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『ミス・サイゴン』(15)

2013.1.16(Wed.) 13:00~15:55 3階2列目センター
2013.1.16(Wed.) 18:00~21:05 1階16列目センター
2013.1.17(Thu.) 13:00~16:10 1階11列目下手側

岩手県民会館大ホール

「ミス・サイゴン」2012~2013年シリーズ、終わってしまいました。

順に、
16日マチネ 玲奈キム千穐楽
16日ソワレ 泉見トゥイ300回
17日ソワレ 大楽(聖子キム千穐楽)
です。

新演出版、去年7月のめぐろパーシモンホールから始まって82公演。

自分がこの作品に出会ったのは、2004年の聖子キム&玲奈キム&由美子エレンの時からですから、つまり2004年から301公演ということになります(プリンシパルキャスト中唯一のシングルキャスト、泉見君が300回(2004年10月の公演中止1回は数えない)ですからそういうことになります)。

新演出版は結局13回(青山5回、岩手3回、厚木2回、浜松2回、めぐろ1回)で、新妻キムが7回、笹本キムが6回と真っ二つ。旧演出版、何回見たか記録を残していないのですが、同じぐらいは見ているはずだから300回中30~40回は見ているんだろうから、多分自分が一番回数を見ているミュージカルはモーツァルトかサイゴン。次がレミでその次がSHIROHかな。

2009年2月の博多座楽を見届けられなかったことがいつまでも自分の中に後悔で残っていて、今回のツアーが発表になったときから岩手には絶対行こうと思っていて。
平日2日という日程でしたが、迷っても行って良かった。そして玲奈キムの楽も見届けられて、感無量でした。



芝居、作品という観点で言うと凄かったのは16日ソワレ。この日のキム、聖子さんは何かが憑いたかのようなキム。ただただ激しく愛するキム。激しく愛したからこそ、実らないことが分かったときの反動がもの凄くて。

トゥイを撃ってしまったあたりから、この日の聖子キムは凄かった。ただひたすらに後悔という気持ち。

トゥイが乱入したとき、実は聖子キムはトゥイに「止めて!」と言うんですね。
玲奈キムはクリスに「止めて!」って言うんです。
多分、新演出版の正解は玲奈キムの方なんだと思うけど、確か玲奈キムも一度だけトゥイを止めた記憶があるし、この辺はその時の気持ちの流れ次第なのかな。

玲奈キムはトゥイに対して、「あなたのことを嫌いになりたくない。だから私のことはもう忘れて」と言っているように思えて、トゥイを好きだった過去を、思い出として取っておきたいかのような雰囲気を感じて。
それに対して聖子キムはトゥイに対して「あなたのことは嫌い。親がした約束なんて関係ない。私に触らないで」的な・・・
なのに、聖子キムはトゥイを撃ったときに、時に玲奈キム以上に激情を吐露するんですね。
なんだか、トゥイを嫌いになることでトゥイへの感情に今まで目を背けていた-それを後悔するかのような。

玲奈キムは「撃ちたくないのに撃ってしまったことへの後悔」、聖子キムは「撃ってしまって初めて分かったトゥイへの本当の気持ち」という感じがして、16日ソワレの聖子キムは、エンジニアの隠れ家に来たときがトゥイを撃ったショックから立ち直れていない様がありありで。

ちょっと前の聖子キムって、ここではエンジニアがタムをいたぶる(苦笑)ときにむちゃくちゃクールな視線で呆れたように見てたんですが、この回はもうそんな余裕なんてどこにもなくて、エンジニアを構っている余裕さえ欠片もないのが強く印象に残って。
だからこそ、キムにはタムしかいない、という「命をあげよう」が真に迫ってきて。

2幕、エレンと向かい合って現実を知り絶望に暮れるキム。
もう精も根も尽き果てたかのように、柱にもたれかかって呟く聖子キムが、もう泣けて泣けて。
ここ、柱にもたれかかるなんてことは今までなかったと思うのですが、前楽も大楽も、聖子キムは柱にもたれかかって。大楽に至っては柱をさするまでしていて。それがクリスであるかのように・・・

そういえば、クリスとエレン、ジョンのシーンで気になったことがあるのですがクリスは「キムはどうする」ってジョンに言ってるんです。ここ、今まで意識していなかったんですが、普通の言葉であれば「キムはどうなる」じゃないですか(確か前演出版では「どうなる」だったはず)。

