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『ダディ・ロング・レッグス』(3)

2013.1.5(Sat.) 18:00~20:40
シアタークリエ 21列20番台後半(上手側)

去年9月再演の作品が、好評につき異例のアンコール公演。
この日が初日です。

日比谷界隈では、この日プレビュー初日を迎えたのがお隣、日生劇場の『シラノ』。
日比谷駅から歩いてくると劇場前にお知り合いがいらしたのでご挨拶。

最近は観劇で知り合いにお会いしない日の方が珍しくなりつつあるのですが(笑)日生は18時30分、クリエは18時なので少しご挨拶を交わした後、クリエへ向かいます。

2人ミュージカルのこのお芝居、ジャーヴィス坊ちゃまこと井上芳雄さんは『組曲虐殺』の東京(天王洲銀河劇場)公演と地方公演の間、ジルーシャお嬢様こと坂本真綾さんは年末のご自身のカウントダウンライブ終了後のタイミングでのアンコール公演。

舞台稽古は前日の1日だけ。クリエ自体も1月3日まで『5th Anniversary ONE-HEART MUSICAL FESTIVAL』をやっていたのでセット搬入も前日の1日だけという、神業スケジュールで初日に漕ぎ着けたわけですが、見終わった感想はといえば「よく初日を開けられてここまで持っていったなぁ」が正直な感想。というかむしろ隣の日生同様、この日はプレビュー初日で良かったんじゃないだろうか、という印象(苦笑)。

観客側も初演の空気さめやらぬ状態で、初演からのリピーター組多数と見受けられる中、初演よりは多少なりとも危なっかしいお2人の様子に気が気でなく、

「ぼっちゃま頑張ってくださいまし」

「ジルーシャがんばー!」

という空気に満ち満ちていました(笑)。

元々ジルーシャの負担はハンパない舞台だけど、それもあってか1幕では台詞飛びもあったし、2幕も噛みまくったところもあって、カーテンコールの真綾さんはどことなく恥ずかしげに俯いていた感。

「どうでしたか?」って芳雄君に聞かれて「どうでしたかって・・・」って二の句が継げてなかったのが、真綾嬢のキャラとはちょっと違って興味深かったですけれども(無論、可愛かったですよ、もちろん)。

台詞飛びのシーンでは芳雄君が真綾さんを待ってたのが印象的。
恐らくこの後何年もやっていくであろうこの作品、このコンビで、きっと手を差し伸べちゃいけないシーンだと芳雄君は思ったんだと思う。その結果、確かに1秒近い時の空白(ホント恐ろしいくらいに静寂だった)が出来たけど、でも芳雄君はやっぱりさすがだと思った。
真綾さんへの信頼、そしていざとなれば自分が何とかする覚悟を持っての「待ち」に思えた芳雄君の様は、やっぱり凄い役者さんだなと思えて。

そんなんあっても、やっぱり大好きな作品にこんなに早く再会できたことには心から感謝。

1幕と2幕、新入生が入ってくるとここまで本性が露わになるのか(笑)と思える変化とか、ジャーヴィスはジルーシャの変化についていけないからこそ、焦りでドツボに嵌るところもあるんだなとか。

この日は台詞、歌にいっぱいいっぱいということもあってか、初演でありえない程面白い、例のシーンも、ちょっと普通なシーン。
でも客席はリピーター組多数だから笑いは起きるけど、笑いどころを知りすぎているという感じはあったかな。
そもそもほとんど演出変えている感じはなかったから、笑いどころが変わるわけもなく、「アンコール公演」である以上、前の公演のそのままであるのは当たり前ではあるわけですけどね。

この辺からはちょっとネタバレ入りますのでご注意くださいませ(ちなみに別に初演と変わってるわけではないので、初演観劇済みの方はさほど問題ないとは思います)




演出が変わらない代わりに、ちょいちょい新技という名の小ネタを入れてたのがジャーヴィスぼっちゃま。
ジルーシャに手紙で「同志」って書かれて「よっしゃぁ」って握り拳作ってたのが一番ツボでした(ウケてました)。

1幕から2幕前半まではハラハラが先行したこの日のお芝居ですが、それでも2幕「卒業式」あたりからは感動一直線。ジルーシャの今にも泣き出しそうな表情と、どうしていいか分からないジャーヴィス、そのコントラストがくっきりしていて。

この作品で”ジャーヴィスぼっちゃま”と”あしながおじさん”はある意味1人2役なわけですが、ジルーシャがジャーヴィスぼっちゃまに惹かれるのはある意味当たり前ではあるわけですよね。
自分の前に姿を見せない「Mr.Smith」の実体でもあるわけですから。
とはいえジルーシャはジャーヴィスからの求婚に対して、そういう返事をする。

結局、「Mr.smith」にとって「あしながおじさん」こそが実体で、「ジャーヴィスぼっちゃま」は自分の都合の良いように脚色を加えた存在、というかジルーシャに会いに行くための方便なわけで。
ジルーシャがジャーヴィスのことを最後のところで受け入れられなかったのは、結局その「嘘」の部分に自分なりの納得が得られなかったからなんだろうな、と思う。

だからこそ、その「嘘」が取り去られた「あしながおじさん」は、自分にとって「言いたいことを何でも伝えられる、理想のパートナー」となり得たわけで。

ジャーヴィスは「チャリティー」の曲で「チャリティーは施す側と施される側に壁を作る、意図するせざるにかかわらず」と言うわけですが、その壁を利用してきたのもまた自分自身であるわけで。

ジャーヴィスが「卒業」と称するものは、きっと「自分の都合のために作り出した『嘘』、『壁』からの卒業」
結局そこに嘘偽りがないことがわかったからこそ、ジルーシャはなじりながらも、最後は素直な気持ちでジャーヴィスにラブレターを書けるわけで。

ラストのなじりあいという名のじゃれ合い(笑)はこの作品ならではの温かさ。
あれは何度見ても微笑ましくて嬉しくなりますね。しかもこの日はあまたの苦難を乗り越えてここにたどり着いたので感無量という(笑)。




この日は初日ということでお2人からご挨拶。とはいえ完全に井上君ペース。

井上君「あけましておめでとうございます。新年からご観劇くださりありがとうございます」
「新年から新年気分もなくスタッフキャスト一同やって参りました。初日開きましたね。どうですか」

真綾さん「どうですかと言われましても(俯く)・・・開きましたね」

井上君「今回はアンコール公演ということで、再演とも追加公演とも違う感じで」

真綾さん「そうですね」

井上君「今回、この足(と、初演以来恒例となった右足をすらっと伸ばすシーン)が縮みやしないかと心配でした(笑)」

真綾さん「なつかしーーーー(笑)」

井上君「久しぶりですから」

という同志漫談(爆)後、初演時のあしなが育英会募金の総額発表(確か674万強)に拍手が贈られていました。

井上君「今回も、その数字でプレッシャーというわけではないのですが(笑)、もしよろしければということで舞台上に募金箱を設けさせていただきます。未来のジルーシャとなる子供たちのために、ご支援いただければ嬉しいです。本日は誠にありがとうございました」

・・・ということで終演。この作品は追い出し音楽も素敵なんですよね。最後までじっくり聞くのが至福です。
実は今日ソワレも観劇なので2日連続、今期はこれで観劇終了の予定。
1日だとどこまで変わるか分かりませんが、楽しみです。

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