品で1人何役も声色を使い分けて演じています。そもそも1曲目の時点でジルーシャ本人の他に、寄宿舎の男の子と、寄宿舎の女性管理人さんと3人。
で、この声の演技の落差が大きいときは真綾ちゃんの調子が良いとき。
ジルーシャの魅力の一つである「いたずらっぽさ」は「複数の声色で客席を煙に巻く」というところに大きく作用しています。

でネタバレあります ご注意ください




今回、見ていておぉっ、と思ったのはジルーシャが夏休みに農場に行ったときのテンプル夫妻とのエピソード。
「神に祈る」というテンプル夫妻の行為について、ジルーシャは「荒唐無稽」と切り捨てています。「自分は神を創造(想像)できる。自分に信仰がなくて良かった」って言って、いくつかの要素を挙げています。で、実はこの5つほどの要素、実はジルーシャにとっての「Daddy Long Legs」への視点とシンクロするのですね。

ジルーシャにとっての「Mr.smith」とは、「ジルーシャ」という存在を”1人の個人として”認めた、物心がついた時点のジルーシャの人生にとって初めての人。それこそ「アダムとイヴ」ではないけれど、「(自我を持った)ジルーシャという”存在”の創造主(=神)」なのだなと。

だからこそ、返事は来ないのにもかかわらず、包み隠さず自分のことを何でも手紙に書く。
「神」であり「師」でもあるのだと思います。

で、ジルーシャから「Daddy Long Legs」へのあまりの包み隠さぬぶりに困惑するのが、ジャーヴィスぼっちゃま。

何の因果か、ジルーシャの本心を全部聞くことになってしまったわけですから、逆に困りますわな(笑)。

もちろん悪い子じゃないのは分かっているけれども、ジルーシャの悪賢い(でも悪にはなりきれないところがチャーミング)ところも全部見ているわけですからね。そりゃジルーシャも後から振り返れば「あれも・・・これも・・・全部バレてたの???!!!」ってそりゃそういう反応になるわ(爆)。

最初の手紙でジャーヴィスは「(ジルーシャとの間に)誤解が生まれた、面白い」と言っているのですが、ジャーヴィスが最後に陥ったのは「誤解を面白がっているうちに、本当の自分を『理解』してもらえなくなりかねない」ジレンマですから皮肉すぎます。ま、自分が蒔いた種そのものですが(笑)。

もう一面のジルーシャの面から見ると、昨日は書かなかったのですが、ジャーヴィスからの求婚と、ダディからの求婚への対応の違いは、「孤児院出身の自分」を明かしているかどうかなのですね。上流貴族であるペンドルトン家に、自分が嫁ぐことが果たして許されることなのかということ。

このジレンマは「ミー&マイガール」とかでもおなじみのジレンマで、ハートフルミュージカルでは定番中の定番ですが、ここがハッピーエンドになる大事な要素は「悪意がないこと」なんですよね。嘘があっても行き違いがあっても、「好きな人の前では自分のいいところだけ見せたい」と思う気持ち同士のすれ違いなら、どこかでは交われるという話で。

ラストのジルーシャの「ぷんすか」は(自分的なイメージの)真綾さんど真ん中、少女漫画ヒロインど真ん中だし(真綾さんは声優さんではどちらかというと男性的な役のイメージが強いのに)、ヘタレなジャーヴィス坊ちゃまのまさかの逆ギレ逆襲とか大好きすぎる(笑)。「キミが魅力的だからいけないんだ!」ってどこの中学生ですか(笑)

この作品、見るたびに涙スタートポイントが変わるのですが、この日は真綾ジルーシャの感情いっぱいの(泣き出し直前の)表情にやられました。前日は「卒業式」の曲でした。結末が分かっていても感動できる作品ってすごい。

わずか1日で本来のジャーヴィス&ジルーシャの名コンビ復活。
公演期間が短いのが本当に淋しいです。
ラストシーン、最後の演奏が終わるまで拍手が起こらない客席も好き。
でもそれが成立しているということはみなさん9月からのリピーター組ってことですよね(苦笑)。
初日に真綾さんもカーテンコールでおっしゃっていましたが「以前来ていただいた方も、今回初めて見ていただく方も」この素敵な作品に触れられる方が一人でも多くいられれば素敵と思うのでした。

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