クリスにとってキムはどういう位置にいるんだろう・・・というのはこのホテルのシーンでいつも疑問だったのですが、「キムはどうなる」ならキムを心配する気持ちだけど、「キムはどうする」ならクリスにとってキムは少なくとも今愛している相手じゃないわけですよね。
だって愛してる相手に「どうなる」と心配することはあっても「どうする」って完全に他人事じゃないですか。しかも上から目線(爆)。

クリスにとってキムは過去の存在なんだな・・・と思えた分、キムの悲劇性がますます増したような印象。

キムの違いで言えば、
聖子キムが「激しく愛するキム」と称するなら、対する玲奈キムは「深く愛するキム」。
ありていに言ってしまうと聖子キムが「Dramatic Kim」で、玲奈キムが「Romantic Kim」という印象。
玲奈キムを見るとゆったりたゆたうというか、川の流れみたいな印象を感じるのですが、聖子キムを見ると激しく上下するというか、滝の流れみたいな印象を感じたりするのでした。

そういえば16日ソワレ、聖子キムがホテルの部屋で勢い余って飾りを椅子の上に落っことしていなくなっちゃったんですが、そこに座って違和感を感じさせなかった育三郎クリスって凄い。普通はあれっ?って思うところだろうに。



ちょっと気づいたことを1つ。

1幕「ドリームランド」で、ジジを射止めるのがジョンじゃないですか。
これ、今まで何の不思議もなく見ていたのですね。ただの偶然かと。
でも良く見てみると、ジョンからエンジニアがくじをひったくってそのくじを当選にしてるみたいなんですね。
(周りが抗議してる理由が今までよく分からなかったんですが)

だからジョンはエンジニアがどういう人となりか分かっているから、信用していないんだな、というのが腑に落ちて。
最後のシーンでジョンがエンジニアの前に立ちはだかって、エンジニアとタムを引き裂くわけですが、あぁなるほどと。



1幕のドリームランドは最近はすっかりミミちゃん(青山郁代さん)追っかけが定番になってますが、腰が引けてるキムのお尻触っていたりするんですよね(笑)。キムに中指立ててたり、もはや勝ち気を隠す気もないのが、そりゃそうだよなぁと。

もう一つ注目してたのがキムの結婚式の時に、頭下げないクリスの頭を下に押すのがミミの役目ですが、なぜかいっくんクリスの方が異常に力が強かったりするのがツボ。それでいてキムがトゥイのことを「ベトコン」と言ったときにいの一に気づいて警戒するあたりの気の敏さとかもmyツボです。ま、それでもナイトメアで連れて行ってもらえないわけですけど・・・

以前も何度か書いているんですがナイトメアは玲奈キムの叫びがもの凄く好き。このサイゴン、場面によって聖子キムが好きな時と玲奈キムが好きな時と結構毎回ぶれるんですが、ナイトメアの叫びだけはいっつも玲奈キムに泣かされます。



一旦本編話はここまでとして、ひとまず忘れないうちにカテコレポを。

●16日マチネ
司会は市村さん。今回千秋楽・・・と紹介された玲奈ちゃん。

◆キム役/笹本玲奈さん
「終わっちゃいましたね(笑)(←安堵なほっとしたような表情が、なんか客席にまでほんわか伝わる)。去年5月から稽古が始まって7月から今日まで、演じ続けてきました。キムという役は人間としても女性としても沢山のことを教えてくれる役です。そして、『ミス・サイゴン』という作品は、これからも上演『され続け』なければならない作品だと思っています。そのために、皆さまこの作品をずっと愛し続けてください。ありがとうございました。」

●16日ソワレ
司会は市村さんで、この日最後となったお2人からご挨拶。

◆クリス役/山崎育三郎さん
「ご観劇いただきありがとうございました。
自分自身、念願のクリス役でこの作品に出演できましたこと、支えてくださった多くの皆さまに本当に感謝しています。カンパニーの皆さま、そして浜松公演以来東京に帰れないスタッフの皆さま、そしてもちろんお客さまに支えられてこの場に立てていることを深く感謝申し上げます。ありがとうございました。」

この後、タム役の杏珠ちゃんからもご挨拶。
「えっ、女の子だったの?」って声が客席のあちらこちらから上がっておりました。
聖子ちゃんといっくん両方から、ヘッドマイクが差し出されるのですが、2人とももの凄く大変そうな姿勢でした(特に聖子ちゃん)。

杏珠ちゃんの頭をぽんぽん、と撫でてた聖子ちゃんが可愛かったり。

●17日マチネ(大楽)
司会は岡さん。

◆ジョン役/岡幸二郎さん
「本日1月17日はとても大切な日です。18年前のこの日起きたことを、忘れてはなりません。そして3月・・・もう少しであの日から2年になります。・・・そんな岩手の地で、この作品『ミス・サイゴン』が上演できましたこと、そして私たちが舞台に立てていることにカンパニー一同、感謝の気持ちでいっぱいです。本来でしたら全員からご挨拶をさせていただきたいところですが、朝になってしまいますので、代表して前列の役者よりご挨拶させていただきます。しかしながら、前列の役者・・・プリンシパルと申しておりますが、我々だけでは舞台は成立いたしません。特にこの作品、アンサンブルなしでは成立しない作品でございます。そんなアンサンブルを代表しまして、丹宗立峰よりご挨拶をさせていただきます」

◆クラブオーナー役ほか/丹宗立峰さん
「アンサンブルを代表してご挨拶させていただきます。・・・今回、演出家のダレンはじめスタッフさんからはメンタルに至るまで本当に色々支えていただき、だからこそ私たちは舞台を務めることができました。ダレンが良く言う言葉に「bonza!」という言葉がありまして、調べてみたのですが「素晴らしい!」・・・etcといった意味の言葉で、私たちアンサンブルの間では合い言葉になっておりまして、アンサンブル一同から声を揃えて皆さまにご挨拶させていただきたいと思います。」

・・・その揃った「bonza!」には客席・プリンシパル一同から大きな拍手が贈られたのでした。

◆キム役/新妻聖子さん
「キ・・・ム役・・・あ、また噛んじゃったどうしよう(本気でまた困ってる聖子嬢)・・・キム役を演じました新妻聖子です。キム役は知念里奈ちゃん、笹本玲奈ちゃんと二人三脚ならぬ三人六脚でやってきました。この『ミス・サイゴン』では「アメリカン・ドリーム」をいつも袖から見ているのですが、みんながきらんきらんに輝いて『楽しさ全開で(お客さまに)楽しんでいただけるように』全力で演じられている姿を見るのが大好きです。素敵なカンパニーのみんなと『ミス・サイゴン』をこの岩手の地でお届けすることができたことを誇りに思います。各地に足を運んでいただいた皆さまへも感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。」

この日は、既に楽を迎えられた上原理生さん(ジョン役)、笹本玲奈さん(キム役)、山崎育三郎さん(クリス役)も呼ばれて登壇。

キムズは新妻さんのところに玲奈ちゃんが駆け寄ってひっしと抱き合い、3年1ヶ月ぶり(「プライド」千秋楽以来)の姫ペア抱擁にテンションが上がります(!)。で、何でそんなに背が違うんですか・・・

◆笹本玲奈さん/キム役
「キム役を演じました笹本玲奈です。昨日千秋楽を迎えました。今回新演出版ということで、演出家のダレンが稽古の最初に話をしたのですが『ベトナム戦争は本当にあったことです。ベトナム戦争による苦しみを味わった人たちへの敬意を忘れずにこの作品に向かい合ってください』と言われたことがいつも心にありました。演出家のダレン、新演出版の作者ローレンス、そしてエンジニア役の市村正親さん、この3人の最強タッグが揃えば『(ミス・)サイゴン』は永遠です。ありがとうございました。」

◆山崎育三郎さん/クリス役
「同じく昨日千秋楽を迎えましたクリス役、山崎育三郎です。サイゴンに関わってくださる皆さま、この舞台を使っても乗り切らないぐらいいらっしゃいます。またサイゴンで演じられるよう明日からも精進していきたいと思います。ありがとうございました。」

・・・

大楽最後の出し物は、何とアメリカンドリーム特別編。

いっちゃんがいつものミス・チャイナタウンポジションで、運転手役が岡さん(笑)。

そしてそのアメリカンドリーム、聖子ちゃんがむちゃくちゃ楽しそうに足伸ばして踊ってたんですが、お隣の玲奈ちゃん、聖子ちゃんが促すのに、クールにスルーしてたのが面白かったです。

なんだかやっぱり聖子ちゃん妹、玲奈ちゃんお姉さん(笑)。

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